2025年6月23日月曜日

入管収容は違法 国際法に基づく初の判断 ~ (東京地裁)

 しんぶん赤旗に掲題の記事が掲載されました。
 悪名高い日本の人質司法は法務省の「人権感覚の著しい喪失」=「前時代性」を象徴するものです。そして入管庁における入管法の非人道性・残忍性はまさにそれに並ぶものです。
 17日、東京地裁は入国者の入管収容と入管法自体が日本が批准する「市民的及び政治的権利に関する国際規約」に違反するとして、国に対し外国出身の原告2人120万円の支払いを命じました。
 国際法に基づく判断が初めて示され点は画期的でしたが、賠償金の少額さを含めて決して万々歳というようなものではありません。
 入国希望者を冷酷に締め出す入管法の後進性は一刻も早く解消されなくてはなりません。
 併せて同紙の記事「難民申請中の強制送還停止 入管法改正案 3会派が共同提出」を紹介します。
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入管収容は違法 国際法に基づく初の判断
なかったかのような扱いだった人権法の主張
                       しんぶん赤旗 2025年6月19日
 出入国在留管理庁の施設への収容と、その根拠となる入管法が、日本が批准する「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」に違反するとして、外国出身の原告2人が国に計3000万円の賠償を求めた裁判で、東京地裁は17国に120万円の支払いを命じました。国際法に基づく判断が初めて示されました。
 原告代理人の鈴木雅子弁護士が「これまでの裁判で国際人権法の主張をしたときは、主張がなかったかのように扱われることが大半だった」と述べたことが示すように、画期的な判決でした。

難民認定を申請中
 裁判での原告の主張は、入管収容が自由権規約に照らして適法であるためには、個々の収容が合理性、必要性、比例性の要件を満たしていなければならないというものです。比例性とは、目的を達成するための手段が、必要な範囲を超えて権利を不当に侵害してはならないという考え方です。その人の身体的・精神的な健康や、より権利侵害の小さい手段の検討が求められます。また、自由権規約は収容に対する司法の定期審査も求めています。
 実際の入管法は在留資格を持たない人を原則的に収容する「原則収容主義」を取り、合理性、必要性、比例性を要件にしていません。収容の司法審査もありません
 弁護団は原告のサファリ・ディマン・ヘイダーさんについて、収容時に難民認定申請中で送還の見込みがなかったことや逃亡の恐れがなかったことを示し、収容の合理性も必要性もなかったと指摘。サファリさんの収容が「合理性などを検討せず、具体的な収容理由を示すこともなく原告らを収容したことは恣意(しい)的な収容で違法だ」と主張してきました。
 それに対し国は「国内法で手続きを定めており恣意的拘禁ではない」としましたが、合理性、必要性、比例性の検討について反論しませんでした

勇気づける判決だ
 判決は3要件のうち、比例性の要件を欠いていたと認めました。サファリさんの場合、4回の収容のうち3回目と4回目について、うつ病と診断されたサファリさんの心身に与える不利益を上回る事情があるとはいえないと判断しました。
 原告代理人の小川隆太郎弁護士は判決について、「3要件を満たした場合は収容できる。満たさない場合の収容は規約違反と認めたことは大きい。2人の原告の救済にとどまらず、今収容されている人、収容におびえている人を勇気づけるものだ」と評価しています。
 これまで政府は、国連の人権条約機関から入管収容の自由権規約を指摘されても、「人管法に従っている」として聞く耳を持ちませんでした。今回の判決により、その言い分がもう通用しないことは明らかです。   (小梶花恵)


難民申請中の強制送還停止 入管法改正案 3会派が共同提出
                       しんぶん赤旗 2025年6月19日
 立憲民主党、日本共産党、参院会派「沖縄の風」の3会派は18日、2023年に改悪された入管法に盛り込まれた、難民認定申請中の外国人の強制送還を可能とする規定などを改める2法案を参院に共同提出しました。

 共同提出した改正案は、強制送還できる例外規定から3回目以降の申請者を除外します。在留資格なしに日本で生まれ育った子どもや、長期に日本で暮らす子どもと家族を「在留特別許可」を与える積極要素とするよう明記。許可の判断では「児童の最善の利益」を考慮し、未成年者が家族と在留できる配慮を規定しました。同時に提出した入管法・技能実習法改正案は、24年の同法改悪で導入された永住資格を取り消す条項を削除します。
 日本共産党の仁比聡平議員は「入管法改悪の反対討論で、差別と排外主義の自公政治に人道と国際法を対置し、こんな人権後進国であっていいはずがないと訴えた。人権や共生を大事にする社会のために頑張りぬく」と述べました。