2026年2月5日木曜日

「先軍政治」の道を進む高市政権 日中両国の先人が築いた平和資源あるのに

 中国が日本へのレアアース輸出を制限したり輸出を遅延させている理由は、高市氏が国会で「台湾有事は日本の存立危機事態」と発言し、それによって中国の内政問題に干渉する意志を示し、それを撤回しない態度を貫いていることに原因があります。
 この問題で、しんぶん赤旗が「戦争をさせない1000人委員会」事務局長・内田雅敏 弁護士にインタビューした記事を載せました。

 内田さんは、「物事を考える際、『現在』という横軸と『歴史』という縦軸を総合的に考える必要があるのに、高市政権にはこの歴史という縦軸がまったくない」「高市首相が『台湾有事』は『存立危機事態』になり得る。軍事介入が当然とも言わんばかりの発言をしたことには驚く」と述べます。
 隣国である「中国との共存共栄」を図るのではなく、ひたすら「戦火を交える相手」としか考えていないようなのは「戦争狂」とでもいうしかありません。これほどの危険人物は稀というしかなく、そこまでして何故軍備増強を図りたいのか異常の極みです。

 高市氏は、中国に拠るレアアース輸出制限についてどう考えているのでしょうか。
 すぐにでも代替の輸入先が見つかるとか、国内で新たな鉱床が見つかるとかと安易に考えているのでしょうか。一体 レアアース精製の困難さを分かっているのでしょうか。
 百歩譲って多種類にわたるレアアースが他国から容易に輸入出来たり、国内で新たに鉱床が見つかった(多種類にわたるのでそれはあり得ない)としても、それぞれの原鉱・原石からレアアースを精製するには、多種類のレアアースについて精製技術をまず開発・確立して、次にレアアース毎の精製工場を新に建設し、試行錯誤的に精製技術をマスターする必要があります。
 当然そこから排出される工場排水の処理技術を開発し処理設備を併設することも必要なので、全てが完成するまでには多分15~20年もの年月と莫大なコストが掛かります。
 トランプはそれでレアアースの自国での生産を即座に断念し、中国に屈服しました。きっと優秀な助言者がいたのでしょう。高市政権はこの問題を1ヶ月以上も放置していますが・・・
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「先軍政治」の道を進む高市政権 両国の先人が築いた平和資源あるのに
                    しんぶん赤旗日曜版 2026年2月8日号
 アメリカに物言えぬ自民党政治をどう見るか。日本の加害責任を問い続け、「戦争をさせない1000人委員会」事務局長を務める内田雅敏弁護士に問きました。   本吉真希記者

    「戦争をさせない1000人委員会」事務局長、弁護士  内田雅敏さん
          うちだ・まさとし1945年生まれ。中国人強制連行・強制労働
           韓国人の靖国神社無断合祀 (ごうし)の問題にとりくむ。
          『元徴用工 和解への道』(ちくま新書)、『靖国神社と聖戦史観』
          (藤田印刷エクセレントブックス)など著書多数

悪化する日中関係

歴史という〝縦″なき政権
 物事を考える際、「現在」という横軸と「歴」という縦軸を総合に考える必要があります高市政権には、この歴史という縦軸がまったくない。高市政程の後ろ盾である自民の麻生太郎副総裁も、高市早苗首相が師と仰ぐ安倍晋三元首相もまさにそうです。
 とにかく私が驚いたのは昨年11月、高市首が「台湾有事」は「存危機事態」になり得ると、軍事介入が当然とも言わんばかりの発をしたことです。
 日中間には日中共同声明(1972年)など四つの基本文書(注1)があります。これらは先人たちによってつくられた平和資源です。台湾問題について日中共同声明は、国側は台湾が中国の領土の不可分の一部」であることを主張し、日本はこの中国の立場を「十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第8項(2を堅持する」としました
 注1 四つの基本文書
  1972年 9月  日中共同声明
       78年 8月  日中平和友好条約
       98年11月   平和と発展のための友好協カパートナーシップの構築に関する日中共
         同宣言
    2008年5月 「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明
  注2 ポツダム宣言第8項
         日本が奪った台湾の中国への返還を盛り込んだカイロ宣言の履行を明記

 98年の日中共同宣言では、日本側は先の日中共同声明で表明した立場を引き続き遵守することを表明しました。高市発言はこうした歴史的経過への理解が皆無です。
 日本の近現代における過ちの出発点について意見はいろいろあります。しかし、少なくとも保守の側においても、日本が中華民国に突きつけた対華二十一条要求(1915年)が、日本のアジア政策の間違いであったと共通の認識があります。
 中曽根康弘元首相は2015年、産経新聞のインタビューで「中国に対しては、『対華二十ーカ条要求』以降の日本軍による戦火拡大は、侵略行為であったと言わざるを得ない」と笞えています。

「互いに武力によらない」を確認
 現在という横軸で考えると日本政府は習近平氏政権による南シナ海での覇権主義的行動
をきちんと批判すべきです。日中共同声明は、互いに武力によって物事を快しないことを確認しています。74年の国連特別総会では中国代表団長の郵小平が、中国は覇権国家にならないと演説しています。中国側を律する材料はあるのです。
 ところが日本の自衛艦がわざわざ台湾海峡を通過したり、周辺で米軍と一緒に軍事演習をする。それに対して中国も軍事演習をする。このくり返しで自民党政治はアメリカが言うままに武器の爆買いをし、南西諸島にミサイル網をめぐらせ中国に対峙(たいじ)しようとしています。今日の日中関係は互いに不信感をぶつけ合うなかで、敵対的相互依存関係に陥っています。
互いに「加油(ジャヨウ)」し合っているのです。

関係修復に民間の力が重要
 関係を修復するには民間の力が重要です。日中国交正常化を果たした日中共同声明発出の際、北京で初めて周恩来総理に会った田中角来首相は「私は長い民間交流のレールの上に乗って、今日ようやくここに来ることができました」とあいさつしたといいます。非常にいい言葉です。
 日本と中国には先人たちが築いてきた友好の歴史があります。「飲水思源」、つまり水を飲むとき、井戸を掘った先人の苦労を思うことです。戦時中の中国人強制連行・強制労働の問題では50年代、日本で亡くなった犠牲者の遺骨の発掘・送還ありました。
 政権同士に制約があったとしても、民衆同士は決して争いを望みません。文化・経済の交流によって互いにパトナーとなることが大事です。

軍事最優先の背景に対米従属
 いま日本は北朝鮮のように軍事最優先の「先軍政治」になりつつあります背景には自民党の長年の対米従属があります。トランプ政権によるベネズエラ侵略は、法の支配を無視したむちくちな行為です。高市政権はEU(欧州連合)と連携して、アメリカに言うべきことを言わなければいけないのに、それができない戦争しないのが政治の役割です。
 ここまで日本の政治を破壊した諸悪の根源は、小選挙区制と政党助成金です。小選挙区制は多様な民意をくみとれない。しかもわずかな得票で勝ち上がってきたところに税金を原資とする政党助成金が往ぎ込まれる。日本維新の会は「身を切る改革」と言いながら、そこにメスを入れません。
 公明党と立憲民主党が新党「中道改革連合」を立ち上げました。立憲民主党は15年以降、集団的自衛権の行使を容認した安保法制に反対する理念を共通にする共産党などと一緒に闘ってきました。その政治的立場を失ってはいけない数合わせで離合集散していたら、最終的には国民に見放されると思います。