2023年10月9日月曜日

09- 中国論争のルールを理解する(賀茂川耕助氏)

 賀茂川耕助氏による掲題の翻訳記事を紹介します。
 標題の意味をもう少し具体化すると、西側には中国を批判するに当たり様々な「基準化された視点=公理」があるという程の意味で、記事にはその一つ一つが分かりやすく説明されています。
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中国論争のルールを理解する
                 耕助のブログ No. 1937 2023年10月8日
    Understanding the Rules of the China Debate  by Paul Strutynski
中国は勢力圏の拡大を望んでいる。幸い西側諸国にはそのような基本的本能はない。
米国の膨大な軍事予算も、中国は1つも持たない海外軍事基地を米国は800も保有していることも、膨大な海外介入の実績があることも、そしてオーストラリアの援助によって中国を軍事的に包囲していることも、我々は無視できる。中国が明らかな侵略者なのだ
我々の軍事費増はもっぱら防衛のためである。中国の軍事費増は野放しにすると無制限になる侵略のためである
我々は適切と思えば防衛費を増やす権利がある。しかし中国は常に軍事費を抑制すべきである
我々の軍艦は、南シナ海での航行の自由の演習に参加する義務があるが、中国がカリブ海やコーラル海で同じことをするのはきわめて挑発的な行為である
南太平洋諸国は、当然ながら我々と融資や安全保障取引を結ぶ自由があるが、中国とそのような取引をするようなことはあってはならない
我々は責任を持って経済力を行使する。しかし、中国は自身の邪悪な目的のために、弱い国々に対して力を利用して影響力を得ている
我々には中国の人権侵害を批判する権利があり、それは義務でさえある。しかし、中国には我々の人権侵害を批判する権利はない
我々は中国の人権侵害に焦点を当てるべきであり、サウジアラビア、エジプト、コロンビアなど、米国が強い権益を持つ国にではない。
我々は中国との関係を築くために我々の神聖な価値観を妥協することはない。しかし共産主義の中国は明らかにその価値観を捨てるべきである
我々は、タスマニアが分離独立すればいつの日かオーストラリアに戻ることを望むが、中国が台湾に同じことを望むのは容認しない
我々は国境の近くに友好的な隣国を望むが、中国は、国境近くに米国が武装した台湾を受け入れる必要がある
中国は台湾にある米国のミサイルを受け入れなければならない。しかし米国は、1962年にキューバにソ連のミサイルを受け入れなかったように、キューバに中国のミサイルを受け入れることはないだろう。それは容認できない挑発行為である。
我々はルールに基づく国際秩序を遵守している。しかし中国は共産主義であるため、その秩序を破壊しようとしている
我々は路上デモを我々の方法で鎮圧するだろう。しかし中国は、特に香港では、常にデモ隊の要求に従う必要がある
我々はベトナム、イラク、アフガニスタンなど他国を好きなように侵略する。一方中国は我々の言うとおりにしなければならず、決して他国を侵略してはならない
我々が中国からの輸出に対して課す障壁が多いことは常に正当であり、中国が我々からの輸出に対して課す障壁の数が少ないことは、常に不当である。
我々は米国が同意する限り、独自の政治的および経済的未来を決定する権利を持っている。中国も同じである。

Paul  Strutynski:元政治チューター、労働組合役員、連邦閣僚のメディア・アドバイザー、キャンベラ官僚、新聞コラムニスト。