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2025年12月11日木曜日

高市首相のごまかしすり替え居直り(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題のブログを出しました。
 84年前に日米開戦にいたった12月8日、「村山談話を継承し発展させる会」が参議院議員会館講堂で緊急記者会見を開催しました。
 会見のテーマは、「高市発言を撤回せよ!台湾有事を口実に日本を中国への先制攻撃・侵略戦争に駆り立てるな!-台湾問題は中国の内政問題だ-」で、植草氏も説明者側として記者会見に出席されました。
 会見の概要は「弁護士ドットコムニュース」や「東京新聞」が報じているとしてそのURLを紹介したうえで、要点をブログで説明しました。文中で「なぜか、東京新聞掲載の写真には私が消えている」と記述しています(はじめの写真の左端の人物が植草氏です)。
 東京新聞がそうした理由は不明ですが、小泉・竹中政権時代に官憲から「植草氏の追い落とし」のための事件を不当にデッチ上られ、結果的にTV界から無視されるに至った事案が思い起こされます。
 併せて次の2つのブログを紹介します。
・「高市首相が東アジアに火をつけたことを受け、中露が軍事的な連携をアピール」(櫻井ジャーナル)
・「日本は火遊びをしている:台湾問題で一線を越えれば痛い代償を払うことになるだろう」(耕助のブログ)
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高市首相のごまかしすり替え居直り
               植草一秀の「知られざる真実」 2025年12月 9日
84年前に日本が真珠湾に奇襲攻撃を実行した日付である12月8日に重要な記者会見が開かれた。
「村山談話を継承し発展させる会」が参議院議員会館講堂で緊急記者会見を開催した。
会見テーマは「高市発言を撤回せよ!台湾有事を口実に日本を中国への先制攻撃・侵略戦争に駆り立てるな!-台湾問題は中国の内政問題だ-

11月7日の衆議院予算委員会での高市首相発言が重大問題に発展している。
「発言を撤回せよ」との声が存在する一方で「発言を撤回すべきでない」の声も存在する。
メディアは「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」(放送法第四条)を求められるが、日本のメディアでは高市発言擁護の主張ばかりを大きく取り上げている
11月30日付ブログ記事「NHK登場藪中三十二の正体」https://x.gd/5KpWW
メルマガ記事「保存版「高市大政翼賛メディア」」https://foomii.com/00050に詳述した。

このなかで12月8日の緊急会見をいくつかのメディアが取り上げて報道している。
弁護士ドットコムニュース「高市首相の台湾有事発言は「極めて危険」「憲法にも反する」、

有識者らが撤回求める緊急声明https://www.bengo4.com/c_16/n_19724/ 








東京新聞「高市首相の台湾有事発言は「宣戦布告」「対話成り立たない」答弁の撤回を求める元外交官と学者の危機感https://www.tokyo-np.co.jp/article/454626














両記事に写真が掲載されているが、なぜか、東京新聞掲載の写真には私が消えている
それはさておき、高市首相の重大発言については日本国内において賛否両論がある。
発言撤回を求める主張は明確な論拠を示している。
したがって、メディアは両論を適正に紹介し、市民が適正な判断を下せるための情報を提供すべきである。
会見では私も意見を陳述した。発言の趣旨は以下のもの。
日中友好、日本経済への影響考慮、日本の品格の視点から高市首相は「是を是とし、非を非とする対応」を示すべきだ。

問題の発言は11月7日の衆議院予算委員会質疑で出た。
高市首相はその後、「歴代内閣の立場と一致している」としながら、「政府としての統一見解とするつもりはない」と矛盾する発言を示している。
矛盾の主因は「ごまかし」と「すり替え」があると思われる。「ごまかし」、「すり替え」は日本の国益を損なう。

高市首相の11月7日国会答弁は前段部分と後段部分に分かれる。
前段部分で高市首相は台湾有事と呼ばれる状況が発生した場合の対応について、
「そのときに生じた事態について、いかなる事態が生じたということの情報を総合的に判断しなければならない」と述べた。
発言がこれにとどまっていれば問題は発生していない。この部分は「歴代内閣の立場と一致している」と言ってよいだろう。
問題は後段部分である。
高市首相は台湾有事について再度問われ、「台湾を統一、中国北京政府の支配下に置くような」場合に、「それが戦艦を使って、武力の行使もともなうものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースであると考える」と述べた。
この発言は重大なもので発言撤回が求められる。

続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」4274号
「高市発言撤回求める緊急会見」 でご高読下さい。
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高市首相が東アジアに火をつけたことを受け、中露が軍事的な連携をアピール
                         櫻井ジャーナル 2025.12.11
 自衛隊隊によると、ロシアのTu-95爆撃機と中国のH-6爆撃機が12月9日、宮古島と沖縄島の間を通過して太平洋へ入り、四国沖まで飛行したという。途中、沖縄島と宮古島の間で中国のJ-16戦闘機も合流、日本海ではロシアのA-50早期警戒管制機とSu-30戦闘機が飛行していた。それに対して自衛隊は戦闘機を緊急発進させたという。アメリカ国防総省の計画に従って自衛隊がミサイル発射施設を建設中の地域を中露の軍用機が飛行して日本側の反応を見たのだろう。


















 バラク・オバマ政権がウクライナでクーデターを実行、香港でアメリカのCIAやイギリスのMI6が「佔領行動(雨傘運動)」なる反中国運動を展開した2014年頃から中国は欧米諸国の敵対的な姿勢を認識、すでに攻撃を受けていたロシアに接近し始めた。両国は経済的な繋がりだけでなく軍事的な協力関係も強化している。高市早苗首相の言動はそうした動きを加速させることになった。
 そうした中、ロシアのセルゲイ・ショイグ安全保障会議議長はアジア太平洋地域に出現しつつある「NATOの萌芽」について語り、日本の急速な軍備拡張と防衛予算の増加は地域の情勢が変化していることを示しているとしている。

 ウクライナでは崩壊したクーデター体制軍を保管するため、イギリスやフランスをはじめとするNATO軍の将兵が入り、ロシア軍と戦っていたが、ここにきてロシア軍はそうしたNATO軍に対する攻撃を強めている。これまでも劣勢にあったウクライナ軍だが、ここにきて総崩れになりつつある。アメリカのドナルド・トランプ大統領が戦争を終結させようと焦っているのはそのためだ
 終結が遅れればその分ロシアに攻め込まれてしまうからだが、EUを動かしている人びとは戦争の終結を嫌っている。1990年代から旧ソ連圏を支配するために多額の資金を投入している巨大資本、あるいは米英の情報機関は戦争を止められない。ウクライナで暗躍している金融機関はブラックロックやJPモルガンなど。故ジェイコブ・ロスチャイルド、その息子であるナット・ロスチャイルド、ロスチャイルド金融資本と関係の深いジョージ・ソロスなどの名前も出てくる。

 ガザでの虐殺を容認、ウクライナでの戦争を推進しているドイツのフリードリヒ・メルツ首相はブラックロックで監査役を務め、エマニュエル・マクロン仏大統領はロスチャイルド銀行で働いていた人物。イギリスのキア・スターマー首相はシオニスト、つまり親イスラエルであることを公言している。
 ウクライナの魅力として資源が喧伝されてきたが、穀倉地帯が広がっていることでも有名。その穀倉地帯の約4分の1を外国企業が所有している。2022年には約3分の1をカーギル、デュポン、モンサントの3社が所有、この3社は効率性を高めるため、コンソーシアム⇒共同事業体)として契約を締結して事業を開始した。
 このコンソーシアムは事実上、ウクライナの土地の半分以上を支配しているのだが、カーギル、デュポン、モンサントには黒幕が存在する。3社の主要株主には巨大金融機関のブラックロック、バンガード、ブラックストーンが名を連ね、ウォロディミル・ゼレンスキーはブラックロックのほかJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスと協力関係にあるのだ。ブラックロックは2022年後半からウクライナ政府のコンサルタントを務め、ブラックロック傘下の企業はウクライナの戦略的資産の大部分を支配するようになったと報道されている。

 ロシア政府はウクライナの非軍事化、非ナチ化、中立化、西側諸国が凍結したロシア資産の返還、そして領土の「現実」を求めているが、ロシア政府はその目的を軍事的に達成するしかないと考えている。軍の進撃を止めるにはロシア側の要求を呑むしかないとトランプ大統領は考えているようだが、EUの「エリート」たちはそれができない。ウクライナへ流入した資金がどこへ流れたかを明らかにできないという事情もあるだろう。
 ヨーロッパには「停戦」で戦力を立て直す時間を稼ぎ、何年か後に再びロシアを攻めようと目論んでいる勢力もいるようだが、当然、ロシアはそれを認識している。だからこそ軍事的に解決すると決断したのだ。

 日本にはいまだにロシア軍が兵器や予算が欠乏しているというような御伽話を語っている人もいるようだが、2022年以降、ロシアは兵器の生産能力が大幅に向上、生産量は消費量を上回っている。新しく開発された高性能兵器の生産も本格化しているようだが、それほど使われていないのはNATO軍との全面戦争に備えているからだと見られている。
 こうしたウクライナでの展開を受け、軍事的な緊張が急速に高まったのがカリブ海と東アジアだ。
 東アジアでアメリカは同じアングロ・サクソン系国のイギリスやオーストラリアとAUKUSを創設、アメリカ、オーストラリア、インド、日本はクワドなるグループを編成、軍事的な連携を強化してきたが、インドはロシアや中国に接近、アメリカと距離を置いている。

 NATO(北大西洋条約機構)の事務総長だったイェンス・ストルテンベルグは2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーとするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言しているが、こうした目論見をロシアは警戒してきた。ロシアのニコライ・パトロシェフ大統領補佐官はAUKUSが中国やロシアを仮想敵とする「アジアのNATO」だと批判している
 本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、日本は1995年にアメリカの戦争マシーンに組み込まれた。


日本は火遊びをしている:台湾問題で一線を越えれば「痛い代償」を払うことになるだろう
                耕助のブログNo. 2744  2025年12月10日
   Japan Is Playing With Fire:Will Pay ‘PAINFUL PRICE’ If It Steps Out of
    Line over Taiwan     James Wood

日本政府は台湾からわずか110キロの距離にある与那国島に中距離ミサイル配備を開始するのはよい考えだと決定した。与那国島は実質的には中国の玄関口である。
これは日本の首相が、台湾における中国のいかなる行動も日本の軍事的対応を引き起こす可能性があると公然と示唆した後のことだ
つまり日本は、アジアで最もセンシティブな問題の一つに自ら介入しようとしている。

北京の答えは?
極めて明確である:
もし日本が半歩でもレッドラインを越えれば「痛い代償を払うことになるだろう」
中国はまた、日本が「地域の安定」のヒーローを演じる時に都合よく忘れがちな事実を指摘した:
日本は1895年から1945年まで台湾を植民地として支配していた。北京に説教するには道徳的に最も強い立場とは言えないだろう。

一方、台北では地方政府が今後8年間で防衛費にさらに4000億ドルを投じるとし、中国は台湾周辺での定期的な軍事パトロールを続けている。各方面からのメッセージングはますます鋭く、大きく、頑なになっている。

ほとんどの西側コメンテーターが見落としている結論はこうだ:
・中国は台湾を内政問題とみなしており、交渉の議題ではない。
・日本が軍事的に介入することは重大な地域へ挑発である
・北京と東京の関係はすでにここ数年で最低の状態にある
・そしてアジアの二大国が衝突することで、ワシントンは密かに利益を得る
台湾にこれほど接近したミサイル配備は「抑止力」ではない。
それはエスカレーションであり、アジアの構図を一夜にして変える類のものだ。
日本は慎重に進める必要がある。

https://x.com/commiepommie/status/1994243076806856947