2022年4月2日土曜日

日本維新の会が体現する「昭和型の政治」を拡大させてはならない

 先の衆院選で躍進した日本維新の会は、兵庫県西宮市の市長選(3月27日に投開票)「党勢拡大の足掛かり」と捉えて大々的に選挙戦を展開しましたが、維新が公認した市長候補と市議候補2員が落選しました(市長選はダブルスコアで敗退)。

 自民党よりも更に右側に位置する日本維新の会が、衆院選の勢いで引き続き各選挙で躍進を続けるようであればまさしく脅威ですが、取り敢えず大阪府外で初の維新公認首長誕生は阻止されました。
 維新の会のリーダーたちは、国会議員の文通費問題などでは盛んに維新の身ぎれいさを強調しましたが、実態は決してそうではないことが暴露されました。
 その後「週刊新潮」がコロナワクチン接種の会場費の不明朗な支出に維新のメンバーが絡んでいるという記事を出しました。それを読むと日本維新の会は決して身ぎれいな党ではなく、その逆であることがわかります。
 3月21日)維新・東徹議員の支援者が大量ワクチン確保 松井市長支援者関連施設を接種会場にして月額580万円

 日刊ゲンダイ「それでもバカとは戦え」のコーナーに、「日本維新の会が体現する『昭和型の政治』を拡大させてはならない」とする記事が載りました。
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それでもバカとは戦え
日本維新の会が体現する「昭和型の政治」を拡大させてはならない
                     適菜 収 日刊ゲンダイ 2022/04/02
 兵庫県西宮市民が良識を示した。市長選と市議補選(3月27日投開票)で、日本維新の会が公認した市長候補と市議候補2人の全3人が落選。現職の石井登志郎は維新公認の増山誠に倍近い大差をつけて圧勝した。大阪府外で初の公認首長誕生は無事阻止されたことになる。維新はこの市長選を「党勢拡大の足掛かり」と位置付けていたが、石井は当選後、「一市長選に党勢拡大を持ち出すのが大間違い」「国政政党として大変乱暴だ」と批判した。その通りである。
 石井は元民主党議員で今回政党推薦を求めなかったが、自民や立憲民主などから幅広く支援を受けた。共産は独自候補擁立を見送って自主投票にし、公明も自主投票とした。与野党がともに戦ったのは、それほど維新が論外ということである。
 投開票日の前日、吉村洋文は増山の応援に駆けつけ、「政治家に近い人にだけ利益がいくような昭和型の政治はやめましょう」「本気で改革する政治家に一票を託してもらいたい」と訴えた
 盗人たけだけしいとはこのことだ。パソナ、サラヤ、吉本興業……。身を切る改革と言いながら「大阪府民の身を切る改革」を断行し、そこから発生する利権を特定の企業に流してきたのが維新ではないか。
 大阪府で飲食店の時短協力金の支給が遅れた理由は、多額の委託料を払って業務をパソナに丸投げしたからだ。ご存じのように維新の背後にはパソナグループ会長の竹中平蔵がいる。竹中は維新の最高顧問格とされる衆院選の候補者選定委員長でもあった。
 また、2020年7月に大阪市は異例ともいえる約6300万円分の消毒液をサラヤ株式会社に発注したが、サラヤ社長の更家悠介は「経済人・大阪維新の会」の会長でもある。
 先日は維新の東徹に寄付を続けている個人経営クリニックが、その規模にはふさわしくない大量の新型コロナワクチンの供給を受けていたことを「週刊新潮」が報じた。
 とにかくカネに汚いのが維新だ。法の抜け道を利用しながら政党交付金の残りを返還せずに基金としてため込んだり、企業・団体献金の禁止を掲げながら、パーティー券を売りまくったり。吉村は「市長が替われば街は大きく変わります」とも言っていたが、これには全面的に賛同する。大阪市の悲劇を拡大させてはならない。

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適菜  作家
近著に「日本人は豚になる」「ナショナリズムを理解できないバカ」など。著書40冊以上。購読者参加型メルマガ「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。本紙連載が書籍化「それでもバカとは戦え」好評発売中