2023年10月14日土曜日

14- 統一協会の解散命令請求決定 文科省

 文科省は13日、宗教法人法が解散命令の要件として規定する「法令に違反し、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」に統一協会該当すると判断し東京地裁に20箱分の資料を添えて解散命令を請求しました。
 共産党の小池晃書記局長は12、「1980年ごろから長期間にわたって多数の人々の自由に制限を加え、正常な判断を妨げられる状況の中、多額の損害を被らせ生活の平穏を妨げていた統一協会と癒着してきた自民党の責任は極めて重大だ」と批判しました。
 しんぶん赤旗は、補償などを求めて協会と対峙してきた信者家族、元者2世、弁護士に、今後被害救済のためにどのような対策が必要なのか聞きました。
 しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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統一協会の解散命令請求決定 文科省、きょうにも東京地裁に
                      しんぶん赤旗 2023年10月13日
 文部科学省は12日、高額献金などの被害が深刻な社会問題となっている統一協会(世界平和統一家庭連合)に対する解散命令を請求する方針を決定しました。盛山正仁文科相が同日、発表しました。宗教法人法が解散命令の要件として規定する「法令に違反し、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」に該当すると判断し、13日にも東京地裁に請求します。



 盛山文科相は同日の宗教法人審議会で、昨年11月から約1年間に、計7回の質問権の行使や170人を超える被害者らへのヒアリングで、「情報を収集し、詳細に内容を検討してきた」と説明。「解散命令請求を行う考えだ」と表明しました。審議会で委員の意見を聞き、全員が了承しました。
 全国霊感商法対策弁護士連絡会とも連携した調査の結果、統一協会が遅くとも1980年ごろから長期間にわたって、「正常な判断が妨げられる状態で献金または物品を購入させ、多数の者に多額の財産的損害、精神的犠牲を余儀なくさせ、その親族を含む多数の者の生活の平穏を害する行為をした」と認定しました。
 調査を担当した文化庁は、統一協会に対する損害賠償を認める民事判決が32件あり、示談を含む人数は約1550人で、解決金等の総額は約204億円だと説明。将来の生活資金を失うなど「被害の規模は甚大だと考えられる」とし、不法行為は明白で「ただちに解散が命じられるべき」だとしています。
 東京地裁は請求の受理後、解散命令を出すかどうかを非公開で審理します。解散命令が確定した場合、統一協会は法人格を失って任意団体となり、税制上の優遇が受けられなくなります。財産については、清算の手続きが開始されます
 統一協会は同日、全面的に争う意向を示しました。地裁の判断に不服があれば、東京高裁や最高裁でも審理が行われます。


統一協会の解散命令請求決定 
小池氏「迅速な対応を」 自民党との癒着 全面解明要求
                       しんぶん赤旗 2023年10月13日
 日本共産党の小池晃書記局長は12日、国会内で記者会見し、政府が統一協会の解散命令請求の方針を決定したことについて、「被害者や国民世論、野党の追及が動かした結果だ」と強調し、「ようやくたどり着いた。迅速な判断を求めていきたい」と述べました。
 小池氏は、政府は民法上の不法行為は解散命令の要件にはならないとしていたが、野党が連携して追及した結果、「組織性、悪質性、継続性が確認できれば解散要件に含まれるという解釈を引き出した」と説明しました。
 小池氏は三つの点を強く求めると表明しました。
 第一は、統一協会側に、「被害者に向き合って、誠実に対応し、真摯(しんし)な謝罪や賠償に応じることを強く求める」と述べました。
 第二は、協会の財産保全のために「法整備も含め、解散命令を請求した政府の責任で行うべきだ」と主張しました。
 第三は、盛山正仁文部科学相が同日の宗教法人審議会後の会見で、1980年ごろから協会が長期間にわたって多数の人々の自由に制限を加え、正常な判断を妨げられる状況の中、多額の損害を被らせ生活の平穏を妨げていたなどと指摘したことにふれ、「こういう事態がありながら癒着してきた自民党の責任は極めて重大だ」と批判しました。
 その上で、「過去にさかのぼり統一協会と自民党との癒着の全体像を解明する責任が自民党にはある」と強調。「当然、安倍晋三元首相や細田博之衆院議長もその対象に含まれる」と述べました。


統一協会への解散命令請求決定
                       しんぶん赤旗 2023年10月13日
 盛山正仁文部科学相が12日、統一協会(世界平和統一家庭連合)への解散命令を裁判所に請求する決定を公表しました。被害救済のために、今後どのような対策が必要なのか。補償などを求めて協会と対峙してきた信者家族、元者2世、弁護士に聞きました。
                           (丹田智之、三浦誠、安川崇)

献金600万円 家族に耳貸さぬ妻
           妻が統一協会の信者 上村雅博さん(70代)仮名
 私の妻は2005年ごろ、統一協会に入信しました。自宅を訪ねてきた人から「いい印鑑に改めるように」と言われ、家族4人分の実印と銀行印を買わされたことがきっかけです。
 妻は親戚に数百万円を借りてまで献金してきました。妻の手帳には、統一協会につ込んだ金額が書かれています。毎月の収入の1割を差し出す 「10分のI献金」や先祖供養と称した多額の献金など、17年1月からの約5年間に計431万1690円を献金していました。現時点で600万円を超えています
 安倍晋三元首相の銃撃事件後も妻は献金を続けています。家族が何を言っても聞く耳を持たず、夫婦関係は冷えきっています。霊界の存在を信じ込ませて献金を要求する実態は変わらず、信者をマインドコントロール(洗脳)させた上での献金は「自由の意思」とは言えません
 過去の複数の裁判で、統一協会の信者による,霊感商法や高額献金の違法性が認定されています。宗教法人であることを″隠れみの″にして反社会的な行為をすることは悪質で、罰せられて当然だと思います。だからこそ裁判所は速やかに解散命令を出すべきです。
 解散命令請求をおそれた統一協会は、政府への嘆願書の提出を信者に呼かけています。反省もなく居直っているとしか言いようがありません。日本に統一協会を浸透させた責任は、自民党にあると思います。
 私にとって統一協会は、許されざる「詐欺集団」です。同じように経済的被害にあった人を救済するためにも財産保全の措置が重要です。

元信者ケアする公的仕組み必要
           元信者2世で作家 冠木結心かぷらぎけいこさん
 統一協会への解散命令を、真綿でを絞められるような思いをしながら待っています。協会から受けた傷に加え、安倍晋三元首相銃撃事件後に、元者2世として協会批判をしてから、ネットで誹謗中傷を受けているからです。これ以上傷を加えられないように、少しでも早く解散させてほし
 信者の母から勧誘されて入信しました。集団結婚で韓国人と夫婦になり韓国で生活。酒浸りでまともに働かず、私のカードで勝手に借金する夫でした。当時は離婚は悪だと教えるので、逃げられませんでした。2012年の開祖文鮮明の死去で洗脳がとけ、翌年に帰国しました。
 解散命令をきっかけに脱会者が増えるでしょうが、洗脳から離脱するのは大変です。脱会から約10年たった私でも、協会が「サタン」とする「しんぶん赤旗」取材を受けるのが怖かた。共産党議員がヒアリングなどで元信者に寄り添ってくれたのを見て今は安心して話せますが、刷り込まれた教えは簡単に変えられないのでず。
 信者世は洗脳前の「元の自分」に戻れます。ただ生まれた時から者として育てられている2世は、脱会と同時に人格の再構築を迫られます。オウム真理数の事件では、信者の子どもたちがケアされぬまま放置されました。同じことを繰り返さないでほしい。アルコールや薬物依存症の治療のように、元信者をケアする公的な仕組みの確立が必要です。

被害救済へ財産保全特措法早く
           全国霊感商法対策弁護士連絡会代表世話人 山口広さん
 解散命令請求が出る方向になりましたが、達成感はありません。すべきことが山積しています。まず、統一協会の財産を管理・保全できる特別措置法を一日も早く、超党派で成立させていただきたい。
 今、私たちは計40億円の返還請求・調停を進めています。今回の命令請求を受けて、今まであきらめていた人や新たな脱会者が出てきて被害救済を求める可能性が高い。協会の所有資産を処分してでも賠償させる必要があります。
 オウム真理数事件の時には実現した特撮法ですが、今回、制定に向けた動きが具体化していないことに焦りを感じます。解散が実現しても、被害救済が絵に描いた餅になりかねない
 ただし解散となれば、協会が反社会団体と認定されることを意味するので、伝道や献金勧誘、各種の社会工作をしにくくはなるでしょう。政治家も表向きは連携するのが難しくなる。被害の抑止にはなります裁判所は迅速に審理決定してほしい
 宗教法人としては解散しても、任意で活動は続けるでしょう。宗教団体であることを隠す「正体隠しの伝道」はお手の物、ダミー団体も山ほどある。解散すれば安心、では決してありません。
 彼らは今、私ともう一人の全国弁達の弁護士を名指しで非難する「国際勝共連合」名のビラを各地でまいています。弁が結成された1980年代以来の状況です。反省も見えず、思考パターンも変わらない。たたかいは続くと思っています