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2026年8月22日土曜日

米海軍はいかにして水兵の食料と石鹸を不足させたのか/米艦船乗組員の精神衛生が危機的

 イラン近海に派遣されて約250日間に及ぶ米空母「エイブラハム・リンカーン」(乗組員5000人)の艦内のシャワーはカビだらけ、トイレは壊れ、洗濯機は故障、お湯が出ないうえ、食事はお粗末の極み、石鹸も脱臭剤も歯磨き粉もないという悲惨な状態ということです
 ピート・ヘグセス国防/戦争長官はこの事態について、「フェイクニュースだ」として無視していますが、それこそがフェイクです。これは起こるべくした起きたもので、他の艦内でも似たような状況にあり、終戦ないし停戦が着実に発効しない限り 悲惨の度合いは深まるばかりです。「マスコミに載らない海外記事」がこれに至った必然性について分かりやすく説明しました。
 併せて櫻井ジャーナルの記事「米海軍の艦船で乗組員の精神衛生が危機的な状態」を紹介します。
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追いつけなかったしっぽ:米海軍はいかにして水兵の食料と石鹸を不足させたのか
               マスコミに載らない海外記事 2026年8月21日
                 ラリー・C・ジョンソン 2026年8月16日
                        SONAR21
 映像は、ありふれたものだったが、どんな戦闘映像より衝撃的だった。半分空になった食事トレイ、灰色の加工肉の塊、誰も他の人より多く食べられないよう食料を分け合う水兵たち2026年の春から夏にかけて、空母エイブラハム・リンカーンと強襲揚陸艦トリポリの乗組員たちは、250日以上も海上にいたアラビア海と広大なインド洋で活動する軍艦上で、食料不足、長蛇の列、壊れたトイレ、シャワー室のカビ、故障した洗濯機、石鹸や歯磨き粉といった基本物資不足に苦しめられた。そのストレスは士気に悪影響を及ぼし、最悪の場合には乗組員の安全にも影響を与えた。
 状況が公になった時、海軍の組織的反応は否定だった。卑劣なピート・ヘグセス戦争省長官は、初期の報道を「偽ニュース」と一蹴し、第5艦隊の報道官は、乗組員は「回復力と準備態勢を維持している」とし、艦は「全ての任務を遂行する能力を十分備えている」と主張した。この対応は、失敗への反論というより、失敗の一部であるため、記憶に留めておく価値がある。指揮系統は、水兵たちがなぜ物資不足に陥っていたのかを真摯に受け止めるより、自らの即応体制に関する主張を擁護することに終始していたのだ。状況は現実のものだった。より重要な問題は、世界で最も資金力のある海軍の軍艦が、なぜ食料や衛生用品の不足に陥っていたのかだ。
 答えは、特定の空母や補給担当士官一人だけの問題ではない。それは構造的な問題で、15年かけて徐々に構築されてきたもので、一般には決して目にすることのない艦隊の一部、つまり戦闘艦に食料や燃料を供給する艦船に存在している。

艦隊の後の艦隊
 軍艦は単独では無期限に海上にとどまるのに十分な物資を積載できない。空母打撃群が港に戻らずに食料、燃料、武器を補給し続けられるのは、戦闘兵站部隊(CLF)と呼ばれる専用の補給艦隊のおかげだ。これら航行補給艦は、軍事海上輸送司令部に運用され、主に民間人乗組員構成されている。軍艦と並走しながら、両艦航行中にケーブルやホースを使って燃料、弾薬、食料、物資を輸送する。
 CLFには三種類ある。補給油艦(T-AO)は燃料を輸送する。乾貨物弾薬輸送艦(T-AKE)は兵器、予備部品、食糧を輸送する。高速戦闘支援艦(T-AOE)は最高級の資産で、燃料、弾薬、食料をまとめて輸送し、空母打撃群との間を往復するのではなく、打撃群内を航行できるほど高速だ。この最後の範疇は、単一空母が何ヶ月も遠洋に留まる場合にまさに必要な艦艇だ。そして、海軍はこの範疇を骨抜きにしてしまったのだ。

平板な数字、能力の中空化
 問題の核心はここにある。戦闘兵站部隊の現在の艦艇数は約34隻で、この数は10年以上ほぼ横ばい状態が続いている。書類上、安定しているように見えるが、実際は、部隊への要求が高まる一方、最も有能な艦艇が姿を消していくため徐々に空洞化が進んでいると言える。
 2010年頃、海軍はサプライ級高速戦闘支援艦四隻全てを運用していた。現在残っているのは二隻のみだ。2010年代半ば、海軍は運用経費を年間約3000万ドル節約するため、二隻を予備役に編入した。この決定は表計算上、妥当に見えたが、飢えた艦の甲板から見れば到底擁護できない。その理由は計算にある。高速支援艦一隻の能力を代替するには、通常、給油艦と貨物船一隻が必要となる。つまり、二つの船、二組の乗組員、二つのスケジュールで、かつて一隻の艦が一つのパッケージで運んでいた燃料、弾薬、食糧を輸送しなければならないのだ。高速支援艦隊を半分に減らせば、単独空母による継続的任務への補給は益々困難になる。
 表面的な見出しの裏で、残りの部隊は老朽化が進んでいる。中核を成すヘンリー・J・カイザー級給油艦は1980年代に建造されたもので、後継艦の到着よりも速いペースで退役が進んでいる。新型のジョン・ルイス級給油艦計画は、約20隻で艦隊を刷新することを目的としているが、一番艦が納入されたのは2022年で、2025年半ばまでに完全に運用可能になったのはわずか一隻だった。海軍独自のより新しい解決策である、より小型で多数の「軽補給給油艦」T-AOLは、2027会計年度まで建造が開始されず、2030年代まで本格的に配備されない見込みだ。国防研究者の分析上の共通認識は率直だ。兵站部隊は、現在課せられている要求に対し、十分な規模ではなく、また十分な速度も持ち合わせていない

品不足になるのに、アラビア海が最悪の場所である理由
 地理的要因により、艦隊全体の品不足が、ある船での品不足に発展し、アラビア沖やインド洋では最悪状況に近い状態になっている。
 北アラビア海に停泊する空母は、非常に長いサプライチェーンの最末端に位置しており、例えば地中海での配備のように、友好的な大規模港湾への簡単な寄航を享受できるとは限らない。乗組員が食べるものや使うものは全て展開前に艦に積み込まれているか、あるいは数の不足に悩む補給艦隊で空母まで運ばなければならない。そしてリンカーン級空母は2026年のイランとの戦争に巻き込まれ、展開期間が250日を超えたが、配備期間が長引けば、補給物資の消費は計画より速く、長く続き、まさに補給部隊が遠隔地への追加輸送最も困難な時期に発生した。長期配備と数不足の補給艦隊は、どこであれ悪い組み合わせだ。インド洋では、それが更に重なり、空っぽの棚事態と化している。
 だからこそ、まさにこの戦域で高速戦闘支援艦が非常に重要なのだ。その設計目的は、個別の給油艦や貨物艦を絶えずわずらわせず、空母打撃群を前線に維持することにある。過去二年の紅海作戦は、この教訓を海軍に痛感させた。2010年代に経費削減のため削減してきた多目的艦こそ、持続的かつ遠距離での高頻度展開のために今最も必要とされている艦種だ。この艦種の不足は、それらが建造された任務において最も深刻に感じられ、空母リンカーンに乗艦する水兵たちは、彼らの多くが入隊する10年も前に下された調達決定の代償を支払うことになったのだ。

給油船の数から空の盛り皿まで
 人員削減された物流部門から空の盛り皿に至るまでのラインは、もはや余裕がほとんど残されていないシステム上にある。最も能力の高い艦艇を次々手放しながら規模が横ばいのままの補給艦隊を率いて、遠洋で長期展開を続ける海軍は、限界ギリギリの状態で運用されている。余裕が乏しい場合、最初に問題が発生するのは最も地味な場所だ。発射できないミサイルではなく、動かない洗濯機や、底をつく厨房といった具合だ。食料、石鹸、清潔な水は、補給体制が限界に達していることを示す主要指標で、2026年のアラビア沖では、これらの指標が赤信号を示したのだ。
 人的負担は物質的被害を更に悪化させた。8か月以上にも及ぶ海上での過酷な生活で疲弊し、船上生活を耐えうる最低限の物資さえ不足している乗組員は、単なる不便さ以上の深刻なストレスにさらされている。そのストレスは士気の低下、そして最悪の場合、水兵の自殺への懸念という形で現れた。こうした人的被害を単一原因に還元するのは余りに単純化しすぎで、関係者に対して不公平だ。軍艦における士気と精神衛生は多くの要因に左右される。だが、艦隊が、乗組員の食事や衛生を維持する余裕を削りながら、益々長期化する配備に耐えるよう要求して、それにより艦内の乗組員の福祉に何の影響も及ばないと期待することなどあり得ないと言っても過言ではない。補給は贅沢ではない。乗組員の耐久力を維持するための条件なのだ。

 
 空母リンカーン上で起きた出来事を、一隻の艦船、あるいは一回の配備に関する話として捉えたくなる気持ちもわかる。だが、より有益な解釈は、それが補給チェーンの末端で表面化した症状だったという見方だ。アメリカは15年間、戦闘兵站部隊の規模をほぼ一定に保ちながら、最も有能な補給艦を削減し、給油艦を老朽化させ、後継艦の就役を遅らせてきた。一方、艦隊には、より遠く、より紛争の激しい海域での長期配備を要求してきた。このように引き伸ばされた部隊は、最初は大きな失敗を起こさない。海軍が持つ最も長い補給線の末端で活動する艦船の厨房やシャワー室、洗濯室で静かに失敗していくのだ。
 アラビア沖での物資不足は、偶然でも、噂でも、補給担当士官の不運な一週間でもなかった。それは、物資不足を防ぐための余裕を15年にもわたる決定によって徐々に失っていった結果で、そして、その影響が下級士官にまで及んだ時に、上層部が「全て順調だ」と主張した、まさに必然的な結果だった。安定した補給を受けられない艦隊は、安定して維持することはできない。空母リンカーン艦上での飢餓と物資不足は、その余裕がついに尽きたことを告げる音であり、それを経験した水兵たちは、物資不足と、それを否定する態度の両方より、もっと良い扱いを受けるべきだった。

記事原文のurl:https://sonar21.com/the-tail-that-couldnt-keep-up-how-the-us-navy-ran-its-own-sailors-short-on-food-and-soap/


米海軍の艦船で乗組員の精神衛生が危機的な状態
                        櫻井ジャーナル 2026.08.16
 アメリカ海軍の空母「エイブラハム・リンカーン」で兵士の処遇が問題になっている。ガーディアン紙によると、250日間連続で海上で活動しているこの空母の艦内は劣悪な状態で、シャワーはカビだらけ、トイレは壊れ、洗濯機は故障、お湯が出ないうえ、食事は悲惨な状態。石鹸も脱臭剤も歯磨き粉もないという。乗組員5000人の精神衛生の状態が悪化、乗組員の海への飛び込みが少なくない。同じ問題はほかの艦船でも引き起こされ、乗組員によって告発されているのだが、ピート・ヘグセス国防/戦争長官は「フェイクニュースだ」として無視している。兵士の精神状態をケアする役割のある従軍牧師が排除されているという現実もあるようだ。



 エイブラハム・リンカーンは11月21日にサンディエゴを出港、当初は太平洋に向かう予定だったが、イランとの軍事的な緊張激化にともない、西アジアへ向かった。配備は5月に終了する予定だったが、延長されている
 アメリカ軍とイスラエ軍は2月28日にイランを奇襲攻撃。両国は問題を話し合いで解決するとイラン政府に信じ込ませ、要人を地上の1箇所に集めた上での騙し討ちだった。その攻撃で最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師、参謀総長のアブドルラヒム・ムサビ、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニなどイランの要人が殺害された。
 この攻撃でイスラエル軍はミナブ女子小学校も攻撃、168名から180名を殺している。その大半は7歳から12歳の少女。攻撃は数度あり、最初の攻撃で生徒たちが避難した礼拝堂も狙われている。最初の攻撃で人びとを一カ所に集め、救助隊もろとも殺す計画だった可能性が高い。いわゆる「ダブルタップ攻撃」だ。この殺害はカルト的な「儀式」で、生徒たちは生贄になったとする人もいる。

 この「斬首作戦」でイランの体制は崩壊するとアメリカやイスラエルは想定していたようだが、そうした展開にはならず、激しい反撃でアメリカが西アジアで使用していたカタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地などが攻撃された。イスラエルではテルアビブやハイファといった都市、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)近辺が攻撃され、破壊された。イスラエルもアメリカもミサイルは迎撃用も攻撃用も枯渇状態だ。
 イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)が3月1日に発表したところによると、エイブラハム・リンカーンは3月にイラン南部沿岸から約340キロメートルの地点まで接近したが、IRGSが発射した4発の弾道ミサイルによる攻撃を受けたという。
 アメリカ国防総省は否定しているが、IRGCはその後もドローン攻撃や巡航ミサイル「カデル」で空母を攻撃したと発表。エイブラハム・リンカーンはイランから1100キロメートル離れたオマーン沖へ移動せざるをえなくなった
 やはり西アジアへ派遣されていた空母ジェラルド・R・フォードは船内で大規模な火災が発生したとして離脱、修理のためにクレタ島へ向かったと伝えられている。修理に1年以上かかるという。そのかわり、空母ジョージ・H・W・ブッシュが派遣された。
 館内がこうした状態になっている最大の理由はドナルド・トランプ政権の判断ミスにある。ウクライナでの戦争でも言えることだが、アメリカは簡単に勝てると信じて戦争へ突入、泥沼から抜け出せないでいる