2018年5月15日火曜日

15- 安倍首相が「森元総理」を北朝鮮に派遣か 拉致問題打開のために

 安倍首相は、拉致問題の打開のために森元首相を、北朝鮮との交渉の全権大使に考えているということです。
「拉致問題の安倍」と豪語していた筈なのに今更どうしたのだ!?ということになりますが、北朝鮮の安倍首相に対する印象は最悪に違いないので、そんな人間が、難しくまた微妙な交渉の任には到底当たれません。
 
 安倍氏に比べれば森本首相の方がはるかに適任なので、是非うまくまとめて欲しいものです。
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 【特報】
安倍首相があの「元総理」を北朝鮮に派遣か 拉致問題打開のために
 近藤 大介 現代ビジネス 2018年5月14
週刊現代    
北朝鮮で人質になっていた3人のアメリカ人を、ポンペオ国務長官が帰国させた。だが日本の拉致被害者は帰ってこない。安倍総理は「最後の手段」として、6月に「大物特使」の平壌派遣を決めた―。5月14日発売の「週刊現代」で、驚きの情報が記されている。
 
高まる危機感
「拉致問題に関して、李克強首相と文在寅大統領に協力を求め、支持を得ることができた」
5月9日、3年ぶりの日中韓サミットを東京で開催した安倍晋三総理は、3首脳で開いた共同記者会見で、胸を張った。
「日本は蚊帳の外に置かれている」――このところの北朝鮮を巡る雪解けムードに、日本政府は危機感を募らせていた。
昨年、あれほど緊迫した北朝鮮情勢だったが、今年2月、韓国が北朝鮮を平昌冬季オリンピックに参加させ、先月27日には歴史的な板門店会談を実現させた。また5年半にわたって、同様に北朝鮮との関係を悪化させていた中国も、3月と5月の2度にわたって、金正恩委員長を自国に招待した。
 
さらに、あれほど北朝鮮と敵対していたアメリカも、ポンペオ国務長官が3月~4月と5月に訪朝。北朝鮮は3人のアメリカ人を解放し、6月12日にはいよいよシンガポールで、トランプ大統領と金正恩委員長の「大一番」のトップ会談が迫っている――。
そんな中で、日本だけがポツンと取り残された格好だ。拉致被害者の家族たちは、「なぜアメリカ人は返還されて日本人は返還されないのだ」と忸怩たる思いでいる。
 
そのような日本を 見透かしたかのように、朝鮮労働党機関紙『労働新聞』(5月6日付)は、「日本は悪い癖を捨てない限り、1億年経ってもわれわれの神聖な地を踏むことはできない」と非難した。
 
日本もその間、決して手をこまねいていたわけではない。日本政府関係者が明かす。
「2月9日、平昌オリンピックの開会式のレセプション会場で、安倍総理は、北朝鮮代表団を率いて訪韓した金永南最高人民会議常任委員長に対して、『核、ミサイル、拉致問題を解決すべく金正恩委員長と話す用意がある』とラブコールを送りました。しかし齢90で貫禄十分の金永南委員長は、『拉致』という言葉を聞いたとたんに顔をこわばらせ、『そんなものは第一副部長同志に言ってくれ!』と一蹴したのです。
第一副部長同志とは、同行した金正恩委員長の妹・与正のことです。結局、与正第一副部長との面会もかなわず、失望した安倍総理は、予定を一日早めて平昌から帰国してしまいました」
その後、日本政府は、国交のない北朝鮮の大使館的役割を果たしている朝鮮総聯(在日本朝鮮人総聯合会)に、橋渡しを依頼した。
「だが、日本政府のメッセージが、朝鮮総聯から平壌の金正恩委員長にまできちんと伝わったかは不明で、うまくいかなかった」(同前)
 
不発だった「ウルトラC」
この春、誕生から5年以上経た安倍長期政権の支持率が、財務省スキャンダルなどで急落したことは、周知の通りだ。内政が八方塞がりになる中、安倍総理としては、外交に活路を見いだそうとした。
そこで目をつけたのが、北朝鮮だった。
安倍総理は「ウルトラC」を画策したという。それは、金正恩委員長との電撃的な日朝首脳会談の実現だった。
「6月に開催が予定されるトランプ大統領と金正恩委員長との米朝首脳会談が終わった後、すぐにその現場に安倍総理が駆けつけるというプランでした。米朝交渉が満足いく結果に終わった場合、金正恩委員長はご機嫌のはずだから、そこに安倍総理が訪ねていけば、拉致問題に関して、何らかの朗報が得られるのではと考えたのです」(同前)
 
だが、この「奇策」も不発に終わった。韓国と中国は機先を制して、「まずは『南北+米中』の4ヵ国で協議すべきであって、安倍総理と会談すべきではない」と金正恩委員長を説得。4月17日、18日に米フロリダ州で安倍総理と会談したトランプ大統領も、そこまで安倍総理を配慮してはくれなかった。
その間にも日本では、「日本だけ蚊帳の外に置かれている」という非難が高まっていった。
 
安倍総理は、非難を払拭するかのように4月の訪米直前、北朝鮮が「太陽節」(金日成主席の誕生日の祝日)に沸く(4月)15日に、拉致被害者・横田めぐみさんの父親で、入院中の横田滋さん(85歳)を、川崎市内の病院に見舞った。
また、アメリカから帰国直後の22日には、拉致被害者の家族たちと懇談し、合わせて「政府に今年中の全被害者救出を再度求める国民大集会」に出席。「トランプ大統領、文在寅大統領、王毅中国外相に、拉致問題で北朝鮮に働きかけるよう要請している」と力説したのだった。
 
「三顧の礼」でお願い
そんな中、安倍総理は水面下で、自分と金正恩委員長とを結びつける「最後の一手」を準備していった。
それは、自らの政治の師匠である森喜朗元総理に、「総理特使」として、親書を携えて訪朝してもらうことだった。前出の政府関係者が続ける。
「'94年の『米朝枠組み合意』は、当時のクリントン大統領が、師匠のカーター元大統領を平壌に派遣することによって解決しました。北朝鮮という国は、何よりも体面を重んじるので、元総理クラスでないと、特使として受け入れません。
その点、森元総理は、かつて'97年に与党訪朝団の団長として訪朝した経験があるなど、北朝鮮から一定の信頼があります。また、プーチン大統領との親密な関係は有名ですが、世界のコワモテ指導者との相性は抜群によい。
そこで、森元総理に三顧の礼を尽くして、特使になってもらうよう、密かに要請したようなのです」
その際、肩書を「元総理」ではなく、「東京オリンピック組織委員会会長」とすることで、北朝鮮がより自然に受け入れられるよう配慮したという。
 
米朝首脳会談の直後に…?
折しも、3月29日から31日まで、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が訪朝した。
平壌支局を持つAP通信の報道によると、3月30日に、金正恩委員長とバッハ会長との会談が実現。会談後には二人で、平壌のメーデー・スタジアムを訪れ、サッカー観戦をしながら、引き続き話し込んだという。
「この時、金委員長がバッハ会長に、『2年後の東京オリンピックに参加する』と言明しました。これが『森会長を受け入れてもよい』という間接的なメッセージだったのです」(同前)
実際、この時のバッハ会長の訪朝を受けて、森会長は、「バッハ会長が頑張ってやってこられたことに関して、評価したい」と、わざわざ述べている。このコメントも、当然ながら北朝鮮側に間髪置かず伝わっている。
政府関係者が続ける。
「森元総理の訪朝は、米朝首脳会談の直後にセッティングされるでしょう。
 
金正恩委員長の性格から言って、長期にわたる交渉にはならないでしょう。すなわち日本人の拉致被害者を返還する気があるのか。あるとしたら、見返りに何を求めるのかを、もしかしたら金・森会談で決めてしまう可能性がある。
もしも条件交渉が大枠でまとまれば、安倍総理は訪朝を急ぐでしょう」
東京オリンピック組織委員会を通して、森会長に事実関係についての取材を申し込んだが、「組織委員会で回答できないことなので、こちらでは対応できません」との回答だった。
代わって、森元総理の知人が答える。
「昨年、傘寿を迎えた森さんは、『遺書』という物騒なタイトルの著書を出し、肺がんと闘病中であることを明かしている。それでも律儀な性格は相変わらずで、最近もあの日ハムの清宮幸太郎を励ます会に顔を出したり、警察関係者の葬儀に参列したりしている。
 
そんな森さんだから、安倍総理から本気で頼まれたのならば、『最後のご奉公』と思って訪朝するだろう。そして森さんが訪朝すれば、あの金正恩委員長も胸襟を開いて、拉致問題の解決について話をするのではないか」 
 (取材・文/近藤大介(週刊現代編集次長)