2023年10月9日月曜日

ジャニ問題 処理転覆させたNG6(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。2日に行われたジャニーズ事務所会見は、ジャーナリスト6氏には発言させないという趣旨の「NGリスト」が明らかになったことで、事態が収束するどころか逆にジャニーズ事務所窮地に陥りました。
 記事は細かく項目分けして問題点を明らかにしています。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ジャニ問題処理転覆させたNG6
             植草一秀の「知られざる真実」 2023年10月 8日
ジャニーズ事務所会見はこの国の暗部に光を当てる効果をもたらしている。

第一はメディアの暗部。
メディアは第4の権力とも言われる。「情報による加害」をいつでも展開できる。
標的にした人物の社会的生命をいつでも奪うことができる。
他方で糾弾すべき対象の問題を素通りし、深刻な問題を隠ぺいすることも可能である。
これは第二の問題に通じる。

第二は日本の刑事司法の不正。
人間の身体の自由を奪うことができる刑事司法の力は大きい。
近代国家の条件は刑事司法の公正さにある。しかし、日本ではこの根本が崩壊している。
犯罪が存在するのに無罪放免にする裁量権と犯罪が存在しないのに無実の市民を犯罪者に仕立て上げる裁量権が警察と検察に付与されている。
ジャニーズ事務所の史上空前の性犯罪事案が放置されてきた大きな背景に日本の刑事司法の歪みがある。

第三は日本社会のいびつさ。
これだけの重大問題が白日の下に晒されながら、なお、犯罪企業と連携するインナーサークルの勢力が大きな塊が力を維持し続けること。
NGリストが発覚し、「不都合な真実」が露わになったが、NGリストが発覚しなければ、インナーサークルがなお力を温存した可能性が高い。
ジャニーズ事務所は9月7日と10月2日に記者会見を実施。
しかし、ジャニーズ事務所の対応は「戦力の逐次投入」そのもの。抜本的対応を示さずにどんどん窮地に追い込まれている。
第二次世界大戦での日本軍失敗の原因を分析した『失敗の本質』が指摘する要因がジャニーズ事務所にそのまま当てはまる。
『失敗の本質』(中公文庫)https://x.gd/IpEzr

あいまいな作戦目的
会見を開き、社会に対して全面的に謝罪し、解体的出直しを図るのか、八百長会見を開いて問題を封じ込めるのか。作戦の目的があいまいである。

過度の精神主義
ジャニー喜多川氏一族内の内情を世間に訴え、経営トップが精神的にダメージを負っていることを強調して世間の同情を買う作戦が取られているが、ジャニーズ社に求められているのは精神主義の発露でなく一企業としての矜持を示すこと。

不測の事態が発生した際の瞬時の有効かつ適切な反応の欠落
会見では東山紀之氏の過去の性暴力行為についての質問が浴びせられたが、東山氏はしどろもどろになって明確な回答を示すことができなかった。
また、ジャニー喜多川氏の性暴力行為についての認識について問われると「見て見ぬふりをしていた」ことを吐露した。
こうした質問が提示されることは事前に十分に想定されたはずだが、明確な対応を取る準備がなされていなかった。
仮に準備していたとしても真実をそのまま述べるわけにはいかない事情があったとも考えられる。

戦略的合理性を欠く作戦
世界でも類例を見ない最悪の長期間性暴力犯罪行為が白日の下に晒され、過去の検証を十分に行い、被害者に対する謝罪・救済・補償を確実に執行し、解体的出直しを図ることが求められているが、こうした戦略的合理性を持つ作戦が示されていない

人間関係を過度に重視する情緒主義
東山紀之氏は客観的にみて「喜多川システムの共犯者」である疑いが限りなく強い。
しかし、東山氏がジュリー藤島氏と長期にわたる親密な関係を有していることを背景に安直な人事が強行されている。

統一指揮の不在
統一指揮を執るべき人物はジュリー藤島氏だが、ジュリー氏が陰に隠れて他の人物に指揮を委ねている。さらに、最大の説明責任を負う白波瀬傑前副社長が説明を行わない一方で依然として背後で画策している疑いがある。
ジャニーズ社は10月2日の会見をもって説明を封印し、過去の検証を十分に行わないまま問題に蓋をすることを目論んだと考えられる。
しかし、NGリスト問題が表面化して事態は一変した。ジャニーズ社は会見を再度実施する責務を負う。八百長会見で問題に幕を引くことは不可能になった
現時点で補償の具体的内容がまったく明らかにされていない。

新企業の詳細が不明。
新企業トップに東山氏と井ノ原氏を充てることの正当性は完全に失われている。
新社名を公募するのは新企業の広告宣伝事業にほかならず、解体的出直しを図る新企業に適合しない。
ジャニーズ社がまず実行しなければならないことは過去の検証だ。
TBS「報道特集」は東山紀之氏がジャニー喜多川氏の性犯罪事案の実質的な共犯者であったとの元ジャニーズ所属者の証言を報じた。
過去の検証なしに東山氏などを新企業の経営幹部に就任させることの正当性が失われている。

メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」https://foomii.com/00050
のご購読もよろしくお願いいたします。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第3604号
「ジャニ社過去検証必要不可欠」でご購読下さい。

メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、support@foomii.co.jpまでお願い申し上げます。