2023年10月2日月曜日

岸田政権 インボイス強行 廃止求め運動さらに(しんぶん赤旗)

 インボイス(適格請求書)制度を考えるフリーランスの会(STOP!インボイス)が呼びかけたオンライン署名は30日現在、54万人を超えました。

 岸田政権は1日、中止を求める世論が急速に広がっているにもかかわらず、消費税のインボイス制度の実施を強行しました。
 インボイスを発行できない免税事業者から仕入れる課税事業者は仕入れ分の消費税を差し引くことができず納税額が増えるので、仕入れ分の消費税に相当する額を免税業者に値引きさせるか、それが出来なければ取引自体を停止します。
「弱い者いじめ」といわれるこの制度は、零細な免税事業者に耐え難い負担を押し付けるもので免税事業者が課税事業者に転換すれば、財務省の試算でも平均150万円の年間粗利益から154万円と割を超える消費税がむしり取られることになります。
 多くの免税事業者がインボイス登録をするか、消費税相当分の値引きをするかの「悪魔の二者択を取引先から迫られるわけです
 財務省はインボイス制度導入によって免税事業者のうち161万者が課税事業者に転換し、2480億円の増収になると見込んでいます。これこそが強引にインボイス制度を導入する理由です

 異常な物価高騰の中で、現状で問題がないのに政府がインボイス導入に執着するのは将来の消費税増税とさらなる複数税率の導入を狙っているからです。
 インボイス制度に反対する運動は廃止を求めるたたかいとして新たにスタートしています。
 民主商工会などが全国各地でインボイス制度中止や延期・見直しを求める請願・陳情を行っていて、中止や延期・見直しを求める意見書367自治体と、全自治体の2割に広がっています。しんぶん赤旗が報じました。
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岸田政権 インボイス強行 廃止求め運動さらに
                       しんぶん赤旗 2023年10月1日
 岸田文雄政権は1日、消費税のインボイス(適格請求書)制度の中止を求める世論が急速に広がっているにもかかわらず、一切耳を傾けることなく、同制度の実施を強行しました。異常な物価高騰の中で、さらなる増税である同制度に対し「弱い者いじめだ」との怒りの声が沸き起こり、廃止を求める運動が始まっています。
 インボイス制度を考えるフリーランスの会(STOP!インボイス)が呼びかけたオンライン署名は30日現在、54万人超です。9月4日に財務省などへ提出した際は36万1171人分、22日には国内最多のオンライン署名数46万6000人分を超え、わずか1カ月で18万人以上が賛同するなど急速に広がりました。6月の国会前行動、9月4日の署名提出、25日の官邸前行動が反響を呼び、インボイスは増税であり、全国民の生活を直撃することへの理解が広がり始めています。
 中止や延期・見直しを求める意見書も367自治体(シルバー人材センター関連を含む、8月末現在、STOP!インボイス調べ)と、全自治体の2割に広がっています。民主商工会などが全国各地で請願・陳情を行っています。
 日本共産党など野党4党は昨年6月、消費税減税、インボイス中止法案を衆院に共同提出し、超党派議員連盟が立ち上がっています
 インボイス導入で大混乱が予想されます。今まで消費税を納めていなかった中小・零細の免税事業者は新たな負担を課されます。消費税は経営が赤字でも納めなければならず、滞納や廃業が懸念されます。申告の仕方もわからず、来年3月の確定申告期には無申告者が増えるおそれがあります。また重い事務コストも発生します

 インボイス反対の運動は、廃止を求めるたたかいとして新たにスタートしています。
 STOP!インボイスは29日に岸田首相の国会事務所に54万人分の署名を提出し100万人を目標に「署名を続ける」と表明。全国商工団体連合会は10月から「消費税率5%以下への引き下げとインボイス制度の廃止を求める」署名に取り組みます。


インボイス導入で矛盾あらわに
                       しんぶん赤旗 2023年10月1日
 岸田文雄政権が今日からの導入を強行したインボイス(適格請求書)制度は零細な免税事業者に耐え難い負担を押し付けるものです。同時に将来の消費税大増税の地ならしにもなりかねません。導入すれば矛盾がさらにあらわになることは間違いありません。事業者、国民のたたかいをひろげ、撤回を迫りましょう。

1割超える税負担
 多くの免税事業者がインボイス登録をするか、消費税相当分の値引きをするかの「悪魔の二者択を取引先から迫られています。しかし免税事業者が課税事業者に転換すれば、財務省の試算でも平均15万円の年間粗利益から154万円と割を超える消費税がむしり取られることになります。
 インボイスは事業者が消費税を納税する際に必要となる書類で、商品ごとに格と適用される税率が記載された請求書です。インポイスには、税務署に課税業者として登録して発行された業者番号を明記しなければなりません。そのため免税事業者はインボイスが発行できません。
 課税事業者が税務署にめる消費税額は販売で受け取ったとされる消費税から仕入れにかかった消費税を差し引いた額です。これまではその計算を帳簿などで行ってきましたが、10月からはインボイスで行うことになります。インボイスを発行できない免税事業者から仕入れる課税事業者は仕入れ分の消費税を差し引くことができず、納税額が増えてしまうのです。
 財務省はインボイス制度導入によって、免税事業者のうち161万者が課税事業者に転換し、2480億円の増収になると見込んでいます。

将来大増税が狙い
 政府はインボイス制度導大の目的について複数税率における適正課税のためと説明します。019年10月以降、消費税は10%と8の複数税率です。政府はこの間の課税が適正でなかったというのでしょうか。現状で問題がないのにインボイス導入に執着するのは将来の消費税増税とさらなる複数税率の導入を狙っているからです。
 財務省の資料によると、日本の消費税と同様の付加値税を導入しているヨーロッパ諸国では多段階の複数税率が導入されています。たとえばフランスでは基本税率は20ですが、旅客輸送や外食は10、食料品や書籍は5、新聞や雑誌は2・1%の税率です。イツでは基本税率は19ですが、太陽光パネルなどはO、食料品や水道水などは7の税率です。これらの国では伝統的にインボイスが導入されています。
 経団連は12日に発表した24年度税制改正に関する提言で消費税について社会保障財源としての重要性が高く」「その引き上げは有力な選択肢の一つ」としています。十倉雅和会長は19日の記者会見で消費税増税について「逃げずに議論しましょう」とまで述べました。また経済同友会が21年5月に発表した提言では財政―のめに26年度から34年度まで毎年Iずつ消費税率を引き上げ、19にすることを求めています。
 将来の消費税増税の際、増税負担をごまかし、国民を懐柔するためヨーロッパのような複数税率を導入することも考えられます。イボイス導入の強行はいくつもの税率があるもとでも「適正課税」を実現することで、将来の消費税増税の地ならしともなりかねません。(清水渡)

「注意」大幅増  登録は進まず
 インボイス制度導入を目前にした29日、政府はインボイス制度円滑実施推進に関する関係閣僚会議を開催し、岸田文雄首相が出席しました。会議では公正取引委員会による注意件数が9月に大幅に増加したことが報告されました。
 公取委は独禁法違反につながる恐れがあるとして、仕入れ価格の引き下げを免税事業者に一方的に通告するなどした事業者を注意しています。注意件数は9月27日時点で計35件となっており、8月末時点(計20件)と比べると累計で2倍近く伸ぴました。
 また、財務省提出資料によると9月15日時点でのインボイス発行事業者の登録申請件数は403万件で、そのうち免税事業者は111万者でした。財務省が想定する免税事業者から課税事業者への転換数161万者の7割にも届きません。このまま強行すれば混乱は必至です。