植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
いわゆる裏金問題については昨年秋に問題が表面化してから半年以上の時間が経過していますが、いまだに政治資金規正法改正の行き着くところが海のものとも山のものとも知れないという状況下にあります。
この件については、植草氏は早くから改正の要点と共に、その実現のために野党はどんな国会戦術をとるべきなのかについて明確にしてきました。まさに国民監視下で行われている審議がなぜこの明快な改正案に向かわないのか不思議なことです。
実は野党の中にもいわゆる政治資金規制法の抜け穴を封じられることに抵抗があるからなのではないか、という疑いがあるということです。もしも野党の一部にも裏金の余得に預かりたい人たちがいるのであれば(どうも居そうですが)何とも救いがたい話です。
植草氏の主張は常に一貫していますが、今回は業を業を煮やしてか、「政治資金犯罪を刑事司法当局が厳正に取り締まることを明文化することが必要」と述べています。「政治は国民のレベルに応じて行われる(要旨)」のであれば、議員のレベルを鑑みて必要なことに思われます。
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まずは政策活動費の全面廃止
植草一秀の「知られざる真実」 2024年5月17日
今国会の最重要議題は政治資金規正法改正。昨年秋に問題が表面化して半年以上の時間が経過した。
国会では裏金議員を政倫審に呼ぶことが繰り返されたが、政倫審に裏金議員を呼んでもほとんど意味がない。政倫審ではウソを証言しても罪に問われず、都合の悪いことは知らぬ存ぜぬ、記憶にないと言い逃れできてしまう。問題が拡大するなかで予算審議が行われた。
野党に本気で問題を解決する気があるなら、予算審議で核心を衝く必要があった。
最終的に焦点になるのは政治資金規正法改正。
政治資金規正法改正の具体案について、与党の確約を取り付けるべきだった。
与党が真摯な対応を示さぬなら予算審議に応じないとの強い姿勢を示すべきだった。
野党の主張に理があるわけだから、与党が誠実な姿勢を示さずに予算審議が進まず、予算成立が遅れれば、批判は与党に向かう。
この時点で「政治とカネ」問題の核心に踏み込むべきだった。
本ブログ・メルマガでこのことを繰り返し主張した。
しかし、野党第一党の立憲民主党は何もしなかった。本会議で長い時間をかけて演説をしたところで成果を得ることなどできないことは自明だった。
立憲民主党は予算の年度内成立に全面協力した。
このことから、実は、野党の側も抜本法改正を望んでいないとの疑いが生じる。
最大の問題は政策活動費。
二階俊博元自民党幹事長は幹事長時代の5年間に47億円もの政策活動費を受け取っていた。
政治資金規正法第21条の2の2項は、政党が政治家個人に対する寄附を容認している。
この条文によって50億円近い政治資金が自民党幹事長に寄附され、その政治資金が何にどのように使われたのかが一切分からない。これが最大の「裏金」問題。
2022年の政治資金収支報告書によると自民党は幹部15人に計14億1630万円の政策活動費を支出している。最多は茂木敏充幹事長に対する9億7150万円。
22年の参院選公示前後に同氏には1億3000万円が渡されている。
政治資金の流れを透明にする。政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治資金の収支を公開し、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的に政治資金規正法が制定されている。
年間10億円もの資金の収支が闇に葬られていること自体が政治資金規正法の形骸化そのもの。21条の2の2項削除、すなわち、政策活動費の廃止が法改正の出発点に位置付けられるべきだ。
加えて重要になるのが連座制の適用。とはいえ、政治資金犯罪を警察・検察が取り締まらないのではお話にならない。
自民党裏金犯罪事件では警察と検察が巨大犯罪のほんの一部しか摘発しなかった。この状態を放置したままでは連座制を導入しても意味がない。
法規制が有効に機能するためには警察・検察当局の厳正な対応が必要不可欠になる。
政治資金犯罪を刑事司法当局が厳正に取り締まることを明文化することが必要。
さらに、議員に総括収支報告の義務を課すことも必要。
企業団体献金を全面禁止し、併せて政治資金パーティーを全面禁止することも必要不可欠だ。
ところが、野党が結束して法改正に取り組む姿勢を示さない。
自民党はほとんど内容のない法改正案を提出。会期末までに実効性のある法改正が実現する見通しは存在しない。
政策活動費の一部は野党のために使われているとの見方がある。
このために、野党も同じ穴のムジナで、抜本法改正を真剣に実現しようと考えていないことが強く疑われている。
今次通常国会で政治資金規正法抜本改正が実現しない場合、批判の矛先は与党だけでなく野党にも向けられることになる。
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「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。
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2024年5月18日土曜日
まずは政策活動費の全面廃止(植草一秀氏)
沖縄 本土復帰52年 自衛隊基地 面積5倍 米軍専用 依然7割集中
沖縄の本土復帰から15日で52年を迎えました。この間沖縄県内の自衛隊基地の面積は復帰時(1972年)から約4・9倍になりました。沖縄の基地負担は「軽減」どころか、質・量ともに増大しています。
米軍専用基地の面積は依然として全国の70・3%が沖縄に集中していて、実質的に軽減はされませんでした。
また23年の沖縄の自衛官数は約8900人で、記録が残っている1985年から約1・5倍に増加しました。米軍人・軍属・家族の数は2011年以降公表していませんが、おおむね5万人とみられています。
政府は今後も、自衛隊の人員、施設の強化を狙っていて、26年度までに陸上自衛隊員を現行の2500人から3000人規模へ増員し訓練場の新設も狙っています。
沖縄。本土復帰直前に屋良朝苗氏がまとめた「復帰措置に関する建議書」には、「県民は基地のない平和の島としての復帰を強く望んでおります」とつづられていましたが、日米両政府はその願いに背を向け続け、今なお米軍専用基地の7割が沖縄に集中。住宅地でのオスプレイ飛行やパラシュート降下訓練の強行、米軍関係者による事件・事故、有機フッ素化合物PFASによる環境汚染など、米軍の横暴が野放しにされています。
さらに名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐっては沖縄県知事の権限を奪う「代執行」で工事を強行し、米軍のために地方自治と民主主義を踏みにじっているのが現実です。
しんぶん赤旗が報じました。
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沖縄 本土復帰きょう52年 自衛隊基地 面積5倍 米軍専用 依然7割集中
しんぶん赤旗 2024年5月15日
沖縄の本土復帰から15日で52年を迎えます。2023年の沖縄県内の自衛隊基地の面積が811ヘクタールと前年比で28ヘクタール増加し、復帰時の1972年から約4・9倍になったことが分かりました。米軍基地と自衛隊基地の面積を単純合計した総面積は1万9265ヘクタールとなり、5年前よりも増えています。
政府はこの間、与那国、石垣、宮古島などの自衛隊基地新設や、県内各地で地対艦ミサイル部隊を配備。大規模な日米共同訓練も行われ、沖縄の基地負担は「軽減」どころか、質・量ともに増大しています。
米軍専用基地の面積は1万8666ヘクタールで、依然として全国の70・3%の米軍基地が沖縄に集中。2016年に米軍北部訓練場の「過半」返還が行われましたが、大半は米軍が使用していない遊休地で、実質的な負担軽減になっていません。
また、23年の沖縄の自衛官数は約8900人で、前年比で約700人増となりました。記録が残っている1985年から約1・5倍に増加しました。米軍人・軍属・家族の数について、米軍は2011年を最後に公表していませんが、おおむね5万人とみられています。
政府は今後も、自衛隊の人員、施設の強化を狙っています。26年度までに陸上自衛隊第15旅団(那覇市)を師団に改編し、現行の2500人から3000人規模へ増員。訓練場新設も狙っており、保革を超えた住民の反対の声を受け、うるま市での用地取得は断念しましたが、県内の別の場所での新設を検討しています。
「基地なき島」遠く 県民の願いに背 進む要塞化
沖縄戦で県民の4人に1人が犠牲になり、戦後は“銃剣とブルドーザー”による土地強奪など過酷な米軍統治下に置かれた沖縄。本土復帰直前の1971年11月、初の「琉球政府」公選主席となった屋良朝苗氏がまとめた「復帰措置に関する建議書」には、「県民は…従来通りの基地の島としてではなく、基地のない平和の島としての復帰を強く望んでおります」とつづられていました。
米の横暴野放し
しかし、日米両政府はその願いに背を向け続けてきました。今なお米軍専用基地の7割が沖縄に集中。住宅地でのオスプレイ飛行やパラシュート降下訓練の強行、米軍関係者による事件・事故、有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)による環境汚染など、米軍の横暴が野放しにされています。
さらに政府は、名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、沖縄県知事の権限を奪う「代執行」で工事を強行。米軍のために地方自治と民主主義を踏みにじっています。
米軍基地に加え、自衛隊基地の増強が加速しています。与那国、石垣、宮古島などの先島諸島で自衛隊基地を開設。沖縄本島の勝連分屯地(うるま市)にも地対艦ミサイル部隊を配備しています。
離島での作戦を想定した大規模な日米共同訓練も本格化しており、今年3月には「アイアン・フィスト24」を、2023年10月には「レゾリュート・ドラゴン23」を実施するなど、日米一体化も進んでいます。
今月17日には、エマニュエル駐日米大使が与那国島と石垣島を訪れ、自衛隊施設などを視察する予定です。米軍は「人員輸送」を名目に与那国・新石垣両空港の利用を県に申請。沖縄の空港、港湾の軍事利用とともに、先島諸島の自衛隊基地の米軍利用を加速させる狙いがあるとみられます。
在沖米海兵隊は離島に臨時の戦闘拠点を設け、中国をけん制する「遠征前進基地作戦」(EABO)の具体化を進めており、先島諸島の自衛隊基地を米中戦争の最前線拠点にする狙いです。
県議選で審判を
前出の屋良建議書は、「戦争につながる」として自衛隊基地の配備にも反対していました。「自衛隊の沖縄配備は、海外諸国を刺激し、基地にまつわる不安は増大こそすれ軽減することはないであろう」と強調。半世紀前の懸念が現実となっています。
基地は暮らし破壊の根源でもあります。米軍による占領は本土と沖縄の経済格差を生み出し、基地の存在は沖縄経済の阻害要因になってきました。全国平均の70%にとどまる県民所得や、全国平均の2倍の子どもの貧困率などの問題の背景にも、基地に由来するゆがんだ構造があります。そこに物価高騰が直撃し、県民生活はさらに困難に直面しています。
県民が願う「基地のない平和の島」。その実現を阻んでいるのが自公政権です。玉城デニー知事が復帰50年を機にまとめた「平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書」で、辺野古新基地建設断念や日米地位協定の改定などを求めましたが、岸田文雄政権は背を向けています。沖縄県議選(6月7日告示、16日投票)は、自公政治に審判を下す絶好の機会です。
ガザ 76年前故郷奪われ いままた住まい追われる 飢えと渇き
5月15日は1948年のイスラエル建国記念日の翌日に当たるもので、パレスチナ人に連帯する人たちにとって、彼らが難民となった「ナクバ(=大災厄)を想起する日」でした。
この前後にパレスチナの200以上の村が破壊され75万人が故郷を追われました。
その人たちとその子孫が所謂「パレスチナ難民」で現在約590万人にのぼります。
ガザでは人口約230万人のうち約170万人が難民です。
米国はイスラエルへの武器・弾薬の供与を止めようとはせずに、正気の沙汰とは思えないイスラエルの凶行・虐殺はいまも続いています。
西側がこれまで振りかざしてきた「正義」とは一体何だったのでしょうか。それとも正義とは元々、不法、不条理、不可解、没論理の謂いだったのでしょうか。
同様に、これまで誇らしく「米国と価値観を共有している」などと口にして来た日本の政治家には何の動揺もないのでしょうか。
しんぶん赤旗の9つの記事を紹介します。
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ナクバ 76年前故郷奪われ ガザ また住まい追われる
攻撃はるかに残忍 飢えと渇き
しんぶん赤旗 2024年5月17日
【カイロ=秋山豊】パレスチナは15日、1948年のイスラエル建国で約75万人が難民となったナクバ(大災厄)を想起する日を迎えました。イスラエル領となった村の出身で現在ガザに暮らすファティマさん(87)は、今回のイスラエルの侵攻でまたも住まいを追われ、家族と繰り返し退避を強いられています。ユダヤ人による攻撃から逃れた76年前の記憶と今を重ねています。
(ナクバとパレスチナ難民)1948年のイスラエル建国と前後して、200以上の村
が破壊され約75万人のパレスチナ人が故郷と家を失いました。パレスチナではこ
れを「ナクバ(大災厄)」と呼んでいます。この時、故郷を追われた人々とその子
孫がパレスチナ難民で現在、約590万人にのぼります。このうち150万人以上
がヨルダン川西岸、東エルサレム、ガザ、ヨルダン、レバノン、シリアの難民キャ
ンプに暮らしています。ガザでは人口約230万人のうち約170万人が難民。国
連総会は48年、パレスチナ難民の故郷への帰還権を認める決議194を採択しま
したが、イスラエルは帰還を拒否しています。
パレスチナ難民のファティマさん(左)と孫(ファティマさんの家族提供)
ファティマさんは14日、本紙の電話取材に応じ、「私は11歳でユダヤ人の部隊に故郷の村を追われ、おいを背負って逃げた。今はガザで息子と孫に背負われ、バスに乗って逃げている」と話しました。
前日に、イスラエル軍が空と地上から攻撃を強めている南部ラファから、中部デイルバラに逃れたばかりです。ラファに退避する前は、やはり激しい攻撃にさらされてきた北部のジャバリヤ難民キャンプに暮らしていました。
家と広い農地が
ファティマさんの故郷は、北部ガザ市から約20キロメートル北東にあった村でした。家と広い農地があり、野菜や果物を植えながら両親やきょうだいたちと暮らしていました。
村での幸せな生活は1948年、ユダヤ人部隊の襲撃で破壊されました。彼らは農民を殺し、子どもたちの命を奪いました。ファティマさんの家族も犠牲になりました。
ファティマさんは当時、暗くてほこりっぽい通りをはだしのまま逃げました。爆撃される恐怖のなか、ガザ北部のジャバリヤにたどり着くまで複数の村と都市を逃げ回りました。
イスラエル軍が現在ガザで行っている攻撃について、ファティマさんは、はるかに残忍だと語ります。「今回ほどの攻撃は経験がない。娘の夫と彼の父親も殺された。銃殺された親族もいる。近所の住民は空爆で大勢殺された。子どもを含め一家を全滅させる攻撃も行われている」と話しました。
「飢えと渇きもより深刻だ。76年前、私たちは逃げる途中で畑の野菜を採って食べ、人びとと食料を分けあって飢えをしのいだ」と言います。現在のガザはイスラエルによる封鎖で水も食料も絶対的に不足し、国連は北部で本格的な飢饉(ききん)が起きていると警告しています。子どもの栄養失調が広がっています。
移住強制は屈辱
ファティマさんは「手放すことを強制された故郷に戻ることを私は待ち望んできた。しかしガザでもイスラエルに移住を強制されている。屈辱的で大きな損害だ。ジャバリヤの自宅に家族と今すぐ戻りたい」と語りました。
(カイロ=秋山豊)
虐殺私たちが止める ナクバデー 新宿でコール
しんぶん赤旗 2024年5月17日
「ラファ、ラファに手を出すな」「フリー、フリー パレスタイン」とコールする参加者たち=15日、東京・新宿駅前
家を追われたパレスチナ人の帰還の権利を象徴する「鍵」を掲げる参加者たち=15日、東京・新宿駅前
「フリー、フリー、ガザ」「ラファ、ラファ、ラファに手を出すな」―新宿駅前で15日夜、小雨が降る中、大きなコールが響きました。
イスラエル建国にともない、1948年、75万人以上のパレスチナ人が故郷を追われ、難民となった「ナクバ」(大災厄、大惨事)の日とされる同日、イスラエルのパレスチナにたいする虐殺に抗議するアクションが日本各地でありました。夜の新宿駅前には、家を追われたパレスチナ人の帰還の権利を象徴する「鍵」やパレスチナの旗、「パレスチナ解放」「ストップジェノサイド」などと書かれたプラカードを掲げる人たちであふれました。
パレスチナのガザ地区出身のハニンさんは「故郷への思いは引き継がれている」「故郷に戻る夢は力強いものになっている」と訴えました。
ラッパー(⇒ラップ音楽奏者)で母が日本人、父がパレスチナ人のダニー・ジンさんがマイクを握りました。イスラエルによるジェノサイドを「次の世代に残してはいけない。この世代で終わらせたい」「平和のパレスチナに行きたい」と訴え、思いをラップにのせて歌いました。
傘もささずに参加していた女性は「人が人を殺すなんて、許せない」と怒りにふるえていました。昨年12月の渋谷でのデモを見かけて、初めてガザの侵略を知ったと言います。「知ってしまったら、行動しないではいられない」とリモートワークのあと、かけつけました。
35歳の女性は2010年に「中東のことを知りたい」とエルサレム近郊の町を観光で訪れたと言います。「そのとき、パレスチナ人と歩いていると石を投げられた」といいます。「虐殺のニュースを見ると本当につらい。微力だけど無力じゃない」とコールに応じて声をあげていました。
イスラエル軍 北も南も攻撃 逃げ惑うガザ住民
「行く当てない」 各地で死傷者
しんぶん赤旗 2024年5月15日
【カイロ=秋山豊】イスラエル軍は13日、パレスチナ・ガザ地区の北部でも南部でも攻撃を強めました。どこにも安全な場所のないガザ地区で、市民は生き延びるため逃げまどっています。
最南部ラファから中部デイルバラに逃れてきたバセルさんは13日、本紙の電話取材に、「トラックの運転手に荷物を降ろしてもらったが、ここから行く当てがない。私は妻と子どもたちと、ごみのコンテナが置かれた路上で昼夜を過ごしている。幾度も移住を強いられてもう疲れた」と話しました。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は、ラファからこれまでに約36万人が逃れたと述べています。
ロイター通信によると、イスラエル軍はラファ東部に対し、空と地上から攻撃を強めています。住宅が空爆されて死者が出ています。
ラファや北部ジャバリヤではイスラエル軍とハマスの戦闘員の間で激しい戦闘が起きています。ガザ保健当局は13日、イスラ工ル軍が住民57人を殺害し、82人を負傷させたと発表しました。
北部ジャバリヤ難民キンプの中心部にはイスラ工ル軍の戦車の砲弾が着弾しました。保健当局によると一晩の空爆で20人の遺体が収容されました。
ジャバリヤに暮らすアエードさんは「おそろしい状況だ。イスラエル軍は救急車も狙っている。多くの人が殺されたが、遺体が放置され、まだ通りにある。イスラエル軍が虐殺しているため、私たちは遺体を収容することができない」と話しました。
イスラエル軍は中部にあるヌセイラット難民キャンプの住宅も空爆し、少なくとも8人を殺害したと伝えられています。
国連職員1人死亡 現地採用以外で初 ラファ病院移動中
しんぶん赤旗 2024年5月15日
【カイロ=時事】国連は13日、ガザ地区で同日、国連職員を乗せた車両が攻撃気受け、職員1人が死亡、1人が負傷したと発表しました。死亡したのは現地採用ではない国際職員。インドメディアは、インド国籍者と伝えています。昨年10月の衝突以降、国際職員が犠牲になるのは初めてといいます。
発表によると、死亡したのは国連安全保安局の職員。ガザ最南部ラファの病院への移動中でした。職員の国籍は公表されておらず、イスラエルとハマスのどちらが関与したかも明らかではありません。グテレス国運事務総長は「人道支援従事者は保護されなければならない」と強調し、即時停戦を求めました。
ラファ奥深くまでイスラエル軍戦車
しんぶん赤旗 2024年5月16日
イスラエル車は14日、パレスチナ・ガザ地区最南部ラファの奥まで戦車を進め、住宅地域に到達させました。ロイター通信が伝えました。
住民によると、イスラエル軍が家々を砲撃し、煙が上がるのが見え、爆発音が聞こえました。イスラエル軍報道官は戦闘員100人を殺したなどとしています。
イスラエルはラファ住民に退避を命じてきました。国連パレスチナ難民救済機関(UNRWA)は、6日以降、約45万人が避難したと見積もっています。避難者は地中海に面した、トイレもないマワシ地域などに移っています。
ここ数日、北部も含めガザ各地で戦闘が激化しています。ガザ保健当局の14日の発表では、この24時間に82人が殺されました。一日の死者数としては、この数週間で最多です。
中東カタールのテレビ局アルジャジーラなどによると、イスラエル軍は13日夜、中部ヌセイラトの難民キャンプを空爆し、子どもを含む少なくとも40人を殺害しました。ラファから避難した家族がいた3階建ての建物が跡形もなく壊れたといいます。
イスラエル軍 人道支援攻撃続ける 国際人権団体「戦争犯罪中止を」
しんぶん赤旗 2024年5月16日
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は14日、昨年10月からパレスチナのガザ地区を軍事侵攻しているイスラエル軍が行った人道支援団体に対する8件の攻撃について報告書を発表しました。イスラエルの行為は国際人道法違反の戦争犯罪だと指摘し、攻撃の即時中止を求めています。
HRWはエジプトの首都カイロ、シナイ半島北部、エジプトとガザ地区の境界近くを訪問。ガザ地区で人道支援に携わる10以上の人道支援団体や国連機関の職員に聞き取り調査を行いました。 報告書が例示した8件の攻撃(表)では、要員やその家族30人以上が死傷しました。人道支援団体はイスラエル軍側に要員や民間人が郷動していることを伝えていましたが、いずれの団体のケースでも事前通告なしに攻撃されたと報告書は指摘しています。
◆イスラエル軍によるガザでの人道支援団体への攻撃
【2023年】 |
昨年11月18日にはガザ北部リマルで、病院付近の建物から137人の民間人を避難させていた「国境なき医師団」(MSF)の車両がイスラエル筆に攻撃されました。避難ルートについてはイスラエル軍と情躯を共有し、移動中も同軍と連絡を取っていました。MSF職員は「イスラエル当局が導入した調整措置がいかに役に泣たないかを示している」と怒りをあらわにしています。
このほか国連と明記した車両や人道支援団体の旗を立てた建物が標的にされたり、周囲に軍事的な標的が存在しない建物が攻撃されたりしています。
報告書は、事前通告なしに攻撃する方法は「国際人道法の順守を巡るイスラエルの姿勢や能力について重大な疑問を抱かせるものだ」と指摘しました。
また民間人と戦闘員を区別せず無差別に攻撃することは戦時国際法に違反する戦争犯罪だと批判。「イスラエル軍は人道支援団体への攻撃を直ちに中止し、これらの犯罪について責任を問われるべきだ」と強調しました。
停戦と人質解放を 国連総長が強調
しんぶん赤旗 2024年5月16日
イスラエルがパレスチナのガザ地区最南部ラファで軍事攻撃を強めるなか、グテレス国連事務総長は14日、即時の人道的停戦とすべての人質の解放が緊急に求められていると改めて強調しました。報道官を通じて声明を発表しました。
グテレス氏は、イスラエルによる攻撃の激化はガザヘの人道支援をいっそう妨げ、すでに深刻なガザでの状況をより悪化させていると指摘。「ラファだけでなくガザのどこでも民間人は常に尊重され保護されなけ・ればならない」と述べ、「ガザの人びとはいま、どこにも安全な場所がない」と訴えました。
グテレス氏は、ラファ検問所をただちに開放するよう求め、「ガザのどこでも人道支援が届くようにしなければならない」と述べました。
米少佐、抗議の辞任 イスラエル擁護に「罪悪感」
しんぶん赤旗 2024年5月15日
米バイデン政権のイスラエル擁護政策に抗議し、米国防総省の情報機関、米国防情報局(DIA)の少佐が、同局を辞任していたことが13日、明らかになりました。米メディアによると、米軍の士官経験者で米国のイスラエル支持を理由に辞任するのは初めてとみられます。
辞任したのはDIAで中東・アフリカ地域を担当していた少佐のハリソン・マン氏。イスラエルがガザ攻撃を始めてしぱらくした11月には、自らの除隊を申し出ていたといいます。同氏は、13日に同僚への手紙を公表し、辞任の理由を説明。米国政府が6ヵ月間、イスラエル政府を無条件に支持したことによって「多くの無事(むこ)のパレスチナ人の殺害と飢餓がもたらされた」と指摘。ガザからのおぞましい映像と、自らの職責の「つながりを無視できなかった」とし、「これは大きな恥と罪悪感をもたらした」と述べています。
手紙で同氏は、米政府の政策を「擁護することが難しくなった」とし、その判断基準が「子どもたちの大量飢餓をもたらす政策を推進しているかどうか」だったと明かしました。
マン氏は、自らについて「ヨーロッパのユダヤ人の子孫だ」「民族浄化に関わる話題に関しては特に厳しい道徳環境で育てられた」と述べ、祖父はユダヤ人大虐殺(ホロコースト)への批判からドイツ製品を決して購入しなかったと紹介。「遅ればせながら、この戦争から離脱した自分を祖父は誇りに思うことを望む」と述べました。
ユダヤ人職員辞職 米内務省 イスラエル支援抗議
しんぶん赤旗 2024年5月17日
【ワシントン=石黒みずほ】パレスチナ自治区ガザを侵攻するイスラエルヘの支援を続けるバイデン政権に抗議し、米内務省のユダヤ人職員が15日、辞職しました。米メディアによると、米国のイスラエル支持を理由とした政府職員による辞職が相次ぐ中、ユダヤ人職員は初めてです。
辞職したのは、バイデン大統領の任命で同省高官の特別補佐官を務めていたリリー・グリーンバーグ・コール氏。出身校のカリフォルニア大学バークレー校では、親イスラエル団体「米国イスラエル公共問題委員会」(AIPAC)の関連団体の会長を務めるなど、イスラエルを支持する活動にも携わってきました。
同氏はハーランド内務長官に宛てた書簡で、バイデン政権は「イスラエルによるガザでのジュノサイド(集団殺害)」を支援し続けているとし、「良心に顧みてこの政権を代表し続けることはできない」と表明。自身の家族が欧州のユダヤ人迫害から逃れて来国に来たことにふれ、「私たちはユダヤの伝続から暴力や抑圧にあう人々のために立ち上がり、不正義について権力者をただす義務があることを学んだ」と述べました。
また、バイデン大統領が永続する停戦やイスラエルへの武器輸出を停止する権限を行使してこなかっただけでなく、国運安保理でイスラエルの責任を追及する決継に拒否権を行使し、ラエルの行動を可能正当化してきた」と非難Lました。