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2024年7月17日水曜日

17- トランプへの銃撃(田中宇氏)/米が破綻国家であることを示すトランプ暗殺未遂

 田中宇氏が掲題の記事で、トランプ銃撃事件の黒幕は政権与党の民主党側であろうとして、会場の警備体制が不十分でドローンを飛ばして監視し不審な動きを抑制する態勢が組まれておらず、クルックスがライフルを持って屋上によじ登るところを、近くにいた聴衆たちが見つけ、電話や直接の声掛けで警備当局に通報したにもかかわらず当局はすぐに反応しなかったと述べています。

 またクルックスがライフルを持って会場の近くまで行けたのも、警備側がそれなりの「穴」を設けていたからだとしています。
 トランプは次期大統領候補で民主党の当面の敵ですが、同時に米国の体制側(戦争勢力その他)にとって、トランプの政策は極めて都合が悪いものであることが背景にあります。

 田中氏は安倍晋三氏の銃撃事件についても、致命傷の銃弾は山上被告以外の人物によって発射されたと見ています。それは安倍氏の体内に入った銃弾の角度から明らかで、それ以外には説明不可能だからです。

 併せてマスコミに載らない海外記事「アメリカが破綻国家であることを示すドナルド・トランプ暗殺未遂」を紹介します。
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アメリカが破綻国家であることを示すドナルド・トランプ暗殺未遂
                  田中宇の国際ニュース解説 2024年7月16日
7月13日のトランプへの銃撃は、米民主党側(共和党側の反トランプなエスタブ筋を含む)が、実行犯を支援してやらせた黒幕だろう。
実行犯のトーマス・マシュー・クルックスは、トランプが演説していた演台から130メートルしか離れていない建物の屋根の上からライフルで銃撃した。銃撃のプロは1キロ以上離れた場所からでも標的に命中させるので、演台の周囲1キロの屋上など狙撃可能なすべての場所には、警察官やUSSSなど当局の要員が配備され、ドローンを飛ばして監視し、不審な動きを察知・抑止する態勢が組まれるのが通常だ。
クルックスが登った屋上は演台に近く、プロの射撃手なら確実にトランプを殺せた。厳重に警備すべき地点だったが、当局要員が誰も配備されていなかった
How Secret Service Failed Trump and Why Responsibility Could Lie With Top Dems
Trump Shot, Survives Assassination Attempt; Shooter Dead; Secret Service Reportedly Ignored Warning

クルックスがライフルを持って屋上によじ登るところを、近くにいた聴衆たちが見つけ、発砲する前に、電話や直接の声掛けで警備当局に通報した。だが当局は、すぐに反応しなかった
演説会場には、警察や警護官など、当局の警備のプロたちが配備されており、彼らは一般市民である聴衆より先にクルックスの動きに気づいたはずだが、何もせず放置した。別の屋上などにいた警備員たちは、クルックスが発砲するまで待ち、その後でクルックスを狙撃して射殺した。
クルックスは屋上に登って3分後に9発を発砲した。そのうち1発がトランプの耳をかすり、3発が2人の聴衆に当たり、1人が死んだ。
Watch: New Video Shows Trump Shooter Climbing To Roof - People Warning Police

クルックスは、父親のライフルを持ってトランプの公演会場に来た。当局による所持品検査にも引っかからず、銃撃を挙行できた。当局の上の方がクルックスの銃撃計画にひそかに加担し、警備の穴が設けられていた可能性が高い
クルックスからトランプまでの距離130メートル(140ヤード)は、素人でも標的に命中できる距離だ。トランプは、銃撃される直前に資料を見るために頭を動かしたので、弾が頭蓋に命中せず耳をかすった。クルックスの弾は、ほとんど命中していた。
銃撃後、周りにいた警護官たちがトランプの周りを囲んで守りに入るまで、何秒かの無為の空白があった。このような空白の時間があるのもおかしいと、トランプ派の分析者が指摘している。The Dark Questions We Don’t Want to Ask, But Have to Ask, About the Secret Service
"Malice Or Massive Incompetence": Erik Prince Gives Detailed Assessment Of Secret Service Failure

クルックスは単独犯と報じられているが、裏で警備に詳しい誰かがクルックスに入れ知恵しなければ、発砲まで至らなかった。誰が背後にいたのか、クルックスのスマホの履歴を見ればわかるかもしれない。だがFBIは、押収したクルックスのスマホのセキュリティを解除できず苦戦しているという。
FBIは以前から、当局が非難されそうな事件になると、関係者のスマホのセキュリティ解除に四苦八苦して開けられず、真相究明できませんでしたという話になりがちだ。
FBI Claims Purportedly Struggling To Crack Trump Shooter's Phone

「あれは当局の謀略でなく、トランプ側が人気高揚を狙ってやった狂言だ」という説がある。それは間違いだ。USSSなど警護官たちは、民主党政権下の本土安保省に属しており、トランプ陣営が自作自演の銃撃狂言をやろうとしたら、計画段階で当局側にバレてしまう。
トランプは、狂言できる状況にない。逆にトランプ敵視の側は、民主党であれ、すでに弱体化している共和党エスタブ側であれ、古くから諜報界や軍産複合体と一体で、ケネディ殺害や911、OKC(1995)以来の伝統で、自作自演のテロや銃撃はお手のものだ。
トランプの人気は巨大だが、謀略を回す政治マシンとしては、不人気な民主党や共和党エスタブ側の方が巨大だ。これらの政治マシンは、トランプが大統領に返り咲くと、再び破壊される対象になるオクラホマ爆破事件と911

7月13日のトランプ銃撃は、民主党側がやらせた可能性が強いが、九死に一生を得たトランプは、黒幕の意図と裏腹に、人気が急騰している。むしろ、民主党政権下の政府当局の方が、トランプの警備を(意図的に)薄くした未必の故意的な重過失を非難され、捜査されていく。
民主党側がやらせたのなら、銃撃の謀略は大失敗になっている。謀略するなら、クルックスのような射撃の素人を使わず、確実にトランプを銃殺できるプロにやらせるか、安倍晋三を殺した時のように、素人のクルックスを犯人に仕立て、実際にトランプを射殺するのは当局側のプロという、二重銃撃の構図にすべきだった安倍元首相殺害の深層

共和党側には、神様を本気で信じるキリスト教徒の支持者が多い。トランプは、銃弾がわずかにそれるという「奇跡」によって生き延び、2日後の共和党大会で大統領候補になる。これは神様のおぼしめしだ。トランプ支持者の何割かは、そう感じている。
銃撃されても奇跡的に生き延びたトランプは、神様の使徒かも。そんな風に感じる支持者たちが、強固にトランプを支援するようになる。
リベラルな民主党の支持者たちは、そんなトランプ支持者を迷信者として馬鹿にするが、どんどん負けていく。バイデンは認知症がバレたのに候補に固執し、民主党を自滅させている
合理論者を気取るリベラルは実のところ、無根拠な温暖化人為説や、有害無益なmRNAワクチン、善悪逆転のロシア敵視論、世の中を混乱させるだけの歪曲ジェンダー論などを軽信する、不合理な全体主義者であることが露呈している。(全体主義=悪でもないけど)
Climate "Reparations" Numbers Are Rigged

リベラル勢力(人士、市民運動、マスコミ、政党、組合など)は、自分たちの欧米リベラル文明を自滅させる策を連発しているのに、それに気づいていない。リベラル策を過激に稚拙にやって自滅させる米諜報界系の(隠れ多極主義的な)策略が大成功し、米国側が衰退崩壊し、中露非米側が世界の中心になっていく。
世界の非米化により(世界を不安定にしてきた英米が衰退して)国際政治が安定し、経済発展の主導役が、米国の金融バブルから非米側の実体経済へと転換する。この転換が、隠れ多極派の目的だろう。
(米国側の人々の多くは、歪曲された歴史観・世界観を信じ込み、英米が世界を不安定化してきた歴史を見ないし、中露は世界を不安定化すると思い込み、金融バブルにも気づいてない。そういう人に説明しても無駄かも。勝手に自滅しなって感じ)
There’s another culprit in the Trump murder attempt

民主党に入り込んだ諜報界の隠れ多極派は、今年の大統領選で次々と自滅策をやっている。バイデンが認知症を露呈してしまった先日のトランプとの討論会がそうだったし、今回のトランプ銃撃もそうだ。銃撃後、トランプの当選確率は65%から73%に上がった
銃弾が当たったらトランプは死んでいた。隠れ多極派は、トランプを当選させるために民主党に自滅策をやらせていたのでないかのか??。それなのに、トランプが死ぬ確率も高かった銃撃を画策したのか?? 米民主党内乱、トランプ勝算の急増

一つの考え方として、トランプが死んでいたら、共和党大会で誰が大統領候補になっていただろうか。マイク・ペンスとか、反トランプなエスタブ系が盛り返したか??。そんなことはない。
トランプ支持者たちは、指導者を失って内紛して自滅していったか??。その可能性はあるが、むしろトランプに替わる主導役を決めて立て直し、秋の選挙で政権を取り戻す可能性の方が高い。民主党に入り込んだ隠れ多極派は、そこまで考えてクルックスに銃撃をやらせたのかもしれない。2024 Republican National Convention kicks off: What you need to know

この半月での討論会と銃撃で、トランプ再選の可能性が劇的に強まり、民主党側は劇的に弱体化した。討論会も銃撃も、私から見ると、トランプを勝たせてリベラル・エスタブ支配の米覇権を自滅させる隠れ多極派の謀略だ。銃撃には偶然にも、神業的な耳かすりの奇跡までついている。
米国の政治は、トランプも、隠れ多極派も、バイデンの認知症がバレたことも、ダイナミックですごいと思う。偶発した神業的な奇跡までが、トランプ支持を急騰させる政治ダイナミズムになっている。もしトランプが銃撃で死んでいたとしても、それも多分、共和党やMAGAの結束につながる。Democrats Muzzled: Trump Assassination Attempt Curbs Opponents' Rhetoric

日本は、安倍晋三の殺害によって、親米を維持しつつ非米側とも対話する「エルドアン方式」の道が断絶され、自滅につながるだけの中露敵視論しか存在しない国に成り下がったままで、政治ダイナミズムがまったくない。
米国のリベラル勢力は、少なくとも、自分たちで自滅策をやり始める独創力がある。日本のリベラルは米国のコピーばかり。対米自立は口だけで、実は自滅策でも対米従属と教条主義の小役人根性。
安倍殺害後、マスコミは、殺されたのは安倍や自民党自身が悪いんだという論調一色に。米国でも今回、民主党側から、銃撃されたのはトランプ自身が悪いんだという論調が出かかったが、すぐに、バイデンからマスコミまでの民主党側が、トランプは最大の脅威だ(だから消すべき)と言っていたことの方が大きな問題になり、民主党側が負けている。米国政治は、腐っても鯛のダイナミズムがあって面白い。Was Trump 'Put in a Bullseye'?

トランプは、副大統領候補にJDバンスを選んだ。バンスの外交論を見ると、きたるべきトランプ政権がどんな外交姿勢をとるかを予測する際の手がかりとなる。世界に対する軍事・経済支援からの撤退、親イスラエル(アラブとの和解の再仲裁)、反ロシアだが反ウクライナ、中国敵視・米中分離など。この話はあらためて書く。
Meet J.D. Vance, Trump’s VP pick: Hawk on Israel, critic of foreign aid


アメリカが破綻国家であることを示すドナルド・トランプ暗殺未遂
                 マスコミに載らない海外記事 2024年7月16日
                     ルーカス・レイロス 2024年7月14日
                         Strategic Culture Foundation
 もはやアメリカは自由と民主主義の国ではなく破綻国家で完全社会崩壊に近い国だ。
 ペンシルベニア州での集会中、ドナルド・トランプ前米大統領が襲撃された。トランプを狙撃手が銃撃し、頭部をかすめ、集会に参加していた他の参加者を傷つけた。発砲後、シークレットサービスはすぐ犯人を殺害したが、路上で目撃した人々は襲撃前に犯人の位置を警察に知らせたと証言しており、捜査官らは通報を無視した模様だ。
 トランプは元気で、怪我による深刻な打撃はない。それだけでなく、トランプはかつてないほど政治的に強くなっている。「苦難にめげない人」や「殉教者」というイメージは、深刻な精神的衰弱のため支持者からも批判の的となっているライバルのジョー・バイデンとの選挙戦で大きな優位になる。
 陰謀論者の中には、政治的イメージを向上させるためトランプが攻撃を計画したというフェイク・ニュースや架空の話をインターネットで広めている者もいる。明らかに、この種発言は意味をなさない。合理的観点から言えば、既にあらゆる点で有利な闘いの中、政治的利益を得るためトランプが自殺未遂を計画する理由はない。既に選挙での有力候補として認識されているので、トランプはそのようなリスクを冒す理由はない
 同様に、バイデンと民主党がこの陰謀の背後にいることを裏付ける情報はほとんどない。トランプに反対する側を非難するのに、政治的、選挙上の対立があるというだけでは、十分ではない。しかし、それにもかかわらず、狙撃者を使う諜報活動はCIAの典型的戦術であることを強調する必要がある。更に、トランプを排除する理由がある、もう一つのアメリカの安全保障機関はFBIだ。この前大統領は、この機関の権限の一部を終わらせる改革を承認する予定だ。
 近い将来、この事件に関する更なる情報が明らかになり、捜査官や専門家の作業は確実に前進し、真実解明に役立つだろう。今のところ、重要なのは、誰がトランプを殺害しようとしたかについて結論を出そうとすることではなく、選挙の真っ只中にあるアメリカの政治的、社会的状況全体を考慮しながら、事件全体を分析することだ。
 実際、現時点で結論付けられるのは、アメリカは既に破綻国家だということだ。かつて民主主義と自由の国と認識されていた国は、今や社会混乱や制度の不安定さや人種間緊張や政治的二極化に満ちた存続不可能な政権の国に過ぎない。アメリカの国内状況は、アフリカや中米の一部で「破綻国家」として広く認識されている国々の状況とさほど変わらない。大統領候補が暗殺未遂に遭ったり、精神疾患の兆候を見せ始めたりした瞬間から、この国が取り返しのつかない制度的危機の瀬戸際にあるのは明らかだと思われる。

 アメリカの現実はもはや覆すことができないようだ。今後数年内にアメリカが内戦あるいは少なくとも深刻な社会紛争に陥る可能性があると諜報機関が長年報告してきた。人種的、政治的緊張は悪化し、近い将来に対する懸念が高まっている。選挙で誰が勝利しても、このシナリオが改善する可能性は低い。どちらの大統領も分極化を悪化させ、一方の支持者による、もう一方の支持者に対する憎悪を強めるだけだろう。アメリカ国民の間に平和は訪れず、緊張は次第に内戦へとエスカレートしていくだろう
 現在アメリカを悩ませている状況が、どこかの発展途上国で起きていたとしたら、既に欧米諸国は国際機関で一連の介入策を提案しているはずだ。多くの貧困国で起きているように、国連や米州機構による介入を通じて、アメリカに対する「国際的解決」を考えることも可能だ。国内問題を克服するためには破綻国家は国際的支援を必要としており、実際、アメリカは今や単なる破綻国家に過ぎない
 おそらくアメリカは主権国家としての自らの能力を再考すべき時期に来ているのかもしれない。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/07/14/assassination-attempt-against-donald-trump-shows-the-u-s-is-a-failed-state/