2024年5月29日水曜日

ラファ攻撃中止を命令 国際司法裁 イスラエルに暫定措置

 国際刑事裁判所(ICC)の主任検察官が20日に、国際人道法違反の戦争犯罪を重ねるイスラエルのネタニヤフ首相やガラント国防相らへの逮捕状を請求したのに引き続き、国際司法裁判所(ICJ)は24日、エスラエルに対し、パレスチナ自治区ガザ南部ラファでの軍事攻撃の即時中止の暫定措置を命じました。
 ICJは1月と3月にもジェノサイドを防止する暫定命令を出しましたが、イスラエルはそれを完全に無視しました。軍事作戦中止を命じたのは今回が初めてです。
 命令の内容は、これまでの暫定措置命令を即時履行すること、ラファ検問所を開放し必要十分な人道援助物資流通への妨害をやめること、ジェノサイド容疑に関する国連調査団のガザヘの立ち入りを認めること 等です。

 パレスチナ自治政府の議長府はこの暫定措置に対して、パレルチナの権利を支持する諸国に謝意を表明し、「この国際的コンセンサスは、イスラエルがその同盟国とともに孤立していることを証明した」と強調しました。
 エジプト、ヨルダン、サウジアラビアそしてトルコは、それぞれこの暫定措置を歓迎し評価する見解を表明しました。

 スペイン25日、イスラエルのガザへの軍事侵攻は「真のジェノサイド(集団殺害)」だと述べるとともに、パレスチナを国家として承ずる意向を発表しました。

 一方、米連邦議会は国際刑事裁判所(ICC)が20日にネタニヤフ首相の逮捕状を請求したことへの報復として、ICCに制裁を科す法案を超党派で検討しています。
 確かに米国も国連の運営費用を一部負担しているとはいえ、議会はICCに対してどんな権限を持っているというのでしょうか。非常識というしかなくこれでは米国はイスラエルと共に孤立を深めるだけです。
 しんぶん赤旗の4つの記事を紹介します。
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ラファ攻撃中止を命令 国際司法裁 イスラエルに暫定措置
                        しんぶん赤旗 2024年5月26日
【ベルリンー西本博美】国連の主要司法機関、国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)は24日、エスラエルに対し、パレスチナ自治区ガザ南部ラファでの軍事攻撃の即時中止を命じる暫定措置を出しました。南アフリカが、イスラエルによるジェノサイド条約(集団殺人罪の防止および処罰に関する条約)違反をICJに訴えていた裁判で、部分的でもイスラエルに軍事作戦の中止を命じたのは初めてです。
 国際人道法違反の戦争犯罪を重ねるイスラエルに対しては、国際刑事裁判所(ICC)の主任検察官が20日、ネタニヤフ首相やガラント国防相らに逮捕状を請求するなど、国際的な圧力が高まっています。
 暫定処置は、最終判決の前に出される「仮処分命令」に相当します。1月と3月にも、イスラエルに封し人道支援への協力やジェノサイドを防止するために「あらゆる手段」をとるよう命じる暫定措置を発していました
 今回の暫定措置は、ラファ攻撃開始にともなう住民の強制退避や人道状況の悪化などに触れて、これまでの暫定措置の即時履行を要求。さらにラファ検問所を開放し必要を満たすだけの人道援助を行うこと、ジェノサイドの容疑に関する国連調査団のガザヘの立ち入りを認めることもイスラエルに命じました。
 今回の暫定措置に対して、パレスチナ自治政府報道官は「ガザの戦争中止という国際的なコンセンサスを反映したもので歓迎する」と表明。イスラエル政府は反発し、閣僚らが戦争継続を主張しました。


「イスラエルは従え」国際司法裁の命令 アラブ諸国・トルコ要求
                        しんぶん赤旗 2024年5月26日
【カイロ=秋山豊】国際司法裁判所(ICJ)が24日、ガザ南鄙ラファでの軍事攻撃の即時停止を命じたことを受けて、アラブ諸国とトルコは、イスラエルに命令に従うよう求めました
 パレスチナ自治政府の議長府は、イスラエルは自らを国際法を超越した国であると考えていると批判。国際社会に対し、イスラエルにICJの命令と国際法、国際的に正当性のある諸決議を履行させるように求めました。
 議長府はパレルチナの権利を支持する諸国に謝意を表明し、「この国際的コンセンサスは、占領国(イスラエル)が、それに支援、保護、免責を与える同盟国とともに孤立していることを証明した」と強調しました。
 エジプト外務省は、ICJがイスラエルにガザと工ジプトの境界にあるラファ検問所の開放を命じたことを称賛しました。イスラエル軍が7日にラファ検問所を制圧して以来、同検問所は閉鎖され、ガザヘの人道支援物資を搬入できずにいます。
 同省は「イスラエルは占領国としてガザの人道状況の悪化に法的責任を全面的に負っている」と述べました。
 ヨルダン外務省は、ICJの命令は残忍な侵略戦争と、それが引き起こしている比類ない苦しみ、人道的惨事を終わらせるという国際的な意思を示したと指摘し、イスラエルによる履行の重要性を強調しました。
 サウジアラビア外務省は、ICJの命令を「前向きな措置」とたたえ、パレスチナ人へのあらゆる形の攻撃を止める責任を果たすよう国際社会に求めました。
 トルコ外務省は「法を超越する国はない」と述べ、イスラエルに命令の迅速な履行を要求。国連安全保障理事会に「これを実現するため、役割を果たす」よう求めました。

【解説】国際社会の圧力高める時
 国際司法裁判所(ICJ)24日の暫定措置で、イスラエルにガザ地区南部ラファでの軍事攻撃の中止を求めました。イスラエルに対して、パレスチナ人に対するジェノサイド(集団殺害)を予防・処罰するための「あらゆる措置」を求め、人道支援、食料搬入などを求めてきた2度の暫定措置に続く新たな命令です。
 イスラエルは、これまでの命令をまともに履行せず、国際社会の非難に挑戦するかのように軍事作戦を強行してきました。その結果、ガザでは一層の人道状況の悪化が進みました。
 暫定措置の文面では、裁判官らが、こうした深刻な人道状況に懸念しつつ次のように指摘しています。
 ー南部ラファの状況は 「破滅的だ」。
 ーガザの4分の3以上の地域からの退避命令に加え、7日のラファヘの軍事攻撃開始前後の退避命令で、80万人が避難させられた。避難先の「安全地帯」には水もトイレもない。「尋常ではない重大さ」だ。
 ーラファからの退避が「市民の安全を高めるために行われた」との(イスラエルの)主張には「説得力がない」。

 ICJにイスラエルのジェノサイド条約違反を提訴した南アフリカはこれまで、イスラエル軍のガザでのすべての軍事作戦の中止と全面撤退、即時停戦を命じる暫定措置を求めてきました。ICJが部分的であれ、イスラエル軍の作戦の中止を命じるのは初めてです。
 イスラエルの強硬姿勢は、深刻な人道状況を生み、国際社会でのイスラエルとその同盟国の孤立を深めるものとなっています。これまでの暫定命令を徹底的に無視してきたイスラエルに対し、ICJがより厳しい措置を出さざるを得なくなったといえます。
 イスラエルに今度こそ暫定措置を履行させるよう、国際社会の圧力を高める時です。
                            (伊藤寿庸)


「真のジェノサイドガザ紛争にスペイン国防相
                        しんぶん赤旗 2024年5月27日
 スペインのロプレス国防相25日、イスラエルの軍事侵攻によパレスチナガザで紛争は「真のジェノサイド(集団殺害)」だと述べました。スペインはパレスチナを国家として承ずる意向を発表し、イスラエルは反発しています。ロブレス氏は承認について反イスラルの動きではなく「ガザでの暴カの終結」を支援するためだと強調しました。
 ロイター通信によると、ロブレス氏はスペイン国営テレビのインタビューで、「ガザで起きていることを無視することはできない。これは真のジェノサイドだ」と語りました。
 スペインはアイルランドやノルウェーと共に2228日付でパレスチナを国家として承認すると発表。ロプレス氏はこれは誰かに敵対するものでも、イスラエル政府や私たちが尊重するイスラエル人に敵対するものでもない」と説明しました。
 スペインのサンチェス首相は20日、より多くの国がパレスチナを国家として承認すれば、イスラエルとイスラム組織ハマスとの間での停戦を求める国際的な圧力が高まるだろうと述べていました。
 国際司法裁判所(ICJ)が24日にイラエルに対し、ラファでの軍事攻撃の即時中止を命じる暫定措置を出しました。スペインのアルバレス外相は25日、X(旧ツイッター)の投稿で、ICJの暫定措置は「義務的なものである。私たちは(イスラエルに)その適用を要求する」「ガザの人々の苦しみや暴力は終わにすべきた」と主張しました。


米議会ICC制裁法案検討 イスラエル支援で圧力 世界から批判
                        しんぶん赤旗 2024年5月25日
 国際刑事裁判所(ICC、本部オーフンダ・ハーグ)が20日にイスラエルのネタニヤフ首相の逮捕状を購求したことへの報復として、米連邦議会はICCに制裁を科す法案を超党派で検討しています。、努力を妨害する勣きに、国際社会から厳しい批判の声が上がっています。
 ICCへの制裁法案は、下院で多数派を握る共和党が主導しています。共和党はイスラエル支援の強力なメッゼージを発するとして、民主党も巻き込んだ超党派かつ上下両院での法案可決を目指しています。民主党議員の大部分とバイデン政権は協力する姿勢を示しています。
 不院外交委員会のマコール委員長(共和党)は23日、逮捕状を出すか判断するICCの予審裁判部に「逮捕状発行を恵いとどまらせることが法案の目的だ」と述べました。
 一方、世界各国の120を超える人権団体や平和団体は22日、バイデン米大統領に連名書簡を送り、米議会の動きに反対するよう要求しました。書簡にはヒューマン・ライツ・ウオッチやバーゼル平和事務所などが名を連ねています。
 書簡は、ウクライナを侵略するロシアのプーチン大統領への逮捕状ではバイデン政権がICCの役割に理解を示したことを指摘。「司法判断を選択的に扱うことは人権侵害や虐待から人を守るである法律の信頼性や効力を破壊する」と批判しました。たとえ米国がICCに非加盟であっても「独立した国際的な司法制度を支持し続けるよう求める」と強調しました。
 国連のドゥジャリク事務総長報道官は21日、「すべての国連加盟国は司法制度を尊重する責任を負っている」と指摘しました。
 米メディアは4月末、ICCがネタニヤフ氏への逮捕状請求を検討していると報道。米議会では逮捕状が請求された場合には報復措置を求める議論が強まりました。
 国運人権理事会の特別報告者45人は5月10日の声明で、「報復の脅迫は免責の文化を助長する」と指摘。「パレスチナのガザ地区での流血を終わらせるために世界が団結すべき時にICCへの報復の議論を目にするのは苦痛だ」と批判し、米国とイスラエルにICCへの協力を求めました。