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2024年5月18日土曜日

沖縄 本土復帰52年 自衛隊基地 面積5倍 米軍専用 依然7割集中

 沖縄の本土復帰から15日で52年を迎えました。この間沖縄県内の自衛隊基地の面積復帰時1972年)から約49倍になりました。沖縄の基地負担は「軽減」どころか、質・量ともに増大しています。
 米軍専用基地の面積は依然として全国の70・3%が沖縄に集中していて、実質的に軽減はされませんでした。
 また23年の沖縄の自衛官数は約8900人で、記録が残っている1985年から約15倍に増加しました。米軍人・軍属・家族の数2011以降公表していませんが、おおむね5万人とみられています。
 政府は今後も、自衛隊の人員、施設の強化を狙っていて、26年度までに陸上自衛隊員を現行の2500人から3000人規模へ増員訓練場新設も狙っています。

 沖縄。本土復帰直前屋良朝苗氏がまとめた「復帰措置に関する建議書」には、「県民は基地のない平和の島としての復帰を強く望んでおります」とつづられていましたが、日米両政府はその願いに背を向け続け今なお米軍専用基地の7割が沖縄に集中。住宅地でのオスプレイ飛行やパラシュート降下訓練の強行、米軍関係者による事件・事故、有機フッ素化合物PFASによる環境汚染など、米軍の横暴が野放しにされています。
 さらに名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐっては沖縄県知事の権限を奪う「代執行」で工事を強行し、米軍のために地方自治と民主主義を踏みにじっているのが現実です
 しんぶん赤旗が報じました。
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沖縄 本土復帰きょう52 自衛隊基地 面積5倍 米軍専用 依然7割集中
                       しんぶん赤旗 2024年5月15日






 沖縄の本土復帰から15日で52年を迎えます。2023年の沖縄県内の自衛隊基地の面積が811ヘクタールと前年比で28ヘクタール増加し、復帰時の1972年から約4・9倍になったことが分かりました。米軍基地と自衛隊基地の面積を単純合計した総面積は1万9265ヘクタールとなり、5年前よりも増えています。
 政府はこの間、与那国、石垣、宮古島などの自衛隊基地新設や、県内各地で地対艦ミサイル部隊を配備。大規模な日米共同訓練も行われ、沖縄の基地負担は「軽減」どころか、質・量ともに増大しています。
 米軍専用基地の面積は1万8666ヘクタールで、依然として全国の70・3%の米軍基地が沖縄に集中。2016年に米軍北部訓練場の「過半」返還が行われましたが、大半は米軍が使用していない遊休地で、実質的な負担軽減になっていません。

 また、23年の沖縄の自衛官数は約8900人で、前年比で約700人増となりました。記録が残っている1985年から約1・5倍に増加しました。米軍人・軍属・家族の数について、米軍は2011年を最後に公表していませんが、おおむね5万人とみられています。
 政府は今後も、自衛隊の人員、施設の強化を狙っています。26年度までに陸上自衛隊第15旅団(那覇市)を師団に改編し、現行の2500人から3000人規模へ増員。訓練場新設も狙っており、保革を超えた住民の反対の声を受け、うるま市での用地取得は断念しましたが、県内の別の場所での新設を検討しています。

「基地なき島」遠く 県民の願いに背 進む要塞化
 沖縄戦で県民の4人に1人が犠牲になり、戦後は“銃剣とブルドーザー”による土地強奪など過酷な米軍統治下に置かれた沖縄。本土復帰直前の1971年11月、初の「琉球政府」公選主席となった屋良朝苗氏がまとめた「復帰措置に関する建議書」には、「県民は…従来通りの基地の島としてではなく、基地のない平和の島としての復帰を強く望んでおります」とつづられていました。

米の横暴野放し
 しかし、日米両政府はその願いに背を向け続けてきました。今なお米軍専用基地の7割が沖縄に集中。住宅地でのオスプレイ飛行やパラシュート降下訓練の強行、米軍関係者による事件・事故、有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)による環境汚染など、米軍の横暴が野放しにされています。
 さらに政府は、名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、沖縄県知事の権限を奪う「代執行」で工事を強行。米軍のために地方自治と民主主義を踏みにじっています。
 米軍基地に加え、自衛隊基地の増強が加速しています。与那国、石垣、宮古島などの先島諸島で自衛隊基地を開設。沖縄本島の勝連分屯地(うるま市)にも地対艦ミサイル部隊を配備しています。
 離島での作戦を想定した大規模な日米共同訓練も本格化しており、今年3月には「アイアン・フィスト24」を、2023年10月には「レゾリュート・ドラゴン23」を実施するなど、日米一体化も進んでいます。

 今月17日には、エマニュエル駐日米大使が与那国島と石垣島を訪れ、自衛隊施設などを視察する予定です。米軍は「人員輸送」を名目に与那国・新石垣両空港の利用を県に申請。沖縄の空港、港湾の軍事利用とともに、先島諸島の自衛隊基地の米軍利用を加速させる狙いがあるとみられます。
 在沖米海兵隊は離島に臨時の戦闘拠点を設け、中国をけん制する「遠征前進基地作戦」(EABO)の具体化を進めており、先島諸島の自衛隊基地を米中戦争の最前線拠点にする狙いです。

県議選で審判を





 前出の屋良建議書は、「戦争につながる」として自衛隊基地の配備にも反対していました。「自衛隊の沖縄配備は、海外諸国を刺激し、基地にまつわる不安は増大こそすれ軽減することはないであろう」と強調。半世紀前の懸念が現実となっています。

 基地は暮らし破壊の根源でもあります。米軍による占領は本土と沖縄の経済格差を生み出し、基地の存在は沖縄経済の阻害要因になってきました。全国平均の70%にとどまる県民所得や、全国平均の2倍の子どもの貧困率などの問題の背景にも、基地に由来するゆがんだ構造があります。そこに物価高騰が直撃し、県民生活はさらに困難に直面しています。

 県民が願う「基地のない平和の島」。その実現を阻んでいるのが自公政権です。玉城デニー知事が復帰50年を機にまとめた「平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書」で、辺野古新基地建設断念や日米地位協定の改定などを求めましたが、岸田文雄政権は背を向けています。沖縄県議選(6月7日告示、16日投票)は、自公政治に審判を下す絶好の機会です。