2025年9月27日土曜日

「ガザ恒久支配を意図」国連調査委 イスラエル巡る報告

 国連の独立国際調査委員会は23日、イスラエルがパレスチナ・ガザ地区を恒久的に支配する明確な意図を示しているとする報告書を発表しました。ヨルダン川西岸でのイスラエルの政策と行為が、パレスチナ人の強制移動、ユダヤ人入植地の拡大、西岸全域の併合というイスラエルの意図を明確に示していると述べています。
 報告書はそれらの国際的犯罪の責任を負う人物として、イスラエルのネタニヤフ首相、カッツ国防相、ベングビール国家治安相、スモトリッチ財務相の名前を挙げました。

 欧州を中心とした24力国・組織が22日、ガザとヨルダン川西岸の間の医療用人道回廊を再び開設することを求める共同声明を発表しました。「医療を受けるためにガザからの避難を再開し、パレスチナ自治区で緊急に必要とされる処置を受けられるようにすることをイスラエルに強く求める」と呼びかけています。
 声明に署名した24力国・組織には、オーストリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランドおよび欧州連合(EU)などが含まれ、米国は参加していません。

 国連安全保障理事会は23日、イスラエルが侵略を続けるパレスチナ・ガザ地区の情勢を巡り会合を開きました。グテレス国連事務総長は、停戦と人質の解放、人道支援を繰り返し訴えてきたが、国連の決議が無視され続け、国際人道法が踏みにじられ、不処罰がまかり通っていると批判しました。一方で、2国家共存を巡る会合が開かれたことは「暗闇のなかでのかすかな望み」だと強調し、パレスチナ国家承認は「2国家解決への最も明確な道だ」として国家承認を宣言する国が増えたことを歓迎しました。
 しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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「ガザ恒久支配を意図」国連調査委イスラエル巡る報告
                       しんぶん赤旗 2025年9月25日
 国連の独立国際調査委員会は23日、イスラエルがパレスチナ・ガザ地区を恒久的に支配する明確な意図を示しているとする報告書を発表しました。イスラエルがガザ地区の回廊や緩衝地帯の民間インフラを大規模に破壊し、7月までにガザ地区の75%を支配したと指摘。軍事回廊の創設や緩衝地帯の拡大によって「イスラエル軍が意図的にガザの地図を書き換えている」と述べました。
 報告書はまた、ヨルダン川西岸でのイスラエルの政策と行為が、パレスチナの強制移動、ユダヤ人入植地の拡大、西岸全域の併合というイスラエルの意図を明確に示していると述べています。イスラエルが西岸のジニン、トゥルカレム、ヌールシャムスの難民キャンプを攻撃し、「テロリストの住み家だ」として建物やインフラを破壊、パレスチナ住民を立ち退かせていると指摘。これらは正当化できず、集団懲罰に当たるものだと断じました
 報告書はそれらの国際的犯罪の責任を負う人物として、イスラエルのネタニヤフ首相、カッツ国防相、ベングビール国家治安相、スモトリッチ財務相の名前を挙げました
 調査委のピレイ委員長は、イスラエルの行為が「パレスチナ人の苦難を深刻化させ、食料の生産手段を含め生存に欠くことのできない資源まで奪っている」と批判しました。
 調査委は16日、イスラエルがパレスチナ人を対象にジェノサイド(集団殺害)を行ていると認定しました。イスラエルは否定し、ガザ市での地上作戦を続けています。

「人道回廊を再び 欧州諸国が開設求める
                       しんぶん赤旗 2025年9月25日
 欧州を中心とした20以上の国と組織が22日、ガザとヨルダン川西岸の間の医療用人道回廊を再び開設することを求める共同声明を発表しました。「医療を受けるためにガザからの避難を再開し、パレスチナ自治区で緊急に必要とされる処置を受けられるようにすることをイスラエルに強く求める」と呼びかけています。
 声明に署名した24力国・組織には、オーストリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランドおよび欧州連合(EU)などが含まれ、米国は参加していません。
 23日時点でイスラエルからの反応はありません。これまでも、イスラエルはガザの人々が西岸や東エルサレムで医療処置を受けられるようにする呼びかけを拒否してきました。イスラエルのサール外相は今月行われたデンマークとの外相会合で、「安全保障上の懸念」を指摘していました。
 イスラエルは、ガザの人々の一部がアラブ、ヨーロッパ諸国で処置を受けることを認めてきましたが、パレスチナ側は、これらは他のパレスチナ自治区内の病院への幅広いアクセスの代替措置にはならないと主張しています。
 5月にイスラエルがガザを封鎖して以降、「ガザの人々には医薬品を含む必要な物資がわずかしか届いていない」と援助機関は語っています。(ロイター)


パレスチナ国家承認 安保理で歓迎する声
                       しんぶん赤旗 2025年9月25日
【ニューヨーク=柴田菜央国連安全保障理事会は23日、イスラエルが侵略を続けるパレスチナ・ガザ地区の情勢を巡り会合を開きました。22日に国連本部で開かれた会合でパレスチナを国家承認する国が相次いだことを歓迎する声が上がりました。
 グテレス国連事務総長は、停戦と人質の解放、人道支援を繰り返し訴えてきたが、国連の決議が無視され続け、国際人道法が踏みにじられ、不処罰がまかり通っていると批判しました。一方で、イスラエルとパレスチナの2国家共存を巡る会合が開かれたことは「暗闇のなかでのかすかな望み」だと強調。パレスチナ国家承認は「2国家解決への最も明確な道だ」と述べ、国家承認を宣言する国が増えたことを歓迎しました
 エジプトの代表は、この間のガザでの地上軍事作戦は「いかなる法的、道徳的根拠も欠いている」と非難。スロベニアの代表は、パレスチナを国家承認していない国々に対し「承認する大胆な措置を講じる」よう呼び掛けました。