なぜなら12年版の改憲草案を棚上げした今の自民党が、たたき台の改憲案をまとめるのは至難の業だからです。
何も「提案型」がベターということではありません。
民進党はそこのところをよく考えるべきだという指摘です
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改憲案を棚上げした安倍自民党と、それでも撤回を求める野党
天木直人 2016年10月19日
自民党憲法改正推進本部の保岡興治本部長が、きのう10月18日に開かれた会合で、2012年の自民党改憲草案について衆参の憲法審査会に「そのまま提案することは考えていない」とする「本部長方針」を示したという(10月19日東京新聞ほか)
私の予言した通りの展開だ。
これは事実上の2012年自民党改憲草案の棚上げであり、事実上の撤回だ。
あんな時代錯誤の改憲案をもとに議論を始めればボロがでるだけであるからだ。
さすがの安倍自民党もようやくそれに気づいたということだ。
ところが野党は、政局がらみで、それでも不十分だ、全面撤回しろと求めている。
あの改正案は間違いだったと認めろと要求している。
愚かだ。
そこまで安倍自民党を追いつめてどうする。
そんな要求を続けていると、追い込まれた安倍自民党は、野党に対案を示せと言ってくるに違いない。
そうすれば野党はひとたまりもない。
共産党と民進党は憲法観がまるで違うし、民進党の中でも、改正案はまとまらない。
自民党が最終的な改憲案を提示できないうちは議論をはじめても意味はない、議論は停止すると、野党は突き放すだけでいいのだ。
それとも、野党もまた憲法審査会の議論をすすめて、この機会に改憲したいと思っているとでもいうのか。
与党も野党も、今の政治家にまともな憲法改正の議論はできない。
こんな政治家たちに改憲論議をさせてはいけないのである(了)