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2025年9月20日土曜日

ガザ市 攻撃拡大/世界は紛争解決の時代 逆行は孤立し衰退する

 しんぶん赤旗に4つの記事が載りました。
 イスラエルによるガザへの地上侵攻は最後の大量虐殺が行われることを予想させます。
 イスラエルのガザ侵攻を支持し傍観してきた西側諸国もここに来てようやく批判の声を上げるようになりました。
 4つのタイトルを下記します。
ガザ市攻撃拡大 イスラエル
世界は紛争解決の時代 逆行は孤立し衰退する - エツィオン・イスラエル元国家安保会議副議長が警告
イスラエル財務相「ガザは不動産の金脈」 市民団体は批判
イスラエルに関税・制裁案 欧州委 ガザ人道危機で圧力強化
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ガザ市攻撃拡大 イスラエル
                       しんぶん赤旗 2025年9月19日
【イスタンブール=時事】イスラエル軍は17日、パレスチナ自治区ガザの中心都市ガザ市で、過去2日間で150ヵ所以上の「テロ関連の標的」を攻撃したと明らかにしました。報道によれば、イスラエルがガザ市でイスラム組織ハマス壊滅に向けて地上作戦を開始した15日以降の死者は100人を超えました。人的被害が拡大する中、軍はガザ市制圧への攻勢を一段と強める構えです。
 イスラエル軍は、人口が密集するガザ市中心部へ進軍を続けているとみられます。中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、ガザ市では大勢の避難民が身を寄せているキャンプが攻撃を受け、17日だけで子どもや女性を含む38人が死亡しました。
 軍報道官17日、SNSで、ガザ市に残る数十万人の住民に対し、「人道地区」があるガザ南部への新たな避難路を設けたと発表。17曰正午(日本時間同日午後6時)から48時間に限った措置だと説明し、市外へ即時退避するよう改めて促しました
 軍の推計では、約100万人とされるガザ市の住民のうち、既に約40万人が避難したとみられます。イスラエルメディアによると、ネタニヤフ首相は16日、「戦争を早期に勝利で終結させるに、市民の避難を加速させる必要がある」と述べ、軍に対応を指示しました。ただ、イスラエルはガザの各地でも攻撃を続けており、住民の安全は約束されていないのが現状です。
 地上侵攻を受け、ガザで拘束されている人質の安否も懸念されています。中東メディアは、ハマス軍事部門の戦闘員らが侵攻に伴い、人質の居場所をガザ市内で分散させたと伝えています。


世界は紛争解決の時代 逆行は孤立し衰退する
エツィオン・イスラエル元国家安保会議副議長が警告
                       しんぶん赤旗 2025年9月19日
【カイロ=米沢博史】イスラエル国家安全保障会議の元副議長で、元外務省政策企画局長のエラン・エツィオン氏は17日、本紙のインタビューに応じ、ネタニヤフ首相のガザ侵攻拡大を厳しく批判しました。世界が紛争解決の時代に入っているにもかかわらず、首相はその流れに逆行し、イスラエルを孤立と衰退に導いていると警告しました。

 エツィオン氏は、ネタニヤフ政権の戦争目的を「パレスチナの占領・併合とパレスチナ人の追放により、政治解決を阻止すること」だと指摘。その背後には「民主主義と法の支配を破壊し、国家体制を戦争に依存する暴力的な専制に変質させる戦略」があると述べました。
 その代償として、兵士や人質の死に加え、国際的孤立、周辺国との和平危機、国家安全保障や政治・経済・社会全般の破壊があるとし、「ネタニヤフ首相がイスラエルを『衝突路線』に乗せた」と批判しました。
 西側主要国とアラブ諸国が支持するパレスチナ和平構想については、▽戦争終結と人質解放 ▽パレスチナ国家樹立によるイスラエルとの平和共存という「2国家解決」 ▽地域安全保障の新たな枠組み創設-の3本柱から成るとしその重要性を強調しました。
 さらに「国際社会は『紛争管理の時代から紛争解決の時代へ』との認識を共有している。この流れに逆行し、紛争を国際化するネタニヤフ政権は、世界の平和と安定への脅威とみなされ、その危険性を阻止する必要性が広く認識されている」と述べ、「国際社会は行動と圧力を強めるだろう」と強調しました。
 エツィオン氏は最後に、「国民は2国家解決、自由と民主主義を選ぶのか、それともパレスチナ併合、恒常的な戦争と衰退に導く専制を選ぶのか。次の選挙には決断の時が来る」と指摘。そのうえで大局的には「ネタニヤフ首相やトランプ米大統領などごく少数を除く世界の圧倒的多数が、われわれを望ましい方向に導いている」との見方を示し、政治変革への期待を表明しました。


イスラエル財務相「ガザは不動産の金脈」 市民団体は批判
                       しんぶん赤旗 2025年9月19日
【カイロ=米沢博史】イスラエルのスモトリッチ財務相は17日、テルアビブで開催された不動産会議で「ガザ地区には、それ自体で元が取れる不動産の金脈がある」と述べ、戦後の分割について米国と協議していると発言しました。
 タイムズ・オブ・イスラエル紙によると、財務相は「われわれはこの戦争に多額を投じた。土地をどの割合で山分けするかを検討する必要がある。破壊は都市再生の第一段階で、あとは建設するだけだ」と語りました。
 この発言に対し、ただちに国内の市民団体から批判の声が上がりました。
 予備役兵士の団体「人質のための兵士たち」は声明で、財務相の発言を「国際法および(占領地住」民の追放を禁じた)第4ジュネーブ条約第49条への露骨な違反」と非難しました。さらに、ガザの破壊を「第一段階」と呼ぶ表現は政府の犯罪的意図と人命軽視を示すものであり、強制退去は戦術的必要性ではなく民族浄化にほかならないと強調。同団体は、この「人道に対する罪」への加担拒否を広げるとの決意を表明するとともに、国際社会に対し、この「恐怖政治」を終わらせる行動を訴えました。
 また、平和団体「スタンディング・トゥゲザー」も同日、声明で財務相の発言を厳しく批判しました。声明は「この政権が入植者エリートと資本家エリートの双方に仕えることが可能であることを示している」と強調。ガザ破壊と生存者の強制追放によって「流された血の代償で富を得る者を生み出す計画だ」と非難しました。


イスラエルに関税・制裁案 欧州委 ガザ人道危機で圧力強化
                       しんぶん赤旗 2025年9月19日
【ブリュッセル=時事」欧州連合(EU)欧州委員会は17日、イスラエルとの包括協定に基づく貿易上の優遇措置を停止し、同国からの輸入品に関税を課す案を明らかにしました。イスラエルの強硬派閣僚らへの制裁案も公表しました。パレスチナ自治区ガザでの人道危機の深刻化や、イスラエルが占領を続けるヨルダン川西岸での入植拡大を受け、イスラエルに対する圧力を強化する必要があると判断しました。
 欧州委によると、今回の提案が実現すれば、昨年のイスラエルからの物品輸入額の4割弱に当たる約58億腎(約1兆円)分新たに関税対象となります。また、ネタニヤフ政権のベングビール国家治安相とスモトリッチ財務相のほか、ヨルダン川西岸での暴力的な入植者を対象とした資産凍結や渡航禁止を提案。イスラム組織ハマスの幹部10も新たに制裁対象に加えました。

 提案の発効にはEU理事会での加盟国による承認が必要となります。フォンデアライエン欧州委員長は声明で「即時停戦、すべての人道支援物資への自由なアクセス、ハマスが拘束している人質全員の解放が必要だ」と強調。一方、カラス外交安全保障上級代表 (外相)は記者会見で「イスラエルを罰するのではなく、ガザの人道状況の改善が目的だ」と説明しました。