世に倦む日々氏が掲題の記事を出しました。
前半の4節目までは、自民と維新が連立するに至った経過が淡々と述べられています。
そして後半の5節目に至って、
「維新は本来的に自民以上に凶悪な極右イデオロギーの政党であり、さらに日本の中で最も極端で過激な、竹中平蔵直系のネオリベ(⇒新自由主義)政党である。その維新と高市自民が組んだ新政権がどのような悪魔となって国民に襲いかかるか、想像するだけで戦慄させられる」「スパイ防止法の制定と憲法改定が具体的な実施項目になる」
と述べ、世に倦む日々氏らしい痛烈な批判が展開されます。
そして、「高市早苗にとっては、今が選挙の勝機であり、自民党の安定多数を取り戻す好機と考えて極秘で選挙戦略を練っているのではないか。自公体制が崩れて自維体制に変わるのだから民意を問う大義名分は成り立つ。ガソリン税等のいわゆる『物価高対策』を片付けた後、早々に解散に踏み出すと思われ、マスコミが解散風を吹かせ始めるので、野党は早く迎撃の態勢をとる必要がある(要旨)」と述べ、公明が連立を離脱し野党化したことが選挙戦で自民に打撃を与える可能性を大きくしたと分析し、立憲と公明が早く政策協議を詰め、小選挙区での選挙態勢を整えることを希望すると語ります。
高市政権としては発足後 出来るだけ早く解散総選挙をするしかないのですが、公明と維新が入れ替わったことによる自民の被害は大きく、自民・維新の党勢が選挙によって拡大する見込みは全くないというのが実情のように思われます。
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自民と維新が新連立 - 立憲と公明は一刻も早く連携して小選挙区で迎撃の準備を
世に倦む日日 2025年10月20日
公明党の離脱で窮地に立った高市自民に、吉村洋文の維新が接近して新連立を組む進行となった。自民が新連立で与党体制を補強あるいは更新するのなら、真っ先に組む相手は維新だろうと観測していたので、その予想が的中した。いわゆる政策・理念が高市自民と最も近いのが維新であり、有する価値観・イデオロギーが同じなので、この二者の結合には何の支障もない。国民民主には問題がある。国民は連合の労組票を基盤とする政党で、民間労組お抱え議員が何人も所属している。連合がめざすのは、分裂している立憲と国民を一刻も早く元の鞘に収め、自民と政権交代する大きな二大政党の一を作り直す目標だ。言わばそのオーナーの論理と意向があるため、玉木雄一郎は簡単に与党入りできない。無理に動くと国民民主は二つに割れてしまう。玉木国民の自民との新連立はもともと無理筋なのだが、マスコミはその点をほとんど解説しなかった。
一方の維新の方は、そうした拘束条件はない。逆に、維新は党勢が落ち目の事情があり、新興極右の参政党が怒涛の快進撃を続ける中、最早、全国政党として勢力を張る展望を失っていて、高市自民との連携は「渡りに舟」の状況だった。4年前の衆院選時、維新は比例で805万票を獲得し、馬場伸幸が「立憲を蹴散らして野党第一党になり、自民と政権交代する党になる」と豪語していた。が、党勢はそこから伸びず萎れ、昨年の衆院選では510万票、今年の参院選では437万票に凋落してゆく。右翼一般がMAGA的政策を求め始め、維新が掲げてきた「改革」 - 竹中平蔵の「小さな政府」- が古臭くなり、藤井聡的な「積極財政」 -「大きな政府」 - をマイトレンドとしてコミットした変化と影響が看取できる。10/16 の発言で吉村洋文は「党として消滅するリスクはあり得る」と言っている。これは本音だろうし、吉村自身が維新の政党としての前途がないと見ている証拠だ.。
吉村洋文が代表に就いた昨年12月の抱負と方針を聞いても、全国政党として威を張ることに興味がなく、大阪という拠点を守り抜き、大阪の支持者を固める戦略に熱心な印象を受けた。党首となってずっと唱え続けたのは副首都構想であり、大阪への執着ばかり言い続けて来た。吉村自身が中央の政局に関心がなく、永田町の動きに積極的に介入する意思が弱い。もともと馬場伸幸を「飲み食い」問題で退けた動機と主眼が、大阪回帰・原点復初であり、そこに強い執着と意識があることが窺えていた。おそらく、吉村自身が維新をローカルパーティ(⇒地方政党)として存続させる認識であり、大阪に半永久的に盤踞し、全国政党としては自民の一部になる計画で動いているのだ。つまり、政権をめざした維新の挑戦は終わり、政党としての使命と役割は半ば終えたと諦観しているのに違いない。最後にどうしても副首都だけは実現させたいのだろう。理念と政策が同じなのだから、政党は自民一つでいい。
最初に維新に声をかけず、玉木国民に接触したのは、麻生太郎の指示に高市早苗が従順に従ったからであり、国民民主は麻生太郎、維新は菅義偉という野党連携の棲み分けの権力構図が党内に存在したからだ。麻生の子分である高市は、勝手に領域を跨いで踏み出す行為を逡巡したのだろう。戦国期、四国攻めを策した信長は、明智-長宗我部ルートと羽柴ー三好ルートの二つを巧みに操って調略と征服に臨んだが、そんな歴史を想起させる。ようやく、公明党が離脱して尻に火がついた後、首領間の縄張りや角逐などに構っている場合ではないと高市が慌て、菅義偉に維新への繋ぎを頼み込む次第となる。玉木雄一郎が最初に二つ返事で副首相・財務相ポストを応諾せず、首相ポストに色気を見せて「野党連携」の牽制ポーズで立ち回り、麻生に総総分離カードを強請って政局の時間を浪費したため、隙を衝いて維新が自民に接近、麻生は菅の前で面目を潰す結果となった。二人は相変わらず仲が悪い。
維新は本来的に自民以上に凶悪な極右イデオロギーの政党であり、さらに日本の中で最も極端で過激な、竹中平蔵直系のネオリベ(⇒新自由主義)政党である。その維新と高市自民が組んだ新政権がどのような悪魔となって国民に襲いかかるか、想像するだけで戦慄させられる。何度も警告を言ってきたが、スパイ防止法と憲法改定(9条と緊急事態条項)が現実のアジェンダになるし、その先に徴兵制と靖国国営化と核武装が待っている。スパイ防止法が強行採決され、改憲発議と国民投票が行われる時点で、それを契機にして、日本のマスコミとネットとアカデミーでもアメリカ的な赤狩り禍が吹き荒れるだろう。台湾有事はそこから始まり、日本は戦時下の体制と社会になる。戦争反対の言論を上げる者は、〝認知戦の準スパイ行為”と看做されて治安取締りの対象となり、右翼と公安警察に睨まれ、SNSアカウント凍結・削除の仕置きを受ける。消費税は20%に引き上げられ、防衛費ならぬ戦費が賄われるところとなる。
自民党の右翼反動の暴走に対して、公明党はブレーキの役割を果たしてきた。維新は逆にアクセルの役割となる。施政方針演説後の日本の政界は、自公時代とは一変して猛毒の右翼色に変色しているだろう。が、維新が加わって無所属を足しても、高市自民は衆院で過半数ギリギリの線であり、安定多数の与党勢力からはほど遠い。この数ではいつ野党が纏まって不信任案を通す局面に転ぶか分からず、対決色が強まる野党との国会論戦で仮に高市早苗の失態が続いた場合、すぐに支持率は下がり政権運営は不安定化する。文春からも醜聞砲撃が始まり、国会審議を続けるほどに政権は地盤沈下するはずだ。それゆえ、高市早苗はなるべく早く、新政権の支持率が高いうちに解散総選挙に出ると予想される。石破茂のように、野党に頭を下げて、丁寧に妥協して法案を通すという手法は高市早苗は苦手だ。安倍晋三のように、選挙で圧勝して、党の内外からの批判を強権制圧する一強スタイルをめざすに違いない。
10/27 に訪日するトランプは右翼の高市早苗を持ち上げ、安倍晋三の後継としてエンドースし、マスコミが演出報道の熱を上げるだろう。マスコミの中には安倍晋三の子分が大勢いて、安倍路線がカムバックした政局に嬉々満面でいる。右翼の気勢は盛り上がっている。高市早苗にとっては今が選挙の勝機であり、自民党の安定多数を取り戻す好機と考えておかしくなく、今頃は極秘で選挙戦略を練っているのではないか。26年間の自公体制が崩れて自維体制に変わるのだから、民意を問う大義名分は成り立つ。ガソリン税等のいわゆる「物価高対策」を片付けた後、早々に解散に踏み出すと思われ、マスコミが解散風を吹かせ始めるだろう。昨年、裏金で落選した安倍派の前職議員が大挙公認されて再登場すると想定され、萩生田光一が実務を仕切る選挙は、統一教会・日本会議が総力を挙げて安倍派復権をめざす選挙となる。憂鬱きわまる図であり、今現在は非常識な絵だが、マスコミは徐々に常識の軸を移動させ反転させる。
野党は早く迎撃の態勢をとる必要がある。今回、公明票が自民から離れる影響で、計算上52人の自民現職が危ないと言われているが、その一方で、高市効果によって右翼票が活性化され、国民や参政に散った右翼票が自民に回帰し、失う公明票の分をカバーするのではないかとも言われている。選挙の注目点だろう。今回の選挙の主役は、表面的には維新と新連立を組んだ自民党だが、真の焦点は公明党の動向である。小選挙区の公明票はどうするのか。ここがポイントだ。維新が連立条件として急に要求してきた定数削減は、明らかに公明党を狙い撃ちにしたもので、衆院の公明党に打撃を与える目的の戦略である。高市自民はこれを呑み、最早二度と自公が連立を組む将来はないことを宣言した。公明党に引導を渡した。改憲と戦争へ疾駆する高市や麻生にとって、公明党は共産党と同じく邪魔で有害な存在なのだ。ここに、公明党が反自維野党連合の中核となる必然性が出来する。すなわち一刻も早く、公明と立憲の同盟が組まれなければならない。
自維政権の反動攻勢を選挙で止めるためには、176しかない比例ではなく、289ある小選挙区で勝たなくてはいけない。公明票を最大限活用して132人の自民現職を落とさないといけない。10/18 に放送されたTBS報道特集では、珠洲に住む42歳の創価学会員が登場し、「全然まだまだ(公明党の)底力みたいなものがあると思う」「今度の戦いになった時に結果出た時が楽しみだなと」「僕ら仏教 仏法は勝負だという教えなので」と言っていた。この言葉に勇気づけられる。時宜を得た取材と報道であり、TBSのこの番組のセンスのよさに膝を打つ。つまり、この若い学会員は、次の選挙でのリベンジを期しているのであり、自民党と対抗する野党候補を選挙区で立てて、石川3区だけでなく全国で勝利しようという意気込みを語っているのだ。野党になった公明党が打倒自民・打倒高市の原動力になり、公明党を卑劣に追い出した右翼自民党に報復するのだと、決意を語っている。
頼もしい。前回記事でも少し書いたが、この男性の言葉どおり、公明党・創価学会は次の選挙で自らの実力と正義を証明しなくてはならない。結党の原点に戻り、平和と中道と政治倫理の旗を掲げ、組織を再活性化させ、自らの理念を正面から訴えて得票しなければいけない。与党離脱の決断が正しかったことを国民の前に証明しなくてはいけない。それは単に比例の票と議席を挽回することだけではないだろう。泣く子も黙る創価学会のパワーとエネルギーは、小選挙区の戦いでこそ発揮されなくてはいけないはずだ。公明党が関係を組む政党こそが常に政権与党になれるのだと、その法則を実証しなくてはならない。高市自民は維新と組み、衆院比例を50議席削減する方針を合意した。明らかに公明潰しの策であり、政権離脱して高市を窮地に追い込んだ公明への挑戦と報復を意味する。公明は今度の選挙でこれを撃破し、高市自民を後悔させる必要があり、公明票を欠いた自民がこれほど弱いのだと証明しなくてはならない。負けられない戦いだし、小選挙区こそが勝負の現場に他ならない。
立憲と公明が早く政策協議を詰め、小選挙区での選挙態勢を整えることを希望する。以下は蛇足だが、4年前、維新が805万票取って大勝利を収めた衆院選の後、大阪の独自の政治的特徴とその基盤について考察し、前期的商人資本の類型と新自由主義の思想のマッチングについて試論した。日本社会科学(講座派・大塚史学・丸山政治学)のベーシックなセオリーに準じたところの、大阪の反動性の検出と不審視の視線の投影である。それはまた同時に、わずか一党単独の力で黒田府政を誕生させ成立させたという、過去の奇跡への、大阪の小営業者が奮じた革新政治の伝統と底力への刮目とノスタルジーでもあり、その復活の希求でもあった。ブログを始めて20年余、大阪は理解不能なネオリベ・モンスターに、日本を不幸にする極右の悪魔に変身するばかりで、私はその愚痴を言い続けている。makes me wonder. だがよく見るとその一方、日本の現代政治で畝りを起こし新潮流を作ってくる、アグレッシブな要素や個性は、すべて大阪輩出だという事実に気づく。橋下徹、山本太郎、大石晃子、神谷宗弊、梅村みずほ。
一体何なのだろう。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。
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