韓国の特別検察官は23日、政治資金法や請託禁止法に違反した容疑で、統一協会の韓鶴子総裁を逮捕しました。韓国メディアは尹錫悦前政権と統一協会の「政教癒着」に対する捜査が加速すると伝えています。
韓総裁には、尹前大統領側近の権性東国会議員に1億ウォン(約1060万円)を超える違法な政治資金を渡した疑いがあるほか、尹前大統領の妻、金建希に対して高級バッグやネックレスなどを贈った請託禁止法違反の疑いもあります。
こうした行為に要する潤沢な資金は日本の信者たちの献金によるものと推定されます。
旧統一協会を巡っては、東京地裁が3月、文部科学省の解散命令請求に基づき解散を命じる決定を出しました。統一協会側は東京高裁に即時抗告していますが、高裁が地裁決定を支持すれば、最高裁の判断を待たずに解散命令の効力が生じ、協会の財産(1000億円超)を清算する手続きが始まります。
20日に都内で開かれた〝全国霊感商法対策弁護士連絡会″では、統一協会への解散命令が確定した場合の清算手続きの課題について報告があり、声明を採択しました。
その後の記者会見で、渡辺博 弁護士は、韓鶴子総裁の逮捕状が請求されている(その時点では未逮捕)ことについて触れ、「捜査によって日本の統一協会への解散命令にも良い影響が出てくると思う」との見方を示しました。
しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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統一協会総裁を逮捕 韓国「政教癒着」捜査が加速
しんぶん赤旗 2025年9月24日
韓国の特別検察官は23日、政治資金法や請託禁止法に違反した容疑で、統一協会(世界平和統一家庭連合)の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁を逮捕しました。現地メディアが伝えました。ソウル中央地裁が同日、証拠隠滅の恐れがあるとして特別検察官が請求した逮捕状を発付しました。韓国メディアは尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権と統一協会の「政教癒着」に対する捜査が加速すると伝えています。
韓総裁には、協会の尹英鎬(ユン・ヨンホ)元世界本部長=政治資金法違反容疑などで逮捕・起訴=を通じて、尹前大統領側近の権性東(クォン・ソンドン)国会議員=同容疑で逮捕=に1億ウォン(約1060万円)を超える違法な政治資金を渡した疑いがあります。
このほか、統一協会が関与するプロジェクトなどへの便宜供与を受けることを目的に、尹前大統領の妻、金建希(キム・ゴンヒ)被告=あっせん収賄罪などで起訴=に対して高級バッグやネックレスなどを贈った請託禁止法違反の疑いもあります。
尹前世界本部長の起訴状には、韓総裁の意に沿って国家を運営して統一協会の理念を国策化する「政教一致」を実現するために、尹前大統領夫婦に接近したと記されているといいます。
統一協会は2023年3月に開かれた当時の与党「国民の力」全国大会で権議員を党代表に選出するために、多数の信者を入党させた疑惑も持たれています。信者の意思に反して入党を強要すれば政党法違反になるため、特別検察が捜査を進めているといいます。
統一協会総裁逮捕にコメント
しんぶん赤旗 2025年9月24日
統一協会(世界平和統一家庭連合)の創始者・文鮮明(2012年に死去)の妻で、日本を含む組織全体の主導権を握ってきた韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁が23日に、政治資金法違反などの容疑で韓国の特別検察官に逮捕されたのを受け、統一協会の被害者救済に取り組む渡辺博弁護士、両親が信者の鈴木みらいさん(仮名)に聞きました。
政界工作全容暴け 弁護士 渡辺博さん
統一協会は信者を「地獄に落ちる」などと脅してコントロールし、正体を隠した勧誘や霊感商法、高額献金の要求をはじめとする反社会的な行為をさせてきました。被害者は信者だけではありません。日本で巻き上げた資金が政界工作に使われた疑いがあり、その全容を明らかにする必要があります。
韓鶴子は主権復帰(統一協会の国をつくる)」という教理を掲げ、その実現を目的に政治家を利用してきました。「日本の政治家が統一協会にどう動かされてきたのか」など、まだ解明されていない問題があります。今後も追及を続けるべきです。
統一協会の被害は40年以上も前からありましたが、文化庁に「解散命令請求を」と訴えても〝刑法違反の行為″がないことを理由に拒否され続けてきました。警察や行政の対策が進まなかった背景には、日本の政治家との癒着があったのではないかと思います。
韓鶴子の逮捕は「不当な宗教弾圧だ」と主張する信者らが結束を強め、日本で解散命令が確定しても活動を続けることが想定されます。韓国・清平(チョンピョン)の本拠地にある施設の維持費を拠出するため、日本の信者に献金を求めるおそれがあります。今後も被害者救済の取り組みが重要です。
2世の課題解決を 信者2世 鈴木みらいさん(仮名)
統一協会に入信した両親は、20年ほど前に1億6000万円を献金しました。その後も多額の献金を続けています。集めた資金を贈賄などの違法行為で使うことは、信者をだます行為だと感じます。韓総裁は違法行為の責任を認め、しっかりと制裁を受けてほしいです。今回の事件や解散命令の確定で、自身の被害や加害に気づく信者が増えることにも期待しています。
統一協会や関連団体は政治家を招いたイベントを開催し、韓総裁の権威を示してきました。2021年9月のイベントには、安倍晋三元首相がビデオメッセージを送りました。選挙での支援や票を求めて統一協会との〝親密な関係″を保ってきた政治家もいます。あらためて統一協会への警戒心を持ち、癒着を断ち切ってほしいと思います。
日本での解散命令の動きに対し、統一協会は「迫害を受けている」と信者らに感じさせ、乗り越えるべき試練だと捉えて活動を強化しました。統一協会について報じるテレビのニュースを「偏向報道だ」と決めつけ、信者が見ないようにさせていることも問題です。
信者2世が受けた精神的被害について、統一協会に損害賠償を求める集団訴訟が始まります。2世が抱える課題の解決に向けて力を合わせたい。
資金は被害者に 被害対策弁護団が声明
しんぶん赤旗 2025年9月24日
統一協会(世界平和統一家庭連合)の韓鶴子総裁が韓国の特別検察官に逮捕されたことを受け、全国統一教会被害対策弁護団は23日に声明を発表し、違法・不正行為の解明と被害者救済を求めました。
声明は、統一協会の幹部が韓国前大統領の妻などに渡した金品について「日本からの多額の送金が原資とみられる」と指摘。霊感商法や高額献金で被害者から奪い取った資金が韓国で違法に使われるなど「言語道断だ」と批判しています。
資金は「被害者に戻されるべきもの」で、日本と韓国にある統一協会の両組織が「被害者救済のための責任」を果たすよう求めています。
韓国の特別検察に「日本からの資金の流れや日本法人への指示」なども含めて「組織の実態や違法・不正行為の内実」について徹底的に解明する期待を述べています。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。