2025年6月26日木曜日

トランプの騙し討ち - ハメネイ暗殺と体制転覆の後に本格始動するイラン戦争(世に倦む日々氏)

  国際法違反のイスラエルのイラン先制攻撃に続いて、米国も宣戦布告なしにイランを攻撃する国際法違反を犯しました。ならず者国家のイスラエルは兎も角、トランプも流石に世界に通用しない開戦通告は行えないので、「深夜のだまし討ち」を決行するしかなかったのでしょう。それなのにイランが停戦協定に同意すると、直ぐに「自分が平和が実現させた」と口にするとは呆れます。

 世に倦む日々氏が掲題の記事を出しました。
 同氏は、イスラエルとトランプが 徹頭徹尾 イランを「だまし討ち」にしたことを明らかにし、イランの核施設空爆を決断した動機として、1月の大統領就任時からの諸政策が悉く行き詰まり、目玉だった関税政策も破綻と失敗が明らかで収拾がつかない混乱状態で停止し、関税をめぐる米中間のバトルは「アメリカの完敗」の方向であり、このままでは来年の中間選挙での敗北が確実な気配になってきたため、局面転換の手を打って人々の注意と関心をイラン方面に逸らす博打に出たという事情が看て取れると述べます。
 実際、DOGE(政府効率化省)も評判は散々で、移民対策ではLAで暴動が起き、州兵と海兵隊が出動する異常事態となり、全米で500万人の抗議デモが発生するという有様です。

 世に倦む日々氏は、イスラエルがこれでイラン戦争を終わらせる筈はないので、「米国は再び中東の戦争の泥沼に引き摺り込まれる。それはイスラエルの意思と戦略の貫徹であり、中東の戦争に永遠に米国を張り付けたいイスラエルの強い思惑に引っ張られて、CIAがそれに応じ、ホワイトハウスをその方向に動かすのである。~ 第三次世界大戦が始まった日にならなければよいがと願う」、と記事を結んでいます。
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トランプの騙し討ち - ハメネイ暗殺と体制転覆の後に本格始動するイラン戦争
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6/22(日)、サンデーモーニングを見ていたら、スポーツコーナーの途中で臨時ニュースのテロップが入り、米軍がイランの核施設を攻撃した一報が伝えられた。午前2時半、イラン中部のフォルドゥ、ナタンズ、イスファハンの3か所の核施設を空爆、事前にマスコミが説明していたとおり、ステルス爆撃機B2に搭載したバンカーバスターを投下して、フォルドゥの地下80メートルにあるウラン濃縮施設を破壊したと報道があった。日本時間の午前11時に演説したトランプは「イランの主要核濃縮施設は完全に撃破された」と言い、その後に会見した国防長官のヘグセスは「イランの核開発計画を壊滅させた」と作戦の成果を強調している。作戦名は「真夜中の鉄槌」で、B2戦略爆撃機が7機投入され、最大級のバンカーバスター14発が初めて実戦で使用された経過も明らかにされた。それに対してイラン側は、今後も核開発を続けると声明を出した

イラン政府関係者は、13日のイスラエルの先制攻撃の後にフォルドゥとナタンズの核施設から20%と60%の濃縮ウランの大部分を搬出し、別の場所に移動させたと説明していて、イラン国営メディアも同じ報道をしている。また、周辺で放射性物質の汚染の兆候は確認されてないとも言い、イラン原子力庁は今後も核開発を続けると言明している。放射能漏れが未確認であることは、IAEAもXの発信で明らかにした。爆撃によってフォルドゥの施設の出入り口が損傷し、内部に立ち入りできなくなったとイラン側は言っていて、地下80メートルの空間で稼働していた大量の遠心分離機の設備が機能不全になり、イランの核開発の能力と態勢が深刻な打撃を受けたことは間違いない。ただ、この攻撃によって、イランがNPT脱退に踏み出す可能性が高まったという観測もあり、攻撃がイランの完全な核放棄・核武装断念の流れに繋がってないことは明らかだ

トランプは、6/20 にニュージャージー州モリスタウンのゴルフクラブの飛行場で記者団の質問に答えた際、「イランに一定の期間を与える。様子は見るが最大2週間だろう」- "I'm giving them a period of time, and I would say two weeks would be the maximum," と言っている。"giving a period of time" の表現があり、これは猶予期間を与えるという意味に誰でも受け止める。が、このとき爆撃命令はすでに出ていて、B2編隊や給油機や戦闘機やトマホーク搭載潜水艦の部隊は大統領が指示した作戦決行に向けて着々と動いていた。すなわち、トランプはイランを騙し討ちにしたのであり、6/22 夜のテレ朝の番組でも、有働由美子がこの点に拘って怪訝な感情を寄せていた。世間のトランプのイメージは、他の政治家と違って open で frankly で、そこが大衆に親しまれる点であり、こういう重大な局面で卑怯な嘘を言うキャラクターには見えない。だが、トランプは意図的にイランを罠に嵌めるべく fake を演じた

作戦遂行の一環として、イランと世界を欺き、イランを奇襲攻撃する国際法違反の暴挙に出た。ヘグセスの会見では「イランの体制転換を狙ったものではない」と嘯き、バンスの発言でも「体制転換を望んでいるわけではない」と口を揃え、ルビオも「イランが外交の道を選ぶなら、米国は応じる用意がある」と釈明している。だが、イラン側から聞けば、これがアメリカとイスラエルの罠であり、再び油断させるための囮だという解釈になって当然だし、われわれもそう警戒するべきだろう。ネタニヤフはハメネイの殺害を公然と示唆していて、イランの体制転覆を目標にしている。今回、アメリカは遂にイランを直接攻撃した。イスラエルからすれば、ようやくアメリカを軍事介入に引っ張り込むことに成功した。イランの核武装の脅威を物理的に止め、イランの防空システムを無力化し、イラン革命防衛隊の幹部を抹殺し、アメリカを戦争に参加させた今が、まさに対イラン戦略の最終目的を達成する好機

以上を書いたところで、日本時間 6/24 の早朝に局面が急展開し、イランがカタールの米軍基地に向けて、予めアメリカとカタールに通告した上で、形だけの「報復」のミサイルを14発放った。その直後、イランとイスラエルが停戦で合意したとトランプが発表した。この停戦合意がどこまで本物かは、まだ信用する材料に乏しい。私の観察では、これは今回の対イラン戦争の3度目の fake に映り、イランを操縦工作し続けるための高等戦術ではないかと疑われる。そもそも、6/13 のイスラエルの奇襲攻撃は、イランとアメリカが交渉を続けている際中に惹き起こしたもので、イスラエルが核合意交渉を潰すために行った謀略だった。トランプは、ネタニヤフから事前に作戦計画を告知されながら、それを黙認した。イラン側には伏せたまま、核合意交渉を続けるフリをして、ネタニヤフにイラン攻撃のゴーサインを出していた。つまり1回目の騙し討ちだった。そして、2週間の時間的猶予を示唆した直後にB2で空爆した 6/22 が2回目である

常識で考えて、イスラエルがイランの体制転覆を諦めるはずがなく、この 6/24の「停戦合意」もアメリカとイスラエルによる3度目の fake の工作であると断言できる。合意しても必ず後で破られる。おそらく、イランの弾道ミサイルの反撃でテルアビブの被害が予想以上に大きく、防空システムを再整備する(迎撃ミサイルをアメリカから必要数調達する)ための時間稼ぎが必要なのだろう。あるいは、またもや意表を衝いて、この「停戦合意」の直後に、隙を与えずハメネイ殺害を決行して世界を驚かすかもしれない。その場合も、トランプはネタニヤフに事前承認を与えると想定される。トランプという個性は、他のアメリカの政治家と異なって、基本的にビジネスの範疇の人物で、ポリティシャンの類型ではない。イデオロギーに狂奔するタイプではなく、アメリカの対外戦争に消極的で、戦争を金と人命の無駄と考える傾向があった。そこが大衆から好評を得る特徴でもあった。北朝鮮への対応が象徴的だった

だが、トランプの戦争嫌いは、どうやらイランだけは例外で別扱いなのだ。2020年1月にソレイマニを躊躇なく暗殺したとき、トランプの特別なイラン憎悪を痛烈に印象づけられたことを覚えている。コロナ禍の直前だったが、世界中が「まさか」と蒼ざめた一瞬であり、あのときも、イランとアメリカの間で全面戦争に発展しておかしくなかった。先週、どこかのテレビ番組で、若い頃のトランプがイランについて激怒している映像が紹介されているのを見た。1979年のイラン革命の際にテヘランで起きたアメリカ大使館占拠人質事件に対して、若いトランプが憤慨する場面である。トランプの中では、あのときにアメリカが受けた屈辱がトラウマとなり怨恨となって生きていて、イランを懲罰して国家の復讐を果たすことが Make America Great Again国を再び偉大な国にする:選挙スローガンのマイルストーンの一つなのだろう。その目的でトランプとネタニヤフは同志なのであり、トランプの判断基準において北朝鮮とイランを区分する理由なのだ

もう一つ、トランプがイラン核施設空爆を決断した動機として、1月の大統領就任時からの諸政策が悉く行き詰まり、不首尾に終わっていて、このままでは来年の中間選挙での敗北が確実な気配になってきたため、局面転換の手を打って、人々の注意と関心をイラン方面に逸らす博打に出たという事情が看て取れる。目玉だった関税政策も破綻と失敗が明らかで、収拾がつかない混乱状態でスタックしている。J.クラフトの解説によると、関税をめぐる米中間のバトルは「アメリカの完敗」で決着したそうで、とんでもなく惨めな結果に終わったのだと総括していた。通商に詳しくない者でも、傍から見ていて形勢はそう窺われる。今後、副産物で生じたインフレの猛威がアメリカ経済を襲うだろう。一日で終わらせると豪語していたウクライナ戦争も、結局、何の糸口も見い出せず停戦仲介を放棄する滑稽な始末となった。DOGEも評判は散々で、E.マスク解任の顛末で終わった移民対策ではLAで暴動が起き、州兵と海兵隊が出動する異常事態となり、全米で500万人の抗議デモが発生した

あらゆる看板政策が挫折し、マイナスのブーメラン効果となって炎上し、トランプ政権は立ち往生となっているどれも打開への端緒を掴めないまま深刻な負債として積み重なっていて、次から次へ失敗が嵩んで政策の不良債権が膨らんでいる。何も成功しておらず、成果を誇れるものがない。トランプとしては、矛盾だらけの国内政治を好転させるべく、支持率を浮揚させる新しい転機が必要だったのであり、イラン直接攻撃の博打に出て、トランプ政権への注目と評価の次元をイラン問題の土俵に移し替えたかったのだ。対外戦争という契機を導入し、イランという仇敵の悪玉を成敗する「物語」を演出することで、アメリカ国民の気分感情を愛国機軸に高揚させ、政局にナショナリズムの気体成分のスプレーを撒いて支持率凋落の食い止めを図ったのだ。その賭けがどう転ぶかは今後の進行次第だけれど、2期目トランプ政権は、出口戦略が見い出せず頓挫中のこれまでの諸課題に加えて、イランとの戦争という大きな難題を新たに抱えてしまった。アメリカに不幸を呼び込む通路を開いた

田中浩一郎は、6/23 までのコメントでは、イスラエルによるハメイニ斬首は確実で織り込み済みだと何度も指摘している。私も同じ認識であり、ネタニヤフとCIAは必ず実行すると確信する。アラファトを殺し、ハニヤを殺し、カタフィを殺し、ナスララを殺したように、手加減なく86歳の神聖独裁者のハメネイを惨殺するに違いない。それを合図にして、CIAはイラン国内の親米反体制派を蜂起させ、イランをカラー革命の体制転覆へと導こうと動くだろう。その方向へ進む可能性は7割ほどある。現在のイランの体制は脆弱で、長年にわたる制裁によって経済が極端に疲弊し、軍事力もイスラエルの先制攻撃で半無力化の状態にある。制空権を失っていて、ミサイルの在庫も減る一方で補充できない。対抗カードたる核兵器は持ってない。加えて、本来は外交安保でイランを支えてアメリカへの牽制力となったはずのロシアが、ウクライナ戦争で疲弊し弱体化していて、国際政治の舞台で嘗ての実力を持っていない。ヒズボラも殲滅され、シリアも崩壊、イラク領内のシーア派勢力も無力

イランは、外交・軍事・経済のすべての面で八方塞がりで、事実上、アメリカに対して和議と体制保証を請うしかない状態になっている。その図を比喩すれば、大坂の陣の豊臣方と同じで、和睦を乞いながら徳川方に冷酷に講和条件を違約され、城の内堀まで埋められ、総攻撃と全滅を余儀なくされた無残な歴史と重なる。負けるときはこうなるものだ。私は、その先を予想しよう。田中浩一郎は、イランは体制転覆の運命となり、イスラム革命体制は打倒され、イランはリビアやシリアのような破綻国家になるだろうと説明する。これはCIAとイスラエルの発想と願望の代弁だ。一方、元イラン大使の斎藤貢は異なる展望を示していて、ハメネイ暗殺の事態に至った場合、逆にイラン国民が一丸に結束する動きとなり、体制が容易に崩壊することはないだろうと反論している。私の意見は第三の立場で、田中浩一郎とも斎藤貢とも違う。私の予想は、イランは体制崩壊するけれど、新たに権力を握る親米世俗派とそれに抵抗するシーア派イスラム主義勢力の間で熾烈な内戦となるだろうという見方だ

そこまでは田中浩一郎と同じかもしれない。が、そこから先が違う。イランはリビアのようにはならない。仮に親米世俗派が政権を握り、反体制イスラム主義勢力と内戦になった場合、アメリカは必ず親米新政権に肩入れし、新生傀儡イランが立ち行くようにサポートするのであり、リビアのように滅茶苦茶な破綻国家にしたまま無責任に放置はしない。リビアは気の毒に、何が何だか分からないアモルフ⇒結晶構造でないな泥沼国家となった。イランはそうはならない。ホメイニ革命を否定する親米自由主義派も、革命を奉じるイスラム主義の側も、言わばシャキッとした立体的な主権勢力として立ち、内戦を演じ合うだろうし、それゆえに、アメリカはその内戦に関与・介入せざるを得ないのだ。したがって、どちらかと言えば、カルザイ時代のアフガニスタンに似た将来になるだろう。私は、今回の核施設空爆の後、すぐにXで「イラン戦争」と名付けて投稿した。現在のところ、誰もこの事件について「イラン戦争」という語を使う者はいない

アメリカは、再び中東(西アジア)の戦争の泥沼に引き摺り込まれる。それはイスラエルの意思と戦略の貫徹であり、中東の戦争に永遠にアメリカを張り付けたいイスラエルの強い思惑に引っ張られて、CIAがそれに応じ、ホワイトハウス(トランプ)をその方向に動かすのである。イスラエルがアメリカのイラン戦争を主導し操縦するのだ。6月22日は、1941年に独ソ戦(バルバロッサ作戦)が始まった日だった。偶然の一致だろうが、因縁めいていて何か恐怖で戦慄を覚える。第三次世界大戦が始まった日にならなければよいがと願う

ハマスを破壊するためのイスラエルの戦争はガザ自体を破壊した(賀茂川耕助氏)

 海外記事を紹介する「耕助のブログ」に掲題の記事が載りました。
 ガザでは10月7日以降、5万5,000人以上が死亡し、12万7000人が負傷したとされていますが、その数字は過小評価であり ガザの瓦礫が撤去されるまで実際の死傷者数は把握できません。
 イスラエル軍によって「居住不能な状態」まで破壊されたガザは、人々は1人あたり1・5平方メートルの空間で暮らし、そこは何トンものゴミの悪臭に覆われ、下水処理場は破壊され、飲む水すらもありません。
 病院は組織的に爆撃され、赤ちゃんたちは低体温症や脱水症状、病気で命を落とし、医師や看護師が標的にされ、フランシスコ教皇は「これは残虐行為であり、戦争ではない」と述べました。
 21世紀に出現したこの世の地獄です。トランプをはじめ西側の政治家は何故ネタニヤフの暴虐を止めようとしないのでしょうか。
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ハマスを破壊するためのイスラエルの戦争はガザ自体を破壊した
                  耕助のブログNo. 2574 2025年6月25日
  居住不可能な状態まで  To the Point of Uninhabitability
    Israel’s war to destroy Hamas has destroyed Gaza itself
                         by Seymour Hersh
数週間前、ガザ政府の報道機関はイスラエル国防軍(IDF)がガザ地区の領土の77%以上を支配しており、その多くはイスラエル空軍のハマス関連施設への継続的な空爆により廃墟と化していると発表した。ハマス指導者の多くは2023年10月7日にイスラエルに対して行った突然の攻撃で多くは殺害されたりガザから逃亡したりした。しかし組織は存続しており、現在ハマスメンバーは最大2万人いると推定されている。現在の若い新兵たちは、ガザへの救援物資の配給と残された経済を支配する闇市場を支配しようとしている。

イスラエルはハマスとの戦争に勝利していない。この戦争は当初4~5ヶ月で終結するとされていた。イスラエル指導部はその失敗に対し、ガザの住民にまで戦争を拡大した。ただし、イスラエル人は、ハマスが要塞化されたトンネルから駆逐されれば、ガザでのイスラエル空軍の恐怖の24時間爆撃は停止すると言われていた。
数週間前、AP通信はテルアビブから、イスラエルと接するガザ地域がイスラエル国防軍(IDF)によって「居住不能な状態」まで破壊されたと報じた。パリのサイエンス・ポで中東研究の教授を務めるジャン=ピエール・フィリウは、ガザ訪問の報告を最近発表した。彼の著書『Un Historien à Gaza』(2025年)の改訂・更新版は、最近『Arab Digest』でレビューされた:
ガザのサラヘデン道路を走行中、彼はなぜゆっくりと運転しなければならないかを説明する:歩行者は痛みと絶え間ない爆撃でトラウマを負い、車の音すら聞こえないからだ。月の風景の中で、彼は一人の老人に出会う。老人は彼に、自分の運命は羊のそれだと言う。羊はちょうど犠牲祭のために捧げられる分だけ餌を与えられるのだと。彼の昔の知り合いたちの中で、平均的な「追放された」人々は一人あたり1.5平方メートルの空間で暮らしている――パレスチナ人は「難破者」のようなものだ。
何トンものゴミの悪臭、破壊された下水処理場、水の不足が圧倒的。彼は、フランシスコ教皇がこの状況をこう総括したことを思い出させる。「これは残虐行為であり、戦争ではない」と。病院は組織的に爆撃され、赤ちゃんたちは低体温症や脱水症状、病気で命を落とし、医師や看護師が標的にされ、学校や大学は破壊され、イスラエル兵によって本や学術資料が意図的に破壊されている。パレスチナ人は「最後の審判に値する暴力」を受けている。あまりにも多くの建物やランドマークが破壊されすぎて、フィリウは自分がどこにいるのか分からなくなる。
アフガニスタン、シリア、ウクライナで目にしたどんな光景も、ガザの状況に彼を備えさせることはできなかった。これが「イスラエルが国際報道陣にこれほど衝撃的な現場へのアクセスを許さない理由」を説明している……フィリウは、西側諸国がこれらの殺戮の場での民間人犠牲者に対して示す共感の欠如に愕然としている

刑事訴追を受けているベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イスラエルの極右宗教原理主義者と結託した。彼らは依然として支配的な政治連合であり、ガザの一部をイスラエル入植者の居住地に変えることを公然と主張している。ビビ(ネタニヤフの愛称)は西側諸国に反旗を翻し、ハマスの打倒を目的としたイスラエル空軍の攻撃を含む、ガザでのイスラエル国防軍(IDF)の戦争の主要な支持者兼スポークスマンとして残っている
ネタニヤフは依然として戦争に勝っていると言うが、イスラエル指導部からはガザの再建に関する言及は一切ない。ネタニヤフは最近、ガザの生存者200万人を3つの大規模な入植地に移住させる新たな計画を発表した。各入植地には数十万人の難民が収容され、IDFが食料と人道支援物資の供給を担当する
私が話した一部のイスラエル人とアメリカ人は、すぐにワルシャワ・ゲットーを思い出した。
ネタニヤフは、直近の目標はパレスチナ人への食料や人道支援物資の配給におけるハマスの影響力を排除することだと述べた。ガザでは10月7日以降、5万5,000人以上が死亡し、12万7,000人が負傷したとされ、その大半は女性と子供だ。これらの数字は過小評価であるとの指摘が繰り返し出されており、ガザ全域で続くイスラエルの爆撃による瓦礫が撤去されるまで、実際の死傷者数は把握できない

イスラエルの政策変更は、イスラエル国防軍予備兵の大規模な動員が発表されながらも、欧米のメディアではほとんど注目されなかった。新たな終戦キャンペーンには、ハマスに対抗するために少なくとも6個師団が投入される予定だ。
宗教的過激派が率いるネタニヤフの右派内閣は、この攻撃的な新キャンペーンを全会一致で承認した。国連の報道官は、アントニオ・グテーレス事務総長ネタニヤフの計画に「深刻な懸念」を表明したと述べた。この計画は「無数の民間人の死亡とガザのさらなる破壊を不可避的に招く」と指摘した。報道官は「ガザは、将来のパレスチナ国家の不可分の一部であり続けなければならない」と強調した。
戦争の生存者たちが、彼らを爆撃し殺してきた者たちの手に委ねられるという事実にはほとんど注意が払われていない。私は過去10年間中東の平和維持活動に関わってきた友人に、今後の戦争激化と生存パレスチナ人の移転についてどう思うか尋ねた。彼の返答は、その皮肉さにおいて衝撃的だった:
誰もがシナリオを知っている。ガザは終わり、レバノンの半分も終わりだ。残念ながら、イスラエルは当面は大丈夫のようだ。

イスラエル国防軍の元高級将校に、イスラエルがガザの惨事を乗り越えられるかどうか尋ねたところ、やや皮肉は少なかったが、次のような答えが返ってきた。彼の答え:「ビビ⇒ネタニヤフの愛称)が最高指導者である限り、不可能だ。彼はトランプと[イランの最高指導者]ハメネイを合わせたよりも権威がある。答えは損失を最小限に抑え、ガザを人質と引き換えに放棄し、トランプと合意した通り、撤退後に合意を破った場合ハマスに対して何ができるかを決め、現在ベイルート(隣国レバノンの首都)でやっていることを続けることだ」——ヒズボラの疑わしい施設への爆撃を継続することだ。
さらに辛辣な発言は、ネタニヤフと同じ秘密のイスラエル特殊部隊で数十年間勤務した、勲章多数のイスラエルの戦闘ベテランから出た。彼は私に「ビビと彼の悪辣で機能不全の政府は、イスラエルの活気ある民主主義をメシアニックなファシスト政治体制に変えようとしているが、ハマスとの戦争後に対する計画はない」と語った。財務相のベザレル・スモトリッチのような人物は「永遠の戦争」というスローガンを掲げ、ビビはゲッベルスの古いスローガンである「完全勝利」を語る彼らは憎悪、無知、ユダヤ教以外のものへの尊重の欠如に駆り立てられている。将来の計画?「冗談だろう。神とトーラーの学びが私たちを救う。収容所?食料供給?ただの広報ショーだ。他の人間なんてどうでもいい
「私たちは10年間計画してきたヒズボラとの戦争に勝った。他のすべての戦線で敗北しているのは、イスラエル国防軍が戦闘部隊ではなく植民地警察部隊だからだ。私たちは2023年10月7日のハマスとの戦争に敗北した。それ以来、私たちは復讐の作戦を続けている」

最後の復讐の行為は、生き残ったパレスチナ人が安全に暮らせる最終的な居住地を提供するというイスラエル政府の計画の実施かもしれない。私は国際人道支援機関から、現在ガザ中部および南部で建設中の3つの新しいキャンプに関する機密報告を受け取った。生存パレスチナ人の5つの別々の地域からの移住は6月初旬に始まると予想されており、その報告書は移動が危険に満ちていることを明確に示している。いくつかの警告は不吉なものである:

– 「…回廊沿いの軍のプレゼンスが強化されることが予想される」
– 「人道支援団体は、新たに故郷を追われた人々からの緊急のニーズに備えるべきだ」
– 「爆弾の被害の撤去には数週間かかり、地雷や狙撃手の待ち伏せ、複雑なトンネルの再出現により、作業が遅れる可能性がある」
– 「繰り返される地上侵攻と広範な破壊行為が予想される」
– 「人道回廊はますます軍事化される。民間監視メカニズムは最小限になる可能性がある」

このコラムの読者は最初の移住を覚えているだろう:ガザの住民は北から南へ、荷物をカートや背負って移動させられた。高齢者はイスラエル国防軍(IDF)の監視下で歩かされ、IDFは高齢者や病弱者の苦境に対してもほとんど同情を示さなかった。
今や、傷ついたガザの人々がこれから迎える新たな形の監禁への行進に対してこれ以上の配慮がなされる理由はほとんどない。彼らはイスラエル国防軍(IDF)を守護者とは見なしておらず、これからも決してそうはならないだろう

移住が完了すれば、ガザは現在イスラエルを支配する宗教的熱狂者たちによって、自らの宗教的遺産として主張されることになるだろう。ではそのとき、新しいゲットーに身を寄せる何百万ものガザの人々の運命はどうなるのだろうか

https://seymourhersh.substack.com/p/to-the-point-of-uninhabitability 

「基本的には」単独政権?(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 野党第一党の立民党の野田佳彦代表を批判する記事です。
 植草氏は、かつて日本政治に希望の光を差し込ませた「小沢-鳩山民主党」から権力を強奪して民主党政権を木っ端みじんに破壊したのが菅直人氏と野田佳彦氏であるとして、一貫して批判して来ました。
 両氏が首相の座についてからは国民にすっかり見放された結果、民主党は「復活する余地」すらもなくなりました。
 そして財務省派の野田氏が、この期に及んで自民基軸の連立政権に加わろうとしていることは、多くの識者が指摘しているところです。財務省の害毒は絶大です。
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「基本的には」単独政権?
               植草一秀の「知られざる真実」 2025年6月25日
6月25日に立憲民主党の野田佳彦氏が時事通信社などによるインタビューで
「基本的には単独(政権)を目指すのが筋だ」と述べたと報じられた。https://x.gd/R5RtE
この発言のキモは「基本的には」。この構文は「基本的にはAだが、Bも考え得る」というもの。
同時に「野党連立による政権奪取は容易ではない」とも述べたそうだが、容易でなくしているのは本人に他ならない。

野田氏が立民代表に就任して日本政治刷新を目指す有権者は落胆した。
日本政治に希望の光を差し込ませたのは「小沢-鳩山民主党」だが、この「小沢-鳩山民主党」から権力を強奪して民主党政権を木っ端みじんに破壊したのが菅直人氏と野田佳彦氏
野田佳彦氏に至っては2009年8月総選挙に際して、「シロアリを退治しないで消費税増税は許されない」と絶叫した人物だ。「野田佳彦のシロアリ演説」https://x.gd/DETC5
国民を裏切って消費税増税に突き進んだ。財務副大臣、財務大臣、総理大臣という〈エサ〉に引き寄せられて転んだ。〈のださんがころんだ〉である。

「消費税は社会保障にとって大切だ」と言われるが、消費税収は1円も社会保障に使われていない消費税の全額は法人と個人の減税に使われた
所得税と消費税の違いは次の点にある。
〈金持ちに厳しく、お金の少ない人に優しいのが所得税〉
〈金持ちに優しく、お金の少ない人に過酷なのが消費税〉

いま日本でもっとも深刻な経済問題は格差拡大。中間層がほぼ消えた。中間層が下流に押し流された
国税庁統計で1年を通じて勤務した給与所得者5000万人のうち、51%が年収400万円以下、20%が年収200万円以下。給与所得者の半数以上が年収400万円以下なのだ。

90年度と2020年度の税収規模はほぼ同じ。一般会計国税収入は90年度が60兆円、20年度61兆円でほぼ同額。しかし、構成がまったく違う
90年度は所得税26兆円、法人税18兆円、消費税5兆円だったが、20年度は所得税19兆円、法人税11兆円、消費税21兆円。
野田佳彦氏が法律制定を強行した税制変更は税収を増やしたのではなく、税の構成を変えただけ。格差抑制の視点から見れば90年度税制がはるかに優れている
野田氏は自民基軸の連立政権に加わり、さらなる消費税増税に突き進むことを目論んでいると見られる。

参院選に向けて、すべての国民が知っておくべきことは 財務省の正体と消費税のカラクリ
この問題を徹底解説する拙著を上梓した。『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』http://x.gd/nvmU9  本日付けの日経新聞に広告が掲載された。 













ぜひご高覧賜りたい。
              中 略

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26- またも約束は破られた(賀茂川耕助氏)

 海外記事を紹介する「耕助のブログ」に掲題の短い記事が載りました。

 トランプが国民に約束したことは何一つ実現していないことを述べたものです。トランプの関税戦争の帰趨はまだ不明?ですが、その明確な目的は米国企業に製造を米国へ、特に中国から戻すことを強制することだったのですが、何一つ実現していないし、企業が応じる姿勢を見せていないということです。
 
 では海外政策ではどうでしょうか。トランプは当初全ての戦争を終結させるかのように述べていました。しかし予想されていたようにイスラエル一国にてこずって、国際法違反のイラン空爆にまで手をのばしました。
 そしてかねてから考えていたイランの主要施設の空爆とミサイル攻撃を済ませると、返す刀でイラン・イスラエルの間に戦争終結を強制しました。
 それは完全に非合理なものですが戦争の拡大よりは遥かに勝ることは明白です。
 併せて耕助のブログ記事「イランからのメモ:準備完了」を紹介します。
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またも約束は破られた
                  耕助のブログNo.2572 2025年6月23日
     Another promise made and promise undelivered
     トランプ関税で中国から生産が米国に移ったのか?   by Hua Bin
トランプ政権によると、「解放の日」として関税戦争を始めた明確な目的は、米国企業に製造を米国へ、特に中国から戻すことを強制することだという。
2ヶ月間の揺れ動きの末、この「安定の天才」の「簡単に勝てる」関税戦争の有効性について結論が出た。
先週金曜日、中国米国商工会議所(AmCham China)は5月下旬に実施した最新の調査結果を発表した。調査によると米国企業は1社も生産を米国に戻していない1社もだ
AmChamの報告書は、関税が米国企業にとって中国での事業に課題をもたらしていることを認めつつも、次のように指摘している:
課題はあるものの、ほとんどの企業は中国から撤退する計画はない。代わりに現地化を進めたり、一部生産を第三国に移転したりしている米国への生産移転を報告した企業は1社もない
AmCham Chinaのアルヴィン・リウ会長は、関税は会員企業にとって追加の課題だと述べた。
この調査から浮かび上がるメッセージは明確だ。ほとんどの米国企業は中国をあきらめていない。中国市場への関与を維持することは、企業がグローバルな競争力を維持し、政策の変化に適応し、より賢明でバランスの取れた政策立案に役立つ貴重な現地の洞察を提供するための戦略的課題なのだ
再工業化とは、トランプ政権の「ロシア・ウクライナ戦争を24時間で終結させる」という約束と同様、もう一つの「おとり商法」の策略のようである。米国の政治家が選挙集会で「約束は果たされた」と誇らしげに宣言する時、彼らはどの約束を指しているのだろうか? おそらく彼らのオリガルヒ(寡頭支配者)である支持者たちへの減税の約束だろうか?
https://huabinoliver.substack.com/p/another-promise-made-and-promise 



イランからのメモ:準備完了
               耕助のブログNo. 2573  2025年6月24日
     Memo from Iran: WE ARE READY
  ワシントンのイランに対する恒久的な政策:威嚇、軽蔑、いじめ、その繰り返し
                        by Mike Whitney
西側のメディアでイランについて書かれていることは何も信用できない。すべて同じ悪質な反イランの憎悪と偏見で汚されている1979年の革命から今日に至るまで、米国のイラン政策は、絶え間ない非難、好戦的態度、そして悪魔化の一連の流れで一貫している
ワシントンはイランを尊重したことは一度もなく、今後もないだろう。なぜなら根本的なレベルで米国の政治家全体が、イランが自国の広大な資源に対する主権を主張し、ワシントンの権力者たちに屈服しないことを憎んでいるからだ。それが真の問題だ。イランはアンクル・サムの命令に屈服しなかったため、経済的圧迫、「最大圧力」、そして最終的には戦争で懲罰されなければならないのだ。これが米国が鉄拳で地方の農民たちを扱う方法である。

あなたの政治IQをテストしよう。点と点を結ぶことができるか試してみよう:
 トランプの2024年大統領選挙キャンペーンに対して親イスラエル派が行った寄付の総額:
… 親イスラエル派の利益団体や個人は2020年以降トランプに利益をもたらすことに2億3000万ドル以上を寄付しており、その大部分は2024年の選挙サイクルに関連している。この数字には直接的な選挙献金、独立支出、スーパーPACの支出が含まれるが、2024年だけの正確な内訳は不明である …
親イスラエル派の寄付者たち、主にミリアム・アデルソンは、「プリザーブ・アメリカPAC」を通じてトランプの2024年大統領選挙キャンペーンに推定$1億600万~$1億5,000万を寄付した。そのうちアデルソンの$1億600万が最も確認可能な金額だ。(リンク:Grok:2024年米大統領選挙:トランプを支援する超富裕層の寄付者は誰か?、Reuters? Grok)

質問 – ミリアム・アデルソンのイランへの米軍介入に関する立場は?
ミリアム・アデルソンのイランへの米介入に関する立場は彼女の公の声明では明確に示されていないが、彼女の行動、所属団体、そして故夫シェルドン・アデルソンの遺志から、イランの核開発計画と地域影響力に対抗するための軍事行動を含む強硬な立場を支持していることが強く示唆されている…… 
2021年に死去したシェルドン・アデルソンはイランへの米介入を公然と主張し、2013年にはイランの核開発を放棄させるために「威嚇行為」として砂漠へ核を攻撃し、従わなければテヘランに核攻撃することを提唱したのは有名である。彼はイェシーバ大学のパネルで、「携帯電話を手に取り、ネブラスカのどこかに電話して、『OK、行け』と言うんだ…そして『ほら、次はテヘランの真ん中だ』と言うんだ」と述べた…
ミリアムは、イランに対する強硬な措置を提唱する団体に資金を提供している。例えば:
イランの核開発に反対する連合(UANI): 2013年にアデルソン・ファミリー財団から50万ドルを受け取り、イランとの外交を反対し、制裁と軍事圧力を支持している。
民主主義防衛財団(FDD):アデルソン一家から150万ドルを受け取り、イランの核施設に対する先制攻撃を推進している(The Nation、2015年)。
 ミリアム・アデルソンのイランへの米介入に関する立場は、政治献金、所属団体、メディア影響力から推察される通り強硬派であり、イランの核開発計画と地域における役割に対抗するため軍事行動を含む強硬な措置を支持する可能性が高い。これはイスラエルの安全保障優先事項と一致している。彼女は、故夫の核攻撃提案のような具体的な介入を公に主張していないが、トランプへの$1億ドルを超える支援、反イラン団体への資金提供、イスラエル・ハイオムでの役割から、対立的な米政策を支持していると考えられる。Grok
スティーブ・ウィトコフとミリアム・アデルソンは、水曜日の夜に開催された「ユナイテッド・ハツラーハ・オブ・イスラエル」のガラで抱き合った。ウィトコフは「核保有イラン」を存在脅威と宣言し、「濃縮禁止」の最終通告を繰り返した。ウィトコフは日曜日に予定されている次(最終?)の交渉ラウンドを率いる予定だ。
– マイケル・トレーシー、X

Quid pro quo(定義) – 「何かと引き換えに何かを与えること」。現実的には、「私はあなたの大統領選挙キャンペーンに1億ドルを寄付する。その見返りに、あなたはイスラエルの首都をエルサレムに移す、またはイスラエルがゴラン高原を併合することを認める、あるいはシリア政府を打倒するための資源を提供する、あるいはパレスチナの先住民を殺害するための爆弾や武器を無制限に供給する」という意味かもしれない。または、全く異なるもの、例えばイランへの空爆で第三次世界大戦を引き起こし、米国を中東から永久に追放するような、さらに野心的なものを指す可能性もある。当然、これはトランプキャンペーンに寄付した億万長者が「条件付き」で寄付したことを意味し、彼らは見返りを期待しているということだ。この場合、彼らはトランプが米国をイランとの戦争に導くことを期待している。なぜなら、そうすることでイスラエルが中東で最も強力な地域覇権国として台頭する可能性が高まるからだ。
それが「馬のトレーダー」トランプが2024年の大統領選挙に勝利し(そして法的問題を一夜で解決するため)、結んだ取引なのだろうか?
我々はそうだと思う。実際、我々は一瞬たりともトランプのイランとの核交渉が主要な問題を平和的に解決するための真剣な努力だと思ったことはない。最初から交渉は戦争を開始するための口実を作るための偽装だったことは明白だった。今、その評価が正しかったことが明らかになった。
2015年の選挙キャンペーン中のトランプの1分間の動画を見てみよう。トランプはブッシュのイラク介入を激しく批判し、有名な「イラク戦争は大きな間違いだった」と述べた。この発言は彼の支持率を急上昇させた(しかし、ワシントンの政治エリート層からは永久に排除される結果となった)。彼がイラクとアメリカの終わりのない政権交代戦争への反対を掲げて選挙に勝利したと言っても過言ではない。

そして今、「平和の候補者」が、イランとの戦争に国を導こうとしているのか?
なぜ?
なぜなら彼を選出させた億万長者のシオニストたちに恩義があるからだ。「イランとの戦争」は、その恩返しだ。ABC ニュースの報道によると:
ドナルド・トランプ大統領は水曜日、イスラエルとイランの緊張の高まりを受けて中東の一部から米国人職員を「撤退」させることを確認した。
「まあ、彼らが撤退するのは危険な場所になる可能性があるからで、今後の状況を見守ろう。しかし彼らは撤退するように言った。どうなるかは様子を見よう」と、ケネディ・センターでレッドカーペットを歩きながらトランプは記者団に語った。
この件に詳しい国務省当局者 2 人によると、国務省はこの地域における治安リスクの高まりを懸念し、イラク・バグダッドの大使館から必要のない職員全員の退去を命じた。{2}

つまり、核交渉がまだ進行中であるにもかかわらず、米国は戦争の準備を進めているということか?
そうだ。実際トランプの交渉チームはイランに対して何の正式な提案も行っていない。何もだ。(濃縮の問題は会議でさえ議論されていない。)米国は明確な正当性なしに戦争に急いでいる。彼らは単にネタニヤフに続いて断崖から飛び降りようとしているのだCBSニュースの報道によると:
 複数の情報筋によると、米国当局者はイスラエルがイランへの軍事作戦を完全に準備完了していると伝えられている……木曜日、記者はトランプに、イスラエルによるイラン攻撃が差し迫っているかどうか尋ねた。トランプは「差し迫っているとは言い切れないが、十分に起こり得る事態だ」と答えた。{3}

トランプはこの茶番劇における自身の役割を曖昧にしている。ネタニヤフはワシントンからの承認なしにイランを攻撃することはないだろう。そうでなければ、彼の戦略爆撃機はイランの空域に入る前に引き返されるだろう(昨年イスラエルの攻撃時と同様に)。イスラエルは、イランの核施設に何らかの影響を与えるためにはアメリカの軍事力が必要だ。これは、ネタニヤフがイランが破壊的な報復攻撃を仕掛け、アメリカが「救援に駆けつける」ことを期待していることを示唆している。この分析は、6月12日にAxiosに掲載されたコメントによって裏付けられている。バラク・ラヴィドによると:
米国大使のスティーブ・ウィトコフは上院の共和党幹部に対し、イスラエルの核施設攻撃に対するイランの報復がイスラエルの防衛力を圧倒し、大規模な被害と犠牲者を生む可能性があると私的に警告した。

もしイランの報復が「イスラエルの防衛体制を圧倒する」可能性があるなら、なぜイスラエルは攻撃を仕掛けるのか?
明白だろ?そうすれば、米国が「可哀そうなイスラエル」を救うために介入せざるを得なくなるからだ。これがこの茶番の真の目的じゃないのか?
その通りだ。しかし、イランは罠に掛かるだろうか?
かかるだろう。でも多くの人が考える理由ではない。イランは罠に誘い込まれているわけではない。イランは単に、保有する武器で自衛するだけだ。その武器は、米国とイスラエルの両方を打ち負かすのに十分だ。イランは超音速ミサイル大国で、その攻撃能力を西側のアナリストたちは自らの狭いイデオロギーに囚われているため、技術的進歩の証拠を無視している。イスラエルによる空爆は、燃え残る軍事基地、武器庫、重要なインフラ、そしてイスラエルの貴重な核施設という形で、開発の進展をリアルタイムで目撃することになるだろう。
しかし、イランはどこまでやるのか?
イスラエルが望む限り。人々はイランが「手加減なし」で「暴走」するのを期待すべきではない。それは起こらない。イランの対応は成熟した責任ある国家として期待されるように、冷静で比例したものであろう。しかし、イスラエルやトランプが「次の段階」に進むなら、イランは最後まで戦う用意がある。これはプレスTVの報道:
イランの安全保障当局の高官は、イスラム共和国は「最高レベルの軍事準備態勢」にあると述べ、米国やイスラエルによるいかなる侵略行為にも迅速かつ予想外の対応で臨むと警告した。
「イランは現在、最高レベルの軍事準備態勢にある。米国やシオニスト政権がいかなる侵略行為を試みた場合でも、彼らは不意を突かれることになる」と、匿名を希望した当局者はプレスTVに語った……
イランの治安当局者は、イランが最近入手したイスラエルの秘密文書は、「米国とシオニスト政権の標的に関する広範な情報優位性をイランにもたらした」と述べた。
日曜日、イランの諜報相エスマイル・ハティブは、イスラエルの秘密核計画に関する文書や核計画・施設に関する記録を含むこれらの資料が厳重な秘密保持の下でイランに移送され、まもなく公表されると確認した。
同当局者はまた、国防相のアミール・ナシルザデ少将が発表したように、2トンの弾頭を搭載した弾道ミサイルの試験発射に成功するなど、イランの軍事能力の最近の進展にも言及した:
「イランは現在、敵が敵対的な動きを示す前に、致命的な先制攻撃を仕掛けることで敵を驚かせることができる」と、同当局者は述べた……
月曜日の声明で、イランの最高国家安全保障会議(SNSC)は、イスラエルがイスラム共和国に対していかなる攻撃行為も行えば、イスラエルの秘密核施設を攻撃すると述べた……{4}

 これが、トランプとネタニヤフが理解していなかった不快な事実だ。イランは現在、イスラエルの核施設の正確な位置(座標?)を把握しており、イスラエルが空爆を実施した場合、それらを破壊するだろう。つまり、イスラエルが計画通りにやれば、ユダヤ国家の広範な地域はローマの蝋燭のように燃え上がるだろう。これはしばらく考えてみる価値がある。

Links:
{1} https://www.reuters.com/world/us/who-are-mega-rich-donors-backing-trump-2024-04-26/
{2} https://abcnews.go.com/International/trump-confirms-us-personnel-removed-parts-middle-east/story?xclass=122754408
{3} https://www.cbsnews.com/news/israel-is-poised-to-launch-operation-on-iran-sources-say/
{4}https://www.presstv.ir/Detail/2025/06/12/749673/Iran-surprise-US-Israel-attack-Press-TV 

https://www.unz.com/mwhitney/memo-from-iran-we-are-ready/