2024年7月1日月曜日

日本はウクライナと同様に破滅へ向かうのか ・ (櫻井ジャーナル)

 櫻井ジャーナルに掲題の記事が載りました。
 タイトルの〝日本がウクライナと同様に破滅に向かう″という構文では、「米国に追随していては」という「条件の文節」が省略されています。
 本文でもそうした記述は皆無で、「日本」という言葉が出てくるのは「南シナ海レーン」に関する部分と「サハリン1・2」に関する部分の2カ所だけです。
 要するに「ウクライナと同様に」から「類推すべし」ということなのでしょう。

 ところでウクライナの復興には、2月段階の世界銀行の試算で4860億ドル・日本円にして72兆円余りを要するとのことです(復興には10年を要する)。ゼレンスキーはその費用は世界が負うべきであるとしておりそれに対する反対意見は出ていません。

 ウクライナ戦争は一貫して米国によって仕組まれました。
 2004年ウクライナ大統領選でビクトル・ヤヌコビッチが当選しました。しかし同氏は米国に従順ではなかったため、04年11月から05年1月にかけて「オレンジ革命」を仕掛け、米国に従順なビクトル・ユシチェンコ大統領に就任させました。
 ところが彼が推進した新自由主義政策は貧富の差を拡大させるのもので、国民の怒りを買ったため10の大統領選挙でヤヌコビッチが復帰しました。するとオバマ政権はナチズムを信奉するグループを使っ14年にクーデター起こしました
 ヤヌコビッチの支持基盤で住民がロシア語を話す東部や南部ではクーデター政権(キエフ政権)を拒否、南部のクリミアはロシアの保護下に入り、東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)の人びとは軍事抵抗を始めたため内戦になりました。
 キエフ軍からは国軍や治安機関メンバーの約7割が離脱し、その一部反クーデター軍に合流したため内戦はドンバス側が優勢に推移しました。
 そこで米国などの指導の下 キエフ政権は偽りの「ミンスク合意Ⅱ)(ドンバス地方の自立権を認める他)を結び停戦しました。同政権は合意を守らず逆に8年を掛けて軍備を増強し、ネオ・ナチを中心とする親衛隊を組織、傭兵を集めるなどした後に、22年1月末にドバス地方を征討すべく境界線まで軍隊を進めました。

 その後ロシア軍が2月24日にウクライナに侵攻するという経過を辿るわけですが、22年が明ける前後からバイデンが盛んにプーチンを扇動したことを含めて、ウクライナ戦争の元凶は米国であり、直接的にはバイデンでした。
 要するに米国は国際法に違反して、ウクライナの主権を冒し内部干渉をしました。そしてウクライナが米国に従順になれば今度は対ロシア戦略の駒として使ったのであって、全ては自国の利益のために行ったのでした。
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日本はウクライナと同様に破滅へ向かうのか、主権を取り戻して存続できるのか  
                         櫻井ジャーナル 2024.06.30
 ロシアの天然ガス会社、ガスプロムのアレクセイ・ミレルCEOは6月28日、サハリン島沖の天然ガスを極東ルートを利用して2027年から中国へ供給しはじめる予定だと述べた。同社が2022年2月に調印した極東ルートに関する契約によると、25年間にわたり、少なくとも年間100億立方メートル(10bcm)の天然ガスを中国へ供給することを想定している。
 すでにロシアは「シベリアの力」パイプライン2019年12月に完成させ、天然ガスの供給を始めた。このパイプラインは来年にフル稼働する予定で、そうなると年間38bcmに達する。ロシアと中国は「シベリアの力2」と知られているパイプラインの建設でも話し合いが進められていて、合意が近いとされている。
 シベリアの力2はロシア北部のヤマル地方からモンゴルを経由して中国へ年間最大50bcmの天然ガスを輸送する。こうしたパイプラインが全て完全に稼働すれば、ロシアから中国へのガス供給量は年間100bcm近くに達する可能性がある

 中国は天然ガスや石油を中東から運ぶ場合、軍事的な緊張が高い中東を出港してからアラビア海、アメリカ軍が支配するインド洋を経由して難所のマラッカ海峡を通過、アメリカや日本が締め付けを厳しくしている南シナ海へ入らなければならない。ロシアから運ぶ場合輸送距離が短いだけでなく、危険性が低い
 中東やアメリカで生産されるエネルギー資源のコストが高いことは日本に対しても言える。そこでサハリンにLNG(液化天然ガス)や石油を生産するプラントの「サハリン1」と「サハリン2」を建設した。ソ連が消滅、アメリカに従属していたボリス・エリツィン大統領の時代に西側は何も心配する必要がなかった。ウラジミル・プーチン政権がそうした状況を変えたのである。
 エリツィン時代、ロシアには西側資本の手先になっていた複数のオリガルヒが存在していた。例えばミハイル・ホドルコフスキー、アレックス・コナニヒン、ロマン・アブラモビッチ、ボリス・ベレゾフスキーたちである。ソ連が消滅した1991年当時、ベレゾフスキーは45歳だが、その他は25歳から28歳と若い。彼らの背後に黒幕が存在していることは明白だった。
 そのひとり、ホドルコフスキーはソ連時代の1989年、リチャード・ヒューズなる人物と「ロシア人モデル」をニューヨークへ送るビジネスを始めた。この年にホドルコフスキーはメナテプ銀行を設立するためのライセンスを取得するが、違法送金やマネーロンダリングが目的だった可能性が高い。このビジネスをソ連当局も怪しみ、モデルに対する出国ビザを出し渋るのだが、ホドルコフスキーはKGB人脈を持っていた。そのコネクションに助けられてビザを入手できたという。
 ソ連が1991年12月に消滅し、ボリス・エリツィンが西側支配層の代理人としてロシアを支配するようになると、ホドルコフスキーはエリツィン政権を支える顧問のひとりに就任。彼は1995年にユーコスなる石油会社を買収、中小の石油会社を呑み込み、その一方でモスクワ・タイムズやサンクトペテルブルグ・タイムズを出している会社の大株主になっている。
 ホドルコフスキーはユーコスの発行済み株式のうち25から40%をアメリカの巨大石油会社、エクソン・モービルとシェブロンへ売り渡そうとしたが、プーチンに阻止された。プーチンの動きが遅れれば、ロシアは米英支配層の植民地になっていたことだろう。(Natylie Baldwin & Kermit Heartsong, “Ukraine,“ Next Revelation Press, 2015)
 プーチンが実権を握った後、少なからぬオリガルヒはロシアからロンドンやイスラエルへ逃亡するが、ホドルコフスキーはロシアに残った。そして2003年10月、彼はノボシビルスクの空港で横領と税金詐欺の容疑で逮捕されている。ホドルコフスキーのユーコス株の支配権は先に結ばれた「取り引き」によってジェイコブ・ロスチャイルドへ渡ったとサンデー・タイムズ紙は報じていた。

 ホドルコフスキーが彼とジェイコブ・ロスチャイルドとの関係を語った映像が5月22日にインターネットで公開された。その中でモスクワに本社があるルクオイルの真のオーナーはジェイコブだったと明らかにしている。ロスチャイルドはロシアのあらゆる富を奪うつもりだったのだろうが、その中には穀物、鉱物資源、そして石油や天然ガスが含まれている。
 ロシアでは西側資本に盗まれた富を取り戻すように求める声もあるようだが、プーチンはそこまで踏み込んでいない。西側の支配層がソ連を憎んでいた理由はイデオロギーにあるとプーチンは信じていたからだと推測する人もいる。
 しかし、それでも西側による略奪を止めたプーチンをロスチャイルド金融資本は許せなかった。西側資本がソ連を憎んだ理由もクレムリンが西側による略奪を許さなかったからであり、ロスチャイルドが拠点にしているイギリス、フランス、そしてアメリカの支配システムがロシアに対して敵意をむき出しにしている理由はここにあると考えられている。

 プーチンは現在、中国と手を組み、金融資本による「一極支配」を終われせようとしている。その支配システムが19世紀に計画されたことは本ブログでも繰り返し書いてきた。