2019年8月12日月曜日

小泉進次郎の“安倍家臣”化が酷い 小泉進次郎の正体を報道せよ

 小泉進次郎議員結婚発表を官邸で行ったのは公私混同と批判されていますが、それは結婚発表を政権浮揚に繋げようとした安倍官邸の意図に従ったものでした。
 それだけでなく10日発売の「文藝春秋」9月号には、菅官房長官との対談司会 田崎史郎氏)が掲載され、進次郞氏の閣僚入りについて官房長官が太鼓判を押しています。
 LITERAは、人気の高い進次郞の結婚発表でまず祝賀ムードを作り、そこに閣僚入りにお墨付きを与えることでさらに報道を過熱させ、内閣支持率を上げようというのが官邸の魂胆だとしています。メディアがそれを承知の上で熱狂的に応じたのはご承知の通りです。
 
 これまで新次郎氏には政見に関する著述はなく、選挙応援の時でもあまり語っていませんが、彼は米国「戦略国際問題研究所」(CSIS)に非常勤研究員として在籍した経歴を持っています。
 そこはいわばジャパンハンドラーズの巣窟で、そこから数年に1回出される「アーミテージ/ナイ レポート」は日本の極右のバイブルとされています。彼らにとっては日本が憲法9条を廃止して米軍の尖兵となる軍隊を持つことこそが至上の命題なので、新次郎氏も9条の2項を変更(実質廃止)しようと考えています。当然対談でも、「国民の分断を避ける方法で」というような、巧みな表現ながらその話は出てきます。
 
 要するに「進次郎氏が9月の内閣改造で入閣すれば内閣支持率が急上昇するのは確実で、そうしたなかで9条改憲に積極的な進次郎議員が安倍改憲のスポークスマンとして前面に出てくれば、国民世論も一気に改憲に傾く」・・・それこそが安倍政権の狙いというわけです。
 LITERAの記事と「リベラル21」の記事「小泉進次郎の正体を報道せよ - 結婚報道は新次郎政権への開門 - 」(半澤健市氏)を紹介します。
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小泉進次郎の“安倍家臣”化が酷い!
結婚報告の仕掛人・菅義偉との対談で改憲に全面賛成、分断批判でも安倍を擁護
LITERA 2019.08.11
 滝川クリステルとの結婚発表を官邸でおこなうという“公私混同”会見をおこない、メディア総動員の「おめでたムード」をつくり上げた小泉進次郎議員。その官邸で結婚報告を受けた安倍首相と菅義偉官房長官は“寝耳に水だった”とすっとぼけていたが、本サイトでもお伝えしたように、安倍官邸が進次郞に接近し、進次郞もそれに応じ、結婚発表を安倍政権のPRにすべく協力した結果だ。
 進次郞の取り込みに動いたのは菅官房長官だと言われており、実際、10日発売の「文藝春秋」9月号では、“安倍官邸の広報官”である田崎史郎氏を司会に、進次郞と菅官房長官が対談をおこなっている。そして、すでに一部メディアでも報じられているように、この対談では進次郞の閣僚入りについて、菅官房長官が「私はいいと思います」と太鼓判を押している。
 
 結婚発表の直後に発売された雑誌で、官房長官が閣僚に推薦する──。あまりにタイミングが良すぎるが、ようするに安倍官邸は、人気の高い進次郞の結婚発表でおめでたムードをつくり、そこに閣僚入りにお墨付きを与えることでさらに報道を過熱させ、新たな話題で内閣支持率を上げようという“メディア展開”を、田崎氏を巻き込むかたちでずいぶん前から練っていたというわけだ。
 しかも、この対談で進次郞と菅官房長官は、社会保障制度の改革で一致。さらに官邸が官僚の人事権を掌握している問題でも、進次郞は「官僚主導から官邸主導へ、この方向性は間違いなく正しい」と肯定するなど、石破茂支持から安倍支持へ乗り換えたのがありあり。
 
 対談では、進次郎が参院選で「忖度」発言によって落選した塚田一郎・前国交副大臣の応援演説に入ったときの話として、「「私は忖度しません」と演説したんです」と語っているのだが、対談を読むと、忖度どころか“安倍官邸の家臣”感さえ漂っている
 それを象徴するのが、この対談で繰り広げられている「憲法改正」についての問題だ。
 まず、菅官房長官が「憲法改正は自民党の党是です」と述べると、進次郞も「改憲にはもちろん賛成です」と呼応。こう続けるのだ。
「九条二項の「陸海空その他の戦力は、これを保持しない」はどう考えてもおかしい。こんなの建前だし、国際社会でも通用しないですよ。この一点をもっても、憲法改正すべきです」
 安倍首相は現在、憲法改正を進めるために、憲法9条1項2項を残して自衛隊を明記する案を押し出しているが、進次郞は“2項改正”を主張しているのだ。
 
 進次郞はそのあと、一応、「ただ、現実に憲法改正を進めるには大事な点が二つあります」と付け加え、「一つ目は、社会を分断しないというアプローチ。例えば、国民投票の時に改憲派と護憲派が街宣車に乗って互いが互いを攻撃するような光景を生んではいけない。憲法改正によって、分断を大きくするような事態は絶対に避けなければいけません」などと、抑制的なセリフを吐いていたが、これがお得意の好感度上げポーズでしかないことは明らかだ。
 なぜなら、その後、田崎氏が珍しく、安倍首相の「こんな人たちに負けるわけにはいかない」発言を取り上げ、「総理こそ、社会の分断を招いているとの声も一部にありますが」と踏み込んだ質問したのだが、進次郞は「僕は別に安倍総理のことを言っているのではなく」と即座に否定。「日本に限らず、いま世界中で社会の分断が深刻化している。アメリカもEUもそうでしょう」とごまかしてしまったのだ。
 
進次郎が「憲法改正が神格化され過ぎない環境」と、お試し改憲論を主張
 分断を避けるというなら、世論調査で国民のほとんどが喫緊の課題に「憲法改正」を挙げていないことを指摘し、石破茂などと同様、「国民の深い理解なくしてやってはならない」と主張すべきだが、そんな言及はまったくなし。しかも、「分断とどう向かい合うか。日本も無縁ではないことが参院選の結果でもハッキリしてきた。「分断しない政治」は今後の一つのテーマです」と述べるのだが、どうすれば分断を生まないか、その具体策については一言も発さない。
 神目線でいかにも公正そうなことや改革派っぽいことを語るものの、実際に耳を傾けると話の中身はすっからかん……。これは以前から指摘されてきたことだが、ここでも進次郞は雰囲気だけの公正中立な改革派を気取って、結局、何も言っていないのだ。
 
 しかも、うんざりしたのはこのあと。“憲法改正を進めるにあたっての大事な点”の2つ目として、こんな話をはじめたことだった。
「二つ目は、総理も最近「(九条に自衛隊の設置根拠を明示する)自民党案にとらわれない」と仰っていますが、野党を含めて「どんな案だったら賛成できますか」と虚心坦懐に聞いてみること。最終的にはこの令和の時代に、憲法改正が神格化され過ぎない環境を作るべきです。同じ敗戦国のドイツは戦後六十回以上、憲法を改正しているのに、日本はゼロ。これはどう考えても不利益の方が大きいと思う」
「令和の時代に、憲法改正が神格化され過ぎない環境を作るべき」って、ようするに“一回、お試し改憲をやって、改憲に対する国民のハードルを下げていこう”ということではないか。
 
 しかも、これはいま安倍政権が考えていることと完全に一致する詭弁だ。本サイトでは以前にも紹介したが、安倍首相に近い自民党の木原稔議員は2018年1月におこなわれた櫻井よしこ氏が理事長を務めるシンクタンク「国家基本問題研究所」の月例研究会で、“私の理想は2012年の自民党改憲草案、二項を削除する改憲案”だと述べた上で、こう話している。
「もし、憲法改正は一回しかできないという法律なら、二項削除で戦うしかないと思っています。しかし、憲法改正は何回でもできる。一度、改正に成功したら、国民のハードルはグッと下がると思います。そして、一回目の改正を成功させたあとに、二回目の改正、三回目の改正と、積み重ねていけばいいと思っています。最終的には前文も当然、改正しなければいけない」
 つまり、進次郞が言う「憲法改正が神格化され過ぎない環境」をつくることによって、安倍政権は、進次郞が求める憲法9条2項改正も、さらには前文さえも変えてしまう算段なのである。
 
進次郎の入閣、改憲のスポークスマン化で安倍の改憲は一気に進む
 進次郎が今回の菅義偉との対談でこの“お試し改憲”を口にしたのは偶然ではないだろう。今回の結婚発表からはじまる「進次郞フィーバー」を安倍官邸がつくり出した裏には、一気に憲法改正に弾みをつけるという目論見があるからだ。
 
 このまま進次郎が入閣すれば、安倍政権の内閣支持率は急上昇するのは確実。そうしたなかで、もともと9条改憲に積極的な進次郎議員が安倍改憲のスポークスマンとして前面に出てくれば、国民世論も一気に改憲に傾く。安倍政権の極右思想や戦前回帰志向への警戒感が薄れ、進次郎によって“改憲=新時代”というイメージにロンダリングされてしまうだろう。
 そして、実際に進次郞は「令和の時代に、憲法改正が神格化され過ぎない環境を」などと言い出した。この進次郞の主張の物騒さを、結婚のおめでたムードを煽るメディアが指摘することはないだろうし、国民もそれに流されてしまう可能性は非常に高い。
 
 対談では、田崎氏が「次の総裁選で、進次郞さんはポスト安倍の有資格者だと思いますか?」と訊くと、菅官房長官は「ええ、私はそう思いますよ。早すぎるということはない。本人がやる気があれば別に構いません」と回答している。メディアがしきりに演出する「次期総理大臣」という期待感とあいまって、進次郞の発言の影響度は今後、どんどん増してゆくだろう。
 憲法改正に向け、安倍官邸が味方につけた最強の広告塔──。これまでにない警戒が必要だ。(編集部)
 
 
小泉進次郎の正体を報道せよ - 結婚報道は新次郎政権への開門 -
半澤健市 リベラル21 2019年 8月 10日
(元金融機関勤務)     
 小泉進次郎自民党衆院議員が、フリーアナウンサー滝川クリステルとの結婚を安倍首相と菅官房長官に報告し、その後の記者会見でそのことを発表した。滝川は懐妊しているという。この発表前後の進次郎報道で私の目にとまったものが二つある。
 
《山本太郎と藤井聡は小泉進次郎を批判》
  一つは、れいわ新選組山本太郎の進次郎観である。BS-TBSの「報道1930」(2019年8月5日)で司会の松原耕二は、ゲストの山本太郎に対して「小泉進次郎と組んだらどうか」と質問をした。野党共闘を誰と組むかという質問の最後に聞いた。面白いところを衝いたつもりらしい。山本太郎はすかさず、「どうなんですかね?(小泉進次郎は)CSISと深いつながりがあるんではないですかね?」と返答した。そして、8月8日朝のニュースで、山本太郎は進次郎の首相官邸での結婚発表を「政治的利用を感じる」とコメントした。
 
 二つは、藤井聡の厳しい進次郎批判である。京都大学大学院教授の藤井聡は、文化放送の報道番組(8月8日朝)で、政治家小泉進次郎を全否定する発言をした。藤井は、2012年から18年まで安倍内閣官房参与だった。政治家としての進次郎をよく知っている。そして新次郎は新自由主義の信奉者であり、農協解体などの「構造改革」を進めて日本農業を破壊していると言った。「バカ」であると呼んで藤井は政治家小泉を酷評した。
 
《太郎と進次郎の政権獲得闘争へ》
 自民党は遂に切り札小泉進次郎を担ぎ出した。これは私の個人的な見立てである。
その背景には、安倍政治の八方塞がりがあり、れいわ新選組の躍進がある。ポピュリズム政治の時勢にあって自民党は、連立公明党や自党の石破茂、岸田文雄では勝てないと思ったのである。野党も山本太郎を軸にした共同戦線を張らなければ、進次郎ブームに圧倒されるだろう。
 
 小泉進次郎とは何者なのか。管見の限り、政治ジャーナリストが小泉進次郎の政治理念、イデオロギー、政策とその実績を精査し報道したものを見たことがない。私が見るのは、は女性フアンに囲まれてキヤッチコピーを発しているテレビ画面の小泉進次郎である。
 
《誰も小泉進次郎の顔しか知らない》
  小泉進次郎は自らの公式サイトで学歴・職歴を次のように書いている。
・1988年 4月 関東学院六浦小学校入学、 以来中学・高校・大学と関東学院で過ごす
・2004年 3月 関東学院大学経済学部卒業
・2006年 5月 米国コロンビア大学大学院で政治学部修士号取得
・2006年 6月 米国「戦略国際問題研究所」(CSIS)研究員に
・2007年 9月 衆議院議員小泉純一郎秘書
・2008年 10月 自由民主党神奈川県第11選挙区支部長
・2009年   8月 衆議院議員
・2011年 10月 自民党青年局長
・2013年  9月 内閣府大臣政務官・復興大臣政務官
・2015年 10月 自民党農林部会長
・2017年   8月 自民党筆頭副幹事長
・2018年 10月 自民党厚生労働部会長
 
 ウィキペディアによれば、小泉進次郎はコロンビア大学ではジェラルド・カーティスに学び、シンクタンクCSISではマイケル・グリーンの下で研究をした。いずれも「ジャパン・ハンドラー」の代表的な人物である。ジヤパン・ハンドラーとは、日本の対米隷従システムの舵をとる米国側の日本専門家である。
 
《核心が見えにくい小泉進次郎の発言》
 小泉のイデオロギーや実績を追跡したメディアは少ない。ネット配信「朝日RONZA」には、小泉インタビューがいくつか載っている。高齢化時代、人生100年時代の社会保障に関する発言が多い。現在の自民党厚生労働部会長という立場から当然である。
 給付の削減か積み立ての増加か、という二者択一の問題設定に批判的であり、一見柔軟性に富む発言に見える。しかし選択肢の増加=生き方の選択肢への問題転化にもつながる。「企業の論理」を貫徹するために「生き方の選択肢」が増えるワナを警戒しなければならない。また進次郎の発言には、民主主義や平和外交の言葉が出てこない。出てくる「日米同盟の強化」や「国際社会への貢献」という言葉の現実は、自衛隊の海外派兵や米軍産体制に奉仕する政策に帰結しつつある。これが安倍長期政権の「成果」である。私は、小泉の新自由主義は巧妙に隠されているという印象をもつ。
 
 小泉は2019年5月3日にCSISで講演をした。その全文と概要は小泉進次郎公式サイトからアクセス可能である。読者はそれを読んで拙稿の当否を判断して欲しい。今回は引用を控えたが、ジャパン・ハンドラーからの連想で小泉進次郎が日米支配層の情宣代理人であるとみるサイトが多い。
 
《徹底的に小泉進次郎の正体を報道せよ》
 日本の政治ジャーナリズムに、小泉進次郎のコロンビア大学院修士論文やCSISでの研究論文を、日本で報道されていない発言を、徹底的に分析し報道してもらいたい。そして本人にその意図と本音を聞いてもらいたい。そのうえで自分の頭で考えた忖度なしの小泉進次郎論を展開してもらいたい。政治報道は芸人報道より重要である。国民の命につながるからである。(2019/08/08)