2025年7月17日木曜日

ピノッキオ遊園地と参政党/ゆ党拡大がもたらす暗黒日本(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の2つの記事を載せました。
 参院選は終盤戦に入りました。植草氏は繰り返し「参院選では参政党への投票を忌避するべきだ」と警告します。
 そして「参政党は正体を隠していない。参院選に向けて公約も公表しているし、憲法改正草案も示している。したがって、参政党および同党候補者に投票する前に、少なくとも公約と憲法改正草案を熟読することが必要だ」と述べます。
 極右政党である参政党の排外主義の害毒については別掲の記事も指摘しているところです。しかし選挙にはおかしな現象が伴うことがあり、今度の参院選では参政党が躍進するという観測が出ています。もしも実現すれば日本に取って極めて不幸なことです。

 ではその他の「ゆ党」が勢力を伸ばすのはどうかですが、植草氏の見解は次の通りです。
 参院選で自公が50議席に達しなければ自公の政権与党は衆参両院で過半数を割り込むことになるので石破首相は引責辞任に追い込まれます。しかし政権が野党に移ることはなく、「自公+ゆ党の一部」の政権が出来て、この勢力が憲法を改変する可能性が高く、日本政治支配は暗黒しかもたらさない可能性が高いと予想しています。
 そして本来主権者が伸長させねばならないのは「野党」なのに、若者世代「ゆ党」を支持していると伝えられ、「ゆ党」の側は若者が飛びつく材料を意識して掲示しているのが現下の参院選の実態です。「石破首相が辞任して新しい政権の枠組みが構築されても日本政治は刷新されない。そのことが十分に理解されるまで日本政治のダッチロールが持続する可能性が高い」と述べています。
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ピノッキオ遊園地と参政党
                植草一秀の「知られざる真実」 2025年7月14日
7月8日付ブログ記事「参政党に関する注意喚起」 https://x.gd/HkYOY 
メルマガ記事「参院選・隠された最大争点」  https://foomii.com/00050 
に記述したが7月20日に投票日を迎える参院選では参政党への投票を忌避するべきだ

7月12日のTBS「報道特集」が
選挙運動の名のもとに露骨なヘイトスピーチが」参議院選挙 急浮上の争点“外国人政策”に高まる不安の声
を放送した。

参院選で一部勢力が外国人排除につながる言動を示している。これに対する警鐘を鳴らす報道。参政党は「偏向報道」だと抗議している。
参政党は「ワクチン懐疑説」、「オーガニック農業推奨」などで支持を増やしてきた。
ワクチンは極めて重大な悪影響をもたらしていると考えられ、農業においては食の安全の観点からオーガニック農業の推奨は正しいと評価する。
しかし、これらの施策につられて参政党を支持するべきでない
参政党の歴史認識、国家観、憲法観を知らずに参政党を支持することは、ピノッキオが恐ろしい場だと知らずにプレジャー・アイランドに喜んで足を踏み入れるのと類似する行為と思われる。

参政党は正体を隠していない。
参院選に向けて公約も公表しているし、憲法改正草案も示している。
したがって、参政党および同党候補者に投票する前に、少なくとも公約と憲法改正草案を熟読することが必要だ。
公約 https://sanseito.jp/sanin_election_27_policy/ 
「参政党が創る 新日本憲法(構想案)」https://sanseito.jp/new_japanese_constitution/ 

参政党は改憲を提唱していない。参政党は「創憲」を提唱している。
新しく憲法を「創る」というもの。これは「憲法改正」に該当しない。
日本国憲法は憲法改正の条文を置いているが、「憲法制定」の条文を置いていない。
日本国憲法が認めるのは憲法の基本原理を変えない範囲内での「改正」であって、基本原理を変える憲法の「制定」を認めていない。
憲法の基本原理を変えるのは憲法の破壊であって憲法の改正でない。
憲法破壊の企ては刑法第77条の「内乱罪」に該当するものと言える。

参政党は天皇中心の国家を創設することを目指す。
参政党が掲げる新しい憲法は大日本帝国憲法に類似するもの
この提案に賛同するのかどうかが核心

その参政党が掲げているのが「日本人ファースト」であり、このスローガンの下で「ヘイト」行動が観察されている
「外国人排除」が喧伝されていることに「報道特集」が警告を発した。
日本政府の外国人に対する対応には二つの大きな特徴がある。
第一は一部職種における労働力不足を外国人労働力で賄おうとする強い意思。
第二は外国人労働者に対する深刻な人権侵害。
入管法が改正されてきたが、その改正の底流を流れる二つの思想が上記の二点。
国内労働者が求人に応じない分野で企業は安価な外国人労働力確保を求め、国がその要請に全面的に応えてきた。
他方で、在留外国人に対する管理を戦前の特高警察が担ってきた系譜が引き継がれ、いまなお前近代の外国人管理政策が維持されている。
外国人労働者が激増している背景に上記の事情がある。

しかしながら、日本で外国人犯罪が増加しているわけではない。事実と異なる主張が流布・拡散されている。
国民生活が疲弊するなかで国民の不満を外国人に向けさせる手法はナチスの手法そのもの。
この扇動に日本の主権者は乗るべきでない。「報道特集」の問題提起は極めて正当なものである。
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ゆ党拡大がもたらす暗黒日本
               植草一秀の「知られざる真実」 2025年7月15日
石破首相が窮地に追い込まれている。参院選は125の議席をめぐる戦い。参議院定数248の過半数が125。非改選議席は自公が75、非自公が48。
新たに選挙で選出される125議席のうち、自公が50議席を獲得すれば過半数を維持できる。
極めて低く設定した勝敗ライン。万が一、この勝敗ラインを下回れば自公の政権与党は衆参両院で過半数を割り込むことになる。石破首相は確実に引責辞任に追い込まれる
政権維持が困難になるからだ。

自公政権を維持することは困難で代替策が講じられる。連立内閣組み換えになるだろう。
非自公が結束すれば非自公政権を樹立できるが非自公勢力のなかの分断が深刻。
非自公勢力は「野党」と「ゆ党」によって構成されている。
「ゆ党」は「見た目は野党、中身は与党」。「野党」より「与党」に近い。
今回の参院選では「ゆ党」が伸長すると見られている。
「ゆ党」は新しい政権の創設に際して「野党」と共闘せずに、自公との連携を優先させる可能性が高い。

参院選で自公が過半数に転落すると政治が大きく変わるとの印象が持たれやすいが、自公とゆ党が引き続き政治の実権を握るなら大きな変化は生じない。むしろ懸念が拡大する。
自民が一気に国民支持を失った背景は金権腐敗。
不正な裏金を受領しながら、その全貌さえ明らかにしない。
国民が窮乏生活を強いられているのに政権与党は金権まみれの政治を続けている。
このことに対して国民が怒り心頭に発している

問題改善に何が必要か。答えは明白。企業献金を全面禁止するべきだ。
金の力で政治が支配される。政治の側は金儲けを目的に政治を行う。この根幹を断ち切るのが企業団体献金の全面禁止。
国民は巨額の政党交付金を負担している。政党交付金制度を創設する際に企業献金を廃止することが確約された。ところが、政党交付金制度が創設されたのに企業献金制度を維持している
2025年度の通常国会で企業団体献金全面禁止を法定化できた自公と国民民主が結託して、法律制定を阻止した

インフレが進行して国民生活が疲弊している。国民生活を支えるために消費税減税断行が求められている。
2025年度の通常国会で消費税減税を検討すべきだった。しかし、所得税の所得控除を一部改訂しただけで終わった。財務省と自公、国民民主が結託して消費税減税を葬った。
自公とゆ党が日本政治を支配すると、この勢力が憲法を改変する可能性が高い。
自公とゆ党による日本政治支配は暗黒しかもたらさない可能性が高い。

主権者が伸長させねばならないのは「野党」。
しかし、若者世代が「ゆ党」を支持していると伝えられている。「ゆ党」の側は若者が飛びつく材料を意識して掲示。しかし、その内容は極めて不確かだ。
参院選結果を受けて石破首相が辞任して新しい政権の枠組みが構築されても日本政治は刷新されない。そのことが十分に理解されるまで日本政治のダッチロールが持続する可能性が高い

「財務省解体と消費税ゼロを問う」シンポジウムが7月27日(日)に東京湯島の家電会館で開催される。https://isfweb.org/post-58186/
日本財政の闇に光を当てて、取られるべき施策を検証する必要がある。
シンポへのお早目の参加申し込みをお願いしたい。
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