2025年9月22日月曜日

「ガザ市は消せない」 退避帰還者の証言(しんぶん赤旗)

 イスラエル軍は16日、ガザ市への大規模な地上侵攻の開始を宣言し、全ての住民に退去を命じました。イスラエルはガザ地区内のエジプト隣接の「マワシ区域」=「人道安全地帯」を移動先に指定していますが、ジャーナリストのモアイン・カフルートさんがそこに到着して見たのは、数千人すら収められない狭い区域に押し込められた群衆でした。日差しをさえぎる物も水もなく、人々は地べたに眠り、女性は一滴の水を探し、子どもたちは飢えと渇きに泣き叫んでいました。別の場所を探しましたが、さらに窮屈な空間しかありませんでした。
 それでガザ市に「戻ること」しかないと悟り戻りましたが、実際に一旦退避後に再びガザ市へ戻る住民が後を絶たないということです。
 これが退去命令の実態であり、ガザ市に残った人たちを殺害しても、退去命令に従わなかったからと言明する積りと思われます。カフルートさんは、「私は日本と世界に伝えます。占領軍がいかに命令によって強いても、私たちを根こそぎ奪うことも、ガザ市を消し去ることも決してできません」と訴えます。
 文字通り命をかけた訴えです。
 まさにイスラエルの「残虐さ」とパレスチナ人の「悲惨さ」は表裏一体の関係になっています。

 しんぶん赤旗の5つの記事を紹介します。
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「ガザ市は消せない」 退避帰還者の証言
                       しんぶん赤旗 2025年9月21日
 イスラエル軍は16日、ガザ市への大規模な地上侵攻の開始を宣言し、全ての住民に退去を命じました。しかし退避後に再びガザ市へ戻る住民が後を絶ちません。ジャーナリストのモアイン・カフルートさんもその一人です。SNSを通じて18日、その体験と思いを聞きました。(カイロ=米沢博史)


 占領軍は地上侵攻の直前に、南部マワシ区域の「人道安全地帯」へ移動するよう命じました。ガザ地区のわずか3%にすぎない土地に、爆撃や飢餓、避難の繰り返しで心身が傷ついた住民100万人を収容できるのか。疑問を抱きながらも、私も「安全地帯」と呼ばれる場所に向かいました。必需品を抱えながらの移動は困難です。トラックを見つけたとしても300ドル(約4万4000円)以上の運賃が必要で、多くの人には到底払えません。私も歩きました。
 到着して見たのは、数千人すら収められない狭い区域に押し込められた群衆でした。日差しをさえぎる物も水もなく、人々は地べたに眠り、女性は一滴の水を探し、子どもたちは飢えと渇きに泣き叫んでいました。私はぼうぜんとし、別の場所を探しましたが、さらに窮屈な空間しかありませんでした。
 私の選択肢は「戻ること」しかないと悟りました。爆撃されていても、ガザ市こそが最も身近に感じる避難場所だからです。
 戻った街では、多くの人が同じ決断をしていました。「尊厳なき生よりも、ここでの死の方がましだ」と語る人、「われわれを消し去ろうとする者に家を渡さない」と私の手を握る人。その瞬間、ガザ市は傷を負いながらも生きており、残るという決意は個人でなく集団の抵抗だと感じました。
 ガザ市は5千年の歴史を持つ都市です。退避命令は記憶を奪い、アイデンティティーを消そうとする試みです。今も爆撃音が響き、避難する人々や子どもたちの姿が頭をよぎります。居残る決断は命に直結する選択ですが、私は日本と世界に伝えます。占領軍がいかに命令によって強いても、私たちを根こそぎ奪うことも、ガザ市を消し去ることも決してできません


ガザの子 急性栄養失調3倍に
                       しんぶん赤旗 2025年9月21日
【カイロ=米沢博史】国連人道問題調整事務所(OCHA)は18日、ガザ地区で5歳未満の子どもの急性栄養失調が急増していると発表しました。
 報告によると、7月と8月の2ヵ月間で確認された症例は約2万8000件に達し、2025年の最初の6ヵ月間に確認された合計を上回りました。これは、7月以降に新たに確認された急性栄養失調の症例が、今年前半と比べてカ月あたり3倍以上となってていることを意味
します。
 また、ガザ市では、避難民約1万1000人を収容していた国パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の緊急避難所11カ所が、過去5日間で損傷したと報告。インフラの大規模な破壊に加えて人道支援活動への深刻な妨害やアクセス制限が重なり、ガザ市に残された最後の生命線が崩壊しつつあると警告しています。


パレスチナ国家承認を 米上院に決議案 民主党議員ら 「平和へ唯一の道」
                       しんぶん赤旗 2025年9月21日
【ニューヨーク=柴田菜央】米民主党のマークリー上院議員は18日、トランプ大統領にパレスチナ国家の承認を求める決議案を提出しました。ほかにサンダーース氏ら民主党会派の7議員が共同提案者になっており、上院でこの種の決議案が提出されるのは初めてだとしています。

 22日には国連総会で複数の米国の同盟国もパレスチナを正式に国家承認する予定で、承認に背を向けるトランプ氏に対し国内からも圧力が高まっています。
 同決議案は、トランプ氏に対国際法とパレスチナ・イスラエルの2国家解決の原則に基づきパレスチナ国家を承認するよう要求しています。
 マークリー氏は声明で、決議案はまず即時停戦、全ての人質の帰還、人道支援資の搬入を求め、その上で平和の基礎と未来への繁栄を求めていると指摘。「そのための唯一実現可能な連は、二つの民族に二つの国家(を承認すること)だ」と述べました。
 共同提案者のバンホーレン議員は、「イスラエル人とパレスチナ人の双方に安全と民族自決権を保障する最も実現可能な道は2国家解決だ」と強調。イスラエルのネタニヤフ政権とトランプ政権がその実現を阻むなか、「米議会は立場を明確にしなければならない」と述べました。
 ケイン議員は、昨年7月にイスラエル国会がパレスチナ国家樹立の道を閉ざす決議を行ったことに言及し、「米国はこれ以上(パレスチナ国家)承認に当たりイスラエルの同意を条件にすべきではない」と指摘しました。
 米下院でも同様の動きがあり、報道によると、民主党のカンナ議員が主導した、トランプ政権にパレスチナ国家の承認を求める書簡には、同党議員10超が署名しています。


ポルトガルはきょう承認
                       しんぶん赤旗 2025年9月21日
 ポルトガル外務省は19日、声明を発表し、パレスチナ国家を21日に承認することを明らかにしました。
 欧州では、早くから承認していた一部東欧諸国やスウェーデン、キプロスに続いて、2024年5月、スペイン、アイルランド、レルウェー、同6月にスロベニアが、パレスチナの国家承認に踏み切りました。今年になってから、フランス、英国、ベルギー、オーストラリアなどが、22日にニューヨークの国連本部で開かれるパレスチナ問題解決に向けた首脳級会合で、パレスチナ国家を正式に承認する意向を表明しています。
 ロイター通信によると、英国を16日に訪問したラングル外相は、国家承認を検討していると表明していました。


録画演説認める決議 国連総会 パレスチナ議長に
                       しんぶん赤旗 2025年9月21日
【ニューヨーク=時事】国連総会は19日、ニューヨークの国連本部で今月下旬に開かれる一般討論演説で、パレスチナ自治政府のアッバス議長が録画で演説することを認める決議を日本など145カ国の賛成多数で採択しました。トランプ米政権がアッバス氏らパレスチナ代表団へのビザ発給を拒否したことを受けて採決されました。
 決議は、米政権の決定に遺憾を表明し、即時撤回を求めました。また、22日に開催されるイスラエルとパレスチナの2国家共存を目指す国際会合については、ビデオ会議形式または録画による発言を認め、国連の他の会議に関しても、参加が妨げられた場合には事前に収録した演説を提出できると定めました。採決では米国やイスラエルなど5カ国が反対し、6カ国が棄権しました。