2023年10月30日月曜日

ガザ「人道的休戦」決議 国連総会 日本は棄権(しんぶん赤旗)

 国連総会は27日、イスラエルとハマスの大規模衝突をめぐり、「人道的休戦」を求める決議を121カ国の賛成で採択しました。日本や英国など44カ国が棄権し、米国やイスラエルなど14カ国が反対しました。
 決議は加盟国の幅広い支持を得るため、当初案の「即時停戦」から表現を緩和。「敵対行為の停止につながる即時かつ持続的な人道的休戦」を要求しました。
 パレスチナのマンスール国連代表は、謝意を表明し、「この戦争を止めなければならないというメッセージを発した」と採択を歓迎しました。
 これに関連するしんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ガザ「人道的休戦」決議 国連総会 賛成121・日本棄権
                      しんぶん赤旗 2023年10月29日
【ワシントン=石黒みずほ】国連総会は27日、イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスの大規模衝突をめぐり、「人道的休戦」を求める決議を121カ国の賛成で採択しました。
 決議は加盟国の幅広い支持を得るため、当初案の「即時停戦」から表現を緩和。「敵対行為の停止につながる即時かつ持続的な人道的休戦」を要求しました。
 アラブ諸国が主導した同決議は「地域のさらなる不安定化や暴力の拡大を防ぐことの重要性」を強調し、全当事者に最大限の自制を要求。ガザに対する人道的支援を「継続的に妨げることなく」行うことや、人質を即時かつ無条件に解放するよう求めています
 採択には棄権や無投票を除く投票総数の3分の2以上が必要。ロシアや中国の他、欧州からもフランスやノルウェーなどが賛成に回り、採択後には議場から拍手が起こりました。
 日本や英国など44カ国が棄権し、米国やイスラエルなど14カ国が反対しました。
 カナダなどが、ハマスの攻撃と人質拘束を非難する文言を盛り込んだ修正案を提案したものの、「名指しするならイスラエルも」など反論が続出。賛成88、反対55、棄権23、無投票27で、3分の2以上の賛同を得られず否決されました。
 パレスチナのマンスール国連代表は、謝意を表明し、「この戦争を止めなければならないというメッセージを発した」と採択を歓迎。一方、イスラエルのエルダン国連大使は「国連には正当性のかけらもない」と猛反発し、ハマス壊滅まで軍事作戦を続ける姿勢を示しました。

日本政府の棄権 志位委員長批判
 日本共産党の志位和夫委員長は28日、X(旧ツイッター)で、「日本政府がなぜ『人道的休戦』を求めた決議に棄権したのか。決議は、一方にだけ自制を求めるものでなく、『すべての当事者』(イスラエル・ハマスの双方)に国際法順守と最大限の自制を求めるものとなっている。賛成できない理由はどこにもないはずだ。説明を強く求めていく」と表明しました。


人道的休戦を求めた国連総会決議の採択を歓迎する
     国際社会は決議履行のための最大限の努力を
                      しんぶん赤旗 2023年10月29日
志位委員長が談話
 一、国連総会は27日、パレスチナ自治区ガザ地区の情勢に関して緊急特別会合を開き、敵対行為の停止につながる即時かつ持続的な人道的休戦を求める決議案を、121カ国の賛成で採択した。国連安全保障理事会が常任理事国の拒否権発動で動きがとれないなか、アラブやアジアの諸国が主導した同決議には、国際人道法に基づくすべての民間人の保護、ガザ北部から南部への市民の退避命令の撤回、人質の即時解放などが盛り込まれた。
 日本共産党は人道的休戦を求めた決議の採択を歓迎するとともに、国際社会が決議履行のための最大限の努力を行うことを呼びかける
 一、総会決議は、「パレスチナとイスラエルの市民を狙ったすべての暴力行為を非難」するとのべるとともに、すべての当事者に対して国際人道法および国際人権法を含む国際法の完全順守、暴力のエスカレートを防ぐ最大限の自制を求めている。イスラエルとハマスの双方をはじめすべての当事者が、この決議に従うことを強く求める
 一、この点にかかわって、イスラエルが、同日、継続中のガザ地区への大規模な空爆と地上作戦の拡大を発表したことは重大である。総会決議は、ガザ地区では、電力、食料、医薬品、燃料などが遮断され、「壊滅的な人道的状況」と「主に子どもたちを含む一般市民への甚大な影響」が極めて深刻となっており、人道支援を阻むあらゆる障害を取り除くことが急務となっていると強調している。ガザ地区にこうした人道的危機をもたらしている責任は、主要には国際法を無視して空爆、封鎖、地上作戦を進めているイスラエルにあることを厳しく指摘しなければならない。
 決議提案者となったヨルダンが「自衛権は免責の権利ではない」と強調したように、ハマスによる無差別攻撃が国際法に違反するものであるからといって、「自衛権」の名でイスラエルの国際法違反の行為が正当化されることには決してならない
 わが党は、イスラエルに対して、国際法に反する大規模な空爆と地上作戦を中止することを強く求める。
 一、日本共産党は、すべての当事者、関係各国、国際機関が、人道的休戦という一刻の猶予もならない決議を履行するための外交努力をおこない、世界の市民が即時停戦の国際世論を高めるために行動することを呼びかける。
 総会決議がのべているように、累次の国際合意に基づくパレスチナとイスラエルの二つの国家の共存こそが中東和平への道であることを重ねて強調する。


主張国連ガザ休戦決議 壊滅的な人道状況 即刻止めよ
                      しんぶん赤旗 2023年10月29日
 国連総会は緊急特別会合で、イスラエルとイスラム組織ハマスの交戦が続くパレスチナ自治区ガザに関して「即時、永続可能、持続的な人道的休戦」を求める決議を採択しました。採択に必要な、投票総数の3分の2以上の121カ国が賛成しました。アラブ諸国を代表してヨルダンが提案し、45カ国以上が共同提案に加わりました。総会決議に法的拘束力はないものの、国連安全保障理事会が一致した行動をとれない中で国際社会の意思を示しました。イスラエルとハマスは直ちに決議を受け入れ、戦闘を停止すべきです。

地上侵攻の強行許されぬ
 7日のハマスによる攻撃とイスラエルによる報復攻撃が始まってから安保理で4回、決議案が採決にかけられましたが、常任理事国のうち米国、ロシア、中国がそれぞれの思惑で拒否権を行使し採択されませんでした。
 その間にもガザではイスラエルによる激しい空爆で死傷者が急増し、電力、水、食料、燃料の欠乏で200万人を超える住民の命の危機が深まっています
 決議は「すべてのテロ行為や無差別攻撃」「パレスチナとイスラエルの市民を狙ったすべての暴力行為」を非難し、国際人道法に基づいて民間人が保護されなければならないことを強調しています。「ガザ地区における壊滅的人道状況」「主に子どもたちを含む一般市民への甚大な影響」を打開するため、人道支援物資が届くようアクセスの確保を求めています。急速に高まった国際世論を反映した内容です。
 イスラエルは決議に反対し、緊急特別会合のさなかにも空爆を激化させました。地上作戦も拡大しています。停戦を求める国際社会の努力に対する挑戦です。イスラエルはガザに人道危機をもたらしている、すべての行動を中止すべきです。大規模な地上侵攻の強行は許されません。
 イスラエルを名指しで非難せず、ハマスによるテロと人質拘束を非難する文言を加えるよう求めたカナダの修正案は採択に必要な賛成数を得られませんでした。討論では、長年の占領や入植拡大によってパレスチナの自決権が侵害されている不公正を指摘して、カナダ案を批判する声が上がりました。
 決議は双方の市民に対する暴力を非難し「不法に拘束されているすべての民間人の即時かつ無条件の釈放」を明記しています。ハマスによる民間人攻撃や拉致が国際人道法違反であることは明白です。ハマスが人質にとった民間人を即時解放しなければならないのは当然です。

戦闘停止の声を世界で
 米国はイスラエルの自衛権が明記されていないことなどを理由に決議に反対しました。イスラエルのガザ攻撃は、住民全体に懲罰を加える国際人道法違反の行為です。ハマスによる無差別攻撃に対する自衛の名で正当化されるものではありません。
 紛争の公正で永続的な解決がパレスチナとイスラエルの二つの国家の共存に基づく平和的手段によるしかないことを決議が改めて強調したことは重要です。
 戦闘停止には一刻の猶予もありません。決議を受けた国際機関と各国政府の外交努力が急がれます。戦闘を即刻やめよとの声を世界で高めることが必要です。