2023年10月14日土曜日

岸田大軍拡 24年度軍事費は7・7兆円 国交・文科上回る

 しんぶん赤旗が掲題の記事を出しました。
 24年度予算の概算要求では軍事費が77兆円と初めて7兆円台に達し突出して伸びています。省庁別にみると防衛省の予算規模は厚労省、地方交付税を所管する総務省に次いで3番目になりました。
 15~23年度の間では軍事費は実に1兆8100億円増えました。対して文教科学振興費は約570億円増にとどまり、中小企業対策費などは減少しています。
 軍事予算が突出したのは米国が扇動する「中国脅威論」に岸田首相が丸乗りした結果です。文中に出てくる「東アジア戦略概観2022(防衛省ほか)は、攻撃側は防御側に対して3倍の兵力が必要となる「攻者3倍の法則」を持ち出すなど、対中戦争ありきの論建てになっていて、近隣諸国との友好関係構築によって平和を維持するという憲法9条の理念から遠く離れています。
 中国脅威論は米国の世界戦略上の必要性から生み出されたもので、その発端とされる「台湾危機」は当の中国も台湾も全く構想していないものです。それなのに米国流の軍事至上主義・大軍拡ありきの考え方に捕らわれていては、日本は「かつて来た道」をたどるしかありません。
 日本は「民生本位」「平和主義」に回帰する以外に再生はできません。
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シリーズ 解剖岸田大
24年費は 国交文科上回る 震源は米国
                       しんぶん赤旗 2023年10月12日
 2024年度予算の概算要求では軍事費が77兆円と初めて7兆円台に達し突出して伸びています。概算要求を省庁別にみると防衛省の予算規模は厚生労働省、地方交付税を所管する総務省に次いで3番目になりました。
 民主党政権時代の13年度概算要求では、防衛省の予算は厚労、総務、文部科学、国土交通各省に次いで5番目でした。24年度と13年度を比べると文科省予算の低迷が深刻です。全体の要求額は約15増加しているにもかかわらず、文科省の要求額は微減。予算規模も3位から5位に下がっています。
 15~23年度の間では軍事費は1兆8100億円増えましたが、文教科学振興費は約570億円増にとどまり、中小企業対策費などは減少しています。(グラフ 省略
「日本政府の大胆な決断を支持する」-。オースティン米国防長官は5日(日本時間)の日米防衛相会談で、国内総生産(GDP)比2への軍事費増額に触れこう称賛しました。

 国家予算をゆがませるほどの大軍拡の震源地は米国です。中国との大国間競争に打ち勝つため、同盟国を大動員する戦略を掲げ、日本を含むすべての盟国に、北大酉洋条約機構(NATO)基準であるGDP比2への軍拡を要求。田政権はこれに従い、従来のGDP比1%から27年度までに一気に2=2に押し上げようとしています
 軍拡推進の最大の□実は「中国脅威論」です。それを端的に示すのが、防衛省との研究機関である防衛研究所が出した「東アジア戦略概観2022」です。
 書は東アジアにおける「防衛支出のシェア」が00年は日本が38でトップだったのに対し、20年では中国が65と圧倒し、日本は17まで低下したと指摘。攻撃側は防御側に対して3倍の兵力が必要となる「攻者3倍の法則」を持ち出し、中国の3分の1を目安にした場合「防衛費は10兆円程度もあり得る」と軍拡を迫りました
 さらに、10兆円の規模について「日本の財政状況が厳しいことは周知の事実だが、(増額分の約4兆円は)支出全体が約2増加するに過ぎない」と軽視。 ①財政破綻のリスクを負って軍事費を増やす ②財政を重視し、抑止破綻のリスクを負うという「どう喝」ともとれる二者択を迫っています

 こうした論理に立てば、中国の軍拡が続く限り、日本は国民生活を犠牲にして際限なく軍拡を続けなけれぱなりません。第3の選択である平和外交で軍縮を実現させることこそ現実的です

まるで国家総動員法 防衛省以外にも軍拡予算
軍事費」=「防衛省予算」という定義過去のものになりかねません。防衛省以外の省庁にも軍事目的予算を盛り込み、「国家動員」で軍拡を狙っています

インフラ整備も
 昨年末に閣議決定した安3文書のうち「国家安全保障戦略」には、「総合的防衛体制」の強化を位置づけました。具体的な分野として ①研究開発 ②公共ンフラ整備 ③サィバー安全保障 抑止力向上のための国際協力の四つを明記。省庁間での連携の強化を盛り込みました
「縦割りを打破し、総合的な防衛体制を強化する」ー。松野博一官房長官は8月に開かれた関係閣僚会議でこう呼ぴかました。同会議では、研究開発と公共インフラ整備がテーマになりました。
 研究究開発では、各省庁が所管する民間技術の中で、軍事力強化に資する技術を「重要技術課題」と整理。ミサイルの軌道予測に使われる「AI(人工知能)情報処理」、ドローン技術などの「無人化・省人化ミサイルを極超音速で飛行させる「機械」など9分野を挙げました。
 永岡桂子文部科学相(当時)は「国研(国立研究開発法人)で、総合的な防衛体制強化に向けた研究を進めるため、適切な環境を整えるのが重要だ」と述べるのデュアルユース(軍民両用)推進を狙っています。
 公共インフラでは、有事の際の部隊展開など軍事利用できる施設を「特定重要拠点空港・港湾(仮称)」として整備する方針を表明。浜田靖一防衛相(当時)は「平素から自衛隊による円滑な利用の確保が極めて重要だ」と述べ、有事だけでなく平時からの軍事利用も狙っています。
 中国を念頭に沖縄・九州に整備を重点的に進めるとみられ、沖縄県与那国島の新たな港湾整備や、同県宮古島の空港滑走路延長などが検討されていると報じられています。全国各地を自衛隊・米軍の軍事拠点とし、相手の反撃で周辺住民に被害をもたらす危険が高まります。

なりふり構わず
 2024年度概算要求にも、「総合的な防衛体制の強化」をはじめとする軍事に関連する予算が多くの省庁で盛り込まれています。
 外務省は「同志軍に武器を無償供与する「政府安全保障能力強化支援(OSA)」に21億円を計上。「同志国の抑止力向上」を名目に、中国包囲網″の構築を狙う制度です。
 国土交通省は、総合的な防衛体制強化に資する公共インフラ整備を明記。金額を示さない事項要求であり、年末の予算編成で金額を示す意向です。
 文科省敵基地攻撃やミサイル迎撃に便われる「衛星コンステレーション(小型衛星群)」の技術発に30値円を計上。
 総務省は「サイバーセキュリティの確保」に59億円を要求しました。
 内閣府は、半導体などの経済安全保障重要物資の確保など16億円を計上。自衛隊・米軍基地の周辺住民を監視する土地利用規制法の実施に8億円を盛り込んでいます。

 岸田文雄首相、昨年の日米首脳会談NATO(北大西洋条約機構)首脳会談で、軍事費を27年度までの5年以内に国内総生産(GDP)比2%=11兆規模に倍増させると対外公約しました。この目標″達成のため防衛省予算を約89兆円に引き上げるのと同時に、軍事費の「NATO基準」を採用し、「総合的な防衛体制」の強化費用に加えて、海上保安庁予算や国連平和維持活動(PKO)分担金、旧軍人らへの恩給費などを加えます。
 こうした大軍拡推進のために、いずれ大増税は避けられません。
 教育、子育てをはじめ国民生活には冷たい万で、「軍事費倍増」という対外公約のためなら、なりふり構わず財政を最優先で分配する ー。岸田政権に国家財政のかじ取りを任せることはできません