2018年7月20日金曜日

20- 収入が減る一方で家賃は上がる ─ 日本が過去20年で失った生活のゆとり

 日本の借家事情は深刻化する一方です。
 教育社会学者舞田敏彦氏が、1993年と2013年の「住宅・土地統計調査」結果を分析して、「この間、収入が減る一方で家賃が上がった。日本は過去20年間で生活のゆとりを失った」とする記事をNewsweekに載せました。
 
 住居費(家賃)が収入に占める割合は、生活のゆとりの度合いを測る指標になります。
 図1「借家世帯の『家賃/年収』比マップ」は衝撃的で、20年前には「家賃/年収」が14%以上であったのは東京、京都などのごく一部だったのが、2013年には、北海道・九州・四国のほぼ全域を含め、本州でも広範囲に広がっています。
 表1「若年(25歳未満)世帯の『家賃/年収』比(%)」も同様に衝撃的で、京都府53%、東京45%などをはじめ、全国平均で348%となっています。
 
 因みに国が行う「住宅・土地統計調査」5年に1回行うもので、2013年(平成25年)のデータが最新データになります。今年(平成30年)は5年目の調査を行う年です。
 親元を離れ、独立した若者が将来は持ち家に住むと言うのは、昔からの共通した願いでした。高度経済成長期にはローン返済の見通しが立てやすくなったこともあって、持ち家の取得が進んだと思いますが、このところはどうなのでしょうか。
 
 記事は、「若者の自立を促し、未婚化・少子化に歯止めをかけるためにも、『住』への公的支援が必要だろう」としています。実にその通りなのですが、軍備の拡充しか頭にない今の政権にそんなことを望むのは、残念ながら無理でしょう。
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収入が減る一方で家賃は上がる──日本が過去20年で失った生活のゆとり
舞田敏彦 Newsweek 2018年7月18日
教育社会学者      
<生活費のうち家賃が占める割合は、93~13年の20年間で大きく上昇し全国平均で2割近くにまで達している>
生活の基盤である住居は、持ち家と借家(賃貸)に分かれる。2013年の統計によると持ち家は3217万世帯、借家は1852万世帯となっている(『住宅・土地統計調査』)。比率にすると「3:2」で持ち家世帯の方が多い。しかし若年層では借家が多く、世帯主が20代の世帯の9割、30代の世帯の6割が借家に住んでいる
 
持ち家は住宅ローン、借家は家賃という固定費用が発生する。生活のゆとりの度合いは収入と支出のバランスで決まるが、後者の代表格は住居費だ。食費や遊興費のように節約はできず、毎月定額を払わないとならない。住居費が収入に占める割合は、生活のゆとりの度合いを測る指標になる。
 
上記の資料から、借家世帯の月平均家賃と平均年収がわかる。2013年のデータだと前者が54万円(I)、後者が3583万円(II)だ。家賃の年額が年収に占める割合は,(I×12カ月)/II=181%となる。20年前の1993年の129%と比べて大きく上昇している。収入が減る一方で(4146→3583万円)、家賃は上がっているためだ(45→54万円)。
 
地域差も大きい。地方より都市部で家賃が高いのは誰もが知っている。都道府県別に「家賃/年収」比を計算し、3つの階級で塗り分けた地図にすると<図1(⇒末尾1>のようになる。左は1993年、右は2013年のマップだ。
 
この20年間で地図の色付きのところが増えている1993年では色が付いているのは都市部の9県だけだったが、2013年では全県に色が付いている。両端の値を示すと、1993年は86%(島根県)~172%(東京都)、2013年は131%(青森県)~223%(東京都)、となっている。
 
どの県でも収入は減り家賃は上がっているので、こういう結果になる。収入は減るが生活費は上がる。借家世帯に限ったデータだが、国民の生活にゆとりがなくなっていることがうかがえる。今年は『住宅・土地統計調査』の実施年だが、「家賃/年収」比が2割を超える県が多くなっているかもしれない(2013年では東京、京都、大阪のみ)
 
これはあくまで全体平均で、分布をみると「家賃/年収」比が4割、5割を超える世帯もある。若年層では、こうした無理をしている世帯が多い2013年の若年の借家世帯(世帯主が25歳未満)でみると、月平均家賃が46万円、平均年収が1572万円なので、家賃年額が年収に占める割合は348%になる。地域別に見るともっと凄まじい値が出てくる。<表1(⇒末尾2>は、47都道府県を高い順に並べたランキングだ。
 
最高の京都府では、若年の借家世帯の「家賃/年収」比が50%を超えている。収入の半分以上を家賃で持っていかれることになる。その次が東京都の450%で、北陸の2県も4割を超える。京都府や東京都は単身の学生が多いためだろうが、勤め人であれば家賃を払うために働いているようなものだ。
住居費がここまで生活に重くのしかかると、実家を出て世帯を構えることは難しく、親元にパラサイト寄生せざるを得ない。若者の自立を促し、未婚化・少子化に歯止めをかけるためにも、「住」への公的支援が必要だろう。
<資料:総務省『住宅・土地統計調査』>

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