2024年9月26日木曜日

ウクライナ停戦機運の強まり(田中宇氏)

 田中宇氏が掲題の記事を出しました。
 仏マクロン大統領と独ショルツ首相などの支配層は、ようやくウクライナでの敗北を認め停戦や対露和解を望むようになりましたが、広く俯瞰すればウクライナ停戦や対露和解は少なくとも当面実現しそうもないというのが実情です。まず米英が停戦や対露和解に反対だし、民意とは無関係なEU最上層部はウクライナ戦争の敢行に傾いている上に、NATOはEUよりもさらに対米従属的であるからです。
 残る希望は民主党の選挙不正に堪え抜いてトランプが大統領の席につくことで、そうなればトランプは米国のデープステートの強制を排除してウクライナ停戦を勝ち取るだろうと述べています。
 ウクライナ戦争を「米国の金儲け」の視点から見れば余りにも非道であって、一刻も早くやめるべきものです。
 関連記事
  ロバート・ケネディJr、ウクライナ戦争の真実を暴露(賀茂川耕助氏)9月21日)
  ウクライナは勝てないと米国が認める9月18日)
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ウクライナ停戦機運の強まり
                  田中宇の国際ニュース解説 2024年9月24日

フランスのマクロン大統領が9月23日、欧州はウクライナ終戦後にロシアと関係改善すべきだと表明した。
マクロンは、対露関係に関してもともと風見鶏だ。ウクライナ開戦直後の2022年6月にはロシアを追い詰めない方が良いと言っていたが、その後ウクライナが勝ちそうだと思ったのか、好戦派に転じた。
今年初めには、ウクライナの対露敗北を避けるため、NATO軍のウクライナ派兵が必要だと発言し、代理戦争を態勢を変えたくないNATO諸国の多くから拒否されている。
Macron calls for new international order in response to war in Ukraine

そして今回マクロンは、ウクライナがもう勝てない状態になっていることに加え、マクロン自身の人気低下と連立政権内の不和拡大への対応策として、フランスや欧州での厭戦機運の高まりに呼応するかたちで、対露停戦和解を語り出した。
マクロンの発言は、キリスト教会系の集会で発せられた。Macron calls for new world order)(Macron Calls for New European Order

最近、ウクライナ停戦と対露和解を進めるべきだという世論が全欧で強まり、フランスのルペンやドイツのAfDなど対露融和的な右派政党が選挙のたびに優勢を増している。
戦場でも、欧米が支援するウクライナが潰れかかっている。マクロンは、仏政界で勝てるうちに勝っておこうと考えて前倒しで議会を解散して7月の総選挙に打って出たが、1回目の投票でマクロンの中道派が見事に負け、ルペンらの右派に最優位を奪われた(左派が2位)。欧州エリート支配の崩壊

仕方がないのでマクロンは、これまで仲が悪かった左派と結託し、左派と中道派が選挙協力して右派を負かす目的で候補者を再調整・統合した。その結果、右派は選挙技術的に敗北し、左派が1位、中道派が2位となり、左派と中道派が連立して右派を排除する議会運営が始まった。
だが、マクロンと左派の仲の悪さがすぐに露呈した。左派は、マクロンが指名した中道系の首相候補を繰り返し拒否し、8月から9月にかけてマクロン弾劾決議案やマクロン反対の左派のデモが行われた。French Left Calls For Mass Protest Against Macron After He Blocks Its Choice For French PM

左派の反対を何とか乗り越えて、9月5日に中道派のバルニエ首相が就任して9月21日に組閣したが、閣僚はマクロンが好む中道右派が多く、左派は不満いっぱいだ。
マクロンと左派の連立政権は短命に終わりそうだ。マクロンの任期は2027年までだが、その前の来春ぐらいに辞任せざるを得なくなるという予測も出ている。

仏独など西欧諸国は、ウクライナ敗色、無根拠な温暖化対策で燃料費高騰、移民(経済難民)積極受け入れの負担増など、エリートたちの超愚策の連続で経済社会の自滅が加速している。不況がひどくなっていく。
エリート諸政党が選挙で負け、各種超愚策に反対し続けてきた右派(極右)が優勢になって与党化していく流れは必然だ。Olaf Scholz has a sudden moment of clarity about Russia

欧米日のマスコミは、欧州の市民がとんでもないナチスな極右を支持していると喧伝するが、マスコミ自体が超愚策の喧伝屋で大うそつきだ。マスコミを含むエリートは超愚策を拡大し続けたのだから、選挙で負けるのは当然だ(マスコミも早く潰れるべき)。
エリートは対米従属やWEF大リセットなどに縛られ、超愚策をやめられない。右派は、縛りの枠外にいるので民意を汲み取って愚策反対の政策を掲げ、政治優勢を得ている。民主主義が機能している。
欧州は、米国のような大規模な選挙不正をしておらず、まともだ(ドイツ地方選で少し不正があったが、あの程度が限界なのだろう)。米国のように、バレずに不正をやれるなら、もっと早くやっていたはずで、マクロンの窮地もなかっただろう。West rethinking stance on Ukraine

マクロンや独ショルツなど、西欧のエリートが権力を維持するには、民意を汲み取り、右派と同じ政策に転換するしかない。今回のマクロンの対露和解提案は、このような背景で出されている。
独ショルツ首相も8月8日、テレビのインタビューで、ウクライナを早期に停戦したいと表明した。ドイツはこれまで(米国に求められるまま)欧州で最も多くの兵器をウクライナに送り込んできたGerman chancellor wants to end Ukraine conflict ‘faster’

(独仏などは最近、移民問題でも、これまで国民がいくら反対しても中東やアフリカから大量に移民・経済難民を受け入れ続けてきた策を反転し、移民の流入停止や送還を開始した。EU・シェンゲン条約機構内の無検査の自由移動も廃止し、ドイツなどが国境検問を再開している) リベラル全体主義・リベ全の強まり

仏独の支配層は、自分たちが不利になる中で、ようやくウクライナでの敗北を認め、停戦や対露和解を望むようになった。だが、視野を広げて俯瞰すると、ウクライナ停戦や対露和解は、少なくとも当面、実現しそうもない。
独仏は、安全保障に関して対米従属であり、独仏を支配する米国(諜報界=深奥国家・DS)は、停戦や対露和解を進める気がなく、ウクライナもしくはその他の地域での対露戦争をずっと続ける姿勢を変えていない

仏独の首脳よりも、対米従属の傾向が一段高いEUの国防相(リトアニア元首相のアンドリウス・クビリウス)は最近、欧米NATOとロシアとの戦争は今後まだ6-8年続くとの予測を発表した。ロシアは戦争を長期化したがっており、EUはロシアとの長い戦争を覚悟せざるを得ないという。EU’s Defense Chief Says Europe Must Be Ready To Fight Russia in 6-8 Years

仏独の政府は選挙で選ばれるので民意を反映せざるを得ない。EUにも議会(欧州議会)があり、そこでは停戦や対露和解を求める右派が強くなっているが、EUの政治は多様な派閥の連立制になっており、エリート系の中道派や左派が組んで反エリートな右派を排除し続けている。
そのためEU最上層部の人事は、欧州の民意が反映されない。その分、EU上層部は米英覇権(諜報界)からの介入を強く受け続け、米国の言いなりで対露好戦的な勢力がEUを上から握っている
いま欧州で最も対露好戦的なのは、ロシアと国境を接するバルト三国だ。ウクライナが兵力の使い果たしなどで対露戦争を継続できなくなったら、次はバルト三国かポーランドで、ロシアやベラルーシとの戦争が始まりそうだ。ポーランドの上層部は最近、親露派と反露派が内紛し続けているが、バルト三国はバリバリのロシア敵視派が握っている。

EUトップの首相職(欧州委員長)には、米諜報界の傀儡で、リベラル全体主義が大好きな、元独国防相のフォンデアライエンが続投している。彼女は、WEF(ダボス会議)の申し子で、1月のダボス会議では、欧米右派に対する大規模な言論弾圧・言論を理由にした右派弾圧を大々的に開始するリベ全を提案した(リベ全=偽情報禁止策は、今年ダボス会議の主題だった)。
そんなフォンデアライエンは最近のEUの組閣で、EU外相にエストニア前首相のカヤ・カラス、EU防衛相にリトアニアのクビリウスを配置した。いずれもバルト三国を代表するロシア敵視な政治家だ。EU President Demands Globalist Control Over All Information

EU上層部は、欧州の民意を全く無視し続け、ゴリゴリの米傀儡として、ロシア敵視とウクライナ軍事支援を継続する構えだ。NATOは、EUよりもさらに対米従属だ。
このような状態なので、仏独など欧州諸国の多くが、民意を反映してウクライナ停戦と対露和解を求めるようになっても、民意と関係ないEUやNATOは、加盟諸国の意向を無視し続け、ロシア敵視と戦争継続を志向し続ける。
ウクライナが兵力的にへたばって戦争継続できくなったら、ポーランドやバルト三国に戦場を拡大・移動してロシア敵視の恒久化を試みるかもしれない。米諜報界が動けば、何もないところから戦争を起こせる。

米覇権を牛耳る諜報界は、米国だけでなく英国も支配している。英国の外相(David Lammy)は最近の講演で、ウクライナ戦争は今後さらに激化・深化し、2026年まで続きそうだと予測した。
米諜報界や英国、NATO、EUは、露敵視やウクライナ戦争をまだまだ続ける気でいる。
Ukraine conflict could continue beyond 2026 - UK FM

欧州の民意や、仏独などしだいの多くの欧州諸国の政府は、ウクライナを停戦して対露和解したくなっている。だが、欧州を支配する米諜報界は、ウクライナ戦争や露敵視をずっと続けたい。停戦派と好戦派が交錯しつつ、ウクライナの現場はしだいに戦争継続が困難になっている。
露軍は今年、ウクライナのインフラを破壊する空爆を強化し、ウクライナの電力網の7割がすでに破壊されている。今冬、ウクライナの多くの地域は暖房がなく、人々は昨年よりさらに厳しい生活を強いられる。Coming winter ‘sternest test yet’ for Ukraine - IEA

欧米は昨年、ウクライナ政府財政の50%(191億ドル)を資金援助してくれたが、今年は27%(106億ドル)しか出してくれない。欧米がウクライナを支援する余力や意欲が、しだいに失われているWest has halved financial aid to Ukraine - media

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ウクライナの国家体制が残っている間に、ロシアと交渉して停戦和解を実現したいと思っている。今年7月には、ハンガリーのオルバン首相に仲裁役を頼んだりした。対露和解を望み始めたゼレンスキー

だが、ウクライナ政府を傀儡化している米国は、対露和解を許していない。ゼレンスキーは本心と裏腹に、米国から命じられるままに戦争を続けざるを得ない
ゼレンスキーは9月22日に訪米し、米国がウクライナを軍事支援し続ける計画を米政府に提案した。ウクライナ支援をやめたいトランプが大統領になっても、支援を続けざるを得ないよう、米国とウクライナの間でNATO型の拘束力のある条約を結ぶ話などが盛り込まれている。Zelensky aiming to ‘Trump-proof’ aid

これら米国を巻き込む策略は、ゼレンスキーらウクライナ側が立案したことになっているが、実はたぶん違う。米諜報界が自分たちの利益のために立案し、傀儡のゼレンスキーに実行させている。ゼレンスキーの本心は、トランプに頼ってウクライナを停戦したいはずだが、それと逆のことをやらされている。
米諜報界は、ゼレンスキーを動かして米政府に軍事支援金を出させ、諜報界傘下の米軍事産業がフル稼働でウクライナ向けの兵器類を製造し続ける構図を作っている
ゼレンスキーは、ウクライナのためでなく、米諜報界のために働かされている。ウクライナ戦争は、ウクライナや欧州のためでなく、米諜報界のために長期化されている
Zelenskyy Begins Busy US Week With Tour Of Pennsylvania Ammo Plant

米諜報界は露敵視勢力だ。しかし諜報界には、隠れ多極主義者もいて、彼らはウクライナ戦争を長期化することで、こっそりロシアを強化し、露中非米側を台頭させ、欧米を自滅に導いて世界を多極化している。
ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ開戦時から、この戦争が長引くほど、ロシアと非米側が優勢になり、米国側が自滅していくことを知っていた。米国側のマスコミは、支配者である諜報界の隠れ多極派の策略に乗せられ、露軍が大敗し続けていると意図的に歪曲報道し続けたが、ロシアは米側の歪曲報道を否定せず黙認したまま、じわじわと少しずつ勝ち続け、露軍優勢な中で戦争を長期化してきた。

ウクライナの真ん中を流れるドニエプル川には20本の橋がかかっているが、露軍はこれらの橋をほとんど攻撃せず、ウクライナ軍が橋を渡って露軍を攻撃しに行くことを、この2年半の間、ずっと容認している。露軍が橋を攻撃して落とせば、ウクライナ軍の補給路を断てる。それは戦争の基本であるが、ロシアはそれをやっていない。不可思議だ、と有名な在露米人ブロガーが書いているWhy Won’t Russia Destroy Ukraine’s Bridges Across The Dnieper?

私から見ると不可思議ではない。ウクライナ戦争が露軍優勢な中で永続することが、ロシアの国益を最大化するのだから、露軍よりかなり弱いウクライナ軍のために補給路の橋を残してやり、露軍の優勢を少しに限定する策をやっている。露軍は意図的に「飛車角落ち」にしている

ウクライナ軍は8月に対露国境を少し超えてクルスクに侵攻して占領した。それから1か月以上が過ぎたのに、強いはずの露軍はいまだに敵軍を自国領から追い出さずにいる。これも、私から見ると意図的な「弱いふり策略」だ。
ウクライナ軍がクルスクを占領している限り、世界のいろんな勢力が「ウクライナと和解してくれ」とロシアに要請しても、ロシアは「クルスクを占領されている限り、ウクライナと和解できない」と突っぱねる。
クルスク侵攻は米諜報界の立案で、ゼレンスキーは拒否できる立場にない。諜報界は開戦時から「ウクライナは勝たねばならない」という強迫観念を米欧に植えつけてある。米欧がウクライナ軍に、クルスクからの自主撤退を許すことはない。
大状況が転換しない限り、露軍がウクライナ軍をクルスクから追い出すこともない。ロシアとウクライナは停戦交渉に入れないウクライナ戦争で米・非米分裂を長引かせる

クルスク侵攻は、ウクライナにとって得るものがなく、兵力の浪費になっている。だが最近、米英の諜報長官がマスコミ主催の会合に参加し、2人揃ってウクライナ軍のクルスク侵攻を絶賛した。ウクライナ軍の士気を高める素晴らしい作戦だと。
これは噴飯ものだ。米英の諜報機関が、隠れ多極派に牛耳られていることが見て取れる。
CIA, MI6 Chiefs Praise Ukraine's Kursk Invasion For Bringing War To 'Ordinary Russians' 

ウクライナ戦争は、米諜報界の隠れ多極派とプーチンのロシアの共同作業によって、露中・非米側の台頭と米覇権自滅を引き起こす策略として長期化されている。停戦は、なかなか実現できない。仏マクロンの対露和解も実現困難だ。実現する前に、マクロンが辞任に追い込まれそうだ。
とはいえ、この行き詰まりを一発で大転換できるシナリオも存在する。それは11月の米大統領選挙でトランプが勝つことだ。
トランプが勝って大統領への返り咲きが決まると、トランプは、すでにウクライナ停戦和平のために動いているハンガリーのオルバン首相などと連動し、停戦実現に向けて動き出す。トランプが来年1月に大統領に返り咲くと、諜報界の動きを上書きして、ウクライナ軍を自主的なクルスク撤退に誘導できる。
マクロンは、トランプにすり寄ってウクライナ停戦に協力し、政治的な延命を図れる。独ショルツも静かにすり寄ってくる。

少し前まで、欧州でウクライナ停戦・対露和解に賛成していたのは、オルバンや独AfDなど、マスコ"ミに「極右」呼ばわりされる右派だけだった。独仏EUの首脳などエスタブ・主流派の勢力は、こぞって露敵視・ウクライナ徹底支援だった。
欧州のエスタブ群は米民主党の仲間であり、トランプの敵だった。NATO内で、トランプが返り咲いた場合の「危機対応策」が検討されていた。EUはオルバン制裁を推進していた。
だが今や、仏独首脳が政治延命のためにウクライナ停戦・対露和平派に転向した。オルバンは、EU諸国の政界でウクライナ和平派が急増していると喜んでいる。More EU leaders joining ‘peace camp’ - Orban

この流れの中で米国がトランプになると、欧米全体でウクライナ和平派の力が一気に強くなって主流派になる。米仏独が和平派に転換し、露敵視を維持しているのはEU上層部と英国、バルトなど東欧小国群の一部だけになる。
トランプは、米国と世界を隠然と支配する「民主主義の敵」である米諜報界を潰すために大統領になった。2期目も、諜報界との果たし合いになる。
米欧は、露敵視を続ける米諜報界とその傀儡のEUフォンデアライエン一派や英国などと、ウクライナ停戦したいトランプと欧州の仲間たち(オルバンや仏独)という対立軸になる。対立は、露敵視の優勢から、対露和解の優勢へと大転換する。欧州でトランプ待望論が強くなっている

この転換は、プーチンにとって迷惑だ。だが、仲良くしたいと言ってくる人々を無視するわけにもいかない。プーチンはこれまで米大統領選について、バイデンやハリスが勝つ方が米国がどう動くか予測できるので良い(トランプになると予測困難なので嫌だ)と繰り返し言っていた。
だが、欧州でトランプ待望論が強くなり出した最近、プーチンの腹心であるラブロフ外相が「プーチンのハリス支持発言は冗談でした」と言い出した。米国は深奥国家(DS=諜報界)が支配しており、ハリスとトランプのどちらが勝ってもDS⇒デープステートが米国を支配する状況は不変なので、どっちが勝っても良いんです、とラブロフは説明した。Putin’s Kamala endorsement was a joke - Lavrov

なるほど。でも、トランプが勝つとDS支配を破壊しそうだけど。それはロシアにとって良いことなのかどうか。ラブロフはその辺について言っていない。
私の見立てでは、プーチンがハリス支持論を冗談だったとラブロフに言わせた理由は、欧州でトランプ待望論が強まっているので、それと対立するハリス支持論を希釈・撤回することにしたのだろう。

米大統領選の勝敗を決めるのは欧州人やロシア人でなく、米国民だ。しかし、それも建前だ。米民主党は、諜報界の協力を得て、2020年と2022年中間選挙で郵送投票制度や開票作業を使った大規模な選挙不正をやり、完全犯罪として成功している。
米諜報界では昔から、単独覇権派と多極派が馬鹿し合いの暗闘を続けてきた。これまでは民主党の選挙不正が成功したが、今年はわからない。不正が不十分に終わるかもしれないし、トランプ陣営が不正を乗り越えて勝つかもしれない

私は最近の記事で「米大統領選は、リベラル全体主義(リベ全)の完全犯罪的な歪曲の中に入った。リベ全のウソはバレたことがない。ハリスがトランプを落とす選挙不正もバレず、トランプは勝てない」という趣旨を書いた。無能なハリスを有能と歪曲する

だが、米諜報界の多極派は、トランプと支持者たちを頑張らせ、ハリスの選挙不正を乗り越えて選挙に勝ってトランプ返り咲きを達成するというシナリオを用意しているのかもしれない。難攻不落だった極悪なリベ全を、トランプと支持者たちが壊し、米国の民主主義と言論の自由を取り戻す。
こういう革命のシナリオを用意して人々に具現化させることで、強い政治体制を作れる(だから、かつての諜報界=ユダヤ資本家群はフランスの民衆に革命をやらせ、強国=近代国家を作るモデルを作った)。
人々を頑張らせて勝たせるシナリオを経ないと、せっかく作った新体制を、再び軍産単独覇権派に奪われかねない。だから多極派は、リベ全とか大リセットとかコロナワクチンなど、トンデモな極悪物を作り、人々にそれを乗り越えさせようとする。
もちろん世界には、どこかの国民みたいに、乗り越えずに従属・順応してしまう「劣等生」もいるが、そういうのは放っておく(ラッキーです)。

トランプが勝つと、米国側の大転換が加速する。ならば勝たせてみようかと、諜報界の多極派とかが面白がってやりたがる感じはする。プーチンは困っているが、習近平はトランプの方が各地の戦争が終わるので良いと思っている。
コロナ以来、DS(深奥国家=米諜報界=米覇権運営体)は、米諜報界と中共の共同覇権であるDH(深奥覇権)へと転換・止揚している観がある。WHOやIPCCを握っているのは米国でなく中共だ。習近平が望むならトランプが返り咲く、ともいえる。
DH⇒デープヘゲモニー?の話は、まだ考察中だ。いずれ書きたい。

26- ウクライナ - ゼレンスキーの「勝利計画」の茶番

「マスコミに載らない海外記事」に掲題の記事が載りました。
 辛辣なタイトルですが、26日付の別掲の記事や下記の記事になどに照らすと、やはり甘いというしかありません。
  ロバート・ケネディJr、ウクライナ戦争の真実を暴露(賀茂川耕助氏)9月21日)
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ウクライナ - ゼレンスキーの「勝利計画」茶番
                マスコミに載らない海外記事 2024年9月24日
                    Moon of Alabama 2024年9月21日
 8月27日、ウクライナのウラジミール・ゼレンスキー元大統領は、ロシアとの戦争を終わらせるための計画を近日中に提示すると発表した。

 火曜日、ロシアとの戦争は最終的には交渉で終わるだろうが、キーウは強い立場に立つ必要があり、ジョー・バイデン米大統領と大統領候補二人に、その計画を提示するとウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は述べた。
 三週間前、キーウがロシアのクルスク地域に侵攻したのはその計画の一環だが、経済面や外交面での他の措置も含まれるとウクライナ大統領は記者会見で述べた。
 2022年2月のロシアの全面侵攻によって始まった戦争について「この計画の主旨は、ロシアに戦争を終わらさせることだ。そして私はそれがウクライナにとって公平なものであるよう心から望んでいる」と、ゼレンスキーはキーウで記者団に語った。
…  ニューヨークで開催される国連総会に出席するため、9月にアメリカに行きたいと望んでおり、バイデンと会う準備をしているとゼレンスキーは述べた。

 この計画は大統領候補のカマラ・ハリスとドナルド・トランプにも提示される予定。
 この発表は、長期的展望を求めるウクライナ支持者の暗黙の要請に応えて行われたものと考えられている。
 その後計画の詳細が少しずつ漏れてきた。

来週アメリカのジョー・バイデン大統領に提示する予定の勝利計画に関する新たな詳細をウォロディミル・ゼレンスキー大統領は明らかにした。...
 「この計画に関する決定は主に彼(バイデン、編者注)次第だ。他の同盟諸国にも左右されるが、アメリカの前向きな意志と支援に左右される点もある。彼がこの計画を支持してくれるよう心から願っている」とゼレンスキーは述べた。...
 「この計画は10月から12月の間に採択される必要がある決定に基づいている。それで計画はうまくいくと我々は考えている」と同は述べた。
 これに先立ち、この計画はウクライナの防衛力を強化するための四項目と「戦後に必要となるもう一つの項目」から構成されているとゼレンスキー大統領は明らかにした

 「勝利計画」は、ウクライナの実際の行動計画ではなく、ウクライナの「欧米」支援諸国に対する要求リストだ。
 これら要求が満たされれば、ウクライナは戦争に勝利し、ウクライナの10項目和平案を受け入れるようロシアに圧力をかけられるとキーウでは理論づけられている。
 ゼレンスキーの顧問は次のように説明している

「勝利計画」は「ロシアが和平案と和平サミットを無視できなくなるような状況と雰囲気を作り出すこと」を狙っているとゼレンスキー大統領に近い情報筋がキーウ・インディペンデント紙に語った。
…  「何らかの和平交渉を行う段階に到達するには、ロシアが負けると感じなければならないが、問題は、まだその段階に至っていないことだ」と下院軍事委員会のジミー・パネッタ民主党議員がキーウ・インディペンデント紙に語った。
 先週末キーウでゼレンスキー大統領や他の政府関係者と会談したパネッタ議員は「この勝利計画の一部は、その地点に到達するため戦場状況をいかに整えるかというものだと期待している」と述べた。

 他の報道から、ゼレンスキーの「勝利計画」の要求に下記が含まれていることが分かっている。
  1.ロシアへの無制限の長距離ミサイル攻撃を許可する
  2.1991年の国境で、近い将来にNATOに加盟するようウクライナを招待する
  3.ウクライナの欧州連合加盟について直ちに交渉し、承認する
  4.ウクライナに高度な重火器を恒久的に供給する
  5.いかなる制限も付さずに「復興」のため数千億ドルの追加資金を提供する
 もちろん「勝利計画」の要求は法外かつ妄想的で、実現される可能性はほとんどないか、まったくない
 従って、この計画は拒否されるために策定されたとウクライナのゼレンスキー反対派は確信している。この計画が拒否されれば、ゼレンスキーがロシアとの和平交渉を正当化するために利用されるだろう(機械翻訳)。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、拒否を引き出して、ロシアとの交渉を開始するため、アメリカに「勝利計画」を伝える予定だ。
 この意見はユーリー・ルツェンコ元検事総長が表明した。
 ルツェンコによれば、前線の状況をウクライナ政府が常に同盟国のせいにするのはそのためだ。
 「長距離ミサイル「Jassm」「Atacms」「ストームシャドウ/スカルプ」の許可をアメリカが我々に与えようとしないからこそ問題が起きているのだと大統領府プロパガンダ機関全体が絶えずウクライナ国民の頭に叩き込んでいる」と元検事総長は書いている。

 従って、ウクライナではなく、ゼレンスキーの本当の勝利計画は下記のようなもののはずだ。
 ルツェンコによれば、ゼレンスキーは次のような計画に従って行動している。

武器と資金に関する新たな大規模な要件リストを我々はアメリカに提出している。
これが戦争の進路を変え、1991年の境界線に戻すことになるのではないかという控えめなな懸念を我々は抱いている。
我々は見捨てられており、ロシアの参加を得て世界フォーラムに復帰する以外には選択肢がないと宣言する。
交渉中、プーチン大統領からイスタンブール風の要求を我々は受けている。
これは国民投票の対象で、そのためには停戦が必要だと我々は宣言する。
我々は停戦協定に署名する。
我々は世界の大統領としての大統領選挙を実施する。できれば、民主主義が干渉されないよう、戒厳令を解除せず、軍の募集事務所が投票所を管理できるようにする。
 これを「ウクライナ政治と同盟国双方が容易に読み取れる身勝手な見世物」とルツェンコは呼んだ。
 ルツェンコが挙げたゼレンスキーの本当の計画は、巧妙に聞こえるし、普通の国ならうまくいくだろう。だが、ウクライナは少数の武装した冷酷なファシスト連中が全ての主要政治決定を掌握している国だ。彼らはロシアとのいかなる交渉や譲歩にも断固反対しており、そのような方向に進もうとする政府があれば打倒すると脅している。
 この連中を、ゼレンスキーが説得し、計画に同意させられるとは到底思えない。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/09/ukraine-zelinskis-victory-plan-charade.html#more 

2024年9月25日水曜日

高市早苗氏の恐るべき“居直り体質”と“軍拡主義” もし首相になったら「日本は終わる」

 マスコミの調査によると、自民党総裁選では小泉進次郎氏には当初の勢いがなく、順位は石破氏・高市氏の後を追う3位につけているという見方が多いのですが、進次郎氏のバックには名うての策士 菅義偉氏がついているので甘く見るのは危険でしょう。
 進次郎氏と対照的なのが高市氏であり、いくら自民党だからと言って『極右』だけであれだけの勢いを持てるのでしょうか? 高市氏で特徴的なのは推薦人中に占める「旧統一協会と接点を持つ議員」の数が15人と、全候補者中でトップである点です(13人とも)。
 進次郎氏が立候補表明の記者会見で、「首相になれば夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進める。…もう議論ではなく決着をつけるときではないか」と軽やか?に述べたことが旧統一協会幹部をいたく刺激したために、その後彼らの支援を極右の高市氏に「一点集中」させた結果「この順位」になったといわれています。
 進次郎氏は多分「旧統一協会」がそんな力を持っているとは考えなかったのでしょう。「旧統一協会」はネトウヨなどとは全く違い、特に選挙時には恐るべき力を発揮します。その点では高市氏はしたたかであり 見事なまでに彼らの力を活用しています。
 高市氏は1994年にナチス礼賛本『HITLER ヒトラー選挙戦略』に推薦文を寄せたり、1994年から2001年にかけて少なくとも5回も統一協会関係紙「世界日報」に登場し、「夫婦別姓。私は大反対」などの発言を繰り返しています。
 9月11日)米国の影と危うい新自由主義 進次郎出馬/高市早苗のヤバさは極右思想だけじゃない

 前置きが長くなりましたが、元経産官僚の古賀茂明氏が掲題の記事を出しました。極右で大ウソつきの高市氏がもしも首相になれば日本は終わります。
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高市早苗氏の恐るべき“居直り体質”と“軍拡主義” もし首相になったら「日本は終わる」
                       古賀茂明  AERA dot. 2024/09/21
 自民党総裁選挙が終盤に入った。全国紙などが行う世論調査では、石破茂、小泉進次郎、高市早苗の3氏が他の候補を引き離していて、 そのうちの2人が 決選投票に残ることがほぼ確実な情勢だ。

 私はある陣営から自民党の党員・党友だけを対象にした9月16日実施の調査結果を入手した。2000人超の回答を得ているので、かなり信頼できるものだ。
 それによると、石破氏の支持率が34.9%と非常に高い。1週間前にも同じ調査が行われたが、石破氏の支持率はほぼ変わらず安定的に推移しているそうだ。
 一方、2位と3位には異変が起きた。1週間前には石破氏の後を追って小泉氏が2位につけていたが、今回の調査では2位が高市氏となっている。しかも高市氏が21.7%、小泉氏が17.2%で、その差は4.5ポイントも開いた。
 小泉氏はもともと圧倒的に知名度が高く、序盤では石破氏と互角かそれ以上の支持を得ていたが、時間とともに失速するのが明確になった。
 一方の高市氏は、小泉氏や石破氏に比べると、全国的な知名度はかなり低く、序盤での支持率は両氏にかなり引き離されていた。しかし、その後急速に支持を伸ばし、16日時点で小泉氏を抜いただけではなく、かなりの差をつけている。このまま行けば、高市氏と小泉氏の差はさらに広がりそうだ。
 総裁選の決選投票では、石破対高市になる可能性がかなり高くなっているわけだ。
 自民党員は、自民党内の動きには一般人よりもはるかに詳しい。
 本コラムでは、1月下旬に行われた党員調査を紹介したことがあるが、その時も例えば上川陽子外相の支持率が意外と高かったのに驚いたのを覚えている。麻生太郎元首相が上川氏を持ち上げる発言をして注目され、一般の人はほとんど知らなかった時点の調査だったので、自民党員がいかに一般人よりも自民党内のことをよく知っているかが分かった。
 今回も党員が小泉氏の発言などを詳しく見ていくことにより、同氏の実力に疑問を感じる人が増えていったということなのではないかと推測される。

高市総裁誕生の可能性も
 一方の高市氏は、自民党の総裁選挙管理委員会が党員などへの文書郵送禁止を通達する前に、政策リーフレットを郵送したことにより、党員に名前と政策を売り込むことに成功した可能性がある。仮にこの推測が正しいとすると高市氏の総裁選挙ルール回避行為によって情勢が左右されたことになり、総裁選そのものの信頼性に疑問が生じる。
 1回目の投票で上位2人が石破氏と高市氏になった場合、決選投票で国会議員票がどう動くのかを見通すことは困難だ。
 ただし 1回目の投票で石破氏が35%を超える党員票を得て、高市氏が20%程度にとどまった場合、2回目の投票で国会議員票を集めて高市氏逆転勝利という結果を導くことに国会議員が躊躇する可能性がある。石破氏支持の党員の声を無視して、国会議員が高市総裁を決めたとなれば、自民党への支持率が下がり、来たるべき総選挙で自分が不利な立場に立たされるという懸念を抱く議員が増えるからだ。
 その意味では、石破氏が党員票でどれだけ高市氏を引き離すのかがカギになりそうだ。
 先週、ある自民党の大物議員と複数の官僚OBと昼食を共にする機会があった。
 そこでもやはり、石破氏有利ではあるが、高市総裁誕生の可能性も十分にあるということが話題になった。
 興味深いのは、自民党総裁が石破氏になるか他の候補になるかで、今後の政治は全く異なるものになるだろうということで参加者の意見が一致したことだ。
 石破氏以外の候補の話を並べてみると、結局は、金融緩和は続ける、大企業支援も中小企業支援も大々的にやる、子育て支援をやる、介護・保育労働者の賃金を上げる、地方への投資を拡大する、雇用の流動化や規制改革などで生産性を上げる、そして、軍備は拡張するというようなことが並ぶ。基本的に安倍政治が標榜していたこととの違いは見えない。
 一旦決めた増税をやめるという茂木敏充氏を含め、アベノミクスの第1の矢である異次元の金融緩和と第2の矢の無責任な財政出動が主役の経済政策の継続を宣言しているようなものだ。河野太郎氏だけがかろうじて野放図な財政拡大への懸念を示したが、同氏を含め、アベノミクスへの正面からの反省の弁は誰からも聞かれなかった。
 アベノミクスの結果として、通貨価値が下がって円安と物価高が進行し、上がらないと言われていた金利も上がり始め、政府の利払い負担が拡大する可能性が高まっている。

唯一、アベノミクスへの反省を見せる石破氏
 このようにアベノミクスの弊害が噴き出す一方で、第3の矢として喧伝された成長戦略はいまだに成果が出ない状況だ。一方、各候補が唱える成長戦略には全く新味はなく、アベノミクスの焼き直しに過ぎない。これまで12年間近くやって失敗したのに、また同じことをやってうまくいくと考えているのだから「馬鹿につける薬はない」とはこのことである。
 そんな中で唯一違いを見せているのが石破氏だ。

 石破氏は、安全保障分野では、日米地位協定の見直し、さらには在沖縄米軍基地の共同管理という極めてハードルの高い問題を取り上げた。これまで自民党の中ではタブーとされてきた問題だ。アメリカに従属する日米同盟関係を見直したいという意欲が見て取れる。
 石破氏は、アベノミクスについて検証するのは当然のことだとも述べた。
 旧安倍派をはじめアベノミクスを信奉する議員たちの反発を買うのは得策ではないので、言い方はかなり注意深いものだったが、アベノミクスへの反省を踏まえた政策転換を打ち出そうとしていると見て良いだろう。こんなことを言えるのは石破氏だけだ。
 石破氏が主張する金融所得課税強化もアベノミクスとの決別を象徴する政策だ。土地と株さえ上がれば良いという安倍晋三・菅義偉・岸田文雄各氏の政策を根本から否定すると言っても良い。格差放置政策転換の狼煙である。案の定、他の候補からは反対の集中砲火を浴びているが石破氏は揺るがない。岸田氏が、首相就任直後、「新しい資本主義」の象徴として金融所得課税について言及したが、株が下がると慌てて撤回したのとは大違いだ。
 さらに、エネルギー政策でも、河野氏や小泉氏が脱原発から原発の新増設や建て替えまで認める完全な宗旨替えをするなど、他の全ての候補が原発推進を唱えるのに対して、石破氏だけが、再生可能エネルギーの最大限の拡大とそれによる原発依存度の低減を明言している。特に、原発のコストは再エネを上回るという当たり前のことを自民党議員としては珍しく正面から主張しているところを見ると、完全な「確信犯」であることがわかる。
 前述のランチのメンバーの間では、決選投票の組み合わせが、石破対高市になるのか、石破対小泉になるのか、あるいは予想外の小泉対高市になるのかはわからないが、新総裁が小泉氏になれば、党内政治の波に翻弄され、おそらくこれまでの政治の延長、高市氏になれば、純化された安倍政治の強力な推進になるだろうという意見で一致した。高市氏の政策は、いわば「令和の富国強兵」である。

高市総裁誕生で訪れる「日本が終わる」シナリオ
 高市氏が首相になったら、「日本が終わる」と私が言うと、「日本が壊されるんですよ」とか、「確実に緩やかな破綻になりますね」という意見が出た
 中国を極端に敵視し、そこと戦う準備を始めるのだから、防衛費はGDP比2%どころかその数倍でも足りないという議論がすぐに始まる。徴兵制は最後のテーマかもしれないが、日本の社会全体があらゆる意味で戦争に備える体制へと変わっていくはずだ。

 もちろん、最初は全て国債発行で賄うが、早晩これは行き詰まる。すでに金利が上がり始めているのは、それに対する警鐘なのだが、そんなことにはお構いなしという政策が続くだろう。行き着くとこまで行くしかないのだ。戦争が始まらなくても、その準備は止まらないので、どこかで、社会保障や教育など国民生活のための予算は大きくカットせざるを得なくなる。
 さらに心配なのは、幻の台湾有事を喧伝して台湾に独立を唆し、自ら戦争を誘発してそこに参戦するというストーリーだ。
 その頃には、格差はさらに拡大し、戦争準備優先か戦争反対かで国民は分断されることになるだろう。
 高市氏の怖いところは、その「居直り体質」だ。推薦人20人のうち、13人を裏金議員で固めて世間をあっと驚かせたが、これは、裏金問題を追及する国民に対する挑戦状である。さらに、高市氏は、総裁選で禁止された政策リーフレットの党員などへの郵送をルール実施直前だからと言って公然と配布した。ルール違反かどうかの問題もあるが、そもそも、党が金のかからない政治を目指すと国民にアピールしているのに、自分だけは、数千万円とも億円単位とも言われるリーフレット印刷・郵送を行ったのは、まさに背信行為だ。ルール施行前だったというがその証拠はどこにあるのか、巨額の資金はどこから来たのかという疑問も出てくるが、それらについて説明責任を果たしていない。
 数々の自身のスキャンダルに対して公然と「何が問題なのか」というような態度を取り続け、本来リーダーにあるべき高い倫理観「李下に冠を正さず」とは正反対の「捕まらなければ何をしても良い」という「地に堕ちた倫理観」を体現した安倍元首相の亡霊が取り憑いたかのようだ。まさに「安倍晋三の真の後継者」である
 高市氏が首相になれば、こんな国に住みたくないという人が増えそうだ。
 アメリカではトランプ氏が再び大統領になったらカナダやイギリスやオーストラリアなどに移住するという人がかなりいるそうだが、日本人は貧しいから逃げることもできない。
 そんな恐ろしいシナリオを止めるのは、国民ではなく、自民党員・党友と自民党の国会議員である。しかし、自民党議員ははっきり言って国民のことなど考えていない。
 前出の国会議員は、「自民党の議員は本当に質が下がっちゃったんだよ。こんな連中に日本のトップを選ばせていいのか 私は本当に不安だよ」と嘆いた。
 最後の砦は、自民党の党員・党友だ。石破氏が高市氏に党員・党友票で大差をつければ、さすがの自民党議員もそれを覆すことはできないのではないか
 そうなることを切に期待したい。