2025年6月23日月曜日

参院選争点消費税を理解できる書/注文の少ない料理店(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の2つの記事を出しました。
 最初の記事では、7月22日に投開票される予定の参議院議員選挙に向けた公約で、自民党は30年度に賃金100万円増を目指し、40年度には名目GPD1000兆円とし、所得を現在から5割以上増加させる目標を盛り込んだことを紹介しました。

 そして「いうのは自由だが、納得性のある根拠も示されておらず、完全な『机上の空論』だ」と切り捨てました。。
 そして森山幹事長が6月14日、鹿児島での講演で、消費税が社会保障の重要な財源になっているとした上で、「消費税を守ることが国民を守ることにつながる。政治生命をかけて維持していく」と述べたことに対して、立民党の原口一博衆院議員が自身のに、「消費税を続けることは、国民を貧しくし、日本国を衰退させること。消費税を守ることが国民を守ることなどというのは、あり得ない。そんなものに政治生命かけられたのではたまらない」、「消費税の本質を全く理解していない危険過ぎる姿勢ではないか」と指摘したことを紹介しました。

 植草氏は、社会保障の財源が消費税である必要はまったくなく、所得税、法人税を社会保障の財源にしてはいけない理由など存在しないとして、背後にあるのは財務省基本戦略で、それは 1.消費税増税、2.社会保障支出削減、3.利権支出拡大 であると指摘しました。
 そして新に販売が開始になった植草氏の著書『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』 https://x.gd/LM7XK について、参院選争点の消費税問題を完全に理解できる書として執筆したと述べ、現在の日本での「最悪の社会保障制度と高率の消費税の組み合わせは〈地獄〉そのもの」だとして、「消費税率5%を直ちに実現できる財源も存在するので、国民必読の書であることをアピールさせていただく」と述べています。

 併せて2つ目の記事注文の少ない料理店」を紹介します。
 このタイトルは宮沢賢治の「注文の多い料理店」に因んでいますが、これ以上はない的確なタイトルになっています。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
参院選争点消費税を理解できる書
             植草一秀の「知られざる真実」 2025年6月20日
7月22日に投開票される予定の参議院議員通常選挙。
自民党が公約を発表。https://x.gd/9gbXe
自民党は参院選公約で、実質1%、名目3%の賃金上昇率を達成して2030年度に賃金の約100万円増を目指すことを示した。また、2040年に名目GDPを1000兆円として所得を現在から5割以上増加させる目標を盛り込んだ。
消費税に関しては貴重な社会保障財源で税率変更には時間がかかるとし、物価高対策としての減税に否定的な考えを示した。言うのは自由だが、過去の実績は皆無で、今回の公約に納得性のある根拠も示されておらず、完全な机上の空論だ

他方、立憲民主党の原口一博衆議院議員が自民党の森山幹事長の消費税をめぐる発言に対する批判を示した。https://x.gd/DL0ed2
森山氏が6月14日の鹿児島県内での講演で、消費税について言及。消費税が現在、社会保障の重要な財源になっているとした上で「消費税を守ることが国民を守ることにつながる。政治生命をかけて維持していく」と述べた。消費税減税を全面的に否定した

これに対して原口氏が批判。記事によると原口氏は自身のX(旧ツイッター)に「消費税を続けることは、国民を貧しくし、日本国を衰退させること。消費税を守ることが国民を守ることなどというのは、あり得ない。そんなものに政治生命かけられたのではたまらない。」と投稿。さらに、「消費税の本質を全く理解していない危険過ぎる姿勢ではないか」などと指摘した。

かくして、参院選の最大争点が消費税問題になる
本ブログ、メルマガで指摘しているように、いま直ちに実行するべき政策は「消費税率5%への減税」。同時にインボイスを廃止するべきだ。将来的には消費税廃止を視野に入れるべきだ。

「社会保障のために消費税が必要」との主張があるが、社会保障の財源が消費税である必要はまったくない。所得税、法人税を社会保障の財源にしてはいけない理由など存在しない
背後にあるのは財務省基本戦略。
財務省基本戦略とは、1.消費税増税、2.社会保障支出削減、3.利権支出拡大、である。

拙著 『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』(ビジネス社)https://x.gd/nvmU9 販売が開始になった。



















参院選争点の消費税問題を完全に理解できる書として執筆した。

私は消費税のような課税について、闇雲に全面否定する立場には立っていない。
日本の社会保障制度が十分に拡充され、すべての国民に保障される生活水準が十分に高い状態が確保されているなら、財源を消費税のような税で調達することはあってもおかしくない
福祉国家として知られる北欧では社会保障水準が高い一方で、付加価値税率などが高い。
これは選択肢としてはあり得る。
しかし、日本の社会保障水準は劣悪極まりない。生活保護など、制度を利用する要件を満たしている人の2割以下しか制度を利用できていない。
その上、役所は「水際対策」と称して、生活保護申請をできるだけ受理しない対応を示している。最悪の社会保障制度と高率の消費税の組み合わせは〈地獄〉そのものだ。

また、「財源」が叫ばれるが、消費税率5%を直ちに実現できる財源も存在する。
参院選での消費税問題を考察するために、拙著が国民必読の書であることをアピールさせていただくことをお許し賜りたい。

メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」https://foomii.com/00050
のご購読もよろしくお願いいたします。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」4110号
「消費税減税が参院選最大争点」でご購読下さい。

メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、support@foomii.co.jpまでお願い申し上げます。


注文の少ない料理店
              植草一秀の「知られざる真実」 2025年6月18日
日本の政治勢力における革新勢力の後退が著しい。
しかし、この変化が主権者の側の変化を反映したものであるのかは疑わしい。
建前の上では主権者が代表者を選出して政治が行われるが、実際には主権者が主体的に代表者を送り出すのではなく、主権者は目の前に示されたメニューから選択しているに過ぎない

レストランで言えば、客が本当に食べたいと思うメニューが満載の店もあれば、食欲の湧かないメニューしか記載のない店もある。食欲の湧かないメニューしかない店なら、多くの人がレストランに行くこと自体を選ばない。逆に、客が満足する魅力満載のメニューがふんだんに提示される店なら、すべての人がレストランに行って好みのメニューを注文するだろう

提示されるメニューが魅力的なものであるか、そうではないか。この違いを表示るのが投票率だ。思えば2009年8月の総選挙では投票率が7割近くに達した。
当時の鳩山民主党の人気が絶大だった。民主党政権は2009年から2012年まで3年余続いたが、人気を博したのは鳩山由紀夫内閣だけだ。
小沢-鳩山人気で政権が樹立されたが、2010年6月以降は、このおこぼれに預かった不人気の者たちが政治権力を横取りしてしまった。日本政治に活力がなくなったのはこのときから。「民主党」という名称は同じでも、中身がまったく異なるものに変質した。

現在の政治情勢における最大の特徴は〈ゆ党〉の拡大。〈ゆ党〉とは〈隠れ自公〉、〈第二自公〉、〈チーム日〉のこと。
〈第二自公〉勢力が拡大しても政治に緊張感が生まれるわけがない。唯一、事態が変化したのは2017年から21年にかけての4年間。民主党が国民民主と立憲民主に分裂した。
〈革新〉と〈隠れ自公〉に分離されたと理解された。〈革新〉と理解された〈立憲民主〉が主権者の支持を受けて躍進した多くの主権者は野党中核を担う〈革新〉勢力の登場を待望している。期待の持てる〈革新〉がメニューに載れば、客は大きく動く。

しかし、2021年に立民が変質。〈革新〉から〈隠れ自公〉に変質した。
枝野幸男氏はもともと守旧勢力の一員で、鳩山内閣から権力を強奪した側の人物だから、その本拠地に回帰しただけかも知れない。立民の右旋回は必然のものだったのかも知れない
立民が右旋回してから、メニューの魅力が一気に落ちた。

そして、この機に乗じて〈ゆ党〉を強化する工作が拡大している。
〈維新〉、〈都民ファ〉、〈再生〉、〈参政〉、〈保守〉のすべての勢力が〈ゆ党〉ないし〈極右〉に分類される。
〈立民〉も〈ゆ党〉化を鮮明にしている。
はっきり〈革新〉と呼べる政治勢力は〈れいわ〉、〈共産〉、〈社民〉三勢力に限定される。
潜在的には〈革新〉支持の主権者は多い。これはと言えるメニューが掲載されれば、主権者は一気に強い+支持を示すことになるだろう。2009年現象はいつでも再現されるはずだ。

しかし、現状では〈れいわ〉、〈共産〉、〈社民〉に何かが欠けている。
それは〈連帯〉の思想だ。〈共産〉も党名変更を検討する程度の柔軟性が必要である。支持者の高齢化が進み、若年層の支持拡大を実現し得ていない。
社民はいま求められる政治主張を示しているが、勢力再拡大に向けての取り組みが不十分と感じられる。
〈れいわ〉は確実に地保を固めつつあるが「小異を残して大同につく」連帯の表明が乏しい。
かつての小沢-鳩山民主党が示した幅の広い連帯の気運が生まれていない。
その結果何が起きるのか。

都議選は参院選の前哨戦の意味を持つ。
この都議選で自公とゆ党が議会議席の多数を占有すると、何も変わらない現実が到来する。
その流れの中で参院選が行われると国政も何も変わらない。
最大のリスクは与党・ゆ党連合による消費税増税と憲法破壊が推進される可能性があること。
極めて危険な前夜に位置している。

『ザイム真理教』(森永卓郎著)の神髄をさらに深堀りする新著の公刊迫る。6月19日刊行予定。
『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』(ビジネス社)https://x.gd/LM7XK
ぜひご高読をお願いいたします。

メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」https://foomii.com/00050
のご購読もよろしくお願いいたします。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」4109号
「れ共社大同団結で地殻変動を」でご購読下さい。

メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、upport@foomii.co.jpまでお願い申し上げます