原水爆禁止2024年世界大会は9日、長崎市民会館体育館で「ナガサキデー集会」を行い、1000人以上が参加し、300人以上が視聴しました。
集会は、すべての国が核兵器廃絶に向けて行動するよう訴える決議「長崎からすべての国の政府への手紙」を採択し、「平和の波」の終結を宣言し閉幕しました。
併せて以下の記事を紹介します。
・被爆者として認めよ 長崎 被爆体験者が首相と初面談
9日の長崎平和公園での式典後、岸田首相は長崎県内の被爆者4団体と「被爆体験者」3団体と初めて面談しました。7団体は国が線引きする被爆地域の設定は被爆線量の科学的根拠がないと批判し、長崎の「被爆体験者」も被爆者と認定するよう求めましたが、首相は武見厚労相を残して30分で退席しました。
・長崎平和式典 米英大使欠席 イスラエルのガザ攻撃正当化は認められない
共産党の小池書記局長は長崎市で記者会見し、長崎市主催の平和式典に米国、英国などが大使を派遣しなかったことについて、「欠席の理由として、イスラエルはロシアと違い、自衛権を行使しているからだと述べたが、明らかにダブルスタンダードだ」と批判しました。
・核禁条約参加でこそ 長崎は最後の被爆堵 小池書記局長が強調
小池晃氏は、岸田首相が「長崎を最後の被爆地に」と語ったことについて、「そういうのであれば『核抑止論』は完全に矛盾する」、「核兵器禁止条約に参加することこそが『最後の被爆地』にする道だ」と強調しました。また「広島では『黒い雨』の被害者は被爆者として認定し、長崎ではそれをやらないというのは許されない」と批判し、「長崎の『被爆体験者』を被爆者として認定するよう強く求めたい」と述べました。
・長崎からすべての国の政府への手紙
全文を紹介します。格調の高い文章です。
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核兵器廃絶へ草の根の力で 世界大会閉幕 ナガサキデー集会
しんぶん赤旗 2024年8月10日
長崎市は9日、米国の原爆投下から79年となる「原爆の日」を迎えました。市主催の平和式典には被爆者や遺族らが参列し、鈴木史朗市長は「長崎平和宣言」で、核保有国と「核の傘」の下にいる国に「核兵器廃絶に向け大きくかじを切るべき」だと要求。日本政府に核兵器禁止条約への署名・批准を求めました。日本共産党の小池晃書記局長が献花し、党代表団が出席しました。同市内で岸田文雄首相は被爆者団体などと懇談し、初めて「被爆体験者」と面会。原水爆禁止2024年世界大会は同市内でナガサキデー集会を行い、閉幕しました。草の根の活動こそ日本と世界を変える力だとして、来年の被爆80年に向けて核兵器廃絶を求める行動をさらに広げようと誓い合いました。
長崎市民会館体育館で開かれた原水爆禁止2024年世界大会のナガサキデー集会(同実行委員会主催)には1000人以上が参加し、300人以上が視聴。すべての国が核兵器廃絶に向けて行動するよう訴える決議「長崎からすべての国の政府への手紙」(末尾に掲示)を採択し、「平和の波」の終結を宣言しました。
冨田宏治国際会議宣言起草委員長が主催者報告。鈴木史朗長崎市長がビデオであいさつしました。
長崎に原爆が投下された午前11時2分に全員で黙とう。長崎で被爆した2人の被爆者が体験を語ると会場は静まり返りました。
日本原水爆被害者団体協議会の木戸季市(すえいち)事務局長(84)は「紛争を解決するのは話し合いです。武力では解決できない」と強調。長崎原爆被災者協議会の吉原春男さん(94)が、15歳で死体処理に携わった体験に言葉を詰まらせ「戦争はしてはいけない。核兵器は使ってはいけない」と訴えると、参加者は大きな拍手で応えました。
在日キューバ大使館のダイロン・オヘダ臨時代理大使は「核兵器禁止条約を5番目の国として批准した」とのべ、条約の普遍化と制度化のための努力を倍加しようと呼びかけました。
核兵器国と核依存国での活動を米国、フランス、韓国の代表が発言。国際平和ビューロー(IPB)のコラソン・ファブロス共同会長は「草の根の運動で、平和・核廃絶の大きなうねりをつくろう」と訴えました。
九州・沖縄の代表が大軍拡の実態を告発し、署名や原爆展などの取り組みをリレートーク。鹿児島の代表は「日本政府を禁止条約の入り口に立たせよう」と発言しました。
日本共産党の小池晃書記局長と衆参の国会議員らが参加し、紹介されました。
被爆者として認めよ 長崎 被爆体験者が首相と初面談
しんぶん赤旗 2024年8月10日
長崎県内の被爆者4団体と被爆体験者3団体は9日、長崎市内で岸田首相と面談しました。国が指定する地域外で被爆したため、被爆者と認められていない「被爆体験者」が首相と面談するのは初めてです。
7団体の要望書は、長崎で国が線引きする被爆地域の設定は変則的で、被爆線量の科学的根拠もないと批判。2021年の広島の「黒い雨」訴訟で原告が勝訴し、被爆者手帳の交付の拡大が実現したことに言及し、長崎の被爆体験者においても被爆者としての認定を実現するよう求めました。
第二次全国被爆体験者協議会の岩永千代子会長は、原爆後に降った灰を集めるなどの被爆体験者が描いた絵を見せながら、「私たちは空気中の放射性微粒子を吸い込んでいる。私たちは被爆者ではないのか」と訴えました。
岸田首相は、被爆体験者について、「厚労相において長崎県、長崎市を含め具体的な対応策を調整するよう指示を出したところだ」と述べました。
わずか30分ほどで終了し首相が退席しようとした際、関係者から「広島と長崎を差別するな」と怒りの声があがりました。その後、武見散三厚労相が残り引き続き懇談。被爆者・被爆体験者らから「被爆者認定にどうしてこんなに時間がかかるのか」と発言が相次きました。
爆心地から8・5キロの被爆体験を語った被爆地域拡大協議会の山本誠一事務局長は、原爆の放射能が広範囲に拡散した「科学的データはすでに出ている。(被爆者認定を)前向きに検討してほしい」と力を込めました。
長崎平和式典 米英大使欠席 イスラエルのガザ攻撃正当化は認められない
しんぶん赤旗 2024年8月10日
長崎 小池書記局長が会見
日本共産党の小池晃書記局長は9日、長崎市内で会見し、同日開かれた長崎市主催の平和式典に米国、英国などが大使を派遣しなかったことについて問われ、「英国大使は欠席の理由として、イスラエルはロシアと違い、自衛権を行使しているからだと述べたが、明らかにダブルスタンダードだ」と批判しました。
小池氏は、「イスラエルによるガザ攻撃は、国連憲章と国際法に反し、非人道的なジェノサイドといえるものだ。米英などが、『自衛権の行使』と正当化することは断じて認められない」と強調しました。
イスラエルを招待しなかった長崎市の判断について問われた小池氏は、長崎市長が「私自身は紛争当事国こそ呼ぶべきだと思っている」と語ったことを紹介したうえで、「(イスラエルを招待しなかったのは)円滑に式典ができるようにするため」と説明しているとして、「長崎市長が主催者として判断したもの。市長の説明は理にかなったもので、批判されるべきものではない」と述べました。
核禁条約参加でこそ 長崎は最後の被爆堵 小池書記局長が強調
しんぶん赤旗 2024年8月10日
日本共産党の小池晃書記局長は9日、長崎市内で会見し、長崎市主催の平和式典に参加したことを受け、長崎市長が、核抑止から対話と外交的努力が必要だと提起し、一日も早い核兵器禁止条約への署名、批准を求めたのに対し、岸田文雄首相がこれらに一切応えず、禁止条約にも触れなかったとして、「被爆国の政府の首枢として厳しく問われる」と批判しました。
小池氏は、岸田首相が「長崎を最後の被爆地に」と語ったことについて、「そういうのであれば、『核抑止』は完全に矛盾する。核兵器禁止条約に参加することこそ『最後の被爆地』にする道だ」と強調しました。
小池氏は、長崎市長と県知事が、「黒い雨」の被害を受けた「被爆体験者」を被爆者として救済するように要請したのに対し、岸田首相は、「被爆体験者としての支援という姿勢にとどまったと批判しました。長崎の被爆者「証言巣」について、厚生労働省が「客観的事実としてとらえることができない」などとしていることについても、小池氏は「広島と同様に黒い雨や、放射能を含む飛敷物が広範に広がっていたという証言が多数にのぼる」と指摘。「広島では『黒い雨』の被害者は被爆者として認定し、長崎ではそれをやらないというのは許されない」と批判し、「長崎の『被爆体験者』を被爆者として認定するよう強く求めたい」と語りました。
そのうえで、被爆者を行政区で差別することはやめ、全ての原爆被害者を救済するべきだと述べ、「国会でも、党派を超えて取り組んでいきたい」と表明しました。
「長崎からすべての国の政府への手紙」 (全文)
しんぶん赤旗 2024年8月10日
原水爆禁止2024年世界大会ナガサキデー集会(9日、長崎市)で採択された「長崎からすべての国の政府への手紙」は次の通りです。
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私たちは、アメリカ軍による原爆投下から79年目をむかえた長崎から、すべての国の政府に、この手紙を送ります。
長崎と広島に投下された原子爆弾は、一瞬にして二つの都市を焼き尽くし、その年の末までに、女性や子ども、高齢者など民間人を中心に21万人の命を奪いました。かろうじて生き延びた被爆者も、家族や愛する者を失うとともに、長年にわたって放射線による健康被害や社会的差別に苦しめられてきました。核兵器は非人道的な「悪魔の兵器」です。世界のいかなる地にも、また、いかなる理由であれ、核兵器は絶対に使用されてはなりません。
今日、世界に存在する核兵器のごく一部が使用されただけでも、膨大な死者とともに、全世界的な飢餓をもたらすと科学者たちは警告しています。この脅威を根絶することは、人類の生存にとっての緊急課題であり、それを達成する唯一の方法は、核兵器の廃絶です。
米ロ英仏中をはじめとする核保有国の責任は重大です。ロシアのウクライナ侵略が続き、イスラエルのガザ攻撃が深刻化するもとで、核使用の現実の危険が生まれていることに、強い危機感をもっています。核兵器による威嚇や「核抑止力」の対抗は直ちにやめるべきです。「核抑止」とは、ヒロシマ・ナガサキの再現をちらつかせて、他国を脅すことにほかなりません。それは、人類の生存にリスクをもたらす行為であり、人道的立場とは相いれません。危険な現状を打開するために必要なのは、軍拡競争ではなく、核軍備縮小・撤廃です。「いまこそ狂気を止めるときです。私たちには軍縮が必要です」とのアントニオ・グテレス国連事務総長の発言も想起し、すべての国が核兵器廃絶にむけ、直ちに行動することを強く訴えます。
私たちは第12回核不拡散条約(NPT)再検討会議(2026年)が、「核軍備縮小・撤廃の有効な措置に関する交渉」を誠実に行うことを定めた第6条の義務とこれまでの合意ー「核軍備の完全廃絶」の誓約(2000年)、「核兵器のない世界の平和と安全の達成」のための「枠組」づくり(2010年)ーの実行に踏みだすことを求めます。1995年再検討会議で合意された、中東非大量破壊兵器地帯の実現、包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効も急務です。
私たちは、核兵器禁止条約(TPNW)への支持と参加が広がっでいることに勇気づけられています。TPNWの履行と普遍化に尽力する国々に敬意と連帯を表明します。被爆者と核実験被害者の支援、汚染地域の環境修復の作業の進展を心から歓迎します。唯一の戦争被爆国の市民社会として、この活動に貢献していきたいと思います。
私たちはTPNWに署名、批准していないすぺての国に、この条約を支持し、参加することを訴えます。
何より私たちは、日本政府が「核の傘」への依存をあらため、一刻も早くTPNWに参加するよう力を尽くしています。第3回締約国会議には、少なくともオブザーバーとして参加すべきです。
私たち市民社会は「核兵器のない世界」という共通の目標にむけて、諸国政府、国連機関との共同をさらに発展させていきます。あなた方が、被爆地・長崎からの訴えに応え、行動されることを心から希望します。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。