2025年9月18日木曜日

18- 自民総裁選 どの候補も方策なし 「反動ブロック」形成の危険さらに 小池書記局長

 共産党の小池晃書記局長は16日、国会内で記者会見し、自民党総裁選について「どの候補者も今の自民党政治が抱えている問題点を解決できない矛盾を抱えている」と指摘しつつ、アメリカ言いなり・財界中心という自民党政治のゆがみをそのまま引き継ぎ、そこに極右・排外主義勢力が加わる“反動ブロック”形成の危険が高まっているとして、日本共産党として政治のゆがみをただし、極右・排外主義勢力とたたかう「二重の役割」を果たすため全力をあげると表明しました。

 そして共産党など各党・会派の過半数の国会議員が臨時国会の早期召集を要求していることについて、石破茂首相が退陣を表明して以降も「内閣は存続しており各大臣がいるのだから」政府はただちに応じるべきだと主張しました。
 また安保法制の成立強行(2015年9月19日)から10年となることについて問われたことに対して、安保法制について当時の衆院憲法審査会で長谷部恭男早大教授や小林節慶大名誉教授ら憲法学者が憲法違反だと指摘したことにふれ、「それは今も全く変わっていない」「安保法制を廃止する必要性が強まっている」と強調し〝新しい国民的・民主的共同への呼びかけを進めていきたいと述べました

 併せて「シリーズ・新しい国民的共同へ」(しんぶん赤旗 随時掲載)の第1弾として、元文部科学事務次官 前川喜平さんと法政大学名誉教授・元総長 田中優子さんの寄稿文を紹介します。
 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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自民総裁選 どの候補も方策なし 「反動ブロック」形成の危険さらに
                       しんぶん赤旗 2025年9月17日
小池書記局長が会見
 日本共産党の小池晃書記局長は16日、国会内で記者会見し、自民党総裁選について「どの候補者も今の自民党政治が抱えている問題点を解決できない矛盾を抱えている」と指摘しつつ、“反動ブロック”形成の危険が高まっているとして、日本共産党として政治のゆがみをただし、極右・排外主義勢力とたたかう「二重の役割」を果たすため全力をあげると表明しました。

 小池氏は、総裁選候補は裏金事件への反省がまったくなく、「企業・団体献金の禁止も口にしない」と批判し、経済政策でも「物価高で悲鳴が上がっているときに、消費税減税には背を向け、まともな対策を打ち出せていない」と指摘。アメリカいいなり・大軍拡も推進する立場で、排外主義に対抗する姿勢も全く見られないとして、「自民党がどの問題でも深刻な矛盾に陥っているということだ」と強調しました。
 一方で、連立をもくろんで日本維新の会や国民民主党などの補完勢力にすり寄っているとし、「ラブコールの競い合いという様相を呈している。これに呼応して維新の藤田文武共同代表は自公との連立を『選択肢としてありうる』と公言している」と指摘。こうした状況は、日本共産党が第6回中央委員会総会で指摘したアメリカ言いなり・財界中心という自民党政治のゆがみをそのまま引き継ぎ、そこに極右・排外主義勢力が加わる“反動ブロック”が形成される危険が高まっている状況だと指摘し、「共産党は政治のゆがみを正面から正し、極右・排外主義勢力とたたかう『二重の役割』を担うために奮闘する」と表明しました。
 小池氏は、日本共産党など各党・会派の過半数の国会議員が臨時国会の早期召集を要求しており、政府はただちに応じるべきだとして、石破茂首相が退陣を表明して以降も「内閣は存続しており各大臣がいるのだから各委員会も開くべきだ」と主張。「消費税減税やインボイス廃止、軽油価格のカルテルの問題、多発する災害への対応などを議論するため、あらゆる委員会を閉会中審査で立ち上げて国会の役割を果たすべきだ」と強調しました。


安保法制 廃止の必要性強まる 小池書記局長 共闘のさらなる前進を
                       しんぶん赤旗 2025年9月17日
 日本共産党の小池晃書記局長は16日、国会内で記者会見し、安保法制の成立強行(2015年9月19日)から10年となることについて問われ、「安保法制を廃止する必要性が強まっている」と述べ、市民と野党の共闘をさらに前進させる必要があると主張しました。
 小池氏は、当時の安倍政権が、それまでの自民党政権でさえ憲法上できないとしていた集団的自衛権の行使を容認したことが「憲法破壊であり立憲主義の否定だった」と指摘。安保法制について当時の衆院憲法審査会で長谷部恭男早大教授や小林節慶大名誉教授ら憲法学者が憲法違反だと指摘したことにふれ、「それは今も全く変わっていない」と強調しました
 小池氏は、安保法制の強行によって歯止めを外した結果、岸田政権が安保3文書で敵基地攻撃能力の保有を掲げ、毎年度の軍事費が9兆円に迫る事態をつくったと指摘。安保法制によって集団的自衛権を行使する方向に進むことは周辺諸国との緊張関係を高め、敵基地攻撃能力の保有として相手の領土の奥深くまで届く武器を保有することになれば、戦争を誘発する可能性を高めると指摘。「国際情勢に照らしても安保法制の危険性はますます高まっている。いよいよ安保法制を廃止する必要性が強まっている」と強調しました。

 その上で、日本共産党は安保法制が強行されたその日に安保法制廃止のための「国民連合政府」の樹立を呼びかけ、市民と野党の共闘を全力で進めてきたと強調。「まさにその共闘をさらに強める必要性がある。それが今回、日本共産党第6回中央委員会総会で打ち出した新しい国民的・民主的共同″であり、呼びかけを進めていきたい」と述べました。


シリーズ「新しい国民的共同へ」
                       しんぶん赤旗 2025年9月15日
「市民と野党の共闘」の原点となった安保法制に反対する「国民連合政府」の提唱から19日で10年を迎えます。当時のたたかいを振ひ返りながら暮らし平和民主主義を擁護・発展させる新しい国民的・民主的共同に向け幅広い立場の人たちの思いや希望を紹介します。(随時掲載)

シリーズ「新しい国民的共同へ」
戦前回帰許さない連帯 元文部科学事務次官 前川喜平さん
 米国の軍事戦略が日本国憲法よりも上位に置かれているのではないかとわざるを得ないほど、この10年で「軍国主義化」が進められました。2015年の安保法制の強行は、憲法を破壊し「戦争する国づくり」を象徴する立法でした
 法案が国会にかかった当時、私はまだ文部科宇宙の現役官僚でしたが、「違憲立法を許してはならない」との思いから、国民・一個人として反対の意思表示をしたいと考えました。
 15年9月18日の夜、国会正門前のデモに参加し、SEALDsの若者たちとともに声をあげました。「9条守れ」「安倍は辞めろ」「集団的自衛権はいらない」というコールが国会前に響き渡っていました。
 教育行政においても「戦争できる国民づくり」が進められました。愛国心や国防意識を強調する教科書が。つくられ、小中学校で「道徳」が教科化される中で、個人の尊厳よりも自己犠牲の精神が教え込まれました。上位の権力に従順な国民を育てる教育です。
 いま、排外主義をあおる右翼的潮流が伸長しています。戦前の「国体思想」を崇拝するような勢力が台頭すれば、「大日本帝国復活」の危機にもつながりかねません。安保法制の廃止をめざす立憲野党はいまこそ、市民と連帯し、戦前回帰を許さない新たな共同を広げるべきです。
 また、国民の不安を誤った方向に導こうとする勢力に対しては、真に政治を変える解決のを示すこと必要です。この方法な変えられる″という希望を示してこそ、連帯と共闘を広げることができます
 同時に、主体的な有権を育てる「主権者教育」重要性にも改めて注目す必要があります。実際に民党政治を終わらせるチャンスのいまだからこそ、「自分たちの手で政治は変えられる」という当事者意識を広げることに、日本の民主主義を守り抜く力が宿ります。

シリーズ「新しい国民的共同へ」
戦争への道を押し止めよう 法政大学名誉教授・元総長 田中優子さん
 平和学者ヨハン・ガルトゥングが定義した「積極的平和」という言葉がある。これは戦争がないことだけを意味するのではなぐ、貧困、抑圧、環境破壊などの「構造的暴力」も無い状態を意味する。外国人、女性、LGBTなどへの差別は構造的暴力であり、それは自死に追い込むことや、災害時の虐殺、時には戦争につながる。「積極的平和」は、「人権」に価値を置く言葉なのである。
 その言葉を、武器輸出三原則廃止、集団的自衛権の行使容認に使ったのが安倍晋二元首相の「積極的平和主義」であった。安倍政権の考えを引き継ぐ政治家たちに、軍拡を「平和」と言い換えさせてはならない。
「積極的平和」から考えと、外国人労働者の受け入れについても熟考しなくてはならない。「日本人がやりたがらない仕事を低賃金でやってくれる」ことを歓迎して良いのだろうか?
 戦後日本が獲得した最も重要なものは憲法と女性参政権だ。その両方に共通するのは「人権」の重視である。人権は日本にいる外国人のものでもある。外国人だから低賃金に抑えたい産業界の犠牲になって良いわけはない。日本人に等しい賃金、安定した生活、子どもの就学、医療の保障、日本語教育、ハラスメントの防止、相談の仕組みなどを整えるためには、人数の限界がある。しかし、それはすべきだ。これは排外主義ではない。一方、すでに日本に暮らす外国人への差別は、決して許してはならない
 気になることがある。日本が好きだと言う日本人は、なぜか明治時代のことしか言わない。古代も中世も江戸時代も知らないようだ。日清・日露の戦勝にしか目が向かないからであろう。彼らは国家としての日本が「勝つ」ことにしか関心がないのだ。それ以前に「国家としての日本」は存在しないので、関心が向かない。
 しかし勝利が目的なら日本はアメリカとも戦争はできないが、中国とも戦争はできない。中国と緊張関係になったら米軍は撤退する。核戦争を回避するただ。すでに米国は、日本が砦である、と表明している。中国に宣戦布告すると同時に、日本は廃虚になる。外交でその可能性を回避するしか、日本が生き延びる道はない
 今こそ国民が力を合わせて声を上げ、非暴力による協力と共同によって、戦争への道を押し止める時なのである。