ジャパンライフの被害は、被害者約6800人、被害総額2000億円(2400億円とも)に及びますが、当時不正な商法を指摘され窮地に陥っていた山口隆祥元会長は、安部首相から15年2月に「桜を見る会」の招待状を送られたことを目いっぱい「信用創出」に利用し“最後の荒稼ぎ”(それ以後被害事例が急増)をしました。
国会でその責任を問われた安倍首相は、山口氏との関係について「大勢の中の一人として会っていた可能性までは否定しないが、一対一で個人的に会ったことはない」と答弁しています。
しかしその後、首相の父親の安倍晋太郎氏は山口氏ときわめて親しく1984年9月当時外相として訪米した際に、山口氏が息子である安倍晋三・大臣秘書(当時)と共に同行していたことが明らかになりました。この点でも安倍首相はウソを吐(つ)いた訳です。
安倍政権の罪はそれにとどまりません。安倍政権はそんな希代の悪徳業者を取り締まるどころか手を貸していました。
消費者庁は13年ごろからジャパンライフの悪質性を把握し、14年5月には「立ち入り検査」の方針を固めていたのですが、7月になぜか担当の取引対策課の課長が交代し、経産省から回ってきた新課長によって立入検査は中止となりました。最終的に行政処分が行われたのは“最後の荒稼ぎ”が終わった16年12月でした。
14年の時点で予定通り「立ち入り検査」をしていれば、被害拡大が防げたことは言うまでもありません。
日刊ゲンダイが「いずれ、被害者が安倍政権に国家賠償を求めるのは必至」とする記事を出しました。
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安倍政権に国家賠償も…「桜」がジャパンライフ被害を加速
日刊ゲンダイ 2019/12/07
悪質なマルチ業者「ジャパンライフ」に対し、安倍政権が“手心”を加えていたことが発覚し、被害者から批判が噴出している。本来、取り締まるのが政府の役割なのにジャパンライフの元会長を「桜を見る会」に招待し、政府自ら“お墨付き”を与えていたのだから当然である。いずれ、被害者が安倍政権に国家賠償を求めるのは必至だ。
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ジャパンライフによる被害は約7000人、総額2000億円に上る。その悪質性は半端じゃない。3・11の被災者を狙い撃ちにしていた。国民生活センターによると、2009年からの10年間の相談件数は福島県が最多。店も6店舗と全国最多だった。東日本大震災の後、2店舗から6店舗に拡大している。原発事故の賠償金を狙っていたのは明らかだ。
そんな希代の悪徳業者を、安倍政権は取り締まるどころか手を貸していた。
消費者庁は13年ごろからジャパンライフの悪質性を把握し、14年5月には「立ち入り検査」の方針を固めていた。ところが、わずか2カ月後の7月、ヤル気を見せていた取引対策課の課長がなぜか交代し、検査は中止。同7月31日付の職員らによる新任課長への説明文書には「要回収」のハンコが押され、〈本件の特異性〉〈政務三役へ上げる必要がある〉〈政治的背景による余波を懸念〉と“政治案件”を示す記載があった。
この時、文書注意で済ませたため、被害が拡大してしまった。もし、この時点で予定通り「立ち入り検査」をしていれば、被害拡大は防げたはずだ。
ちなみに、15年夏まで消費者庁の取引対策課に在籍し、ジャパンライフを担当していた課長補佐は、同年7月にジャパンライフに天下りしている。
安倍首相の罪も重い。15年2月に「桜を見る会」の招待状を元会長(当時は会長)に送った後、被害事例が急増しているのだ。ジャパンライフが、招待状を目いっぱい「信用創出」に利用し“最後の荒稼ぎ”をしたのは明らかである。結局、初めての行政処分が行われたのは16年12月だった。
この先、被害を拡大させる要因になった安倍政権に対して、被害者が損害賠償を求める可能性が高い。
■大和都市管財事件では大蔵省に15億円命じる
実際、ウソの説明で約7万人から約4200億円を集め、11年に破綻した「安愚楽牧場」の事件では、国の不作為が被害を拡大させたとして国家賠償訴訟が起こされている。さらに、「国が保証しているので安全」などとうたい、違法な抵当証券を販売していた「大和都市管財」の巨額詐欺事件は、旧大蔵省が訴えられて、08年に大阪高裁から約15億円の国家賠償を命じられ、上告を断念している。
ジャーナリストの横田一氏が言う。
「消費者庁の不可解な対応の遅れと、公的行事である『桜を見る会』への元会長の招待が、被害を拡大させたことは、客観的に明らかです。ジャパンライフの被害者は、国家賠償訴訟を起こして、国の責任を追及するのではないか。なぜ、消費者庁は手心を加え、元会長は『桜を見る会』に招待されたのか――。司法の場での真相究明を期待したい」
大和都市管財事件の旧大蔵省より、今回の方がよっぽどえげつない。もう逃げられない。