2025年12月15日月曜日

ガザ栄養失調児なお9000人超 未熟児出産・死産も/イスラエルが 物資搬入阻止

 10月10日にガザ地区で停戦合意が発効し人道援助を増やせるはずだったにもかかわらず、子ども数千人が急性栄養失調の治療で入院しています。ユニセフによれば、子ども9300人が10月に重度の急性栄養失調で治療を受けました。これは8月のピーク時の1万4000人超からは減少しているものの、2~3月の停戦時よりかなり多くなっています。
 原因は妊婦や授乳中の母親の栄養失調が広がったためで、新生児に栄養不良だけでなく先天性異常が増加しています。

 ハマスのバドラン幹部は9日、イスラエルが約束した支援物資の搬入を阻止していると非難しました。その上で、米国が目指す和平計画「第2段階」への移行について、「イスラエルが違反を続ける限り」不可能だと強調しました。

 イスラエル当局は8日、UNRWAの東エルサレム事務所に立ち入り、掲揚されていた国連旗を下ろし、イスラエル国旗を掲げました。国連のグテレス事務総長は声明を出し、「この施設は国連施設であり続けており、いかなる形の干渉も許されない」とイスラエル当局の立ち入りを非難しました。

 韓国の李在明大統領は9日の閣議で、統一協会を念頭に宗教団体の解散措置に向けた法手続きを具体的に検討するよう指示しました。李氏は「個人も罪を犯して反社会的行為をすれば制裁があるのだから、法人も憲法と法律に違反する行為をすれば解散させなければならない」と強調しました。

 しんぶん赤旗の4つの記事を紹介します。
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ガザ栄養失調児なお9000人超 未熟児出産・死産も増加 ユニセフ警告
                       しんぶん赤旗 2025年12月11日
 国連児童基金(ユニセフ)のテス・イングラム広報部長は9日、ジュネーブで記者会見し、パレスチナ・ガザ地区で10月10日の停戦合意発効以降、人道援助を増やせるはずだったにもかかわらず、子ども数千人が急性栄養失調の治療で入院していると明らかにしました。

 ユニセフによれば、子ども9300人が10月に重度の急性栄養失調で治療を受けました。8月のピーク時に記録した1万4000人超からは減少しているものの、2~3月の停戦時よりかなり多いといいます。
 またイングラム氏は、妊婦や授乳中の母親の栄養失調が広がっていると警告。「栄養失調の母親が低体重児や未熟児を出産し、新生児は新生児室で死亡するか、生き延びたとしても栄養失調や生涯続く合併症を患う。これがはっきりとしたパターンになっている」と述べました。
 イングラム氏によると、低体重児の出産数は、2022年に月250件、全体の5%でしたが、25年7~9月には月460件に急増したと報告。同時期に死産も、月27件から月47件に75%増加しました。栄養不良だけでなく、先天性異常が増加しているのが原因です。
 イングラム氏は、ユニセフが保育器や人工呼吸器など破壊された医療機器や栄養剤などを新たに搬入しているとしつつ、イスラエルがなお必要な医療物資の搬入を妨害しているとして、「すべての検問所の開放を求め続ける」と述べました。
 さらに停戦発効以来70人以上の子どもが殺されたことに触れ、「現在の攻撃と子どもの殺害を直ちに停止しなければならない」と強調しました。


イスラエルが 物資搬入阻止 ハマス幹部非難
                       しんぶん赤旗 2025年12月11日
【カイロ=時事】」イスラエルとイスラム組織ハマスが10月に合意したパレスチナ自治区ガザの和平計画を巡り、ハマスのバドラン幹部は9日、イスラエルが約束した支援物資の搬入を阻止していると非難しました。その上で、米国が目指す和平計画「第2段階」への移行について、「占領者(イスラエル)が違反を続ける限り」不可能だと強調しました。AFP通信が報じました。
 バドラン氏は、「第1段階」では本来、エジプトと通じるガザ最南部ラファの検問所が開放され、多くの支援物資が運び込まれる予定だったと指摘し、ラファ封鎖を続けるイスラエルを批判。米国やカタールなど仲介国に対し、「第1段階の完全な履行のため」イスラエルに圧力をかけるべきだと訴えました。
 これに対し、イスラエル当局者は9日の声明で、ガザヘの物資搬入拡大を目的に、同国が占領するヨルダン川西岸と隣国ヨルダンとの間の検問所を10日に開放する予定だと明らかにしました。


イスラエルUNRWA施設侵害 国連「国際法違反」と非難 エルサレム
                      しんぶん赤旗 2025年12月10日
 イスラエル当局は8日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の東エルサレム事務所に立ち入り、掲揚されていた国連旗を下ろし、イスラエル国旗を掲げました。国連は、国際法違反だと厳しく非難しています。

 イスラエル国会は昨11月、国内でのUNRWAの活動を禁止する法律を可決。イスラエルが1月にエルサレムのすべての施設から職員全員の退去を命じたため、UNRWAは現在この建物を使用していません。
 国連のグテレス事務総長は声明を出し、「この施設は国連施設であり続けており、いかなる形の干渉も許されない」とイスラエル当局の立ち入りを非難しました。
 UNRWAのラザリーニ事務局長はX(旧ツイッター)への投稿で、警察のバイクやトラック、フォークリフトが持ち込まれ、通信が遮断され、IT機器、家具などが押収されたと明らかにしましたイスラエルの行動が、「国連施設の不可侵を守り尊重するというイスラエルの国連加盟国としての義務のあからさまな無視だ」と批判しました。
 イスラエルのエルサレム市当局によると、税務職員が「固定資産税の未払い」を理由に警官を伴って同施設に立ち入りました。しかし国連側は、イスラエルも批准している国連施設・職員の特権と不可侵を定めた条約で、受け入れ国による課税、立ち入り、差し押さえを含むあらゆる法的プロセスから国連は免除されていると主張しています。
 国連総会は5日、1949年に設立されたUNRWAの任務をさらに3年間延長することを賛成151、反対4、棄権14の圧倒的多数で可決しました。最大の援助国である米国のトランプ政権がUNRWAへの資金拠出を停止する中でも、国際社会の圧倒的多数はUNRWAの人道援助活動が不可欠だとあらためて示しました。
 イスラエルの建国に伴い大量に発生したパレスチナ難民のために設立されUNRWAは、ガザ、ヨルン川西岸、その他の中東地域でも活動し、数百万人のパレスチナ人に教育、医療、社会福祉、避難所を提供しています
 イスラエルは、202310月のイスラム組織ハスの襲撃のメンバーのUNRWA職員がいたと主張。イスラエルでは「UNRWA全体がテロ組織」などのデマが広がり、東エルサレムの事務所へのヘイト・デモや職員への脅迫など起こっていました。
 UNRWAは職員数名を解雇しましたが、イスラエルが疑惑について証拠を提示していないと述べてきました。


協会「解散すべき」韓国大統領、法手続き検討指示
                      しんぶん赤旗 2025年12月10日
 韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は9日の閣議で、統一協会を念頭に宗教団体の解散措置に向けた法手続きを具体的に検討するよう指示しました。李氏は「個人も罪を犯して反社会的行為をすれば制裁があるのだから、法人も憲法と法律に違反する行為をすれば解散させなければならない」と強調しました。
 李氏は2日の閣議で「政教分離の原則に反して宗教団体が組織的、体系的に政治に介入した」と述べ、日本で統一協会への解散命令が出たことに及し、韓国でも解散命令ができる検討を指示していました。
 9の閣議で具体的な検討状況について説明を求められたソウ源徹(チョ・ウオンチョル)法制局長は、「(解散は)民法38条の適用問題であり、宗教団体が組織的に非常に深刻な違法行為を続ければ解散が可能だ」と説明しました。

 韓国には宗教法人に関するる法律がなく、宗教団体は民法上の非営利団体として設立許可を得る場合が多いといいます。民法38条は、法人が目的以外の事業を行った場合や、公益を害した場合、管轄官庁が法人認可を取り消すことができると定めています。