2022年4月13日水曜日

ウクライナ危機に色めき立つ世界の巨大軍需産業(長周新聞)

 米国大統領バイデンのウクライナ問題への態度は不可解の一語に尽きます。

 ロシアの侵攻を止めさせる道はいくらでもあったのに、彼はその努力を全くしませんでした。
 早い時期に、プーチンが米国とNATOに要求した条件をゼロ回答で一蹴し、プーチンにウクライナ侵攻をけしかけ、侵略が始まるといまや公然とウクライナに武器を供給して戦争を長引かせようとしています。
 これらを唯一合理的に解釈できるストーリーは、ロシアのウクライナ侵略戦争が(始まり)長引けば長引くほど米国の軍需産業が大儲けをするということです。
 長周新聞が報じました。
追記)それだけでなく米国は対ロシア経済制裁という口実で欧州にロシアからの天然ガスの供給を止めさせようともしました。代替品には米国のシェールガスがあるということで、欧州はガス代の高騰で大被害を被りますが、米国はそこでも大儲けをするわけです。
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ウクライナ危機に色めき立つ世界の巨大軍需産業 戦況長期化で利益を得るものは誰か
                             長周新聞 2022年4月9日
 アメリカのバイデン政府はウクライナに「米軍を派遣しない」といって、大量の武器や弾薬による軍事支援を重ねている。マスコミを動員してウクライナの民衆の悲惨を叫ぶが、その実、「人道的支援」には冷淡である。そして、この戦争でも巨大な富を得てにんまりとしている者がいるのだ。
 英エセックス大学の『コンバセーション』誌は3月9日、ピーター・ブルーム経営学教授の「世界の巨大軍需産業は静かに、戦争から数十億㌦を稼いでいる」と題する文章を掲載した。同教授はそのなかで次のようにのべている。
 巨大軍需産業はすでに約5000億㌦(約60兆円)の武器を両陣営に供給し、かなりの利益を得ようとしている。アメリカはウクライナに90㌧以上の軍事物資と、昨年だけでも6億5000万㌦(約780億円)の援助をしたが、さらに3億5000万㌦(その後5億㌦と発表)の軍事支援を約束した。EUは4億5000万ユーロの武器を購入し、ウクライナに輸送している

 アメリカとNATOはウクライナに1万7000発の対戦車兵器と、2000発の対空ミサイル「スティンガー」を供給している。イギリス、オーストラリア、トルコ、カナダを含め、世界的な国家連合もまた、ウクライナに積極的に武器を供給している。これが世界最大級の防衛関連企業に多大な恩恵を与えているのだ。レイセオン社はスティンガー・ミサイルを製造し、さらにロッキード・マーティン社と共同でジャベリン対戦車ミサイルを製造している。これらはアメリカやエストニアなどから供給されている。
 西側諸国のトップ兵器企業はこの戦争に先駆け、利益が増大しそうであることを投資家たちに報告していた。アメリカの巨大防衛関連企業、レイセオン社の最高経営責任者であるグレゴリー・J・ハイエスは、1月25日、以下のように業績発表をおこなっている。
 「先週UAEで起きたドローン攻撃に注目する必要がある…してもちろん、東ヨーロッパの緊張、南シナ海の緊張、こういったことはすべて、現地における軍事費増額への圧力となっている。だからそれによる利益を獲得できると期待している」

 ブルーム教授はそこから、次のように結論づけている。
 「この戦争の余波で、私たちはこの産業の力と影響力を制限する方法を探求する必要がある。これには、特定の武器の売却を制限する国際協定、防衛産業の削減にとりくむ国々への多国間支援、軍事費の増加のロビー活動をおこなうような兵器企業への制裁などが考えられる。より根本的には軍事力のさらなる拡張に挑戦する運動を支援することである」と。
 報道によれば、ロッキード・マーティン社の株価はウクライナ危機が発生してから16%、イギリスのBAEシステムズ社の株価は26%の上昇を見せている。レイセオン、ロッキード・マーティン、ジェネラル・ダイナミクスの社長たちは、株主に対して「ウクライナ情勢の緊迫化はわが社の利益を押し上げる効果が抜群だ」と、意気揚々としている。
 アメリカの経済がベトナム戦争を期して失速するなかで、国家予算の半分を占める国防費を奪い合う巨大軍需企業のロビー活動がしのぎを削ってきた。それは武器の消費(戦争特需)による景気刺激を求める軍産複合体を巨大化させ、その利益を代表するネオコン(新保守主義者)が引き起こしたイラクやアフガニスタンなどの戦争で巨額の利益を得た

 しかしアフガン撤退後、軍事的緊張を欠いた状態が続いては身が持たぬのが死の商人たちだ。彼らにとって、ウクライナは米軍が直接武力を使って手を汚さなくても同様の暴利をむさぼる場として、格好のターゲットとなっていた。事実、アメリカはウクライナに対して、これまでもパトリオットミサイルや戦車、重火器などの新旧武器を供給し新たな戦争特需を求めてきた。
 アメリカはこれら兵器の操作を教えるために、ウクライナに軍事顧問団を常駐させ、この8年間ドンバス地域での実戦を通して1万人以上のウクライナ軍兵士を訓練し、使用させてきたのである。これは最近のウクライナ報道でも、メディアに出演する「軍事専門家」や元外交官などがアメリカを擁護する側から明らかにしていることである。