2025年10月23日木曜日

「スパイ防止法に反対する」院内集会開かれる

「レイバーネット日本」に掲題の記事が載りました。
 高市・維新の極右連合政権は、戦前の治安維持法に相当する「スパイ防止法」の制定を本気で考えています。恐るべきことです。
 21日、髙市政権の誕生した同時刻に院内集会「戦争につながるスパイ防止法に反対する」が開催され海渡雄一弁護士1時間余りにわたり講演を行いました。弁護士は「スパイ防止法は世界を味方と敵に二分する考え方であり、戦争につながるもの」と語り出します。
 記事の冒頭に紹介されている「動画」に講演の全てが収録されています。どうぞご覧になってください。
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背筋が寒くなる社会はゴメン!〜「スパイ防止法に反対する」院内集会開かれる
                       レイバーネット日本 2025-10-22
    全動画1時間20分)
 10月21日、髙市極右政権の誕生した同時刻に、院内集会「戦争につながるスパイ防止法に反対する」が開催された。今臨時国会で法案提出が危惧される「スパイ防止法案」、その危険な中身を海渡雄一弁護士がズバリ解説した。関心もたかく、会場は多くの参加者であふれた。言論弾圧への危機感からだろうかメディア関係者が多かった。
 「スパイ防止法」のことを知れば知るほど、背筋が寒くなる。海渡弁護士は、自身のSNS発信に対して「スパイ防止法に反対するあなたはスパイだ」の嫌がらせコメントが多数あることを紹介した。スパイという言葉で容易に日本社会が分断されていく。また参政党の神谷代表は7月の街頭演説で、公務員を対象に「極端な思想の人たちは辞めてもらわないといけない。これを洗い出すのがスパイ防止法です」と述べたという。これは「レッドパージ」そのものだ。
 海渡弁護士は「スパイ防止法は世界を味方と敵に二分する考え方であり、戦争につながるもの」とその本質を語った。「1985年にスパイ防止法が検討されたが当時の自民党の中には反対派がいて、法案提出が見送られた。だが今の自民党内にリベラル派はいない。危ない状況だ」という。海渡弁護士は続ける。「アメリカのCIAはベトナム戦争、イラク戦争をはじめウソの謀略で戦争を仕掛けた歴史がある。日本でも関東軍の謀略で満州事変が引き起こされた。情報機関がのさばると本当に危ない社会になる。スパイ防止法は、2022年の安保3文書の具体化であり、中国を仮想敵国として日本版CIAをつくるものだ。そしてそれは、スパイを口実に市民の知る権利、取材・報道の自由を圧殺するものになるだろう」と警告を鳴らした。会場には緊張の空気がピーンと張っていた。
 最後に海渡弁護士は、「われわれはいま政党の違いを超えて、一人ひとりが一緒に力をあわせるとき。右翼側のカウンターもあるがひるむことなく、まともな空間・陣地を広げていこう」と呼びかけた。この日の海渡講演は、スパイ防止法を知るための絶好の「教科書」といえる。ぜひライブ動画を視聴して、広げてほしいM)

*院内集会は、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会と共謀罪No!実行委員会の共催で開かれた。

既に停戦を妨害しているトランプ二ャフ政権

 既報のように、ガザ停戦合意は既にイスラエルによって実質的に破られています。
  10月22日)ガザ合意発効1週間 イスラエル軍、24人殺害 人道支援の制限続ける

 イスラエルはいくらでも虚偽の口実をつけてパレスチナ人を殺害するし、「人質の遺体の返却が遅い」などの無理難題を口実にすることもします。
 何よりもトランプ政権自体が、ハマスが武装解除を拒否しているのを大義名分にして虐殺再び激化されると明言しているので、これでは停戦が維持される筈がありません。
 ケイトリン・ジョンストンが「既に停戦を妨害しているトランプ二ャフ政権」という記事を出しました(トランプニャフとはトランプ・ネタニヤフのことです)。
 さすがにケイトリンは「ガザ停戦合意」の真実を見抜いています。

 併せて櫻井ジャーナルの記事「予想された通り、イスラエル軍がガザで住民虐殺を再開」を紹介します。こちらは「ガザ停戦合意」の空しさを歴史的な観点から説明しています。
 何よりもトランプが一方的にイスラエルの肩を持つだけで、停戦を貫徹しようとしないことには「救い」がありません。
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既に停戦を妨害しているトランプ二ャフ政権
              マスコミに載らない海外記事 2025年10月20日
  イスラエルの停戦が「お前達が止めれば我々は撃つ」という意味だという言い回しを誰
が最初に作ったのか知らないが、何度も確かに正確なことが証明されている。
                 ケイトリン・ジョンストン 2025年10月15日
 イスラエル停戦が「お前達が止めれば我々は撃つ」という意味だという言い回しを一体誰が最初に作ったのか知らないが、何度も確かに正確なことが証明されている。
 本日、イスラエル国防軍が、帰宅しようとしていたパレスチナ人9人を殺害したと報じられている。彼らは、何らかの許可されていない地域を移動し、兵士に脅威を与えていた、などといったいつもの言い訳で殺害した。今年初めの「停戦」でも、全く同じ言い訳で、終始同じことを繰り返していた
 先日我々が起きかねないと予想していた通り、ハマスがイスラエル人人質の遺体全員を返還していないため、ガザへの援助を半減させ、燃料とガスの輸送を停止するとイスラエルが発表したガザにおけるイスラエル爆撃作戦により生じた瓦礫と混乱のため、ハマスが人質全員の遺体を直ちに返還できないことを合意に署名した時点でイスラエルは十分認識していた

 10月9日、「ハマスが残りの人質全員の遺体を返還できない可能性ありとイスラエルは評価」と題する記事を掲載し「イスラエル政府は、ハマスが残りの人質28人のうち一部の遺体の所在を把握していないか回収できない可能性があると認識している」とCNNは報じた。
 人質が監禁されていた地域でイスラエル空爆により生じた瓦礫の中から人質の遺体全員を見つけるのは「大変な課題」となるだろうと赤十字は述べている
 「ガザでの交渉中、イスラエルは死亡した捕虜の遺体全員の回収には時間がかかることを理解していた。遺体回収のための具体的な仕組みも合意されていたしかし今、イスラエルはそれがなかったかのように振る舞い、合意に違反して合意済みの援助物資を半分に減らそうとしている」とDrop Site Newsのジェレミー・スケイヒルは解説している

 イスラエルのヘブライ語メディアが、停戦合意の「秘密条項」により、死亡した人質の遺体が72時間以内に返還されなければイスラエルは攻撃を再開できるとしていたと(反シオニスト・メディア)Mondoweissが先週報じた
 つまり、これは最初から計画されていたように見える。イスラエルはハマスが果たせないと分かっていた義務を作り出し、それを口実に虐殺を再開したのだ。
 トランプ大統領もそれに同調しているようで「大きな重荷は取り除かれたが、仕事はまだ終わっていない。死者は約束通りには戻っていない!」とTruth Socialに投稿した

 火曜日「人質の死亡者は26人か24人だと聞いていたが、実際はそうではないようだ。我々が話しているのはそれよりずっと少ない数だ」とトランプ大統領は記者団に語り、「人質を返してほしい」と言った。
 また、ハマスは強制的に武装解除されなければならないとトランプ大統領は報道陣に語ったが、これはこの「停戦」見世物丸ごと、見せかけだと公然と認めたに等しい。
 「もし彼らが武装解除しないなら、我々が彼らを武装解除する。それは速やかに、おそらく暴力的に行われる」とトランプ大統領は火曜日に述べた
 この発言は、ハマス武装解除は「容易な方法」か「厳しい方法」のどちらかになるというベンヤミン・ネタニヤフ首相最近発言と一致している
 停戦交渉が永続的和平へと進むためには、ハマスが完全降伏し、イスラエルが完全な勝利を得る必要があると大統領と首相は、はっきり述べている。彼らは停戦合意と称しているが、実際は完全降伏合意で、ハマスは降伏しないと明確に表明している

 「過去1年間のDrop Siteとの複数回インタビューを含め、実際は、ハマスやイスラム聖戦幹部や他の抵抗勢力幹部らは、交渉を通じて繰り返し武装解除を拒否してきた」とDrop Site Newsは説明している
 今日の公共の議論における停戦を巡る混乱の大きな要因は、停戦とは何か、それが一体何を意味するかについて、二つの矛盾した考え方が行き交っていることだ。イスラエル支持者は「停戦」とは「イスラエルの完全勝利とハマスの完全降伏」を意味すると考えているが、それ以外の人々は「停戦」とは停戦を意味すると考えている
 だからこそ、イスラエル支持者が合意を祝福する一方、パレスチナ支持者は大いに不安を抱いているのだ。パレスチナ支持者は、停戦と降伏は別物だと理解しており、「停戦」交渉が永続的和平へと進むためには、ハマスが完全に武装解除しなければならないとトランプ大統領とネタニヤフ首相が述べているのを理解している。トランプ政権とハマスという互いに譲らない相容れない立場が衝突し、ガザでのホロコーストの再燃につながる可能性が高いことを彼らは理解している。
 停戦を巡り盛大な拍手喝采が巻き起こってはいるものの、現在、状況は余り変わっていないように見える。ジェノサイドの始まり当初から、ハマスが武器を放棄し降伏するまで虐殺は終わらないという立場をアメリカとイスラエルは公式に表明しており、それは今も変わらない

確かに虐殺には待望の一時停止はあるが、ハマスが武装解除を拒否しているのを大義名分に、虐殺を再び激化させるつもりだとトランプ政権は明確に示している
 しかも、それは交渉がそこまで進むと仮定した場合の話だが、既にイスラエルはパレスチナ人を殺害し、約束した援助額を大幅削減するなど、停戦を妨害するためあらゆる手段を講じている。
 これら全てに早急に何か重大な変化が起きない限り、イスラエルによるガザでの残虐行為の、この僅かな減少さえ持続するとは期待できない
                (後 略)
記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/10/15/the-trumpanyahu-administration-is-already-sabotaging-the-ceasefire/


予想された通り、イスラエル軍がガザで住民虐殺を再開
                         櫻井ジャーナル 2025.10.21
 1917年11月にアーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ「ユダヤ人の国」を建設する第一歩と言われる書簡を出して以来、パレスチナでは多くの人が殺されてきた。ドナルド・トランプ米大統領はガザにおける和平合意の第1段階をクリアさせたと誇っているが、この合意で地域に平和が訪れると考える人がいたとするならば、その人はパレスチナ問題に関する基本的な知識がないと言える。
 この和平合意とは、イスラエル政府とパレスチナ人との間で2023年春から続く一連の衝突に関するものだ。その年の4月1日にイスラエルの警察官がイスラム世界で第3番目の聖地だというアル・アクサ・モスクの入口でパレスチナ人男性を射殺したところからイスラエル政府の挑発は始まった。4月5日にはイスラエルの警官隊がそのモスクへ突入、ユダヤ教の祭りであるヨム・キプール(贖罪の日/今年は9月24日から25日)の前夜にはイスラエル軍に守られた約400人のユダヤ人が同じモスクを襲撃している。そしてユダヤ教の「仮庵の祭り」(今年は9月29日から10月6日)に合わせ、10月3日にはイスラエル軍に保護されながら832人のイスラエル人が同じモスクへ侵入した。

 そして2023年10月7日、ハマス(イスラム抵抗運動)を中心とするパレスチナの武装グループがイスラエルを奇襲攻撃する。この攻撃では約1400名(後に1200名へ訂正)のイスラエル人が死亡したとされ、その責任はハマスにあると宣伝された。
 しかし、イスラエルのハーレツ紙によるとイスラエル軍は侵入した武装グループを壊滅させるため、占拠された建物を人質もろとも砲撃、あるいは戦闘ヘリからの攻撃で破壊、殺されたイスラエル人の大半はイスラエル軍によるものだと現地では言われていたイスラエル軍は自国民を殺害するように命令されていたというのだ。いわゆる「ハンニバル指令」である。ハマスの残虐さを印象付ける作り話も流された。
 ガザでは建造物が徹底的に破壊され、多くの遺体は瓦礫の下にあるため、何人が殺されたかは明確でない医学雑誌「ランセット」は2023年10月7日から24年6月30日までの間にガザで外傷によって死亡した人数は6万4260人と推計、そのうち女性、18歳未満、65歳以上が59.1%だとする論文を発表した
「ハーバード大学学長およびフェロー」のウェブサイト「データバース」に掲載されたヤコブ・ガルブの報告書では、イスラエル軍とハマスの戦闘が始まる前には約222万7000人だったガザの人口が現在は185万人に減少、つまり37万7000人が行方不明になっているという。状況から考え、行方不明者の大半は死亡している可能性が高いが、死亡者の約4割は子どもであり、女性を含めると約7割に達すると言われている。

 襲撃の直後、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は「われわれの聖書(キリスト教における「旧約聖書」と重なる)」を持ち出し、パレスチナ人虐殺を正当化している。聖書の中でユダヤ人と敵だとされている「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という部分を彼は引用、「アマレク人」をイスラエルが敵視しているパレスチナ人に重ねたのだ
 その記述の中で、「アマレク人」を家畜と一緒に殺した後、「イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神は命じたというわけだ。「アマレク人」を皆殺しにするという宣言だが、このアマレク人をネタニヤフたちはアラブ人やペルシャ人と考えているのだろう
 サムエル記上15章3節には「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」と書かれている。これこそがガザでイスラエルによって行われていることだと言えるだろう。ネタニヤフによると「われわれは光の民であり、彼らは闇の民」なのである。
 ネタニヤフは8月23日、ナイル川からユーフラテス川に至る大イスラエルを創設するという「歴史的かつ精神的な使命」を宣言している。だからこそ、ネタニヤフはイランを攻撃したがっているのだ。そうした行為や計画を支援してきた欧米諸国には帝国主義的な野望がある

 イギリスは1920年から1948年の間パレスチナを委任統治、ユダヤ人の入植を進めた。1920年代に入ってアラブ系住民の入植に対する反発が強まると、イギリス政府はそうした動きを抑え込もうとする。
 デイビッド・ロイド・ジョージ政権で植民地大臣に就任したウィンストン・チャーチルはパレスチナへ送り込む警官隊の創設するという案に賛成、アイルランドの独立戦争で投入された「ブラック・アンド・タンズ」のメンバーを採用したが、この組織はIRA(アイルランド共和国軍)を制圧するために設立され、殺人、放火、略奪など残虐さで有名だった。そして1936年から39年にかけてパレスチナ人は蜂起する。
 1938年以降、イギリス政府は10万人以上の軍隊をパレスチナに派遣する一方、植民地のインドで警察組織を率いていたチャールズ・テガートをパレスチナへ派遣、収容所を建設する一方、残忍な取り調べ方法を訓練した。イギリス軍はパトロールの際、民間のパレスチナ人を強制的に同行させていたともいう。
 委任政府は外出禁止令を出し、文書を検閲、建物を占拠、弁護人を受ける権利を停止する一方、裁判なしで個人を逮捕、投獄、国外追放している。この政策はイスラエル政府の政策につながる。
 反乱が終わるまでにアラブ系住民のうち成人男性の10パーセントがイギリス軍によって殺害、負傷、投獄、または追放された。植民地長官だったマルコム・マクドナルドは1939年5月、パレスチナには13の収容所があり、4816人が収容されていると議会で語っている。その結果、パレスチナ社会は荒廃、1948年当時、イスラエルの「建国」を宣言したシオニストの武装組織に対して無防備な状態となっていた。

 第2次世界大戦後、パレスチナにはイスラエルなる国が作られ、そのイスラエルがアラブ系住民に対する弾圧を始める。イギリスの代理人として活動し始めたと言えるだろう。
 イギリスはアメリカやオーストラリアで先住民を虐殺、自分たちの国を作り上げた。同じことが中東でも展開されている。今回の和平合意でパレスチナに平和が訪れるとは思えない。イスラエル人にしろ欧米諸国の政府にしろ、アラブ系住民をパレスチナから一掃したいのだとしか考えられない。虐殺の原因をハマスにあると主張する人は、パレスチナ人虐殺を容認しているにすぎない。パレスチナの住民は戦闘に巻き込まれていいるのではない。イスラエル軍のターゲットになっているのだ。

23- 中国が米国を追い抜いたさらなる証拠(賀茂川耕助氏)

 耕助のブログに掲題の記事が載りました。
 冒頭の見出しに「地図は領土ではない」という言葉が登場します。

 これは経済に関する指標で解析した結果を「地図」に当たるものとし、それが経済的実態(⇒「領土」)に相応しているとは限らないという意味です。
 実際に、経済上の指標で分析すると米国の経済は実態に比べてより高く評価されるのに対し、中国の経済に対しては、実態よりも低く評価されていることが述べられています。
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中国が米国を追い抜いたさらなる証拠
              耕助のブログNo. 2691   2025年10月21日
      More Evidence China Has Surpassed Us
                      by Portfolio Armor
  理想的なアメリカの工場と、活気に満ち自動化された中国の工場

地図は領土ではない
今週初めに、中国の実体経済の規模が米国を圧倒していることを投稿した{1}。
その投稿では、中国がもはや単に西欧の技術を模倣しているだけでなく、独自に最先端技術を進展させている点も指摘した。今週、中国の科学者がサルの老化を逆転させたというニュース{2}もその好例である。
パトリック・フィッツシモンズが『パラディウム』誌に寄せた記事{3}は、指標の数値が誤解を招く理由を説明している。GDP(特に産業別の「実質付加価値」)は、産業の衰退を進歩のように見せかける方法で算出されるのだ。一読の価値がある。

フィッツシモンズが追加する指摘
* 衰退を美化する統計 政策立案者は「実質付加価値」を根拠に、米国製造業が過去最高水準に近いと主張する。フィッツシモンズは、デフレーター⇒物価上昇分を除外した物価指数)と「品質調整」を多用することで、単位数量や国内生産比率が停滞・減少している場合でも、帳簿上の成長を生み出せることを示している。
* 計算が直感に反する理由 連鎖加重と品質調整は、往々にして「昨日」を押し下げることで「今日」を押し上げる。その結果、半導体や自動車産業などでは、物理的な生産量が弱いにもかかわらず、「実質」生産量が不自然な急増を示す
* より地味な指標は異なる現実を示す米経済分析局(BEA)の実質総生産、連邦準備制度理事会(FRB)の鉱工業生産指数、労働統計局(BLS)の実質部門別生産量を見れば、米国製造業の一人当たり生産高は1990年代末~2000年代初頭のピークを大きく下回っている
* ドル換算順位 ≠ 生産能力順位名目付加価値は高価格と知的財産(IP)使用料を優遇する。低価格でより多くの単位を生産する国(かつ国内調達比率が高い国)は、付加価値ベースでは依然として「小さく見える」可能性がある。

結論:巧妙な会計処理 ≠ 工場現場の実態。地図は明るくなる一方で現場の電気は暗くなる

なぜこれが「中国は既に大きい」説を強化するか
米国が高価格サービスやIP賃料を多く計上する一方、中国が低マージンでの大量生産を多く計上すると、GDPは中国の実際の経済規模を過小評価するだろう。さらに3つの要因が加わる:
1 価格水準の差中国の低価格は単位当たりの付加価値を圧縮するため、実際の生産量を隠す
2 国内調達率の差米国の「生産」には輸入品が組み込まれることが多いが、中国のサプライチェーンは国内でより深く展開している。
3 サービス過大評価米国GDPは戦略的・再現可能な産業能力に直結しない分野に依存している。

これらを積み上げると、目に見える物理的経済—進水した船舶、設置された変圧器、生産開始されたウエハー、製造された電池——は既に中国が勝っている

転換点に注目:米国の早期再工業化の動き
{4}で述べた通り、トランプ政権は生産能力回復に向けた転換のきっかけとなる措置を講じている。
最近の報道では、その方向性における追加の動き(重要鉱物企業への連邦政府出資の可能性を含む)や、関税緩和と引き換えに中国による大規模投資を模索する話さえ示唆されている。どれも万能薬ではないが、帳簿上の数字ではなく、生産能力こそが勝敗を決するという主張と符合する。

 なぜワシントンも北京も依然として中国を過小評価するのか
動機は異なるが、両者ともごまかしている:
* ワシントン ナラティブ管理(「記録の製造」)、資産価格とドルの見せかけ、「実質」成長を押し上げるデフレーター選択——これら全て、今すぐに厳しい産業投資を行う圧力を減らすため
* 北京 海外での緊張緩和(制裁/関税リスク)、国内の期待を抑える(不動産や地方政府融資プラットフォーム(LGFV)の圧力)、そしてより大きな地政学的ターゲットとなるのを避けるために見出しの誇大宣伝を控える理由となる。
こうして両国は中国の真の実力を過小報告するのだ。米国は体面を保つため、中国は政策余地を確保するために。

 我々のポジション
これが我々の核心テーマの一つが「再工業化」である理由だ。生産能力回復の基盤となる産業への投資である。我々は米国再建の恩恵を受ける企業群に賭けている:電力設備、重要素材、重電化、基盤ソフトウェア/ハードウェア、物流。新規読者のために、ここ{5}で枠組みを解説している。

 Links:
{1} https://blog.portfolioarmor.com/p/china-has-surpassed-us
{2} https://www.zerohedge.com/medical/immortal-monkeys-not-quite-scientists-just-reversed-aging-super-stem-cells
{3} https://www.palladiummag.com/2025/10/03/how-gdp-hides-industrial-decline/
{4} https://blog.portfolioarmor.com/p/how-trump-may-have-solved-americas
{5} https://blog.portfolioarmor.com/p/reindustrialization-embodied-ai-energy

https://www.zerohedge.com/news/2025-10-04/more-evidence-china-has-surpassed-us

2025年10月22日水曜日

自民と維新が新連立 - 立憲と公明は一刻も早く連携して小選挙区で迎撃の準備を

 世に倦む日々氏が掲題の記事を出しました。
 前半の4節目までは、自民と維新が連立するに至った経過が淡々と述べられています。
 そして後半の5節目に至って、
「維新は本来的に自民以上に凶悪な極右イデオロギーの政党であり、さらに日本の中で最も極端で過激な、竹中平蔵直系のネオリベ(⇒新自由主義)政党である。その維新と高市自民が組んだ新政権がどのような悪魔となって国民に襲いかかるか、想像するだけで戦慄させられる」「スパイ防止法の制定と憲法改定が具体的な実施項目になる」
と述べ、世に倦む日々氏らしい痛烈な批判が展開されます。
 そして、「高市早苗にとっては、今が選挙の勝機であり、自民党の安定多数を取り戻す好機と考えて極秘で選挙戦略を練っているのではないか。自公体制が崩れて自維体制に変わるのだから民意を問う大義名分は成り立つ。ガソリン税等のいわゆる『物価高対策』を片付けた後、早々に解散に踏み出すと思われ、マスコミが解散風を吹かせ始めるので、野党は早く迎撃の態勢をとる必要がある(要旨)」と述べ、公明が連立を離脱し野党化したことが選挙戦で自民に打撃を与える可能性を大きくしたと分析し、立憲と公明が早く政策協議を詰め、小選挙区での選挙態勢を整えることを希望すると語ります。

 高市政権としては発足後 出来るだけ早く解散総選挙をするしかないのですが、公明と維新が入れ替わったことによる自民の被害は大きく、自民・維新の党勢が選挙によって拡大する見込みは全くないというのが実情のように思われます。
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自民と維新が新連立 - 立憲と公明は一刻も早く連携して小選挙区で迎撃の準備を
                       世に倦む日日 2025年10月20日
公明党の離脱で窮地に立った高市自民に、吉村洋文の維新が接近して新連立を組む進行となった。自民が新連立で与党体制を補強あるいは更新するのなら、真っ先に組む相手は維新だろうと観測していたので、その予想が的中した。いわゆる政策・理念が高市自民と最も近いのが維新であり、有する価値観・イデオロギーが同じなので、この二者の結合には何の支障もない。国民民主には問題がある。国民は連合の労組票を基盤とする政党で、民間労組お抱え議員が何人も所属している。連合がめざすのは、分裂している立憲と国民を一刻も早く元の鞘に収め、自民と政権交代する大きな二大政党の一を作り直す目標だ。言わばそのオーナーの論理と意向があるため、玉木雄一郎は簡単に与党入りできない。無理に動くと国民民主は二つに割れてしまう。玉木国民の自民との新連立はもともと無理筋なのだが、マスコミはその点をほとんど解説しなかった。

一方の維新の方は、そうした拘束条件はない。逆に、維新は党勢が落ち目の事情があり、新興極右の参政党が怒涛の快進撃を続ける中、最早、全国政党として勢力を張る展望を失っていて、高市自民との連携は「渡りに舟」の状況だった。4年前の衆院選時、維新は比例で805万票を獲得し、馬場伸幸が「立憲を蹴散らして野党第一党になり、自民と政権交代する党になる」と豪語していた。が、党勢はそこから伸びず萎れ、昨年の衆院選では510万票、今年の参院選では437万票に凋落してゆく。右翼一般がMAGA的政策を求め始め、維新が掲げてきた「改革」 - 竹中平蔵の「小さな政府」- が古臭くなり、藤井聡的な「積極財政 -「大きな政府」 - をマイトレンドとしてコミットした変化と影響が看取できる。10/16 の発言で吉村洋文は「党として消滅するリスクはあり得る」と言っている。これは本音だろうし、吉村自身が維新の政党としての前途がないと見ている証拠.。

吉村洋文が代表に就いた昨年12月の抱負と方針を聞いても、全国政党として威を張ることに興味がなく、大阪という拠点を守り抜き、大阪の支持者を固める戦略に熱心な印象を受けた。党首となってずっと唱え続けたのは副首都構想であり、大阪への執着ばかり言い続けて来た。吉村自身が中央の政局に関心がなく、永田町の動きに積極的に介入する意思が弱い。もともと馬場伸幸を「飲み食い」問題で退けた動機と主眼が、大阪回帰・原点復初であり、そこに強い執着と意識があることが窺えていた。おそらく、吉村自身が維新をローカルパーティ⇒地方政党)として存続させる認識であり、大阪に半永久的に盤踞し、全国政党としては自民の一部になる計画で動いているのだ。つまり、政権をめざした維新の挑戦は終わり、政党としての使命と役割は半ば終えたと諦観しているのに違いない。最後にどうしても副首都だけは実現させたいのだろう。理念と政策が同じなのだから、政党は自民一つでいい。

最初に維新に声をかけず、玉木国民に接触したのは、麻生太郎の指示に高市早苗が従順に従ったからであり、国民民主は麻生太郎、維新は菅義偉という野党連携の棲み分けの権力構図が党内に存在したからだ。麻生の子分である高市は、勝手に領域を跨いで踏み出す行為を逡巡したのだろう。戦国期、四国攻めを策した信長は、明智-長宗我部ルートと羽柴ー三好ルートの二つを巧みに操って調略と征服に臨んだが、そんな歴史を想起させる。ようやく、公明党が離脱して尻に火がついた後、首領間の縄張りや角逐などに構っている場合ではないと高市が慌て、菅義偉に維新への繋ぎを頼み込む次第となる。玉木雄一郎が最初に二つ返事で副首相・財務相ポストを応諾せず、首相ポストに色気を見せて「野党連携」の牽制ポーズで立ち回り、麻生に総総分離カードを強請って政局の時間を浪費したため、隙を衝いて維新が自民に接近、麻生は菅の前で面目を潰す結果となった。二人は相変わらず仲が悪い

維新は本来的に自民以上に凶悪な極右イデオロギーの政党であり、さらに日本の中で最も極端で過激な、竹中平蔵直系のネオリベ⇒新自由主義)政党である。その維新と高市自民が組んだ新政権がどのような悪魔となって国民に襲いかかるか、想像するだけで戦慄させられる。何度も警告を言ってきたが、スパイ防止法と憲法改定(9条と緊急事態条項)が現実のアジェンダになるし、その先に徴兵制と靖国国営化と核武装が待っている。スパイ防止法が強行採決され、改憲発議と国民投票が行われる時点で、それを契機にして、日本のマスコミとネットとアカデミーでもアメリカ的な赤狩り禍が吹き荒れるだろう。台湾有事はそこから始まり、日本は戦時下の体制と社会になる。戦争反対の言論を上げる者は、認知戦の準スパイ行為”と看做されて治安取締りの対象となり、右翼と公安警察に睨まれ、SNSアカウント凍結・削除の仕置きを受ける。消費税は20%に引き上げられ、防衛費ならぬ戦費が賄われるところとなる

自民党の右翼反動の暴走に対して、公明党はブレーキの役割を果たしてきた。維新は逆にアクセルの役割となる。施政方針演説後の日本の政界は、自公時代とは一変して猛毒の右翼色に変色しているだろう。が、維新が加わって無所属を足しても、高市自民は衆院で過半数ギリギリの線であり、安定多数の与党勢力からはほど遠い。この数ではいつ野党が纏まって不信任案を通す局面に転ぶか分からず、対決色が強まる野党との国会論戦で仮に高市早苗の失態が続いた場合、すぐに支持率は下がり政権運営は不安定化する。文春からも醜聞砲撃が始まり、国会審議を続けるほどに政権は地盤沈下するはずだ。それゆえ、高市早苗はなるべく早く、新政権の支持率が高いうちに解散総選挙に出ると予想される。石破茂のように、野党に頭を下げて、丁寧に妥協して法案を通すという手法は高市早苗は苦手だ。安倍晋三のように、選挙で圧勝して、党の内外からの批判を強権制圧する一強スタイルをめざすに違いない

10/27 に訪日するトランプは右翼の高市早苗を持ち上げ、安倍晋三の後継としてエンドースし、マスコミが演出報道の熱を上げるだろう。マスコミの中には安倍晋三の子分が大勢いて、安倍路線がカムバックした政局に嬉々満面でいる。右翼の気勢は盛り上がっている。高市早苗にとっては今が選挙の勝機であり、自民党の安定多数を取り戻す好機と考えておかしくなく、今頃は極秘で選挙戦略を練っているのではないか。26年間の自公体制が崩れて自維体制に変わるのだから、民意を問う大義名分は成り立つ。ガソリン税等のいわゆる「物価高対策」を片付けた後、早々に解散に踏み出すと思われ、マスコミが解散風を吹かせ始めるだろう。昨年、裏金で落選した安倍派の前職議員が大挙公認されて再登場すると想定され、萩生田光一が実務を仕切る選挙は、統一教会・日本会議が総力を挙げて安倍派復権をめざす選挙となる。憂鬱きわまる図であり、今現在は非常識な絵だが、マスコミは徐々に常識の軸を移動させ反転させる

野党は早く迎撃の態勢をとる必要がある。今回、公明票が自民から離れる影響で、計算上52人の自民現職が危ないと言われているが、その一方で、高市効果によって右翼票が活性化され、国民や参政に散った右翼票が自民に回帰し、失う公明票の分をカバーするのではないかとも言われている。選挙の注目点だろう。今回の選挙の主役は、表面的には維新と新連立を組んだ自民党だが、真の焦点は公明党の動向である。小選挙区の公明票はどうするのか。ここがポイントだ。維新が連立条件として急に要求してきた定数削減は、明らかに公明党を狙い撃ちにしたもので、衆院の公明党に打撃を与える目的の戦略である。高市自民はこれを呑み、最早二度と自公が連立を組む将来はないことを宣言した。公明党に引導を渡した。改憲と戦争へ疾駆する高市や麻生にとって、公明党は共産党と同じく邪魔で有害な存在なのだ。ここに、公明党が反自維野党連合の中核となる必然性が出来する。すなわち一刻も早く、公明と立憲の同盟が組まれなければならない

自維政権の反動攻勢を選挙で止めるためには、176しかない比例ではなく、289ある小選挙区で勝たなくてはいけない。公明票を最大限活用して132人の自民現職を落とさないといけない10/18 に放送されたTBS報道特集では、珠洲に住む42歳の創価学会員が登場し、「全然まだまだ(公明党の)底力みたいなものがあると思う」「今度の戦いになった時に結果出た時が楽しみだなと」「僕ら仏教 仏法は勝負だという教えなので」と言っていた。この言葉に勇気づけられる。時宜を得た取材と報道であり、TBSのこの番組のセンスのよさに膝を打つ。つまり、この若い学会員は、次の選挙でのリベンジを期しているのであり、自民党と対抗する野党候補を選挙区で立てて、石川3区だけでなく全国で勝利しようという意気込みを語っているのだ。野党になった公明党が打倒自民・打倒高市の原動力になり、公明党を卑劣に追い出した右翼自民党に報復するのだと、決意を語っている

頼もしい前回記事でも少し書いたが、この男性の言葉どおり、公明党・創価学会は次の選挙で自らの実力と正義を証明しなくてはならない。結党の原点に戻り、平和と中道と政治倫理の旗を掲げ、組織を再活性化させ、自らの理念を正面から訴えて得票しなければいけない。与党離脱の決断が正しかったことを国民の前に証明しなくてはいけない。それは単に比例の票と議席を挽回することだけではないだろう。泣く子も黙る創価学会のパワーとエネルギーは、小選挙区の戦いでこそ発揮されなくてはいけないはずだ。公明党が関係を組む政党こそが常に政権与党になれるのだと、その法則を実証しなくてはならない。高市自民は維新と組み、衆院比例を50議席削減する方針を合意した。明らかに公明潰しの策であり、政権離脱して高市を窮地に追い込んだ公明への挑戦と報復を意味する。公明は今度の選挙でこれを撃破し、高市自民を後悔させる必要があり、公明票を欠いた自民がこれほど弱いのだと証明しなくてはならない。負けられない戦いだし、小選挙区こそが勝負の現場に他ならない

立憲と公明が早く政策協議を詰め、小選挙区での選挙態勢を整えることを希望する。以下は蛇足だが、4年前、維新が805万票取って大勝利を収めた衆院選の後、大阪の独自の政治的特徴とその基盤について考察し、前期的商人資本の類型と新自由主義の思想のマッチングについて試論した。日本社会科学(講座派・大塚史学・丸山政治学)のベーシックなセオリーに準じたところの、大阪の反動性の検出と不審視の視線の投影である。それはまた同時に、わずか一党単独の力で黒田府政を誕生させ成立させたという、過去の奇跡への、大阪の小営業者が奮じた革新政治の伝統と底力への刮目とノスタルジーでもあり、その復活の希求でもあった。ブログを始めて20年余、大阪は理解不能なネオリベ・モンスターに、日本を不幸にする極右の悪魔に変身するばかりで、私はその愚痴を言い続けているmakes me wonder. だがよく見るとその一方、日本の現代政治で畝りを起こし新潮流を作ってくる、アグレッシブな要素や個性は、すべて大阪輩出だという事実に気づく。橋下徹、山本太郎、大石晃子、神谷宗弊、梅村みずほ

一体何なのだろう