2023年10月18日水曜日

岸田首相退陣号砲と化す衆参補選(植草一秀氏)/衆参2補選敗北で一気に岸田降ろしか

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 書き出しの処では、20日に臨時国会を召集しながら岸田首相が所信表明演説を23日に先送りしたことについて、岸田首相の演説が22日投開票の衆院長崎4区と参院徳島・高知選挙区の両補欠選挙プラスの影響を与えないと判断したためと思われ岸田首相が自信を喪失していると述べました。
 そしてこれまでを振り返れば岸田首相が解散に踏み切る唯一のチャンスサミット直後で、それが千載一遇のチャンスだったのにそうしなかったとして、「何もし内閣」に戻ったと揶揄しました。
 財政政策における最重要点は誰の手に財政資金を渡すのかであるのに対して、岸田首相の経済対策はすべてが大資本の手に渡される点に特徴があるとして、米国の命令に服従して軍拡に突き進む岸田内閣に、国民が明確なNOの意思を表明するべき局面だと述べています。
 まことにどうにもならない政権です。

 日刊ゲンダイが、「都議補選“立川ショック”が10.22衆参2補選を直撃! 自民0勝2敗」で一気に岸田降ろしか』」という記事を出しました。併せて紹介します。
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岸田首相退陣号砲と化す衆参補選
               植草一秀の「知られざる真実」 2023年10月17日
衆院長崎4区と参院徳島・高知選挙区の両補欠選挙が10月22日に投開票日を迎える。
この日程を視野に岸田内閣は10月20日に臨時国会を召集することを決めた。
補選が22日に実施されるのだから臨時国会召集は10月23日にするのが順当。
20日に衆院を解散して22日の補欠選挙をなくす狙いがあるのではないかとの憶測を生んだ。また、20日に施政方針演説を行い、これを選挙に利用することが目論まれているとも推測された。ところが、岸田内閣は所信表明演説を10月23日に先送りする方針を決めた。

この期に及んで20日の衆院解散の可能性は存在しないが、20日に所信表明演説を行わないなら臨時国会召集を23日にするべきだった。
岸田内閣が所信表明演説を先送りしたのは岸田首相の演説が選挙にプラスの影響を与えないと判断したためと思われる。岸田首相の腰が引けている。

10月実施の各社世論調査で岸田内閣支持率が既往最低値を記録している。岸田内閣不人気が一気に加速。
内閣改造・経済対策策定・統一協会解散命令請求の三点セットで内閣支持率を引き上げ、10月22日衆参補選で2勝して衆院解散・総選挙に突き進むシナリオが描かれていたと見られるがシナリオ廃棄が必要な局面が近づいている。

岸田内閣はもともと「何もし内閣」だった。ただニコニコと人の話を聞いているふりをしているだけだった。
前任者・前々任者の不人気の反動で、それだけで当初は比較的高い支持率を確保できた。
その岸田首相が独断専横に転じたのが昨年7月14日。安倍国葬を決定した瞬間から内閣支持率急落が始動した。安倍国葬に正当な根拠がない。根拠法すら整備されていない。その国葬実施を強行したことで内閣支持率が急落

統一協会問題が噴出したが岸田首相は安倍晋三氏と統一協会の関係性についての調査すら拒絶。その岸田首相が昨年末に三つの方針を宣言した。原発全面稼働・軍事費倍増・大増税検討の方針が示された。いずれも国論を二分する最重要政治課題
「何もし内閣」が「とんでも内閣」、「どうしようも内閣」に転じた。

内閣支持率は昨年9月に危機ラインの3割を割りこんだ。
2023年入り後に内閣支持率が小幅回復したのは統一協会問題に対する市民の関心が薄れたことと広島でサミットが開催されたことが背景。
岸田首相が解散に踏み切る唯一のチャンスがサミット直後だった。岸田首相は解散を検討したと見られるが断行しなかった。サミットは岸田首相にとっての千載一遇のチャンスだった

岸田氏は総理大臣が日本で一番権限のあるポストだから総理大臣になりたいと思ったと語っている。
さらに、本当にやりたいことを実現するには権限のあるポストに就くことが必要とも述べた。
その千載一遇のチャンスが巡ってきた。
広島から核廃絶の訴えを発信し、ウクライナ戦争終結への道筋を提案することができた。
しかし、岸田首相は何もしなかった。元の「何もし内閣」に戻った。

内閣改造はパチンコ店の定例新装開店改造にすぎなかった。
女性閣僚を5人起用したと言うが新入閣の3名はそろって世襲議員。
副大臣、政務官に女性が1人も起用されないことも異様だった。
経済対策策定を提示しているが国民に直接給付する施策がない
財政政策における最重要点は誰の手に財政資金を渡すのかだ。
岸田内閣の財政支出は、そのすべてが大資本の手に渡される点に特徴がある。

米国の命令に服従して軍拡に突き進む岸田内閣。国民が明確なNOの意思を表明するべき局面だ。
10月22日の衆参補選に主権者は必ず足を運び、与党候補にNOを突きつける必要がある。

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都議補選“立川ショック”が10.22衆参2補選を直撃! 自民「0勝2敗」で一気に岸田降ろしか
                          日刊ゲンダイ 2023/10/17
                        (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 一地方選の結果が岸田首相の命取りになりそうだ。
 15日に投開票された東京都議会・立川市選挙区の補欠選挙の結果に、永田町が仰天している。都議補選は、9月上旬の立川市長選に出馬した都議2人の辞職に伴い行われた。定数2を、自民党と立憲民主、小池都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会(都ファ)」の各党が公認した3新人が争う三つ巴の構図だったが、自民がまさかの敗北を喫したのだ。
「トップ当選の都ファは1万7499票を獲得し、2位の立憲は1万2141票。自民は91票差で落選しました。投票率は27%と低水準でしたから、組織力で勝る自民はトップ当選して当たり前でしたが、2位にすら入れなかったのです」(政界関係者)
 敗因のひとつは、国政で自民と連立を組む公明の支持層がソッポを向いたことだ。地元自民関係者はこう言う。
「公明は都議会では知事与党の都ファとの関係を重視している。そのため、公明関係者から『今回は自民の支援はしません』とハッキリと言われた。公明票はほぼ都ファに乗っかったとみている」
 麻生副総裁が、山口代表ら公明幹部を名指しで「がん」呼ばわりしたことも影響したとみられる。しかし、公明の支援がないとはいえ、党勢が低迷する立憲にまで負けてしまうとは驚きだ。

5000票が消えた
「今回の自民の候補は市議を5期務め、地元での評判も抜群。相当、陣営も引き締めた。なのに、元葛飾区議で地元とは縁のない立憲候補にも負けた。立川市の自民の基礎票は約1万7000票。どんな逆風でも、最低、それだけの票は出るのに、残りの5000票はどこへ行ってしまったのか……」(前出の自民関係者)
 固定票すら逃げた原因は、自民党総裁の岸田首相が国民の怒りを買ったことだろう。ただでさえ、物価高無策に不満が募る中、都議補選が6日に告示されて以降、自民埼玉県議団が撤回した子どもの「留守番禁止」条例案、細田衆院議長のトンデモ会見と、自民にまつわる問題が続出。これに、有権者が「NO」を突きつけたということだ。実際、内閣支持率は軒並み過去最低を更新。SNSで岸田首相は「増税クソメガネ」とアダ名されるほどの嫌われっぷりである。
「ある政党の情勢調査では、告示前に自民が頭一つ抜けていたのに、終盤で逆転されたそうだ。岸田首相への批判が徐々に高まっていったのだろう。多くの自民支持層が投票に行かなかったのではないか」(立川市政関係者)
 今回の結果は、岸田首相の解散戦略を左右する22日の衆参2補選にも影響する可能性が高い。大手メディアの情勢調査では、参院徳島・高知選挙区は野党系が「先行」。衆院長崎4区は「激戦」と報じられている。“嫌われメガネ”の岸田首相がトップでは、自民の「0勝2敗」は避けられないのではないか。
「2つとも、もともと自民が議席を持っていた選挙区です。最近、総理周辺からは『1勝1敗でも仕方ない』と予防線を張るような発言が漏れていますが、党内の目は厳しい。2つとも落とせば総理は一気に求心力を失い、“岸田降ろし”が始まってもおかしくない」(官邸事情通)
 “立川ショック”に今頃、岸田首相は大慌てだろう。