2026年7月5日日曜日

皇室典範改定 政府案の問題点 憲法にも国民の総意にも反する

 しんぶん赤旗の記事:「皇室典範改定 政府案の問題点 憲法にも国民の総意にも反する」としんぶん赤旗日曜版の記事:「皇室典範改定 政府案の問題点 国民総意と離れ 憲法の精神に違反」を紹介します。同じテーマについてなのでタイトルは似通っていますが、切り口は異なっています。
 高市政権は皇位継承問題に関連し、皇室典範の改定案を最優先で進め、今国会成立させることを狙っています。しかし改定案の内容は憲法の精神に反し、国民の総意にも反するもので話になりません
 改定案がこんなお粗末なものに仕上がった理由は、衆院議長が「国会の総意」とばかりに、「皇位継承の在り方に関する全体会議」の内容とは異なるものを、そして女性・女系天皇を禁止するという憲法違反のものをまとめたためです。この経緯についてはしんぶん赤旗日曜版が詳しく報じています。
 こんな皇室典範改定案が成立すれば悔いを千載に残すことになります。
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皇室典範改定 政府案の問題点 憲法にも国民の総意にも反する
                    しんぶん赤旗 2026年7月4日
 政府が提出した皇室典範改定案に対し、各党から反対や異論の声が相次ぎ、終盤国会の焦点となっています。改定案の問題点と日本共産党がどのような立場で臨んでいるかを小池晃書記局長に聞きました。

小池書記局長に聞く
 天皇の制度の問題は、憲法の条項と精神に基づいて議論することが一番大事です。日本国憲法第1条は、天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基く」としています。各種世論調査では女性天皇・女系天皇を認めるべきだという意見が多数で、男系男子を“不動の原則”とする改定案は「国民の総意」に基づくものではありません
 日本国憲法第2条は皇位を世襲としていますが、戦前の大日本帝国憲法にあった男系男子による継承を意味する「皇男子孫」継承は削除されました。当時の憲法制定議会(1946年7月)で金森徳次郎国務大臣は、憲法2条について、なぜ「皇男子孫」を省いたのかとの質問に対し、根本的な支障がない限り男女の差別を置かないことが憲法の考え方だとして、「男女の区別につきましては、法律問題として自由に考えてよろしいという立場」だと答弁しています。
 憲法1条は天皇を「日本国民統合の象徴」としています。多様な性をもつ人々によって構成されている日本国民の統合の象徴である天皇を、男性に限定する合理的理由はありません女性天皇・女系天皇も、憲法の条項に照らして認めるべきだというのが日本共産党の立場です。

突然盛り込む



(写真)皇位継承全体会議に出席する日本共産党の(左から)小池晃書記局長、田村智子委員長=6月25日、衆院議長公邸



 衆参正副議長は全党会派が参加する全体会議で、「皇族数確保」に関する「立法府の総意」をとりまとめましたが、衆参13会派のうち7会派しか賛成しておらず、とても「立法府の総意」とは言えないものです。
 しかも、全体会議では、養子縁組は皇位継承の問題とは切り離し、皇族数の確保策について「立法府の総意」に基づき改定案をつくると言っていたにもかかわらず、全体会議で議論していなかったことが次々と改定案に盛り込まれました

男系男子固執 女性天皇の道閉ざす
 とくに、養子の子が男子ならば皇位継承資格を持つとする規定を突然改定案に盛り込んだことは大問題です。「皇族数の確保のため」は建前であって、本質は女性天皇を完全に否定し「男系男子」による皇位継承を守るため、養子の男子を天皇にする改定案であることが明らかになりました。国民を欺瞞(ぎまん)するやり方で、女性天皇・女系天皇の道を閉ざそうとするものであり、到底容認できません。
 改定案は、皇族の養子を禁止する現行の皇室典範の規定を覆し、「旧宮家」の男系男子を皇族の養子に迎えることを可能にします。旧宮家とは80年前に現典範にもとづき皇籍を離れた人々です。旧宮家だからといって、一般国民として生まれ育ってきた人々を特別な身分である皇族にすることは、憲法14条1項が禁止した「門地による差別」に抵触します。旧宮家の男系男子の子孫を将来にわたって養子候補とし、準皇族ともいうべき新たな特別身分をつくるもので憲法に反します。
 旧宮家と今の天皇との共通の祖先は約600年前の室町時代までさかのぼります。はるか遠い血筋の男系男子の養子の男子には天皇になる資格を与える一方で、今の天皇の子である女性皇族やその子は天皇になる資格を与えない、というのが改定案の核心です。
 こうした養子縁組や旧皇族の皇籍復帰案は2005年の政府有識者会議の報告書で、「国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題点があり、採用することは極めて困難である」と完全に否定されています。報告書はまた、「これらの方々を広く国民が皇族として受け入れることができるか懸念される」と指摘しています。完全に否定されたものをなぜ復活させたかについては、全体会議で一度も説明がありません。

矛盾あらわに
 改定案は、女性皇族が結婚後も皇室から離れられないことを原則としています。皇室の行事を担うのに必要な皇族数を確保するためだけに女性皇族を結婚後も皇籍に残す一方、天皇になることを許さないのは男性皇族との差別だと言わざるを得ません。
 さらに、結婚した女性皇族には住民基本台帳を適用するとの規定が突然盛り込まれました。住民基本台帳を適用しながら、皇室にとどめ国民の権利を認めないのは大きな矛盾です。女性皇族を天皇にする道を閉ざし、女性皇族の配偶者や子を皇族にすることを閉ざすための布石なのではないでしょうか。
 自民党の中曽根弘文憲法改正実現本部長が天皇、皇后の長女愛子さんの皇位継承は「あり得ない」として、皇位を継承すれば、男子を産まなければいけないという「プレッシャー」がかかるなどと発言(6月28日)したことは、男系男子を“不動の原則”にすることの矛盾を認めた発言にほかなりません。
 朝日新聞の世論調査では、養子縁組をできるようにする法整備を「急ぐ必要はない」が71%、読売新聞の調査では皇室典範の議論が「十分だった」との回答は39%にすぎず、政府案が国民の理解を得られているとは到底いえません。憲法上、天皇の地位は「国民の総意に基く」ものであることから、立法府は、「立法府の総意」というフィクションをつくり上げるのではなく、本当の意味での国民の総意をつくることに力を尽くすべきです。
 具体的には、有識者や憲法学者の意見を聞く場を設け、国民の声を聞く公聴会やパブリックコメントの募集を行い、国民の総意を形成する努力をすることこそ立法府の責務です。
 「日本国民統合の象徴」の地位にある天皇を男性に限っている現状をただすことは、国民の中での両性の平等、ジェンダー平等を発展させるうえでも意義ある改革になります。日本共産党はその立場で臨んでいきます。


皇室典範改定 政府案の問題点 国民総意と離れ 憲法の精神に違反
                  しんぶん赤旗日曜版 2026年7月5日号
 政権は皇位継承問題に関連し、皇室典範の改定案を今国会に提出、成立を狙っています。どこに問題点があるのか。国会の「皇位継承の在り方に関する全体会議」に出席している日本共産党の小池晃書記局長(参院議員)に聞きました。    田中倫夫記者

小池書記局長に聞く

 〈共産党はこの問題にどういう立場でのぞんでいますか〉
 日本共産党は綱領で現行憲法の「全条項をまもる」という立場を明確にしています。天皇の制度の問題についても、日本国憲法の条項と精神に基づいて議論、検討すべきだと考えています。戦前とは違い、今の憲法は国民主権で、天皇主権は否定されています。この憲法のもとで、多様な性を持つ人々で構成されている日本国民の統合の「象徴」である天皇を、男性に限定する合理的理由はありません女性天皇、女系天皇を認めることは憲法の条項と精神に基づいて合理性を持ちます

 〈政府は皇室典範の改定案を「立法府の総意」だと言ってい ますが〉
 この、皇位継承、皇室典範の改定で、衆参両院の全会派が参加する全体会議が行われ、13の会派が参加しています。しかし、政府の改定案要綱に賛成したのは7会派しかありません。それを「総意」などというのは、はっきり言ってフィクション(虚構)です。日本共産党はもちろん反対ですが、参院では、野党第1党の立憲民主党も「養子縁組」問題ではかなりきびしく反対をしています。

男系男子」に固執するが 世論は女性天皇賛成多数
 日本国憲法第1条では、天皇の地位について、「主権の存する日本国民の総意に基く」と定めています。「国民の総意」というなら、どんな世論調査でも、女性天皇、女系天皇に賛成だという人が多数です。(女性天皇「賛成」69%=「読売」25年12月14日付)。なのに、政府の改定案は、男系男子-「男でなければいけない」ということが徹頭徹尾貫かれ、「国民の総意」とはかけ離れています。憲法第1条の精神に反するやり方で押し通すとなれば、将来に禍根を残し、憲法で定める天皇の地位についても、揺らぎが起こることを意味します。
 中曽根弘文・自民憲法改正実現本部長は、天皇の長女の愛子さんの「皇位継承はあり得ない」と発言しました。天皇になったら結婚する人がいないとし、その理由を男子を生まないといけないという「プレッシャーがかかる」とのべました。私は「男系男子」による皇位継承を不動の原則とする本音と矛盾があらわれた発言だと思います
 多くのメディアも進め方を批判しています。「読売」(6月26日付社説)も「国民や各党の間で賛否が割れたり、疑問が残ったりする中で、政府・与党が数の力で推し進めてよい問題ではない」と指摘しています。
   「皇室典範」
     日本国憲法第2条のもとで、「国会の議決」で皇位継承順位や皇室の範囲な
     ど、天皇や皇室に関する制度や運営の基本を定めた法律。現行の皇室典範は
     「男系男子」の皇位継承を定めていますが、大日本帝国憲法第2条の「皇男
     子孫継承」は日本国憲法を制定する際に「根本的な支障がない限り男女の差
     別は置かない」と憲法上は削除されています皇位継承には、女系・女性天皇
     も議論すべきだという声が上がっています
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「養子できない」を大転換 憲法に抵触する制度創設

 〈皇室典範改定案の 具体的問題点は何でしょうか〉
 最大の問題は、皇室典範にわざわざ新しい章「養子皇族男子」を設けて、「養子をすることができない」とされてきたことを大転換することです。戦後、皇籍を離れた旧11宮家の男系男子を皇族の養子にできるようにするというのです。
 そもそも養子縁組、旧皇族の皇籍復帰という案は、2005年の政府有識者会議で「国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題点があり、採用することは極めて困難である」と完全に否定されていたものです。
 旧宮家の子孫だからといって、一般国民として生まれ育ってきた人たちを特別な身分である皇族とすることは、憲法14条1項が否定した「門地による差別」(「家柄」「血筋」などを理由に行われる不当な扱いや差別)に抵触します。

全体会議で未議論の問題 法案全文に突然盛り込む

 養子制度創設について、養子本人は皇位継承権を持たないが、政府は皇族の数を確保するためだと説明してきました。ところが森英介衆院議長が6月8日の会見で「養子が結婚して男の子が生まれれば、その子は皇位継承権を持つ」と発言し、大問題となり、議長は「現行法の解釈を述べたもの」と釈明に追い込まれました。しかし、26日に判明した法案全文には、養子の子の皇位継承権を認める文言が盛り込まれましたまったく全体会議で議論していなかった問題が突然出てきた。「朝日」27日付は「男系男子による皇位継承を守ろうとの狙いが浮き彫りになった」「各会派の代表者協議で議論されていない項目を盛り込む政権の強引な政治姿勢に、『立法府の総意』は空疎なかけ声となった」と批判しています。私は記者会見で「立法府の総意なるものは完全に崩壊した」と表明しました。

 〈政府案は女性皇族が婚姻後も皇籍を離脱しないことも原則として定めるとしています〉
 結婚した女性皇族に住民基本台帳を適用しながら、皇室にとどめ、国民としての権利を認めないというのは矛盾も甚だしい。行事のために皇族数だけを確保して、しかし、その中から天皇になることは許さない。妻は皇族だが夫と子どもは民間人。女性皇族は結婚しても自己決定権や幸福追求権が制約されることになり、ここにも男性皇族との差別があると言わざるを得ません。

 〈政府案は国民世論とは大きな乖離(かいり)がありますね〉
 「朝日」調査(6月22日付)では、男系男子の養子縁組は「急ぐ必要ない」が71%です。「読売」(同22日付)では皇室典範の議論が「十分だった」は39%です。政府案が「国民の理解を得られている」とは到底言えません。本案を撤回し、改めて有識者、憲法学者らの意見を聞き、国民の声を聞く公聴会、パブリックコメントを行うべきです。広く国民の総意を形成する努力を行うことが国会の使命です。
 主権者たる国民の総意に基づく「日本国民統合の象徴」としての天皇を、男性に限るとしている現状を正すことは、国民の中での両性の平等、ジェンダー平等を発展させる上でも意義ある改革になります。