2024年5月22日水曜日

深層「悪夢の民主党政権」/典型的スピンのつばさの党騒動(植草一秀氏)

 掲題の植草一秀氏の2つの記事を紹介します。
「深層『悪夢の民主党政権』」は、安倍晋三元首相が好んで使い多くの人たちも同調している「悪夢の民主党政権」の受け止めは「曖昧」というべきで、誰にとって「悪魔」だったのかが重要で、ひと口に「民主党政権」と呼んでも鳩山由紀夫首相時代と菅直人・野田佳彦首相時代とでは大きく変質したことを明らかにしています。
 記事の公開部分は、残念ながら「最大の問題は民主党内に隠れ自公・対米隷属勢力が潜伏していたこと。これが2010年問題の本質、小沢事件の本質である」で終っています。その続きについては同氏の14日付のブログ:野放しの巨大組織犯罪集団 が参考になります。

 もう一つの記事:「典型的スピンのつばさの党騒動」では、「政治資金規正法抜本改正」問題が取り上げられています。
 植草氏は野党の取るべき戦術についてこれまで度々提起してきました。しかし野党第1党の立民党がずっと「的を外してきた」ので、いまや野党が政治資金規正法の抜本改正を求めても国会採決で野党案が可決される確率は極めて低く、最終的には与党案に微修正を加えたもので法改正を済ませることになる公算が高いと見ています。
 そしてこのところ俄かにメディアが取り上げている「つばさの党 騒動」は、肝心の政治資金規正法改正問題から国民の目をそらすための絶好のテーマとして、政府の意を汲んだメディアが行っている「典型的スピン報道」と見ています。
 因みにスピン(報道)とは、特定の人(や集団)に有利になるような、非常に偏った事件や事態の描写(報道)のこと(ウィキペディアより)です。
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深層「悪夢の民主党政権」
              植草一秀の「知られざる真実」 2024年5月20日
「悪夢の民主党政権」という表現は多様な意味で用いられている。
代表的な三つの意味を提示しよう。
第一は自公権力と癒着するメディアが用いる「悪夢の民主党政権」。民主党政権が悪夢の時代だったとの意味。メディアの情報誘導に流されると、民主党政権時代は最悪だったという感覚が埋め込まれる。
もちろん、権力とメディアは、人々に民主党政権への悪いイメージを埋め込むためにこの表現を用いている

第二は日本政治の刷新を希求する側が用いる「悪夢の民主党政権」。鳩山内閣は日本政治刷新を目指した。そのために、革新的な三つの基本方針を定めた。
この基本方針が実現されていれば日本政治は根底から刷新されていた。
日本政治刷新とは日本政治を既得権勢力による支配から解き放つこと。
米国による支配、官僚機構による支配、大資本による支配を廃絶する。
この方向に日本政治が誘導されることは、「日本の既得権勢力にとって」悪夢だった。
日本政治の抜本改革を民主党政権が目指したから、これは米国を筆頭とする日本の既得権勢力にとって「悪夢の民主党政権」だった。

第三は日本政治刷新を目指した真正の改革勢力が用いる「悪夢の民主党政権」。
民主党政権は2009年9月から2012年12月まで3年余り存続した。
しかし、その途上に決定的な断絶がある。
2010年6月以前と6月以降で、政権の本質が180度転換した。
2010年6月までの民主党政権が真正の改革政権。
2010年6月以降の民主党政権は守旧勢力による反動米国傀儡政権である。
真正の改革を進めようとした2010年6月までの政権を牽引した勢力にとって、その後の反動米国傀儡政権は「悪夢の民主党政権」である。
本当の改革政権が存在した期間は2009年9月から2010年6月までの8ヵ月半。
2010年6月以降は反動の米国傀儡政権である。
この点を明確に認識することが最重要だ。

一般有権者は2010年6月から2012年12月までの民主党政権を民主党政権そのものだと受け止めてしまう。
そのために「悪夢の民主党政権」という表現が違和感なく受け入れられてしまっている。
事実、2010年6月から2012年12月までの民主党政権は「悪夢」だった。
この期間に民主党政権は何を実行したか。
1.突然消費税大増税を提案して法律を強行制定した。
2.辺野古基地建設を推進した。
3.原発事故発生後に法律の規定を無視して東電を法的整理せずに存続させた。
民主党政権が目指した基本路線をことごとく破壊した。

鳩山内閣は「天下り根絶なくして消費税増税なし」の基本方針を定めた。
この基本方針を絶叫していたのが2009年の野田佳彦氏。
ところが、2010年6月に政権を強奪した菅直人氏は、6月17日に、突然、消費税率10%への引き上げを参院選公約として明示した。
党内の民主的手続きも踏まず、独断専横で消費税率10%公約を明示した。
この「転向」で菅直人民主党は2010年7月参院選に惨敗。
枝野幸男幹事長は参院選が菅直人内閣への信任投票だと明言していたから、「不信任」を突き付けられた菅直人氏は直ちに首相を辞任する必要があった。
ところが、菅直人氏は首相の座に居座った。
同時に2010年6月に発足した菅直人内閣は辺野古米軍基地建設方針を明示した。
完全に対米隷属に回帰した。

2011年3月11日の地震・津波により東京電力福島第一原子力発電所が最悪の放射能事故を引き起こした。
原子力損害賠償法は事故発生時の事業者の無限責任を定めており、債務超過に陥る東京電力を法的整理することが必須になった。
しかし、菅直人・野田佳彦内閣は東電を法的整理せず公的資金で救済した。
東電の株主責任、貸し手責任は不問に付された。

最大の問題は民主党内に隠れ自公・対米隷属勢力が潜伏していたこと。
これが2010年問題の本質、小沢事件の本質である。

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典型的スピンのつばさの党騒動(植草一秀氏)
                   植草一秀の「知られざる真実」 2024/05/21
5月実施の毎日新聞世論調査で岸田内閣支持率が20%となった。前月比2%ポイントの下落。不支持率は前月と同水準の74% 支持率が20%で不支持率が74%。
これが実態だろう。
5月初旬に発表されたJNNの世論調査で岸田内閣支持率が前回調査から7.0ポイント上昇して29.8%になったと報じられた。いかさまか何らかの異常値かのいずれかだと判断された。この見立ては正しかったと言える。

時事通信が5月10~13日に実施した5月の世論調査では、岸田内閣支持率が発足以来最低だった4月から2.1ポイント上昇し、18.7%になった。










   (時事通信社)
岸田内閣支持率は毎日調査が20%、時事調査が18.7%。
内閣支持率が3割を割り込むと危機水準と言われる。
岸田内閣支持率は危機水準で推移している。

現在の最大問題は政治資金規正法改正。
昨年秋に自民党裏金事件が発覚。違法=犯罪行為に手を染めた議員等の摘発が求められた。
しかし、警察・検察は権力側の犯罪を摘発しない。
この巨大事件でも氷山の一角に軽く触れただけで終わった。
国会では政倫審を開き、問題議員に対する聴取を行ったが、うそを言っても構わない政倫審で質疑を繰り返しても実効性がないことは明白だった。

重要なことは「ザル法」の政治資金規正法を抜本改正すること。
「政治とカネ」の腐敗が広がっているが、その原因は政治資金規正法が「ザル」であること。
政治資金規正法に議員が自ら穴を開けてきた。実効性を失わせるためだ
その穴を埋めなければ、「政治とカネ」の腐敗は収まることがない。
したがって、国会審議では、当初から抜本法改正の核心を衝くべきだった。

野党が抜本法改正を追求するなら、法改正の具体案について与党の確約を取り付けることが必要不可欠。予算審議でこの点を明確にすべきだった。
しかし、野党第一党の立憲民主党は予算審議で厳しい対応をまったく示さなかった。
予算の年度内成立に全面協力した。
委員会採決、本会議採決の前提となる中央公聴会、地方公聴会日程を与党の希望通りに容認した。この時点で「戦う意思なし」は明白だった
立憲民主党が政治資金規正法の抜本改正を本気で実現する気があるなら、予算審議の過程で法改正具体案を与党に突き付けるべきだった。

しかし、その気配もなく、予算は野党無抵抗の下で年度内成立した。
国会の多数議席を与党が握っている。
野党が政治資金規正法抜本改正を求めても、国会採決で野党案が可決される確率は極めて低い。最終的には与党案に微修正を加えたもので法改正を済ませることになる公算が高い

国会が終盤に移行し、政治資金規正法改正案審議に焦点が移る。
しかし、自民党提案は抜本改正からほど遠い、現状維持を目指すものでしかない。
最大の抜け穴は政党から議員個人への寄附が容認されていること。
自民党幹事長には年間10億円程度の資金が流れている。この10億円の資金使途が一切不明。
自民党案はこの資金使途を項目別に公表するというものだが、誰にどのような資金を支出したのかはまったく分からない。領収書添付で資金使途を公開するのでなければ何の意味もない。

この「闇資金」を根絶するには政治資金規正法第21条の2の2項を削除すればよい。
これによって政党から政治家個人への寄附ができなくなる。
政治資金の収支報告が義務付けられているから、政治資金使途は領収書添付で公表されることになる。この法改正に自民党は完全に背を向けている
ここに市民の関心が集中しないように、つばさの党問題が人為的に創作されている。

極めて悪質なやり口である。同時に、これは都知事選対策でもある
学歴詐称疑惑の小池百合子氏に、あたかも被害者であるかのように大きな顔でコメントさせている。
極めて悪質なメディアの情報操作。メディアの嘘を見抜いて対応しなければならない。

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