2019年8月31日土曜日

日米貿易合意の内容は自民党内でも発表できない

 第3回目の米朝首脳会談が行われた際、文在寅韓国大統領がトランプ氏に南北融和へのとりなしを頼んだ時、トランプ氏が「その依頼は高くつく」という趣旨のことを述べたと日本のメディアは伝えました。
 メディアは決して報じませんが、同じように安倍首相がトランプ氏に「日朝首脳会談実現への取り成し」などを依頼する際にも、そのつど見返りに当たるものを差し出している筈です。安倍首相はいつも拉致被害者家族に対してトランプ大統領に頼んであるからと護摩化しますが、元経産官僚の古賀茂明氏はそうした依頼は全て「高くついている」と述べています。
 
 以前トランプ氏との首脳会談で米国産の農産物を大量に購入する約束をしたとき、安倍首相がその発表を参院選後にするよう頼み込んだ話は「公然の秘密」でした。
 先般 茂木担当相らが渡米して行った日米閣僚交渉は、当然その線に沿って進められた訳ですが、そこで決められた内容は帰国後も自民党内でもまだ公表されていないということです。
「偽造・捏造・安倍シンゾー」と呼ばれる安倍政権が党内にもまだ発表できないというのですから、余程酷い内容なのでしょう。
 天木直人氏のブログを紹介します。
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密約だった日米貿易合意に文句の一つも言わない自民党
天木直人のブログ 2019-08-30
 私は、日米貿易合意の裏には間違いなく密約があるとにらんでいる。
 なぜならば、トランプ大統領に頼みこんで先延ばしてもらった日米貿易交渉であるから、参院選が終われば、安倍首相はトランプ大統領に倍返しのお礼をしなければいけないからだ。
 そうでなければトランプ大統領が満足するはずがない。しかし、そんな譲歩を公表すれば国民の反発を受ける。だから本当の合意は隠すしかないのだ。
 
 そして、その私の推測が正しい事が、自民党の会合で見事に証明された。
 すなわち、茂木担当大臣は、きのう8月29日の自民党の会合で日米首脳が基本合意した日米貿易交渉について報告したと、きょうの各紙が報じている。
 しかし、おどろいたことに、「貿易、経済関係の強化が可能になる。バランスの取れたとりまとめが出来た」としか報告せず、合意した具体的な内容は一切明かさなかったというのだ(共同)。
 
 メディアや野党に明かさないのならまだわかる。しかし、政権政党であり、仲間の自民党の会合ですら、明かさなかったのだ。まさしく密約である。
 ところが、もっと驚いたのは、誰一人として中身を教えろと文句を言わなかったというのだ。
 かつて、1951年、吉田茂が日米安保条約という密約を米軍兵舎の中でひとりで署名して帰国し、それが国会で審議された時、国会議員の誰ひとりとして、その内容を知らなかったことが、歴史的事実として語り継がれている。
 まさしく戦後の日米関係は密約で始まり、今日まで密約が繰り返されて来たのだ。
 
 しかし、日米安保条約の時は、国会議員は皆、知らされなかった事に激怒した。
 知らされなかったものを、署名して帰ってきた後で、どうして審議しろというのかと。
 若かりし頃の中曽根大勲位などは、吉田茂首相を批判する急先鋒だった。
 それから60年近くたって、いまでは自民党の会合で中身を知らされなくても、誰も文句を言わないのだ。日本は骨抜きにされたということだ。
 米国の日本支配は見事に完成したということである(了)