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2024年5月29日水曜日

ICJの判決を無視してイスラエル軍がラファの難民を空爆、多数の死傷者

 エスラエルに対し国際司法裁判所(ICJ)が24日にパレスチナ自治区ガザ南部ラファでの軍事攻撃の即時中止を命じる暫定措置を出した後も、イスラエルのラファ攻撃(空爆・砲撃)は止みません。26日にもハマスの2名を殺害するという口実で爆撃しましたが、それによって40名以上のパレスチナ人を殺害され、数百名の負傷者が出ました。

 イスラエルは「精密誘導爆弾使用した云々」と述べていますが、一体誰がそれを信じると思っているのでしょうか。決して口実にはなりません。イスラエルのICJ無視の態度は徹底していますが、それは直ちにジェノサイドの敢行を意味する以上、絶対に許されることではありません。
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ICJの判決を無視してイスラエル軍がラファの難民を空爆、多数の死傷者
                         櫻井ジャーナル 2024.05.28
 イスラエル軍は5月26日、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)がラファで設置した10カ所以上の避難場所を空爆、少なくとも40名が殺害されたと伝えられている
 ラファには100万人とも150万人とも言われる人びとが避難民として生活、イスラエル軍が攻撃すれば大量殺戮と呼べる状況になることは明白だったこともあり、ICJ(国際司法裁判所)は5月24日、イスラエルに対してラファでの軍事作戦を停止するようにという判決を出していた。その判決に挑戦するかのようなイスラエル軍の攻撃だ。
 こうした残虐行為をイスラエルが続けられる理由は「国際社会」と自称するアメリカやイギリスの支援があるからにほかならないが、西側の有力メディアも「国際社会」の宣伝機関としてフル稼働している。その背景は本ブログで繰り返し書いてきたので、今回は割愛する。
 そうした宣伝機関のひとつであるアトランティックに掲載されたグレアム・ウッドの記事に登場する「合法的に殺された子ども」という表現はさすがに批判されている。「合法的に殺された子ども」のことが世界に伝えられることはイスラエルにとって好ましくないので、ジャーナリストがガザへ入ることを規制すべきだとウッドは主張している。確かにイスラエル軍は子どもや女性だけでなく、医療関係者やジャーナリストを攻撃のターゲットにしてきた。
 イスラエル軍によるガザでの大量虐殺について西側の有力メディアは「イスラエル軍とハマスの戦闘の巻き添え」だと主張しているが、実態はガザやヨルダン川西岸からパレスチナ人を一掃することにある。つまり1948年5月に「建国」が宣言されて以来、イスラエルは民族浄化作戦を展開してきたのだ。殺されたくなければ難民としてさまよえというわけである。

 アメリカ軍もイラクへ軍事侵攻した際、「戦闘の巻き添え」と称して非武装の人びとを殺傷している。例えば、2007年7月にバグダッドでアメリカ軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターが地上の一団を銃撃し、ロイターの特派員2名を含む非武装の十数名を殺害している。内部告発を支援する活動をしているWikiLeaksがこの銃撃の様子を撮影した映像を2010年4月に公開、問題になった。
 WikiLeaksへこの情報を渡したのはアメリカ軍のブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングと名乗っている)特技兵。2010年5月に逮捕され、軍事法廷は懲役35年を言い渡された。
 アメリカの司法当局はWikiLeaksの象徴的な存在であるジュリアン・アッサンジを起訴しようと目論む。自分たちにとって都合の悪い情報が明らかにされることを恐れた支配層が見せしめのため、彼に報復しようとしたと言えるだろう。
 アッサンジはロンドンのエクアドル大使館へ逃げ込んだが、2019年4月11日、アメリカの政府機関の要請でロンドンのエクアドル大使館へロンドン警視庁の捜査官が踏み込み、逮捕された。現在、イギリス版グアンタナモ刑務所と言われているベルマーシュ刑務所へ入れられている。

 バラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてウクライナでクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。この時に手先として使ったのがネオ・ナチだが、クーデター体制は国民の支持を得ていたとは言い難く、アメリカ/NATOは8年かけて戦力を増強しなけらばならなかった。そのために利用されたのが「ミンスク合意」だ
 準備が整い、ヤヌコビッチの支持基盤のひとつだったドンバスを攻撃しようと準備していた時、ロシア軍は終結していたウクライナ軍や軍事施設、そして生物兵器の研究開発施設を攻撃、ウクライナ政府はすぐに停戦交渉を開始、ほぼ合意したのだが、それをアメリカやイギリスの政府や議員が壊している。
 そのアメリカやイギリスをはじめとする西側諸国の支配層は2023年の前半までロシア軍に楽勝できると思い込んでいたようだが、ウクライナ軍は崩壊状態だ。アメリカ/NATOはロシアをあまりにも過小評価しすぎていた。ウクライナが勝利することは不可能に近い。そこで始めたのがロシアの戦略核施設への攻撃や長距離ミサイルによるロシア市民に対するテロ的な作戦だ。

 イスラエル軍はガザで苦戦している。非武装の住民を大量虐殺しているものの、ハマスに勝利することはできていない。しかもパレスチナ人はイスラエルの攻撃に耐え、国外へ逃げ出していない。イスラエル政府はパレスチナ人を皆殺しにするつもりのように見える。口先でどのように言おうと、アメリカやイギリスをはじめとする西側諸国はイスラエルによるパレスチナ人虐殺を支えていることは間違いない。