2025年9月22日月曜日

UIチャンネル第600回記念放送(植草一秀氏)

 郵政民営化解散とは2005年8月8日に小泉政権が行った衆議院解散の俗称で、郵政民営化法案に反対の閣僚を辞任または罷免して実行しました。その後に行われた総選挙では、民営化に反対の自民議員を公認せず殆どの選挙区で対立候補を立てて、国民に対しては郵政を民営化すれば「バラ色の未来」が開けると大々的に宣伝して勝利しました。

 しかし郵政民営化の真の狙いは当時350兆円に達していた郵便貯金の管理を事実上米国に委ねようとするもので、その詳細な段取りは担当閣僚の竹中平蔵と米国財務省の実力者が18回もの密談を重ねて仕上げましたが、幸いなことにその後に登場した鳩山政権によってその企みは阻止されました。
 では郵政民営化によって何か「バラ色」めいたことが起きたのかというとそんなことは何もなく、逆に不便になっただけで、郵便局の簡易保険が禁止された結果やたらに米国系保険会社のTVコマーシャルが蔓延するようになりました。
 もう一つ小泉・竹中政権が行ったのは新自由主義経済政策という弱肉強食の世界の導入で、それはその後安倍政権に引き継がれました。それによって大量の非正規労働者が生み出され、「厚い層」といわれていた中間所得階級が見るみる消滅して「富者と貧者の2極化」が進みました。
 竹中が政界引退後に、非正規労働者の大量出現で隆盛になった「人いれ稼業」のトップに納まった「鉄面皮さ」も人々を驚かせました。
 植草一秀氏の記事を紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
UIチャンネル第600回記念放送
             植草一秀の「知られざる真実」 2025年9月21日
2000年以降の日本政治を振り返るとき、最大の焦点になるのは鳩山由紀夫内閣の評価である。対極に位置付けられるのは2001年発足の小泉純一郎内閣と2012年発足の第2次安倍晋三内閣。

メディアは鳩山由紀夫内閣を批判する。これを鵜呑みにして鳩山内閣批判する市民は多い。
しかし、その市民は自分の頭でものを考えているか。自自答するべきだ。
メディアの言説をそのまま流用して自分の見解であるかのように話しているだけではないか。
2001年に小泉内閣が発足したときメディアは大礼賛した。
メディアに流される市民はメディアと共に小泉内閣を礼賛したのではないか。

2012年12月に第2次安倍内閣が発足した。
自民党は2013年7月参院選でも勝利して衆参ねじれを解消した。
それ以来、安倍独裁とも言える状況が生じ、安倍内閣は2020年まで続いた。
安倍首相が提唱したアベノミクスをメディアが絶賛した。
このメディアに誘導されてアベノミクスを絶賛した者が多かった。

だが、メディアが絶賛した小泉内閣、安倍内閣がもたらしたものは何だったか。
バラ色の未来が開けたのか。
2000年4月に日経平均株価は2万円を回復した。


バブル崩壊の10年間のトンネルをようやくくぐり抜けた。
しかし、日本経済は小泉内閣が発足した2001年4月から2003年5月までに深刻な経済恐慌の淵に転落した。日経平均株価は2003年4月に7600円まで暴落。
小泉内閣はりそな銀行を自己資本不足に追い込み、日本を金融恐慌の淵まで誘導した。
背徳のりそな銀救済・乗っ取りが実行されて株価は反転したが、多くの市民が不要な経済崩壊の犠牲になった

この小泉内閣が主導したのが新自由主義経済政策。経済運営を市場原理に委ねる。
一見スマートに見えるが目的は明白だった。弱肉強食を推進し、労働コストを低下させて大企業利益を激増させることだった。
「改革」という言葉の響きで市民は騙された。市民がその意味を知ったのは2008年から09年にかけてのサブプライム金融危機に伴う大不況を経験してからだった。
弱肉強食推進の政策運営は人々を幸福にしないことに市民はようやく気付いた。
その市民が鳩山由紀夫内閣を誕生させた。

2012年12月に発足した第2次安倍内閣はアベノミクスを提唱。
積極財政、インフレ誘導、成長戦略を掲げた。
しかし、積極財政は封印され、安倍内閣は2度の消費税率引き上げで消費税率を10%にした。
インフレ誘導政策はうまくいかなかったが、2020年以降のコロナ融資拡大で日本でも深刻なインフレが発生した。


成長戦略の言葉も響きが良いが、実行されたのは弱肉強食推進。
企業利益が史上空前規模に拡大した一方で労働者実質賃金は2割も減った。
他方、中国の脅威を煽り、日本は「新しい戦前」に移行している。いまや、東アジアでの戦争勃発がカウントダウンされている。

2009年9月に発足した鳩山内閣は日本政治の刷新を目指した。
対米自立、官僚支配打破、大企業の政治支配打破、という大方針を明示した。
そのために、米官業の既得権勢力から総攻撃を受けて、わずか8ヵ月で破壊された。
後継の菅直人内閣、野田佳彦内閣が対米隷属・ザイム真理教に回帰したため、民主党は大崩壊した。
その大崩壊の責任が鳩山元総理に転嫁されている。
鳩山内閣が提示した政治刷新の基本方針は正しかった。このことを正確に再評価しなければならない

鳩山元総理が理事長を務める東アジア共同体研究所のYoutube番組である「UIチャンネル」が9月22日に第600回記念放送を行う。
この番組にお招きを賜った。
9月22日(月)午後8時放送のUIチャンネル テーマは「混迷する日本政治と活路」https://www.youtube.com/live/Uo2LJF52sJk をぜひご高覧賜りたい。

続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」4196号
「日本は永遠に米植民地なのか」 でご高読下さい。
内外情勢激動の機会にメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」ご購読をお願いします。https://foomii.com/00050

『ザイム真理教』(森永卓郎著)の神髄を深堀り、最重要政策争点財務省・消費税問題を徹底解説する新著を上梓しました。
財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』(ビジネス社)https://x.gd/LM7XK
ご高読、ならびにアマゾンレビュー、ぜひぜひ、お願いします。

メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 https://foomii.com/00050
のご購読もよろしくお願いいたします。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、support@foomii.co.jpまでお願い申し上げます。