2023年10月2日月曜日

統一協会 09年以降も19億円の被害 被害救済「ほとんどまだ」

 政府は、統一協会の行為は宗教法人法の解散命令の事由にある「法令に違反し、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」に該当するとして、解散命令を裁判所に請求する方向で最終調整に入り早ければ12日に宗教法人審議会を開き、請求について意見を聴くということです。

 解散命令が確定した場合、宗教上の行為は禁止されませんが、教団は宗教法人格を失い、固定資産税の非課税などの優遇措置が受けられなくなります(NHK)
 しんぶん赤旗によれば、統一協会が「法令順守を徹底した」と主張している2009年以降も高額献金などの被害が続いており、弁護士が受任したケースだけで140件、金額で計195092万円に上るということです。また09年以降も「正体を隠し自宅訪問」「宗教であることを秘して勧誘」などの例が多く見られ、被害者に「返還請求しない」という念書を書かせたり、親族の預貯金を引き出させなどの悪質なケースもあります。さらに被害者のほとんどはいまだ救済されていないということです。
 NHKの記事としんぶん赤旗の記事(2本)を紹介します。
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政府 旧統一教会の解散命令 裁判所に請求の方向で最終調整
                    NHK NEWS WEB 2023年9月30日
旧統一教会をめぐる問題で、政府は、教団の解散命令を裁判所に請求する方向で最終調整に入りました。早ければ10月12日に宗教法人審議会を開き、請求について意見を聴くことを検討しています
旧統一教会をめぐる高額な献金やいわゆる「霊感商法」の問題を受けて、政府は、宗教法人法に基づく質問権の行使や被害を訴える元信者などへの聞き取りなどを通じ、献金集めの手法や組織運営の実態などの調査を進めてきました。
その結果、政府は、教団の行為は宗教法人法の解散命令の事由にある「法令に違反し、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」に該当するとして教団の解散命令を裁判所に請求する方向で最終調整に入りました。
早ければ10月12日に宗教法人審議会を開き、請求について意見を聴くことを検討しています。
政府関係者は、「調査の結果、解散命令請求の要件としている組織性、悪質性、継続性を裏付ける客観的な証拠がそろったと判断した」と話していて、政府内で詰めの調整を進めています。
請求が行われれば行政機関が法令違反を根拠にした事例ではオウム真理教などに続いて3例目となります。
請求後は、裁判所が文部科学省と教団の双方から意見を聴いた上で解散命令を出すかどうか判断することになります。
解散命令が確定した場合、宗教上の行為は禁止されませんが、教団は宗教法人格を失い、固定資産税の非課税などの優遇措置が受けられなくなります
一方教団側は、教団の活動には国が主張するような組織性、悪質性、継続性はなく、解散命令を請求する要件を満たさないと反論しています。
                (後 略)

統一協会 「法令順守」以降も19億円被害
                       しんぶん赤旗 2023年10月1日
 統一協会(世界平和統一家庭連合)が「法令順守を徹底した」と主張している2009年以降も高額献金などの被害が続いており、弁護士が受任したケースだけで140件、金額で計19億5092万円に上ることが、全国霊感商法対策弁護士連絡会の集計で分かりました。30日、同会の東京集会で明らかにしました。(下掲記事
 それによると、うち少なくとも37件は全額が09年以降の被害。その他は、09年以前と以降にまたがって被害に遭っています。
 統一協会は勧誘や物販の入り口で、宗教団体であることを告げない「正体隠し」の手法が批判されてきました。09年には関連印鑑販売会社を警視庁が摘発し、特定商取引法違反の罪で社長らの有罪が確定。これ以降、協会は法令順守の徹底に努めていると主張しています。
 しかし、全国弁連の集計の「勧誘・被害の状況」をみると、09年以降も「正体を隠し自宅訪問」「宗教であることを秘して勧誘」などの記載が多く見られます。また、▽被害者に「返還請求しない」という念書を書かせていた▽親族の預貯金を引き出させた―などの悪質なケースも。集計を担当した吉田正穂弁護士は「法令順守宣言以降も、手口も被害も変わっていない」と指摘しました。


統一協会被害「ほとんど救済まだ」 解散命令請求は高く評価
    霊感商法対策弁護士連絡会
                     しんぶん赤旗 2023年10月1日(日)
 統一協会(世界平和統一家庭連合)による被害救済に取り組んできた全国霊感商法対策弁護士連絡会が30日、都内で「東京集会」を開きました。発表した声明は、国による協会の解散命令請求が近く出されるとの報道に言及し「遅きに失した」としつつ「高く評価する」としました。一方、「被害者のほとんどはいまだ救済されていない」とも指摘しました。

都内で集会
 代表世話人の山口広弁護士が冒頭で発言。解散命令について裁判所が判断するまでの間に協会が資産を隠匿する可能性があるとして「被害救済の妨げになる。協会資産の保全のための特別措置法を、超党派で実現してほしい」と語りました。
 親が協会信者である信者2世の問題について久保内浩嗣弁護士が報告。「児童虐待防止法では虐待の主体が『保護者』とされており、教団関係者が外れてしまう。立法上の対応が必要だ」などと語りました。
 集団結婚式に参加した両親のもとに生まれた信者2世の女性が証言しました。「両親は協会関連組織に勤めており、高額献金で家庭は極貧だった。農家に分けてもらった小石や虫の入った米を吐き気を抑えながら食べた。小学校では『栄養失調』と言われた」などと振り返りました。
 統一協会に詳しい韓国のジャーナリストも参加し、「新型コロナウイルスの流行や安倍晋三元首相銃撃事件などで日本からの献金が減り、協会は資金難にある」と報告。今年9月、統一協会が日本の信者2世6000人を韓国に呼んで集会を開いたことに触れ、「金を使い果たした1世の代わりに、2世を新たな献金源にしようという試みだという見方がある」などと述べました。