2016年10月31日月曜日

消費税率10%引き上げ延期法案に 民進が反対を決定

 民進党は28、衆院に提出されている「消費税率を10%に引き上げる時期を来年4月から平成3110月に2年半延期する法案反対することを決めました。つまり来年4月に消費税を10%に上げるべしという驚くべき考え方です。消費税を5%から8%に上げた影響で景気が低迷し国民の所得が年々下がっている中で、どうして消費税のアップができるというのでしょうか。
 
 民進党の野田幹事長は臨時国会の冒頭の代表質問で、安倍内閣が(野田内閣時代に提案された)三党合意に基づく消費税のアップを延期することを批判したうえ2回に渡って即時実施を迫りました。あの無鉄砲な安倍氏でさえも躊躇している消費増税を、即時実施するように迫るとは一体どういう神経なのでしょうか。
 
 社会保障には勿論財源が要りますがそれを消費税に求めるという考え方がそもそも間違っています。税金は所得の再分配に使われますが、それが正しい再分配にならないからです。何よりの証拠は、日本では所得の再分配の前後で相対的貧困率(現状で約16%程度)が全く変化していません。EUなどでは見事に数%下がっているというのにです。逆進性のある大衆課税:消費税を財源にするということは「弱者の救済を弱者の納税で賄う」ということに他なりません。
 
 アベノミクスの失敗を批判するのはいいにしても、それを来年4月の消費増税の即時実施を迫る形で行うとは呆れます。野田幹事長は三党合意を錦の御旗にしたいようですが、そんなものは国民に支持されていなければ何の価値もありません。そんな感覚でいるから「民進党単独で過半数を目指す」などという世迷い言が口にできるのでしょう。
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消費税率10%引き上げ延期法案 民進が反対決定
NHK NEWS WEB 2016年10月28日
民進党は「次の内閣」を開き、消費税率を10%に引き上げる時期を来年4月から2年半延期するための法案について、アベノミクスの失敗によるものだとして、今後の採決で反対することを決めました。
 
民進党は28日に「次の内閣」を開き、衆議院で審議が行われている消費税率を10%に引き上げる時期を、来年4月から平成31年10月に2年半延期することなどを盛り込んだ法案への対応を協議しました。
 
その結果、アベノミクスの失敗により増税を先送りするものであり、税率の引き上げに合わせて導入される食品など一部の品目の税率を8%に据え置く「軽減税率」は、低所得者対策にならないなどとして、今後の採決で反対することを決めました。
 
一方で、会合ではことし5月、当時の岡田代表のもと、「増税できる経済状況ではない」として、消費税率の引き上げを延期するための法案を提出していることから、「国民から党の方針が一貫していない」などと批判を受けるおそれがあるとして、党執行部に対し反対の理由を丁寧に説明するよう求める意見も出されました。

TPP関連の法案 徹底審議のうえ廃案しかない

 TPP協定は付属文書を含め約8400ページもあるのに国会に提出されたのは約2400ページ分に過ぎず交渉経過については一切秘密ということで政府は全く説明責任果たしていません。そんな中でようやく本格審議が始まったところですが、自民党は11月1日には衆院を通過させる作戦というような話が聞かれます。言語道断です。
 マスメディアは、農産品の関税問題についてはある程度報じますが、食の安全や医療(保険診療や薬価基準など)の問題、それに最も根本的なISD条項については全く報じようとしません。まるで緘口令でも敷かれたかのようです。
 11月1日の衆院通過に反対する市民たちは国会前に座り込みを始めましたが、メディアはそれも報じません。
 TPPの承認案と11の関連法案は廃案にするしかありません。
 しんぶん赤旗の主張と日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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主張TPPの国会論議 徹底審議のうえ廃案しかない
しんぶん赤旗 2016年10月30日
 安倍晋三政権が成立を目指す環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案の審議が大詰めです。安倍政権が狙った先週中の衆院通過は実現しませんでした。国民各層と野党が反対し、世論調査でも7割以上が慎重審議を要求しているためです。しかし、安倍首相は「審議が進めば採決は当然」と早期採決をあきらめず、自民党内には11月1日に衆院を通過させ、会期が同30日までの今国会で自然承認を狙う声まであります。衆院TPP特別委員会での本格的な審議は始まったばかりです。徹底審議で問題点を明らかにし、廃案に追い込むことが必要です。
 
本格審議始まったばかり
 国会で審議すべき問題は山積しています。関税を原則撤廃し、投資やサービスの取引も自由化するTPPは、農業にとどまらず経済と国民の暮らしに大きな影響を与えますが、安倍政権はその危険をごまかし続けています。
 
 とりわけ農業ではコメ、麦など「重要5項目」でも約3割が関税を撤廃され重大な被害を受けます。これまでSBS(売買同時入札)米として輸入してきた主食用のコメが、輸入業者が卸売業者に「調整金」を払うことで国産米より大幅に安く売られていた疑惑が明らかになったのに、政府は「確認できない」とまともな調査さえしません。ところが日本農業新聞(24日付)や「毎日」(27日付)の調査で国産米より安く売られていた事実が明らかになり、疑惑は深まる一方です。TPPはSBS方式でコメの輸入を大幅に拡大することになっており、政府の影響試算は見直し、コメ輸入を拡大する計画は撤回すべきです。
 
 TPPによる規制の緩和や撤廃で「食の安全」や医療・保険、共済、雇用や著作権などへの影響も重大です。安倍政権は日本の国内法などがあるから暮らしは守られるようにいいますが、TPPは貿易や投資などの障害を取り除くことが目的で、いったん緩和された規制は元に戻りません。協定で除外されていなければ、今後の交渉や「小委員会」などでの密室の合意で、譲歩が迫られる恐れがあります。輸出大国や多国籍企業の利益最優先で、多国籍企業が政府を訴えるISDS条項が盛り込まれるなど、国の主権そのものが破壊される危険な仕組みです。
 
 12カ国で合意したTPP協定は付属文書を含め約8400ページもあるといわれるのに、国会に提出されたのは約2400ページ分と3分の1足らずです。交渉経過については一切秘密で、前国会に異常な「黒塗り」の資料が提出されただけです。説明責任も果たさず「強行採決」だの「早期採決」だのとの動きが繰り返されるのは言語道断というほかありません。説明責任を果たし、十分な審議を保障することは政権の責任です。
 
公約違反は不問にできぬ
 もともとTPPは自民党が自らの選挙公約に違反し、国会決議も踏みにじって合意を強行したものです。このことも不問にできません。国会は国会決議違反の協定を承認すべきではありません。
 アメリカをはじめ他の参加国も批准を急いでおらず、日本が率先して承認すれば発効を後押しするなどというのはごまかしです。国会での徹底審議でTPPの問題点を明らかにし、協定批准と関連法案の成立を許さない正念場です。
 
 
山田元農相も参加 国会前で「TPP反対」の座り込み始まる
日刊ゲンダイ 2016年10月29日
 10月31日(月)にTPP承認案を集中審議し、11月1日に強行採決するつもりの安倍政権。反対する市民が、国会前で座り込みをはじめている
 抗議の座り込みには、農相だった山田正彦元衆院議員も参加した。
 
 山田元農相が、「私たちの生活を壊してしまうTPPを何とか葬り去らないといけない。いよいよ、31日か1日に強行採決されてしまう。TPPの内容をメディアが全く報道しない。報道しないから日本国民だけが知らない。でも、11法案を通さなければ、日本は批准したことにならない。同時に、アメリカが2018年2月3日までに批准しなければ、このTPP協定は流れます」と訴えると大きな声援が上がった。
 
 座り込みが行われていることもメディアは報じないが、人数はどんどん増えているという。 

31- 脱原発と反TPPが知事選解快勝の要因

 新大農学部の教員が、新潟県知事選において米山候補が快勝したのは、脱原発とTPPへの姿勢における森候補との違いによっているとする総括文を農業協同組合新聞に寄稿しました。
 特に同氏がTPPから新潟の農業を守るとした訴えが、農村部で支持を集めたとしています。脱原発の効果が強調されている中で一石を投じるものとなっています。
 
 新潟市や上越市などを一概に都市部と分類して都市部と農村部の対比で評価するのは正しくなく、両市でもいわゆる市街地はごく一部に過ぎず、周辺部の広大な農村地帯まれているし、それ以外の市町村基本的に農業地帯であるとしています。
 そういう中での米山氏の勝利は、農村部が地域の有力者が動かせる組織票であると見るのはいまや正しくないことを示したと述べています。
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脱原発と「TPP」が快勝要因-新潟県知事選を振り返る(上)
 伊藤亮司 農業協同組合新聞 2016年10月29日
新潟大学農学部助教              
 10月16日に投開票が行われた新潟県知事選挙は、告示日6日前に立候補を表明した米山隆一氏が、大方の予想に反して自公推薦候補を6万票以上引き離して快勝した。都市部で票を獲得したと言われているが、詳細に分析すると「TPPから新潟の農業を守る」と明確な訴えが農村部でも支持を集めた。新潟大学の伊藤亮司助教は「農家ひとりひとりの心情」が大方の予想を裏切って地方を変えようとしていると分析する。
 
◆「即席の」米山候補がふたを開ければ...
 与野党対決(森民夫=自・公VS米山隆一=共・社・生等+市民)となった今回の新潟県知事選。当初、盤石とみられていた森民夫氏に対し、告示日6日前に、ようやく出馬表明した「即席」候補であった米山隆一氏のたたかいは、ふたを開けてみれば森氏の46.5万票(得票率46%)に対し、米山氏が52.8万票(得票率52%)と一定の票差をもって勝利した。
 前回参議院選挙における中原八一(与党)と森ゆう子(野党+市民)の対決では、わずか2000票差でギリギリ勝利を掴んだ「野党共闘」は、その意味では前進した訳である。選挙期間中「福島の検証なくして再稼働はありえない」を持論とした泉田前知事の継承を強調した米山氏と、「(原発については)県民の安全を最優先にする」としつつも、自・公を含めた原発再稼働派に担がれた森氏の差がはっきり出た結果でもある。
 この間、中越地震、中越沖地震を経験してきた県民にとっては、原発災害はリアルで身近な生活問題であり、選挙戦前の県内世論調査で60%以上が柏崎刈羽原発の再稼働に反対・慎重であった県民意識が素直に出たものと思われる。
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 ただし、ここまでの軌跡は、まさに紆余曲折。戦後処理を含めて今後の県政の安定化が次の課題になるのは間違いない。事の始まりは、3期連続知事をつとめ、続投を公言していた泉田前知事の8月末における突然の「敵前逃亡」である。森氏は、自・公与党からの推薦に加え、県都新潟市の篠田市長率いる市長会の支援、さらには、当初候補擁立を図った民進党がその実現を諦めるなかで「自主投票」となり、それを受けて、電力総労を傘下のひとつとする連合新潟が森氏支持に回った。一時は、ライバル不在の独りレースになりかけた森氏の圧勝を誰もが疑わなかったのではないか。
 
 そこに急転直下、民進党をさっさと離党してきた米山氏を「市民」および5党(共産・自由・社民・新社会・緑)が迎え「対立候補」づくりが一気に実現する。市民側の受け皿組織として個人が集う「新潟に新しいリーダーを誕生させる会」が結成され、磯貝潤子氏(3.11原発災害により福島県から避難・安保関連法に反対するママの会@新潟)など4名が共同代表となり、米山氏と政策協定を結んた。それに各党や団体を加えた連絡協議会が共闘組織として選挙運動の実行部隊となり、いわば政党は一歩下がる間接的な関係のもとで「市民」が前に出る方式が採用された。
 
脱原発と「TPP」が快勝要因-新潟県知事選を振り返る(下)
 伊藤亮司 農業協同組合新聞 2016年10月30日
新潟大学農学部助教              
◆市町村別選挙結果の概要とその特徴
 8区に分かれた新潟市および他市町村の合計37地区における得票結果を見ると、勝利した米山氏は、そのうち23地区において森氏を上回る得票数を獲得。逆に森氏は14地区で米山氏を上回った。
 森氏が上回ったのは、長岡市・柏崎市・村上市・糸魚川市・妙高市・佐渡市・胎内市・聖篭町・阿賀町・出雲崎町・津南町・刈羽村・関川村・粟島浦村。長岡市は森氏の出身地であり、柏崎市・刈羽村はいわずと知れた原発立地市町村である。それ以外には、島しょ部や県境地帯などいわゆる僻地が多くを占める。
 その逆が、米山氏が上回った地域であり、県中央部の比較的人口の多い地域のうち原発立地や長岡市を除くエリアが該当する。そこからは米山氏陣営の「即席」体制により周辺部への浸透が遅れたことが想像される。実際、限られた時間のなかで大票田の新潟市8地区や上越市など都市部での運動が優先されたようで、その意味では都市部の有権者の意向が強く出た選挙結果といえる。
 
 村上市や糸魚川市など県境地帯は同時に、原発からの遠隔地でもあり、原発問題への相対的関心の薄さ、逆に県中央部における原発への抵抗感が根強く存在したことも想像に難くない。ただし新潟市8地区や上越市にしたところで、市内における市街地はごく一部に過ぎず、周辺部の広大な農村地帯を含み、それ以外の市町村は基本的に農業地帯である。投票率が違うため単純比較はできないが、参院選における野党共闘候補(森ゆう子)の得票率と比較しても28/37地区において米山氏の得票率が高くなっており、支持の拡がりは農村部を含む全県的なものである。
 その意味では、単なる都市住民だけではない幅広い県民が原発問題を中心に、政権与党の進める方向に待ったをかけたともいえよう。
 
 TPPについては「TPPから新潟の農業・コメを守る」とした米山氏に対し、森氏はTPPには直接触れず「安定した農業経営ができる条件を整備し「強い農業」を取り戻す」としていた。県の農協農政連は森氏の支援に回ったが、前回参院選に続く2連敗、さらには、単協レベルで支援したのは実質約半分といわれ、単協段階における「自主投票」が広がったのも特徴である。「組織票」が森氏に流れなかったという点では、米山氏の当選にボディーブローのような効果を与えたのではないか。
 いずれにせよ、良くも悪くも「上意下達」式の農民票を与党に丸投げして存在感を出すことで政策的優遇を引き出すという戦術はもはや成立しないことが明白となった。利益誘導と組織票に頼るのではなく、農家ひとりひとりの心情に寄り添う正面からの政治運動の必要性と可能性を感じた選挙結果だった。

2016年10月30日日曜日

アベノミクスの惨状

 総務省の速報によると9月家計支出は前年同月比でー21%と13か月連続のマイナス、消費者物価指数は前年同月比0.5%下落と7カ月連続でマイナスでした。これが「この道しかない」として始めたアベノミクスの実態です。
 安倍政権は当初はもっともらしく「3本の矢」などと謳い、その後は矢と的を混同したような理解不能な説明もありましたが、兎に角実際に行ったことは日銀の異次元金融緩和のみでした。その結果海外の投資ファンド、富裕層それに大企業は大いに潤いましたが、その分国民全体は貧しくなり、その結果が上述の指標の落ち込みになりました。
 この道しかないという結果がこれであれば一体アベノミクスとはなんだったのか」。小沢一郎氏はツイッターでそう述べています。アベノミクスそのものが今やタブーになりつつある・・・とも。
 そういえばどのマスメディアもアベノミクスの批判はしません。
 
 金子勝 慶大教授は、「日銀が金融緩和をしても、ちっとも物価上昇しないし、大企内部留保かりがたま」、「安倍内閣のやることは鉄鋼、電力、重電機など経団連の中枢をなす産業の救済プロジェクトで、そこに湯水のように金を注いでいる」、「下がった株を日銀が買い支えても、アメリカの投資ファンドを儲けさせるだけ。運用で損が出ると資産が傷つくのでさらに株を買わなくてはならない。そうなると日銀の信用と民の年金が尽きるまで株を買い続けるはめになる」と述べています。恐ろしい話です。
 
 アベノミクスはもとを糺せば消費税を10%に上げるには物価が3%(後に2%にダウン)上がる環境が必要ということからスタートしましたが、物価上昇が目的化した時点で事態は本末転倒となりました。
 さらに消費増税が不可避的に必要であるのかについては、産経新聞の編集委員の田村秀男氏は消費税増税で税収がアップし財政再建につながると考えるのは「馬鹿もの」であると述べています。
 
 まさにアベノミクスは惨状を呈しています。
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「この道しかない」・・・ 一体アベノミクスとはなんだったのか
 小沢一郎(事務所)ツイート 2016年10月28日~29日 
10月28日
本日発表された9月の消費者物価指数は前年同月比0.5%下落と、7カ月連続でマイナス。早速日銀が2%の物価上昇目標の実現時期先送りを検討との報道。もういい加減にすべき。どうしようもない。初めから全部間違っていることを、まず認めるべき。アベノミクスそのものが今やタブーになりつつある
 
2016年10月28日
よくよく思い出してもらいたい。アベノミクスの三本の矢! 日銀のジャブジャブ。結局これだけ。二本目も三本目も存在はしなかった。今やアベノミクスそのものがまやかしであることがはっきりした。陳腐な官製バブルとその破裂で今や金融市場は硬直化。安倍政権は経済をおかしくしただけ。説明もなし。
 
10月28日
大体「この道しかない」などと豪語しておいて、物価目標達成すらこれだけずるずると先延ばしで一体全体どうするつもりなのか。今はTPP国会だとか騒いでいるが、どんどん目くらましをして、国民の目線を盛んに逸らしているようにしか見えない。まず、「この道しかない」の釈明が絶対的に必要である。
 
10月29日 
総務省公表の9月家計調査では家計支出が▲2.1%と、実質13カ月連続のマイナス消費者物価指数も▲05%と7カ月連続のマイナス。消費者心理は確実に冷え込んでおり、これが「この道しかない」ということであれば、一体アベノミクスとはなんだったのかということになる。結局は、全部間違い。
 
10月29日  
一番意味不明なのは、もはや実現不可能な物価目標2%を未だに言い続け、実現できないことの碌な釈明もなく、自己を正当化する無責任な答弁しかしていない、アベノミクス特攻隊長の黒田総裁の言動である。戦後、金融政策がこれだけ政治に蹂躙されたことはない。一人が責任をとって済むレベルではない。
 
    (日本を元気にする選択肢)
大手企業救済のアベノミクスは「負けるゲーム」
 慶大教授 金子勝 赤旗日曜版 2016年10月23日
 (前 略)
このままいくと、日本は衰弱死します。日銀が金融緩和をしても、ちっとも物価昇しないし、大企内部留保かりがたま。トリクルダウン(企業からのこぼれ)はないの出てくるのは当面の株価を上る政策ばかり。安倍首相は、リニア新幹線や原発輸出に武器輸出と、巨大国家プロジェクトかりに力を入れる。大日本帝国の戦艦大和じゃないけれど、時代は変わったのにやることが旧来型で、負けるゲームをやっているようなものだ」
 財界に顔を向けた政策だといいます。
 
年金運用は泥
「そもそも経団連の中心になって来たのが鉄鋼、電力、重電機など。安倍内閣のやることはこういう産業の救済プロジェクトになってしまっている。そこに湯水のように金を注ぐ。まるでローマ帝国の国の最期をみているよう憂うべき状況です」
年金の株式運用の拡大も批判します。
下がった株を日銀が買い支えてもアメリカの投資ファンドを儲けさせるだけです。運用で損が出ると資産が傷つくのでさらに株を買わなくてはならない。この悪循環がいったん始まると、日銀の信用と民の年金が尽きるまで株を買い続けるはめになる。泥です」
 
大企業の発想は「我が亡き後に洪水は来たれ」だと
「いまの大手企業は老化していると思います。東芝や三菱自動車など大企業で不正が相次ぎ、東京電力は福島第1原発の事故を起こした。でも、誰もきんと責任をとらない。責任をとらないということは、転換ができないということです。失敗を認めないと失敗は累積します。そういう閉塞状態のなかとにかくお金を刷って株価を持たせようとする。未来のために変えていこうという改革志向がないとりあえず、自分が死ぬまで持てばいいという発想。まさに『我が亡き後に洪水は来たれ』です」
 
 
「増税  財政再建」と信じる馬鹿ものどもへ
田村秀男の日曜経済講座 2016年10月23日
            (前  略)
 乾坤一擲の日銀マイナス金利を無効にした元凶は消費税増税である。増税後の消費需要の低迷を反映して、消費者物価は今年1月に前年を下回り、3月以降はマイナスが続いている。日本経済はデフレ局面に舞い戻ったかのようで、アベノミクスが目指してきた「20年デフレ」からの脱却はまさに頓挫寸前だ。消費税増税を安倍首相に強く勧めてきた黒田総裁はまさか、消費税増税がブーメランのごとく、自身の政策を直撃するとは予想しなかっただろう。
 
 おまけに米国からは円高圧力がかかる。米大統領選のクリントン、トランプ両候補とも円安を強く警戒している。クリントン氏を推すオバマ政権は最近まとめた「為替報告書」で、日本の円安誘導を強く牽制(けんせい)している。米連邦準備制度理事会(FRB)はドル高の要因になる利上げを先延ばし続けている。 
 
 安倍首相が10%への増税を重ねて延期したのは、国家・国民の利益を優先する当然の選択だ。しかし、消費税増税による恐るべき日本経済への災厄を直視しようとする声は国内では依然として少数派にとどまる。増税すなわち財政再建・日本再生という破綻した論理が幅を利かせている。税制改正法案の国会審議では、与野党とも消費税増税の何が問題なのかを真摯(しんし)に討論し、日本を沈めるドグマを払拭すべきではないか。(産経新聞 編集委員)

30- 核兵器禁止条約採択 日本は反対

 28日(日本時間)、核兵器を法的に禁止する条約の制定を目指す決議案が国連総会第一委員会で賛成123か国(、反対38、棄権16)で採択されましたこの決議は、核兵器を法的に禁止する初めての条約の制定を目指して、来年3月からニューヨークで交渉を始めるとするものです。
 日本唯一の戦争被爆国でありながら、アメリカなどの核兵器の保有国とともにこの決議に反対しまし
 
 日本はこれまでアメリカの核の傘に守られる安全保障上の政策から、核兵器を直ちに禁止することには慎重な立場をとり、一連の決議案の採決を常に棄権してきましたが、今回の採決で核保有国とともに反対に回りました。
 当然各国から驚きや批判の声が上がり、ICAN=核兵器廃絶国際キャンペーンのフィン事務局長は、日本政府が決議に反対したことに「非常に落胆させられた」と強い失望感を示しました。
 
 その一方で日本23年連続で「核兵器の廃絶を呼びかける」決議提案し、それは採択されました(核保有国は米国以外は反対又は棄権)が、その意味するところは先の決議とは似て非なるもので、すべての国に共同行動をとるよう呼びかけるとともに、核保有国と非保有国の対話を奨め、双方の協力の重要性を強調するものです。それはまさに申し訳的な提案であって、現実に日本は先の決議案にこの考えが盛り込まれていないことを決議反対の理由にしています。まことに分かりにくい不明朗な態度です。
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(社説)核兵器禁止条約 被爆国が反対するとは 
東京新聞 2016年10月29日
 核兵器を国際法で禁ずる「核兵器禁止条約」について、国連委員会は来春から交渉を始めるとの決議案を採択したが、日本は反対した。広島、長崎の被爆者と、核を持たない国々の批判が広がろう。
 国連総会第一委員会(軍縮)の決議案は賛成多数を得たが、核保有国の米英仏ロと、米の核抑止力に頼る日本や韓国、北大西洋条約機構(NATO)加盟国などが反対した。中国は棄権した。
 
 「核使用による破滅的な結末を懸念」するとともに、「核兵器なき世界実現のため、法的拘束力のある措置が必要だ」と明言した。年末の総会本会議で正式に採択され、最初の協議が来年三月下旬に開かれる
 広島への原爆投下から七十一年。核実験を禁ずる条約はあるが、ようやく、核兵器そのものを禁止する条約の制定に一歩を踏み出したことを評価したい。
 
 核兵器の非人道性は、オーストリアやメキシコなど核を持たない国々が訴えてきた。万一、核が使われたら、甚大な被害が出るのはもちろん、医療陣や消防、軍隊さえも長期間、救出活動に入れない。それほど人道に反する兵器は、開発、保有、使用まで全面的に禁止すべきだという考えだ。
 しかし、核保有国の抵抗は激しい。核抑止力による安全保障を考慮しながら、段階的に軍縮を進めるべきだと一貫して主張する。
 日本政府が決議に反対したのは、米ロなど核保有国の参加が難しいのに条約制定を急いでも実効性がないと、判断したためだ。北朝鮮の核、ミサイル開発が加速する現状では、米の「核の傘」を弱める決議には同調できなかった。だが、米国の圧力があったとしても、棄権ではなく反対に踏み切ったことで、被爆国としての発言力を弱めるのではないか。
 
 これとは別に、日本は各国指導者らへ被爆地訪問を呼びかけた別の核兵器廃絶決議案を主導し、採択された。核兵器禁止条約には反対しながら、廃絶を訴えるという投票行動は実にわかりにくい
 五月にはオバマ米大統領が広島を訪問し、国内外に核なき世界への道を進もうと訴えたばかりだ。日本の核政策が世論、国民感情の疑問を抱えたままでは、国際社会への説得力も欠く。
 核を持つ国々と持たない国々の亀裂、対立が激しくなろう。日本は両者の橋渡しの役割をするという。世界の潮流が核廃絶に動きだしている現実をしっかりと見て、腰を据えた主張を望みたい。
 
 
核兵器禁止条約 決議案が国連の委員会で採択 日本は反対
NHK NEWS WEB 2016年10月28日
核兵器を法的に禁止する初めての条約の制定を目指す決議案が国連総会の委員会で採決にかけられ、123か国の賛成多数で採択されましたが、アメリカなどの核兵器の保有国に加え、アメリカの核の傘に守られ、段階的な核軍縮を主張している日本も反対に回りました。
 
この決議はオーストリアなど核兵器を保有しない50か国以上が共同で提案したもので、核兵器を法的に禁止する初めての条約の制定を目指して、来年3月からニューヨークで交渉を始めるとしています。
決議案は、27日夕方(日本時間28日朝)、ニューヨークで開かれている国連総会の第1委員会で採決にかけられ、賛成123、反対38、棄権16の、賛成多数で採択されました。
採決では、核兵器の保有国のうちアメリカやロシアなどが反対したのに対し、中国やインドは棄権して対応が分かれました。
また、唯一の戦争被爆国として核兵器の廃絶を訴えながら、アメリカの核の傘に守られている日本は、核軍縮は核保有国と非保有国が協力して段階的に進めるべきだとして、反対に回りました。
決議の採択を受けて、オーストリアのクグリッツ軍縮大使は「核兵器の法的禁止に努力してきた国々や市民社会の勝利だ。長年にわたって核兵器の非人道性を訴える活動を続けてきた成果だ」と意義を強調しました。
今回の決議がことし12月に国連総会の本会議でも採択されれば、来年3月から核兵器禁止条約の制定に向けた交渉が始まることになり、世界の核軍縮の流れにどのような影響を及ぼすのか、注目されます。
 
日本 立場反映されなかったことが反対の理由
日本の佐野軍縮大使は、核兵器を禁止する条約の制定を目指す決議に反対したことについて、「核軍縮を実効的に進めるには、核保有国と非保有国の協力がなければならない。国際社会の総意で進められるべきだと強く求めたが、受け入れられなかった」と述べ、決議案に日本の立場が反映されなかったことを反対の理由に挙げました。
一方、日本が23年で連続して提出してきた、核廃絶を呼びかける決議について、ことしは、去年を上回る167か国が賛成し、去年反対したアメリカが共同提案国にもなったとして、「核軍縮を現実的に実践的に進めるという日本の考え方が幅広く支持された結果だ」と述べ、その意義を強調しました。
 
「被爆者の訴えで非人道的という認識広がった」
核兵器を法的に禁止する初めての条約の制定を目指す決議が採択されたことについて、主導的な役割を果たしたオーストリアのクグリッツ軍縮大使は「核兵器の被害の実態を知る被爆者が訴えてきたことで、核兵器が非人道的だという認識が国際社会の中で広がった」として、この間、広島や長崎の被爆者が果たした役割が大きかったという認識を示しました。
そのうえで、来年3月から始まる核兵器禁止条約の制定に向けた交渉について「交渉は今回の決議に賛成しなかった国にも開かれている。核保有国や核の傘の下にある国にも核兵器禁止条約に関わるよう促していきたい」と述べ、日本も含め決議に反対した国々にも交渉への参加を呼びかけました。
 
国際NGO 日本の反対に憤り
国際NGO、ICAN(アイキャン)の核兵器廃絶国際キャンペーンの川崎哲国際運営委員は、今回の決議案に日本政府が反対したことについて、「驚くとともに憤りを感じている。日本は核のない世界を目指すという目標を掲げておきながら、核兵器禁止条約の交渉を拒否した。日本政府はこれまで核兵器を持つ国と持たない国の橋渡しをすると言ってきたが、今回反対したことで、完全に軸足を核保有国側に移したと言える。国内でも理解されるとは思えないし、強く抗議をしていきたい」と述べました。
また、今後の核兵器禁止条約制定を目指す交渉について、「早く交渉が進み、核兵器の禁止が国際法になるよう働きかけていきたい」としたうえで、「日本政府にも考え方を改めて、交渉に参加してもらいたい」と述べました。
 
また、ICANの核兵器廃絶国際キャンペーンのベアトリス・フィン事務局長は、核兵器禁止条約の制定を目指す決議案が採択されたことについて、「歴史的なことで非常にうれしく感じている。核兵器をなくすための交渉がほとんど進まなかった20年がようやく終わることになり、国連にとっても極めて重要な瞬間だったと思う。多くの国が、反対を求める核保有国からの圧力を受けながら、賛成してくれた」と述べ、意義を強調しました。
そして、「核兵器による被害を最もよく知る被爆者の声が、決議の採択に至る過程でも非常に重要だったし、今後の交渉の過程でも重要になってくる」と述べ、広島や長崎の被爆者が条約の制定に向け重要な役割を果たすという認識を示しました。
その一方で、日本政府がアメリカなどに同調して決議に反対したことについては「非常に落胆させられた」と述べ、強い失望感を示しました。
 
世界の核軍縮停滞への不満と危機感が背景に
核兵器禁止条約をめぐる議論の背景には、世界の核軍縮が既存の国際法の枠組みの下で停滞していることへの各国の強い不満と危機感があり、核兵器の非人道性に焦点を当てて核兵器そのものの違法性を明確にすべきという、国際世論の高まりがありました。
これまで世界の核軍縮の枠組みとしては、核兵器の保有国と非保有国にそれぞれ異なった義務を課し、核兵器の廃絶を目指すNPT=核拡散防止条約がありましたが、段階的な核軍縮を主張する核保有国と速やかな廃絶を訴える非保有国の対立から交渉は停滞し、去年開かれた5年に1度の再検討会議でも議論が紛糾しました。
また、核実験を禁止するCTBT=包括的核実験禁止条約も、国連総会で採択されてから20年が経過したにもかかわらず、アメリカや中国が批准していないことから、いまだに発効していません。
今回の決議がことし12月に国連総会の本会議でも採択されれば、来年3月から核兵器禁止条約の制定に向けた交渉が始まります。しかし、アメリカなどは核抑止力に依存する世界の安全保障の現実を考慮せずに核軍縮は進められないとして決議に強く反対しており、条約の制定までには多くの曲折が予想されます。
日本は、アメリカの核の傘に守られている立場から核兵器の即時禁止に慎重な立場をとっていますが、広島や長崎の被爆者などは禁止条約の制定に強い期待を寄せています。
 
官房副長官「わが国の基本的考えと合致しない」
   (中  略)
 
サーロー節子さん「核廃絶に向けた第一歩」
   (後  略)
 
 
核禁止条約交渉」反対の言い訳があまりにも意味不明すぎて、
日本は世界の笑い者になっているに違いない。
くろねこの短語 2016年10月29日
 国連の「核禁止条約交渉」に日本は反対したって騒いでいるけど、アメポチ政権が続く限りは取り立てて不思議なことじゃない。なんてったって、ペテン総理はアメリカの顔色うかがって政治しているだけなんだから、そこに特段の理念なんてものはないんだよね。
 それは、ペテン総理や外務大臣の昼間の幽霊・岸田君の言い訳を聞けばよくわかる。
岸田 「核軍縮を実効的に進めるには、核保有国と非保有国の協力がなければならない。国際社会の総意で進められるべきだと強く求めたが、受け入れられなかった
安倍 「日本は被爆国であるからこそ現実に核なき世界に向かって進めていきたいと考えたわけでございます」
 頭大丈夫かってほどの意味不明な言い訳だ。そのくせ、「核兵器廃絶決議」ってのを日本が主導して採択されているんだが、これまで反対してきたアメリカが共同提案国になったことで「核軍縮を現実的に実践的に進めるという日本の考え方が幅広く支持された結果だ」て胸張っちゃうんだからどうかしている。これって、「核禁止条約交渉」反対とのバーターってことだろう。
 
・核兵器禁止条約 決議案が国連の委員会で採択 日本は反対 
 そもそも、「核禁止条約交渉」と「核兵器廃絶決議」のどこが違うのかってことなんだが、「核禁止条約交渉」は実験・保有・使用までの「全面禁止」(実験・保有・使用)、「核兵器廃絶決議」は核拡散防止を中心とした「段階的縮小」が目的ってことなんだね。昼間の幽霊が言う「核軍縮を現実的に実践的に進める」ってことは、いまある核の抑止力を認めた上で、話し合いしつつどうにかしましょうよという、なんのことはない単なる現状維持ってことだ。そんないいかげんなものだからこそ、「核不拡散条約」に加盟していないインドに原発を売りつけたりできちゃうんですね。
 
 それに比べて、「核禁止条約交渉」は有無を言わせない「全面禁止」ですからね。そりゃあアメリカの核の傘があればこその中国挑発外交を展開するペテン総理にとっては、どんなことがあったって「核禁止条約交渉」に賛成するわけにはいきません。被爆国でありつつアメポチの核保有論者というダブルスタンダードのなせる業ってことだ。
 ペテン総理が最大の脅威だって喚き散らしている北朝鮮は、「核禁止条約交渉」に賛成しているんだよね。日本が賛成に回れば、「核禁止条約交渉」を楯に北朝鮮と交渉だって優位に立てるだろうに・・・。ちったあアメリカに吠えまくるドゥテルテの爪の垢でも煎じて飲んだらどうだ。

2016年10月29日土曜日

衆・参で憲法審査会が始動

衆院憲法審査会 来月10日再開で各党合意
NHK NEWS WEB 2016年10月27日
衆議院の憲法審査会の幹事懇談会が開かれ、去年6月以降行われていない審議を、来月10日に再開させ「憲法制定の経緯」などをテーマに議論することで、各党が合意しました。
衆参両院は、与党と憲法改正に前向きな勢力が、改正の発議に必要な3分の2の議席を占めていますが、衆議院憲法審査会では、安全保障関連法などの議論が行われた、去年6月以降、審議は行われていません
 
こうした中で、27日午後、衆議院憲法審査会は、幹事懇談会を開き今後の審議日程などを協議しました。この中で、自民党と民進党の与野党の筆頭幹事が、来月10日には「憲法制定の経緯」などを、17日には「立憲主義などのあり方」を、それぞれテーマにして各党の意見表明と自由討議を行うことを提案しました。
 
これに対し、公明党は「立憲主義というテーマではすでに議論している」として、テーマを検討し直すよう求めたほか、日本維新の会は「憲法改正に向けて、各党が具体的な案を持ち寄って、議論すべきだ」と述べました。
一方、共産党は「国民が改憲を求めていない以上、今、審査会を開く必要はない」と述べましたが、最終的には、提案どおり審議を行うことで、各党が合意しました。
また、幹事懇談会では、憲法審査会に委員を出していない自由党については、要望があれば、自由討議への参加を認めことでも合意しました。
 
 
参議院も憲法審査会の審議を再開へ
NHK NEWS WEB 2016年10月29日
衆議院の憲法審査会が、来月から審議を始めることを決めたのに続き、参議院の憲法審査会も、ことし2月以降行われていなかった審議を、来月16日から再開させる見通しとなりました。
 
衆議院憲法審査会は27日に幹事懇談会を開き、去年6月以降行われていない審議を来月10日に再開させ、「憲法制定の経緯」などをテーマに議論することで、各党が合意しました。
 
これを受けて、参議院憲法審査会の自民党と民進党の与野党の筆頭幹事が対応を協議した結果、参議院でも、ことし2月以降行われていなかった審議を、来月16日から再開させることで一致しました。
参議院憲法審査会では、来週にも幹事懇談会を開いて、16日の審査会の開催を正式に決定するとともに、審議する具体的なテーマについて協議することにしています。
 
衆・参両院で、与党と憲法改正に前向きな勢力が改正の発議に必要な3分の2の議席を占める中、来月から、国会での憲法論議が始まることになりますが、各党の考え方や思惑には違いも大きく、議論の先行きは不透明な状況です

安倍政権の世界に通用しない「考え方」

 安倍首相の話しぶりは、まず「前提」事項をいろいろと述べたうえで、それとは何の脈絡もない(論理的に帰結しない)「結論」をいきなり提示して終わりにするというものです。
 話というものは、普通は途中まで聞けばそれによって導かれる結論はおよそ推測できるものです。ところが安倍氏の場合はそうした論理性がないので、終わりまで聞かないと何を言おうとしているのか分かりません。それが彼の話を聞いているだけで疲れる理由です。
 しんぶん赤旗が彼の詭弁を取り上げました。
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主張南スーダンPKO 詭弁という他ない派兵延長論
しんぶん赤旗 2016年10月28日
 南スーダンPKO(国連平和維持活動)をめぐり、安倍晋三政権は、今月末で期限が切れることになっていた自衛隊の派兵期間を来年3月末まで延長することを閣議決定しました(25日)。その際、「派遣継続に関する基本的な考え方」(以下、「考え方」)と題する文書も発表しました。南スーダンの内戦状態が深刻化し、日本国民の懸念や反対の声が強まる中、派兵延長を正当化するのが狙いです。しかし、安倍政権の「考え方」は、世界では通用しない全くの詭弁(きべん)であり、逆に派兵延長の道理のなさを浮き彫りにしています。
 
世界には通用しない
 「考え方」は、南スーダン情勢について「治安情勢は、極めて厳しい」「現在も、地方を中心に、武力衝突や一般市民の殺傷行為が度々生じている」「首都ジュバについても、七月に大規模な武力衝突が発生」「今後も、南スーダンにおいて『武力衝突』の発生は十分に予想される」と指摘しています。
 ところが、「考え方」は、こうした南スーダンの実態を認めつつ、「我が国における、法的な意味における『武力紛争』が発生したとは考えていない」と述べます。「武力衝突」は発生しているが、「武力紛争」は発生していないという驚くべきごまかしに他なりません。
 
 PKO法は、▽「武力紛争」停止の紛争当事者間の合意(停戦合意)▽紛争当事者のPKOと自衛隊参加への同意(受け入れ同意)▽PKOの中立的立場の厳守(中立性)▽以上の原則のいずれかが崩れた場合の自衛隊の撤収▽必要最小限の武器使用―という「PKO参加5原則」を定めています。
 
 南スーダンでは2013年12月に大統領派と副大統領派(当時)の対立で内戦状態に陥りました。昨年8月に「和平合意」したものの、今年7月には自衛隊が駐留する首都ジュバで戦車や攻撃ヘリなども使った大規模な戦闘が起き、数百人が死亡しました。両派の戦闘はその後も続いており、「武力紛争」以外の何物でもありません
 前副大統領は「和平合意は崩壊している」と語っており、「PKO参加5原則」の紛争当事者間の「停戦合意」は完全に崩れています。国連安全保障理事会は8月、「文民保護」を理由に事実上の先制攻撃の権限を与えたPKO部隊の増派を決めました。そもそも「中立性」の原則も成り立っていません。
 
 PKO法に「武力紛争」の定義はありません。しかし、「考え方」は、「武力紛争」を「国家又は国家に準ずる組織」の間の「戦闘行為」に限定し、前副大統領派は「武力紛争の当事者(紛争当事者)となり得る『国家に準ずる組織』」ではないとして、「PKO参加5原則」は維持されているとしています。あまりにも独善的な暴論です。
 
新任務の付与は論外
 安倍政権は、戦争法の一環として改定したPKO法に基づき、11月に派兵する自衛隊の交代部隊に、武器を使って他国のPKO兵士らを救助する「駆け付け警護」などの新任務付与を狙っています。
 同法は改定の際、「駆け付け警護」の武器使用について「受け入れ同意が安定的に維持されていること」を前提にしました。しかし、南スーダンでは、政府軍によるPKOへの攻撃など敵対行為が頻発しています。新任務の付与など論外であり、派兵延長はやめ、人道・民生支援こそ強化すべきです。

TPP批准強行は許されない

 安倍政権が11月1日までにTPP条約を衆院通過させたい理由は、そうすれば参院で仮に審議未了になっても批准が成立するからです。
 TPPに米国民が反対していることから、何か米国にとっても不利な面がある協定だと理解する向きがありますが、いうまでもなく米国のグローバル資本にとっては願ったり叶ったりの協定なのです。しかし99%の国民にとっては外国からの労働力が流入して賃金の低下が起きるなどのデメリットがあるために国民が大反対しているわけです。
 それでヒラリーも大統領に当選するまではTPP反対を謳わざるを得ないのですが、当選後は適当な口実をつけて賛成に変わだろうと見られています。そのためにも日本はTPP推進のオバマ政権下で批准を完了しておく必要があるわけです。
 それで安倍政権は売国の協定を批准するためにいま血眼になっているのですが、共産党の志位委員長は政府の協定審議の準備も関連資料の提出状況も、とても国会審議ができるような段階には至っていないと述べています。TPP批准の強行成立などは絶対に許されません。
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TPP批准強行は許されない
徹底審議は国会の責務 志位委員長 三つの問題点指摘
しんぶん赤旗 2016年10月28日
 日本共産党の志位和夫委員長は27日、国会内で記者会見し、今国会で最大の焦点となっている環太平洋連携協定(TPP)承認案・関連法案の審議について、政府・与党のしゃにむに強行する姿勢を批判するとともに、「徹底審議で協定の全容と問題点を国民に明らかにすることが国会の責務となっています」と強調し、TPPの現局面をめぐる三つの問題点を指摘しました。
 
第1は、国会審議の前提を欠いたままの審議となっていることです。
 「国民に丁寧に説明する」と言いながら、8400ページを超える協定・関連文書の和訳は2400ページにとどまり、公表された交渉経過資料は表題以外はすべて黒塗りです。志位氏は、全文書の和訳を責任をもって出すべきだと要求。交渉の直接の担当者だった甘利明前TPP担当相について、辞任後も説明責任を放棄しているとして「甘利氏のもとで秘密裏に進めてきた内容を含めた交渉の全経過の情報開示が必要です」と強調しました。さらに、輸入米価格偽装の発覚について、「『影響試算』の前提を揺るがす大問題となっています」と強調しました。
 
第2に、協定そのものの本格的な審議はこれからだということです。
 志位氏は、通常国会と臨時国会では、これらの「国会審議の前提」の問題が議論の焦点となり、審議はこれからであるにもかかわらず、度重なる「強行採決」発言が行われているとして、「政府・与党が強行姿勢をとっていることは言語道断です」と批判。世論調査でも国民の7割が慎重審議を求めていることを強調し、4月5日付の「衆議院TPP特別委員会開催に関する合意事項」に基づいて、「日米集中、ルール分野別集中、経済・金融集中」など「テーマによる集中審議」や、参考人質疑、中央・地方公聴会の開催など、徹底審議を行うことが必要だと述べました。
 
第3は、TPP協定の全容解明です。
 志位氏は「明らかにすべき重要問題」として、▽農産物の関税撤廃・関税率の引き下げ▽あらゆる分野(食の安全、医療制度と薬価、金融・保険、政府調達、知的財産)での「非関税措置の撤廃」▽投資家対国家紛争解決(ISDS)条項▽TPP発効直後から各種委員会がつくられ、日本に「再交渉」を迫る仕組みがつくられようとしている――など諸点の徹底的な究明が求められると指摘しました。
 
 志位氏は、こうした状況のもとで採決の強行などは絶対に許されず、徹底審議こそ国会の責務だと述べ、「これらの点を野党の共通の認識にして、野党と国民が力をあわせ、暴挙は許さないというたたかいを大いに強め、徹底審議をもとめるたたかいをやっていきたい」と表明しました。(詳報)
 
 
TPP批准強行は許されない―徹底審議は国会の責務
志位委員長の会見  (詳報)
しんぶん赤旗 2016年10月28日
     (前 略)
1.国会審議の前提を欠いたままの審議
 「国民に丁寧に説明する」と言いながら、8400ページを超える協定関連文書の和訳が2400ページ分にとどまっています。公表された交渉経過資料は表題以外はすべて黒塗りという、極めて不誠実な対応となっています。しかも、協定文書などの和訳に18カ所の誤訳が明らかになりました。全文書の和訳を責任をもって提出すべきです。
 交渉の直接の担当者だった甘利(明)前大臣は、口利き疑惑で辞任しましたが、その後も説明責任を放棄しています。甘利前大臣のもとで秘密裏に進めてきた内容を含めた交渉の全経過の情報開示が必要です。
 輸入米価格偽装問題が9月に発覚しました。政府の調査結果では、輸入米が国産米価を押し下げている状況にはないと結論づけましたが、日本農業新聞(24日付)の独自調査では、回答したすべての商社が、輸入米は「国産米よりも2割安」と回答するなど、国の見解との食い違いが明らかになっています。政府は影響試算で、「主食用の輸入米が増えても、輸入米価格は国産米と同水準のため、コメへの影響はゼロだ」としてきましたが、「影響試算」の前提を揺るがす大問題になっています。
 
2.協定そのものの本格的審議はこれから
 通常国会、臨時国会での審議は、いま述べた「審議の前提問題」が議論の焦点となり、協定そのものの審議はこれからです。にもかかわらず、度重なる「強行採決」発言が行われ、政府・与党が強行姿勢をとっていることは言語道断です。
 国民の7割が慎重審議を求めています(9月17、18両日実施の共同通信世論調査)。協定の内容を明らかにする国会での徹底した審議こそ求められています。
 通常国会での審議入りにあたっての4月5日付の「衆議院TPP特別委員会開催に関する合意事項」に基づいて、「日米集中、ルール分野別集中、経済・金融集中」など「テーマによる集中審議」、参考人質疑、中央・地方公聴会の開催など、徹底審議が必要です。
 
3.TPP協定の全容解明―明らかにすべき重要問題
 協定そのものの全容解明という点では、少なくとも以下の諸点を国民の前で徹底的に明らかにする審議が必要です。
 
農産物の関税撤廃の問題
 農産物の関税撤廃の問題は、明白な「国会決議」違反です。「聖域」とされた重要農産物5項目のうち、3割の品目で農産物の関税が撤廃され、残り7割の農産物でも関税率の引き下げなどが行われ、「無傷」な品目は一つもないことが明らかになりました。さらに、協定発効7年後の再協議規定で、関税撤廃に向けた協議が約束させられています。
 
「非関税措置の撤廃」の問題 
 この協定では、あらゆる分野が規制緩和の対象となり、緩和された規制をもとに戻せない仕組みがつくられようとしています。進出する多国籍企業の利益を保障し、国民の暮らしや権利が全分野で侵害されます。
 ――「食の安全」。遺伝子組み換え作物や輸入食品の急増で「食の安全」が脅かされます。
 ――「医療制度と薬価」。日米2国間の交換文書では、国民皆保険制度(将来の保険制度)の協議を確約しています。国民皆保険制度が崩される危険があります。米国の製薬企業が薬価決定に影響を及ぼし、安価な薬の供給が減り、薬価が高止まりする懸念があります。
 ――「金融・保険」。日本郵政における保険商品の販売など、すでに米国の要求に応えた改変が進められていますが、TPP協定をてこに、継続的に金融・保険の分野で米国の利害関係者が日本に要求できる仕組みがつくられようとしています。
 ――「政府調達(物品、サービス)」。公共事業や地域経済が外資に開放されます。労働分野での賃金低下、非正規雇用の増加、労働条件の悪化がもたらされます。地方自治体が中小企業支援のために定めた「中小企業振興基本条例」や「公契約条例」が規定できなくなる可能性があります。
 ――「知的財産」。米国流の著作権ビジネス化が進む恐れがあります。
 
「ISDS条項」
 多国籍企業や投資家が損害を受けたとして、投資先の国を訴えることができる仕組みが盛り込まれることは極めて重大です。経済主権を侵害して多国籍企業による支配をもたらすことになります
 
「再交渉」を迫る仕組み
 TPP発効直後から各種委員会がつくられ、日本に「再交渉」を迫る仕組みもつくられようとしています。
 これらの諸点の徹底的な究明が必要です。
 
 国会審議の前提を欠いているという点でも、協定そのものの本格的審議はこれからという点でも、その内容として「関税撤廃」「非関税障壁の撤廃」「ISDS条項」「再交渉の仕組み」など膨大な内容が究明されなければならないという点でも、採決の強行などはまったく論外のことです。徹底審議という国会の責務を果たすことを強く求めるものです。