英国、カナダ、豪、ポルトガルの4ヵ国は21日にようやくパレスチナを国家承認したと発表しました。
フランス、モナコ、ルクセンブルク、マルタ、アンドラの5ヵ国は22日、同じくパレスチナを国家承認したと発表しました。21日に承認した国と合わせると9ヵ国になり、パレスチナを国家承認した国は国連加盟193ヵ国の約8割になりました。
英国のコービン下院議員はXで、国家承認は「数十年間に及ぶ運動の巨大な勝利だ」と評価した上で、政府が、ガザでジェノサイドが起きていることを認め、イスラエルヘの武器売却を止め、国際刑事裁判所・国際司法裁判所によるすべての調査に協力し、イスラエルからパレスチナ人が受けてきた「数世代にわたる苦難や非人間化」をただしていく努力を行わなければ、「この決定は無意味だ」と指摘しました。
イタリアの独立系労働組合と学生・市民団体は22日、イスラエルによるガザでの虐殺中止を求め、全国で24時間のストライキを行いました。
首都ローマでのデモ行進には労働者と学生など5万人が参加。イスラエルを支持し、パレスチナの国家承認を否定するメローニ政権を批判しました。
北西部ジェノバでは、港湾労働者が港の入り口を封鎖し、「武器輸送とイスラエルヘの共犯を終わらせよう」「戦争のためには働かない」と訴えました。
以下の4つの記事を紹介します。
・英・豪・カナダ・ポルトガル パレスチナ国家承認 G7で初
・国連8割 パレスチナ承認 「2国家共存」会合で 仏など5ヵ国
・パレレスチナ国家承認 実質的措置伴ってこそ 英・豪の市民団体や野党議員
・ガザ虐殺中止求めイタリアで大規模スト 戦争のために働かない
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英・豪・カナダ・ポルトガル パレスチナ国家承認 G7で初
しんぶん赤旗 2025年9月23日
英国、カナダ、オーストラリアは21日、パレスチナを国家承認したと発表しました。イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区での軍事攻撃激化や人道援助の遮断、ヨルダン川西岸での入植者の暴力拡大に対して、3カ国が協調してイスラエルに圧力を掛ける狙いです。ポルトガルも同日、承認を発表。22日はフランスなども同様の発表を行う予定です。英加は主要7カ国(G7)で初。イスラエルの伝統的な同盟国にも、イスラエルへの批判が広がっていることを示す動きです。
スターマー英首相は、国民へのビデオ演説で、「ガザでの人為的な人道危機は新たな深刻さに達している」として、「イスラエルによる絶え間ない拡大するガザ爆撃」や飢餓や破壊は「全く耐えがたい」と非難。イスラエル政府に対し「これらの残酷な戦術をやめよ」と訴えました。
昨年7月の総選挙でスターマー氏率いる労働党のマニフェストでパレスチナの国家承認を掲げていたことや、75年前にイスラエルの国家承認をしたことを踏まえて、パレスチナの国家承認を宣言しました。
カナダのカーニー首相は、声明で、イスラエルの現政権が、「パレスチナ国家樹立の展望を系統的に妨害している」と非難。▽西岸で絶え間なく入植地を拡大する政策を進めている
▽ガザでの継続的な攻撃が、数万人の市民を殺害し、百万人以上の家を奪い、破滅的で予防可能な飢饉(ききん)をもたらした ―とし、どちらも「国際法違反」であると指摘しました。
またパレスチナの国家承認が「すべてを解決する万能策」ではないとしながらも、「国連憲章にうたわれた自決と基本的人権の原則に確固として沿ったものである」と述べています。
オーストラリアのアルバニージー首相は、ウォン外相との共同声明で、「独立・主権のパレスチナ国家を正式に承認する」と発表しました。「自らの国を持ちたいというパレスチナの人々が長年抱いてきた正当な願望をオーストラリアは承認する」と述べています。
また「2国家解決」が、「イスラエル、パレスチナの人々にとって永続的な平和と安全への唯一の道」だと述べています。
これに対し、イスラエルのネタニヤフ首相は「パレスチナ国家は決して樹立されない」と反発しました。
国連8割 パレスチナ承認 「2国家共存」会合で 仏など5ヵ国
しんぶん赤旗 2025年9月24日
【ニューヨーク=洞口昇幸】ニューヨークの国連本部で22日、フランスとサウジアラビア共催のイスラエルとパレスチナの「2国家共存」を目指す首脳級会合が開催されました。フランスなど5カ国がパレスチナの国家承認を宣言しました。パレスチナ自治区ガザでの軍事侵攻を続けるイスラエルに対する圧力を高め、中東和平の枠組みの再構築を促進することになります。
フランスの他にモナコ、ルクセンブルク、マルタ、アンドラが承認。21日に承認した英国やオーストラリア、カナダ、ポルトガルも合わせるとパレスチナを承認する国々は、国連加盟193カ国の約8割となりました。ベルギーーは承認の方針を表明するも、イスラム組織ハマスが拘束する人質が解放され、ハマスがパレスチナの統治から離れた場合に承認手続きに進むと条件を付けました。
会合の共同議長を務めるマクロン仏大統領は、繰り返し「時は来た」と強調。イスラエルのガザ軍事侵攻を「正当化するものは何一つとしてない」と改めて指摘しました。
マクロン氏は「パレスチナの人々の正当な権利の承認は、イスラエルの人々の権利を損なうものではない」と語り、パレスチナの国家承認こそ「イスラエルが平和的に生存することを可能にする唯一の解決策だ」と訴えました。
イスラエルと米国は会合に出席しませんでした。
グテレス国連事務総長は、ガザでの即時停戦やすべての人質の無条件即時解放を改めて訴えました。イスラエルとパレスチナの紛争悪化の状況を抜け出す唯一の方法が2国家共存への道であると強調「2国家がなければ、中東に平和は訪れず、過激主義が世界中に広がるだろう」と警告しました。
パレレスチナ国家承認 実質的措置伴ってこそ 英・豪の市民団体や野党議員
しんぶん赤旗 2025年9月23日
英国やオーストラリアの政府が22日にパレスチナの国家承認に踏み切ったことについて、両国の市民団体や野党議員は同日、運動の勝利だと一定の評価をしながらも、対イスラエル制裁などの実質的な措置が伴わなければならないと主張しています。
英国のコービン下院議員はX(旧ツイッター)で、国家承認は「数十年間に及ぶ運動の巨大な勝利だ」と評価しました。その上で、政府が、ガザでジェノサイドが起きていることを認め、イスラエルヘの武器売却を止め、国際刑事裁判所・国際司法裁判所によるすべての調査に協力し、イスラエルからパレスチナ人が受けてきた「数世代にわたる苦難や非人間化」をただしていく努力を行わなければ、「この決定は無意味だ」と指摘しました。
英国で十数回の大規模デモを組織してきた市民団体の連合体「パレスチナ連帯運動」は、「もし政府が真剣にパレスチナの自決権を承認するなら、イスラエルに対する包括的な制裁を含む、ジェノサイドとアパルトヘイト(人種隔離政策)を終わらせるための具体的行動から始めるだろう。さもなければ今日の承認は、象徴的なジェスチャーと見なされることになるだろ
う」と述べました。
オーストラリアの人道援助や人権、気候に関わるNGO17団体は共同声明を発表し、政府によるパレスチナ国家承認を「歓迎」しつつも、「パレスチナの人々に対するさらなる残虐行為を防止し、イスラエルが行っている戦争犯罪への共犯を避けるための道徳的、法的義務を果たす上で、オーストラリアが取らなければならない緊急かつ意味のある行動の代わりにはならない」と指摘しました。
声明は、国際社会が、ジェノサイド条約、国際人道法、武器貿易条約などに違反しているイスラエルに責任を取らせる義務があると指摘。ガザでのイスラエルの攻撃が激化しているなかで、「言葉だけでは十分ではない」として、オーストラリアが、国際的な法的義務を果たすための具体的な行動を取るよう要求。
具体的には、即時・永続的な停戦を要求し続けることや、イスラエルヘの致死的兵器の移転や軍事支援の停止、ガザでの国連主導の支援の再開を通じて、人道物資の持続的な搬入を再開するよう外交的圧力をかけることなどを政府に対して求めています。
見捨てない 世界各地で連帯を示す
世界各地で20~21日にかけて、パレスチナ・ガザ地区への侵攻を強めるイスラエルに抗議し、パレスチナヘの連帯を示す集会が行われました。
ケニアの首都ナイロビでは21日、パレスチナヘの連帯を示す集会に数千人が参加しました。参加者は「ジェノサイド(集団殺害)をやめろ」「パレスチナに平和を」などと書かれたプラカードや横断幕を掲げました。
集会で発言した国会議員のファラ・マーリム氏は、「ガザで起きていることはジェノサイドであり、最も強い言葉で非難されなければならない」と強調。全世界がイスラエルの責任を追及すべきだと訴えました。
メキシコでは20日、パレスチナの旗や「パレスチナに自由を」などと書かれたプラカードを掲げた市民らがメキシコ市内を行進。政府に対し、イスラエル政府との関係を絶ち、パレスチナヘの支持を明確に示すよう求めました。
モロッコのエッサウゴフでは同日、イスラエル代表を招いた会議が開かれていたのにあわせ、数百人の市民が集結し「パレスチナに自由を」と声を響かせました。参加者の一人は現地メディアに対し、「封鎖が解除され、占領が終わり、ガザが解放されるまでは声を上げ続ける。世界中の権力者たちが沈黙を選んでも、モロッコの人々はパレスチナを見捨てない」と話しました。
ガザ虐殺中止求めイタリアで大規模スト 戦争のために働かない
しんぶん赤旗 2025年9月24日
【ミラノ=吉本博美】イタリアの複数の独立系労働組合と学生・市民団体は22日、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザでの虐殺中止を求め、全国で24時間のストライキを行いました。各地で、バス、地下鉄、鉄道などの公共交通機関や物流をとめ、学校を休校にさせました。
主要都市でデモ実施も
首都ローマでのデモ行進には労働者と学生など5万人が参加。イスラエルヘの武器輸出も終わらせようと訴えました。トリノ、ナポリなど主要都市でもデモを実施しました。
ストを呼びかけた労働組合連盟USBは声明で、イタリアと欧州連合(EU)はイスラエルとの経済・外交関係を断ち制裁すべきだと要求しました。イスラエルを支持し、パレスチナの国家承認を否定するメローニ政権を批判しました。
北西部ジェノバでは、港湾労働者が港の入り口を封鎖し、「武器輸送とイスラエルヘの共犯を終わらせよう」「戦争のためには働かない」と訴えました。8月にはイスラエル向け軍事貨物を積んだ船舶からの荷揚げの拒否に成功しました。
21日には、イタリア労働総同盟(CGIL)が「ガザでのジェノサイド阻止」の全国行動を実施し、各地でデモや時限ストを行いました。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。
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