2022年4月12日火曜日

12- 本当のワンワールド政府陰謀はアメリカ合州国の一極覇権

  図らずもロシアのウクライナ侵略を機に、いわゆる西側と東側の対立が鮮明になりました。いま西側では、ロシアのウクライナ侵略は絶対に許されない―それは議論以前の自明のことという論調で、その限りでは全く正しいのですが、問題は、そこに至らせた米国の言動などを批判するのは方向違いであって許されないという「言論空間」になっていることです。

 そこまで行くと本当にそれでいいのだろうかという疑問はやはり残ります。何よりも一糸乱れない論調ということ自体に違和感を持ちます。
 「マスコミに載らない海外記事」に「本当のワンワールド政府陰謀はアメリカ合州国の一極覇権」という記事が載りました。
 「ワンワールド」という言葉はアインシュタインに由来しているようなのですが、現在 具体的に言えば「米国一極覇権」の世界ということになります。背景には勿論米国の強大な国力と軍事力がありますが、何より前面に出ていて明らかなのはメディア(=言論空間)に対する見事な完全支配です。それこそが米国CIAが長い年月を掛けて取り組んできたもので、いまやそれが完全に成功し一糸乱れない報道という状況になっています。
 以下に紹介します。
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本当のワンワールド政府陰謀はアメリカ合州国の一極覇権
                   マスコミに載らない海外記事 2022年4月11日
                    ケイトリン・ジョンストン 2022年4月6日
 中国がロシアのウクライナ侵略を非難しなかったので、NATOはアジア太平洋で「パートナー」との関係を強化すべきだとイェンス・ストルテンベルグNATO事務局長が発表した。
 火曜日(⇒5日)、記者会見で「中国は、ロシア侵略を非難するのを好まず、彼らの路線を選択する国の権利を疑問視するモスクワに加わったのを我々は目にしている」とストルテンベルグが述べた。「権威主義的諸国が、ルールに基づく国際秩序に抵抗している時、民主主義国家が団結し、我々の価値観を守るのは更に重要だ。そこで、軍備管理、サイバー、ハイブリッドと技術などの分野を含め、我々のアジア太平洋パートナーとNATOの協力を深化させることに我々が同意すると私は思う。」
 ストルテンベルグ演説で名指された「アジア太平洋パートナー」は「オーストラリア、日本、ニュージーランドと大韓民国」を含む。同じく彼が非NATOの軍事同盟「パートナー」として追加指名したのは「ジョージアとボスニア・ヘルツェゴビナ」だ。

 2014年にウクライナ危機が沸き起こる何年も前に、アメリカ-ロシア関係学者、故スティーヴン・コーエンが説明した通り、モスクワはNATOを「アメリカ勢力圏」として、NATOとNATO影響力の拡大を、その領域拡大として見ている。「北大西洋」条約組織が、その影響力を拡大し、中国を包囲する「パートナー」との親密さを深めるにつれ、おそらく北京も類似の意見をとるだろうと予想できる。

 火曜日(⇒5日)、統合参謀本部議長マーク・ミリー大将も、下院軍事委員会で、アメリカが「ルールに基づく国際秩序」についてのストルテンベルグの発言を繰り返して述べ、ロシアと中国両方との本格的紛争に準備する必要があると言った。
 「我々は今二つのグローバルパワーと直面しているだ。中国とロシアそれぞれ本格的軍事力を持ち、いずれも根本的に現在のルールに基づく国際秩序を変えるつもりだ。」とミリーは言った。「我々はいっそう不安定な世界に入りつつあり、本格的な国際紛争の可能性は減少しておらず、増加している。」

 我々が以前論じた通り、これらのニュー・スピーク用語「ルールに基づく国際秩序」と「ルールに基づくグローバル秩序」は実際「ワシントンを基本とするグローバル秩序」以外何も意味しない。それは「国際法」のような、さほど都合良くない条件を回避するよう意図された言葉の遊びで、非常に明確に定義されており、アメリカ帝国が、それが意味するよう望むこと以外何も意味しない他の用語同様アメリカに支配されている

 先月バイデン大統領が「新世界秩序」を口にした際、人々は正気を失い、素早く主流「ファクト・チェッカー」に、これはワンワールド政府を作るエリートの狙いに関して長く存続する陰謀論を実証するわけではないと知らされた。だが実際、ワンワールド政府を作る本当の狙いは、秘密結社やユダヤ人の姓の怪しげな人物が関与する何か隠された陰謀ではない。アメリカ帝国は公然と、様々な意味で、実質的に単一政府として機能する一つの権力構造下で、世界をまとめようと努力しているのだ。

 1945年に国際連合が組織された時、アルバート・アインシュタインは未来のワンワールド政府の可能性について期待を持って書き、その出現に対する主な障害は、ソ連がそれに入るのに抵抗する事だと信じていた。そこでアインシュタインは、諸国が「世界の主要な産業経済地域の少なくとも3分の2で構成される部分的ワンワールド政府」下で団結することが最良だと結論した。
 そして興味深いのは、これが大方実現したことだ。アメリカ合州国は、それを運営するオリガーキーと行政機関とともに、公式の帝国旗の下ではなく、提携や、条約、パートナーシップ、略奪的融資や、了解の秘密取り引きネットワークで統一され、他の政府が様々な程度の恫喝により参加するよう奨励され、もし参加しなければ、帝国の激怒に直面することになるという、宣言されていない巨大帝国の中核となったのだ。
 中国、ロシア、イラン、北朝鮮、キューバ、ボリビア、シリアやベネズエラのような国々は、この権力の傘の下に入らされることに抵抗し、他方、他の世界の国々は屈服し、宣言されていない帝国中の様々な程度の加盟国となった。
 帝国の加盟諸国は自身の法律と自身の選挙で(可能な場合)自身の政府を持っているが、国際問題に関しては、彼らは、事実上、帝国の塊の中に吸収されるのに抵抗する国々に対峙するチームとして行動する。これが一極覇権のありようで、アメリカはソ連崩壊以来、その一極覇権を維持する長期的政策をとっている

 これが本物のワンワールド政府陰謀だ。最も直接、我々の生活に影響を与える、背後にある最も明白な現実だ。それを見るために「不思議の国のアリス」のようにウサギ穴に飛び込む必要はなく、どの政府が、この巨大な権力構造の一部か、どの国がそれに吸収されるのを拒否したか理解して、ニュースを見れば済む。それは皆様が世界舞台でご覧になる全てを大方説明してくれる。
 ほぼ全ての主要国際ニュース記事は、全て帝国による言説歪曲の下、その傘下に益々多くの国々を取り込み、拒む国々を、何であれ必要な手段で破壊すべく機能するアメリカに中央集権化した巨大権力構造の記事以外の何ものでもない。皆様がこれを本当に理解された途端、それで、世界のあらゆることのつじつまが実に首尾一貫して合うので、皆様は決してそれを見ずにはいられない。それを理解された途端、帝国メディアに焦点を合わせられている主要国際紛争は、皆様にとって二度と混乱するものでなくなるはずだ。

 これこそが、中国の力が、アメリカに支配される世界秩序を永久にありえない事にする前に、その勃興を止める作戦を連中が準備する中、対中国攻撃を強化している理由だ。これこそ、ロアのウクライナ攻撃をもたらすことを専門家たちが長年警告していた挑発を、連中が執拗に続け、モスクワに政権転覆を強いるため今侵略につけ込んで、てこ入れしている理由だ。これが、帝国に余りに反抗しているパキスタンのような国が政権転覆で脅される理由だ。これこそが、帝国報道機関が、サダムは去る必要がある、カダフィ去る必要がある、アサドは去る必要がある、マデュロは去る必要がある、金正恩は去る必要があると我々に語る言説を大量に作り出す理由だ。

 アメリカに中央集権化した帝国は、絶えず単一権力構造下で世界を統一しようと努力しており、もしそれがいつの日か成功すれば、結果は機能上ワンワールド政府と変わらないだろう。問題は、もちろん一部の国々がこの狙いに抵抗しており、その抵抗において最も成功を収めている国々が核兵器で武装していることだ。どんな犠牲を払ってでも世界支配を確保する狙いは、文字通り、地球上の全ての生命を危険にさらしており、この戦線に沿った緊張が、ひたすらエスカレートし続けているのだ。
 アメリカ率いる「ルールベースの国際秩序」が世界を一層平和で調和した場所にするという議論まるごと、まさに、その世界秩序を確保するためにとらなければならない措置の核兵器による皆殺しの性質からして無効だ。アメリカ一極覇権は、世界を、より平和にせず、世界を一層危険にする。それはひっきりなしの暴力と、着実に拡大する核を使った瀬戸際外交なしでは維持できない「パックス・アメリカーナ アメリカ支配による平和」はウソだ。
 もし我々が早急に、この体制を変えなければ、人類にとって当たり前のものとされている競合を基本とするモデルは、我々全員を全滅させるだろう。アメリカ、ワシントン界隈の少数の巧みな操縦者どもが、意思決定者連中に、彼らが世界を支配すべきだと説得しているがゆえに、各国お互いアルマゲドン武器を振り続けるわけには行かないのだ。絶えず拡張しなければ倒れる、飽くことを知らぬ資本主義機構に我々の生態系を与え続けることはできない
 我々はお互い、他の国々と共に、我々の環境で協力を基本とする体制に移行する方法を見つけなければならない。今のこの惑星での暮らし方は全く持続不可能だ。
(中 略)
記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2022/04/06/the-real-one-world-government-conspiracy-is-us-unipolar-hegemony/