2023年10月4日水曜日

04- 前英国防相がキエフに学徒動員や少年兵を要求/装甲車両と特定弾薬が不足

 ウクライナ兵はすでに50万人が亡くなり、現役の平均年齢は40歳を超えているそうです。それは若い兵士が前線に多く出ているということの反映ですが、前英国防相はウクライナ政府に対し、もっと多くの若者を前線へ送り出せと要求しているということです。

 何故こうした末期的な事態になっても周囲は停戦を提案しないのでしょうか。米国も英国もウクライナ戦争で大儲けをしているからでしょうか。
 併せてマスコミに載らない海外記事:「ウクライナ状況報告:戦場報告は装甲車両と特定弾薬の不足を示している」を紹介します。
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兵の平均年齢が40歳を超えたとして前英国防相がキエフに学徒動員や少年兵を要求 
                          櫻井ジャーナル 2023.10.04
 ベン・ウォレスは2019年7月24日から今年8月31日までイギリスの国防大臣を務めていた。その人物がテレグラフ紙に寄稿、その中でウクライナ兵の平均年齢は40歳を超えていると指摘、ウクライナ政府に対し、もっと多くの若者を前線へ送り出せと要求している。
 昨年2月24日にロシア軍がウクライナに対するミサイル攻撃を始めて以来、約50万人のウクライナ兵が戦死したと言われている。ちなみに、ロシア側の推計戦死者はその1割、つまり5万人程度だ。
 ウォロディミル・ゼレンスキー政権は当初から18歳から60歳の男子が出国することを禁止、動員の対象にしていた。45歳以上の男性だけでなく少年兵も前線へ送り込んでいると言われていたが、最近は60歳程度の男性が街角で拘束され、前線へ送り込まれていると報告されている。
 兵士の平均年齢が40歳を超えているのは当然だろうが、それを理由にしてウォレスは若者に「バンザイ突撃」をさせろと言っているように聞こえる。残っている若者は動員が免除されている大学の学生や研究員、あるいは年少者だ。「学徒動員」や「少年兵」を求めていると言える。
 ウォレスはウクライナが勝っていると主張しているが、ならば「学徒動員」や「少年兵」などは必要ない。ウクライナ軍は昨年2月24日にロシア軍が攻撃を始めた直後に負けているのだ。
 ロシア軍はドンバスに対する大規模な攻撃を開始するために集まっていたウクライナの軍や親衛隊など、そして航空基地やレーダー施設などを壊滅させた段階でウクライナの敗北は決定的だった。だからこそ、イスラエルやトルコが仲介役になって停戦交渉が行われ、ほぼ停戦で合意しているのだ。それを潰したのがイギリスとアメリカだった。
 ゼレンスキー政権が6月4日に始めた「反転攻勢」が失敗したことをアメリカの有力紙も認めている。例えばワシントン・ポスト紙は自分たちが宣伝していた「反転攻勢」で進展はないことを認めた。ロシアが構築した「スロビキン防衛線」を突破できず、ウクライナ側は死傷者を増やしているだけだ。この「攻勢」で8万3千人以上のウクライナ兵が死亡したと考えられている。それにもかかわらず、ウォレスはウクライナが少しずつ勝利を収めていると言い張っているのだ。
 現在、ロシア軍は守りを固め、突入してくるウクライナ軍にダメージを与えている。その結果、ウクライナ軍に武器弾薬を供給しているアメリカ/NATOの兵器庫は空になりつつある。
 アメリカ政府が計画していた経済戦争も機能せず、EU諸国が大きな損害を受けているだけ。アメリカもダメージを受けている。歴史的に反ロシア感情が強いポーランドもウクライナに対する批判が強まり、EU諸国ではロシアとの戦争継続に反対する声が高まってきたようだ。アメリカ議会とバイデン政権の関係も悪化してきた。
 それに対し、ロシアと中国の団結が強まり、アフリカをはじめ「グローバル・サウス」と呼ばれる国々が中露の周辺に集まり始めた。昨年2月以来、アメリカ政府の「制裁」がロシアの国内産業にとって追い風になり、生産力が高まっている。
 また、ロシア軍は昨年秋に部分的動員で約30万人を集め、すでに訓練は終わったようだが、戦線に投入されたのは数万人だと言われている。しかもウクライナ軍とは違い、十分な装備がある。
 ここにきてロシア政府は旧ソ連圏諸国を除く国々にガソリンやディーゼルを輸出することを禁止したが、国内で不足しているとは思えず、元CIA分析官のラリー・ジョンソンはロシア軍が大規模な軍事作戦を計画している可能性があると語っている。


ウクライナ状況報告:戦場報告は装甲車両と特定弾薬の不足を示している
                マスコミに載らない海外記事 2023年10月 3日
                    Moon of Alabama 2023年9月25日
 ウクライナ戦場の傾向はロシア軍が出す日報で見ることができる。
 ウクライナのゼレンスキー大統領がワシントンを訪問した際、軍事戦略の失敗を批判された。
 ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ワシントン訪問中、ウクライナは年末までに激しく争われている東部の都市バフムトをロシアから奪還すると予想した。
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 アメリカ諜報機関と軍当局者は戦争で最も血なまぐさい現場の一つバフムトでウクライナがなぜそれほど激しく戦っているのか長い間疑問視してきた。3月ロイドJ.オースティン国防長官は、この都市は「戦略的、運用上の価値より象徴的な価値」だと述べた。
 しかし、ゼレンスキーは失われた領土を奪還しようとしており、ウクライナはバフムトを奪還し、周辺のドンバス地域を守るため多数の軍隊と兵器を投入している。
 バフムトの戦いはゼレンスキーと軍事指導者にとって強迫観念のようなものになっていると一部のアメリカ当局者は言う。どちらの側の勝利も犠牲が多くて引き合わないので、他の標的に変えるようアメリカ当局が助言したずっと後も、勝利の可能性が間近に迫っていると彼らに信じさせて、ウクライナ人はこの都市に執拗に注力している。

 バフムトに関しては私はいささかアメリカ当局に同意する。それはもはやウクライナにとって戦略的価値を持たず、軍隊はそこでの継続的攻撃で多くの兵士と装備を失っている。実際、現在バフムト周辺では、アゾフ海への南の攻撃で失うより遙かに多くを失っている。
 ロシア国防省による今日の報告には、ドネツク方向、主にバフムト周辺で445人のウクライナ人の死傷者がリストされており、南部のザポリージャ戦線ではわずか100人の死傷者しか出ていない。昨日の報告では305対35だった。先週の要約では、バフムト周辺で1,455人のウクライナ兵が死傷し、南方向では515人だと記載されている。どちらの方面でも認識可能な進展はなかった。
 日報でもう一つの顕著な傾向は、ウクライナの装甲車両不足の増加だ。
 一月前、報告された装甲車両(戦車を含む)と非装甲車両の破壊は、戦闘の激しさにもよるが、一日に約10〜20輌だった。これが3月上旬から続いている。3月2日以降の日報から得られた私の表計算は、ウクライナの損失として合計、装甲車両3,663台と非装甲車両3,600台だ。
 過去数週間で、比率は変化した。今日の報告によると、装甲車両12輌と非装甲車両20輌だ。昨日の比率は7対19だった。先週の要約は、装甲車両84台と非装甲車両145台がリストされている。過去30日間では、装甲車両419輌対非装甲車両632輌だ。
 戦術によって比率は変わらない。高密度の戦車による最初の反攻は失敗した。しかし、それらはほんの数日で、装甲車両の損失はわずかだった。それ以来、ウクライナは歩兵攻撃を強調している。しかし兵士は依然最前線の陣地に向けて輸送しなければならない。最前線は通常強力な砲撃を受けているため、バトルタクシーと呼ばれる装甲車両が使用される。しかし今やトラックやピックアップも使用されているようだ。彼らは砲火下で生き残る可能性はない。
 装甲車両不足は、見つけた車両を追い詰めるロシアの神風ドローンに引き起こされている可能性がある。予備車両が不足している欧米からの補給は、ウクライナ軍が戦場で失っているものを置き換えるのに、もはや十分ではない。
 別の傾向は日報が破壊したと主張するウクライナの大砲の種類にも見ることができる。ソ連時代の152mm榴弾砲D-20とMSTA-B、および自走式152mmアカツィヤはあまり言及されていない。現在、122mm D-30と自走式122mm 2S1グヴォズディカの損失が多くなっている。より大きな砲は更に遠くまで届く可能性がある。減少したものはイギリス製のM-777榴弾砲のような西側由来の155mm砲や、ポーランドのクラブシステムのような様々な種類の西側の自走式155mm榴弾砲に置き換えられた。日報はそれらの損失が増加していることを示している。トラック搭載グラッド・システムなどのソ連時代の多連装ロケットシステムの損失は、ウクライナ側では珍しいものになっいる。
 破壊される砲の観察可能な変化は、弾薬の入手可能性、というより、むしろ弾薬の欠如を反映している可能性がある。2月に、ニューヨークタイムズが、ブルガリアで122mm弾生産が増加したと報じた

 この工場は冷戦が終結した1988年に1221ミリ砲弾製造を停止した。しかし、間もなく組立ラインが再稼働する。ロシアのウクライナ侵攻が、モスクワの攻撃を阻止するために必要な弾薬を欧米諸国がウクライナに供給しようとしているため、ソビエト時代の武器と弾薬を極めて重要な物資に変えた。
 そして最後の122ミリ砲弾がテレム工場を出てから35年後の1月、同社は生産再開した。

 152mm製造ラインに関しては、そのような報告は見たことがない。また、グラッド・ミサイル生産に関する報告も見つからない。それらを使用するシステムは役に立たなくなったため、もはや戦場には現れない。
 ロシア国防省の日報は、数値は、おそらく正確ではないが、戦争の経済的、兵站的な現実を非常によく反映した戦場の特定の傾向を示している。
 これら報告、特にバフムト方面でのウクライナの人的損失の全体的な多さは、ウクライナ側の報告で確認されている。また映像は、ウクライナ側がより少ない装甲車両と、より多くのトラック、更に民間車両を使用していることを示している。大砲の損失は、報じられている特定弾薬の入手可能性を反映している。
 ロシア日報を読むのは大いにに役立つ。なぜ欧米メディアはそうしないのだろう。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2023/09/ukraine-sitrep-battlefield-reports-show-lack-of-armor-and-certain-munitions-.html