岩屋毅外相は22日午後、国連本部で開かれたパレスチナ問題に関する会合に出席し、パレスチナの国家承認を見送る方針を正式に表明しました。
同外相は一時パレスチナを国家承認する意向を示した時期もあったのに残念なことです。米国から圧力がかかったからという見方があります。
パレスチナの外務次官はしんぶん赤旗のインタビューに応じ、要旨「国家承認はイスラエルによる破滅的なガザ侵攻と封鎖が国際的に〝ジェノサイド″と認定された状況を受け、強い道義的・政治的立場を示すもので、国家承認国との大使館開設に道を開き、パレスチナ国家の国際的な存在感の強化につながり、ネタニヤフ政権への圧力となる。また占頷下で続くジェノサイドや飢餓、追放、併合から〝2国家解決″を守り、サウジアラビアとフランスが主導する和平努力を後押しする」と国家承認の意義を述べた上で、「日本では多くの人々がジェノサイド反対の行動を展開し、パレスチナ人民の権利を守ろうとしてきました。私たちは日本の政治的支援をより強く望んでいます」と語りました。
(注)これまで米国をはじめ西側諸国のほとんどはパレスチナを主権国家として承認せず、日本もそれに追随してきました。しかし1974年にパレスチナ解放機構が国際連合のオブザーバー組織となったことを契機に実務上の外交関係を築き、1977年にはPLO東京事務所が開設され1989年にそれが駐日パレスチナ常駐総代表部に格上げされました。
日本も、パレスチナ自治政府が発足してから間もない1998年にガザ地区に在ガザ日本政府代表事務所を開設(2007年にラマッラーに移転)するなど、パレスチナとは良好な関係を築いてきました。PLOのヤーセル・アラファト代表は1981年と1989年に日本を訪れています。
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パレスチナ国家承認見送り 岩屋外相、国連会合で表明
しんぶん赤旗 2025年9月24日
岩屋毅外相は22日午後(日本時間23日午前)、二ューヨーークの国連本部で開かれたパレスチナ問題に関する会合に出席し、パレスチナの国家承認を見送る方針を正式に表明しました。
岩屋氏は「イスラエル・パレスチナの2国家解決を支持している」と述べながら、国家承認については「『するか否か』ではなく、『いつするか』という問題だ。今後の情勢の変化を常に注視しつつ、さらに重大な関心を持って総合的な検討を行っていく」として、現時点での承認は行わない考えを示しました。
英国のスターマー首相が「今まさにその時がきた」と表明し、パレスチナ国家承認に踏み切ったのと対照的な姿勢です。
岩屋氏は「2国家解決」を一貫して支持しているとした上で、「仮に今後イスラエルが2国家解決実現への道を閉ざす、さらなる行動に踏み出す場合には、新たな対応を取る」と述べました。ただ、「新たな対応」の具体的な内容には触れませんでした。
国家承認の勇気ある決断 日本政府に呼びかけます
パレスチナ外務次官(外務省国連局長)アワダラ氏、本紙に語る
しんぶん赤旗 2025年9月24日
パレスチナのオマル・アワダラ外務次官(外務省国連局長)が22日、本紙のインタビューに応じました。次官は国際社会で進むパレスチナ国家承認の意義を語り、日本に早期の承認を呼びかけました。 (カイロ=米沢博史)
パレスチナの国家承認が進んでいます。国家承認は象徴的に大きな意味を持ちます。イスラエルによる破滅的なガザ侵攻と封鎖が国際的に「ジェノサイド」(集団殺害)と認定された状況を受け、強い道義的・政治的立場を示すものです。国家承認国との大使館開設に道を開き、パレスチナ国家の国際的な存在感の強化につながり、イスラエルのネタニヤフ政権への圧力となります。
国家承認は国際法と国連決議に沿った勇気ある決断です。占頷下で続くジェノサイドや飢餓、追放、併合から(パレスチナ国家樹立とイスラエルとの平和共存による)「2国家解決」を守り、サウジアラビアとフランスが主導する和平努力を後押しします。77年間にわたりパレスチナ人民が受けてきた不正義を正すものでもあります。
国家承認は、中東の平和と安全に貢献する前向きな一歩となります。
私は日本の方々に敬意を抱いています。日本では多くの人々がジェノサイド反対の行動を展開し、パレスチナ人民の権利を守ろうとしてきました。日本はパレスチナ支援に重要な役割を果たしてきましたが、私たちは日本の政治的支援をより強く望んでいます。
日本政府が承認に踏み出すことは国際合意を支え、真実と正義、そして歴史の正しい側に立つことになります。承認が遅れれば意味を失いかねません。私は日本に、この勇気ある決断を速やかに下し、すでに承認した国々と並んで、2国家解決の実現に向けた具体的で不可逆的な一歩を踏み出すよう呼びかけます。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。
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