2018年7月31日火曜日

自民の衛藤征士郎氏が「安倍政権も北朝鮮と直接対話を」と

 安倍首相が、拉致被害者救出に向けていまだに無作為を決め込んでいる中、日刊ゲンダイが超党派日朝国交正常化推進議員連盟会長の衛藤征士郎氏にインタビューしました。
 日本にはいまだに「すべての拉致被害者の帰国の実現が期待できる局面で日朝首脳会談を開催するべき」という、意味不明の主張をするグループ(家族会の一部を含む)がいますが、それはいわば「北が折れてくるのを待って交渉せよ」というあり得ない想定に基づくものです。
 
 そもそも彼は「拉致問題の安倍」を標榜して自分を売り込む一方で、この5年半、拉致被害者救出のための行動は何一つ取らず、徹底的な無作為を貫きましたが、最近その理由が五十嵐仁・法大名誉教授によって明らかにされました。
 月刊誌FACTA」の最新号に、「北朝鮮を非難して国内の人気を高めるために拉致問題を中途半端な状態にしておくよう、安倍首相が外務省に圧力をかけた」という記述があるということです。 ⇒ (6月29日) 安倍首相のままでは拉致問題は解決しない
 
 拉致被害者とその家族の苦悩などには一切お構いなく、それを自分の虚名のために利用するというもので、言語道断、政治家としては勿論、人間として行ってはならないことです。普通の人間であれば恥ずかしくてとても口にはできないことですが、彼が「普通の人間」でないことが良くわかる話です。そんな人間が道徳教育を口にすること自体が笑止です。
 
 ここではその話はしばらく(姑く)措くとして、衛藤氏は、拉致問題は人命が最優先なので、ポンペオ米国務相が独自に交渉を行って北に抑留されていた米人を解放させたのに倣って、直ちに日朝首脳会談を行い解決に向け努力すべきであると述べました。
 まさにそれ以外にはありません。
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 注目の人 直撃インタビュー  
日朝関係で衛藤征士郎氏「安倍政権も北朝鮮と直接対話を」
日刊ゲンダイ 2018年7月30日
 歴史的な米朝首脳会談の実現を受け、国会では超党派の日朝国交正常化推進議員連盟が10年ぶりに再始動した。政府や国会には安易な対話路線にクギを刺す意見もあるが、議連は、国交正常化の議論を先にテーブルに乗せた方が、拉致問題も早く解決できる、という考えのようだ。日朝国交正常化推進議員連盟会長の衛藤征士郎氏(77)に詳しく聞いた。
 
■拉致問題は人命が最優先
  ――10年ぶりに議連が動き出しました。
 政府間外交、議員外交、民間外交とあるものの、外交は、まずは政府の専管事項ですので、政府の懸命な努力を我々としてはこれまで見守ってきました。しかし、なかなか結果が出ない。拉致というのは、人命の問題であり、人権の問題です。何としても早く解決して差し上げねばならない。そういう思いをずっと持ち続けてきました。
 
  ――確かに、小泉訪朝によって拉致被害者5人が帰国してから、ずいぶん経ちました。
 議連には、拉致問題は、国家の誇りや威厳といったものを超越した形で、人命と人権を最優先して解決しなければならないという強い意思があります。そんな中、激しく対立していた米朝関係が和解の方向に転じました。和解のメッセージが国際社会に対し劇的に発信されたのが、6月12日のシンガポールでの米朝会談でした。そして、その前段の4月27日の板門店会談。北朝鮮の金正恩委員長と韓国の文在寅大統領の会談において、金正恩委員長は「日本といつでも対話する用意がある」と明言したわけですよ。いよいよ北が国際政治に直接関与する機運が出てきたのだと思う。この機会をしっかり捉えて対応しなければならないと思ったのです。
 
■米朝の結果にかかわらず日本は主体的に
  ――この激動の時に、日本が何をするかが問われていると?
 そうです。国権の最高機関である国会の責務として、政府に対して速やかな北朝鮮との直接対話を要請する必要があると思うんですね。直接会談の機は熟した。このチャンスに「日朝の首脳会談が実現するよう最善を尽くす」ということを、国会として内外に意思表示する。そうすれば、北朝鮮も「日本の国会が国交正常化に向けて一歩踏み出した」と受け止めるだろうと考えています。
 
  ――国交正常化というメッセージ、ですか。
 日朝間には平壌宣言がある。この宣言に書かれている文言は、まさに国交正常化の基準なんです。これにのっとって、履行する責務がある。しかし、不幸なことに、両国政府の行き違いがあって、双方がそれぞれの立場を主張して、成果のないまま今日まできた。北朝鮮は「平壌宣言を守らないのは日本だ」と言い、日本は「冗談じゃない。ミサイルを撃ち込んだり、核開発をするから、あなたたちが宣言に違反しているんじゃないか」と反論し、お互いに言い募っているだけで歩み寄りが全くない。このままの状態で誰が犠牲になるのかといえば、拉致被害者やその家族ですよ。本当に申し訳ない。拉致されてからもう40年も経ってしまいました。
 
  ――政府は「拉致問題の解決なくして国交正常化はない」と言ってきましたが……。
 極論を言えば、それで40年経ってしまったんです。「拉致問題の解決なくして国交正常化はない」という道だけではなく、別の選択肢として、もっと大きな交渉のテーブルを、むしろ日本が主導して、主体的に作るべきではないですか。拉致問題だけを小さなテーブルで解決すると言ってきましたが、もっと大きなテーブルに拉致も核もミサイル問題も乗せる。平壌宣言に書いてある日朝間の不幸な過去を清算するための懸案事項も乗せる。さらには、無償資金協力や低金利の長期借款、国際機関を通じた人道主義的支援など、平壌宣言に書いてある国交正常化後の具体的な経済協力もテーブルに乗せる。その中で、拉致問題の解決の確かな糸口を見いだすということだと思います。遺骨収集の問題や特定失踪者の問題も、大きなテーブルならいろいろ話ができるのではないでしょうか。
 
今こそアメとムチの使い分けを
  ――拉致問題が先だと言い続けるだけでは物事は動かない。
 5月に米国のポンぺオ国務長官と会った北朝鮮の金英哲副委員長は、日本人拉致問題は解決済みと明言しているんです。このままでは今の状態がずっと続いてしまいかねない。拉致被害者だった曽我ひとみさんが、7月5日に安倍首相に早期の日朝首脳会談の実現を要請しました。そこで首相は「日本が主体的に対応することが求められている」と発言しています。まず拉致問題、ではなく、まずは直接対話です。そして、双方の交渉の窓口を決め、文書に書き留める。米朝は6月12日の会談で、それをやりました。そこから始まるんですよ。日本も同じことをやったらいい。
 
  ――2度の小泉訪朝以降、この間、もう少し拉致問題を前に進めることはできなかったのか、と残念です。
 何らかの前進的な話し合いや成果を出せなかったのだろうか、ということは誰しもが思っていることだと思います。米国は北朝鮮と国交正常化をしていないのに、ポンぺオ国務長官が3度も北朝鮮を訪問した日本も同じ条件なのに、それができない。問題はここですね。だからこそ、風穴をあけていかないといけないのです。
 
  ――どうも日本は、圧力一辺倒が過ぎたのではないでしょうか。米国もそうですが、世界の外交では、表では強く出ながらも、水面下では交渉している。
 そう。アメとムチ、北風と太陽ですね。制裁と対話をうまく駆使して、使い分ける。今こそ、それが大事なんです。日本はこの十数年、ムチだけできた。制裁、それも最高の制裁と最大の圧力。そうすれば北朝鮮は必ず「参った」と降参するだろう、向こうから国交正常化のテーブルに着いてくるだろうというシナリオだったのです。しかし、どっこい北朝鮮は、そんなシナリオに乗ろうとする姿をみじんも見せない。どうしてかというと、密かに隣国の中国が北を支援するし、ロシアもエールを送っている。そうした中で、日本が言うような制裁は実質的には効いていないのです。
 
■まずは直接対話を
  ――議連としてはこの後、どう活動していきますか。
 国会は北朝鮮に対して、国連安保理に基づく制裁措置の完全履行を求める決議をしています。米朝が新しい動きに踏み出した今、新しい国会の提言なり決議をする努力をしたい。内容は先ほど申し上げたように、「拉致、核、ミサイルなどの諸問題を包括的に解決するため、日朝両首脳の直接対話と直接会談が切に望まれている今、政府に速やかな日朝首脳の直接対話を行うよう要請する」というものになると思います。もちろん単に政府に要請するだけでなく、その実現に向け、我々国会も最善を尽くすということを表明します。
 
  ――議連では、議員外交もスタートさせるとしています。
 今は制裁決議をしているので、議員が北朝鮮には行けない。しかし、新たな決議をすれば、各議員が北とのパイプを模索しながら、いろいろ動き出しますよ。もちろん、それは日朝首脳の直接対話に貢献する行動でなければいけません。
 
  ――ただ、米朝の動きは先行きが見通せない部分もあります。日朝については米朝の動きを見ていくべきなのか、それとも日朝は日朝でやっていくべきなのか?
 米朝会談の結果が出なければ日朝会談はやらないという、そういうアプローチではないと私は確信しています。米国は自ら交渉して拉致された3人を取り返したじゃないですか。日本も同じことですよ。主体性を持ってやって欲しい
 
  ――米国や韓国頼みではダメだと。
 安倍政権は制裁路線で国際社会に対し強いリーダーシップを取ってきた。そういう経緯があるので、こちらから先に手を差し伸べたりしづらいと思う。しかし、国の誇りやメンツが少々傷ついてもいいじゃないですか。拉致問題の完全解決のために、日朝首脳会談のテーブルに着いてもらいたい。  (聞き手=小塚かおる/日刊ゲンダイ)
 
▽えとう・せいしろう 
自民党衆議院議員(大分2区・12期)。1941年大分県出身。66年早大政経学部卒業。71年全国最年少(29歳)で玖珠町長。73年早大大学院政治学研究科修了(国際政治)。77年参議院議員、83年衆議院議員に初当選。農林水産政務次官、外務副大臣、防衛庁長官、衆議院副議長などを歴任。

杉田水脈問題も赤坂自民亭もスルーする「報ステ」の異常事態

 ブルータスお前もか です。テレビ朝日『報道ステーション』に異変が起きています。
 これまで政権批判では比較的健闘してきた『報ステ』が、7月に入ってから政権批判が極端に少なくなり、その分、五輪、高校野球、プロ野球などのスポーツ関係が増えたということです。
 何でもかんでも政権を批判すればよいということでは勿論ないのですが、権力を監視することこそがジャーナリズムの使命なのに、権力を恐れて批判の手を緩めるのではジャーナリズムの死を意味します。
 特にすべての面において常軌を逸している安倍政権を相手に、沈黙するようでは話になりません。
 
「報ステ」のこの急変は7月に担当ディレクターが交代したことによるもので、スポーツ関係が増えたのは、それが早河会長の得意分野・趣味であるからと言われています。
 全ては安倍首相とべったりの早河会長による、安倍政権迎合のための措置と考えられます。
 LITERAの記事を紹介します。
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『報道ステーション』から安倍政権批判が消えた理由! 
杉田水脈問題も赤坂自民亭もスルーする異常事態
LITERA 2018.07.29.
 最近、『報道ステーション』(テレビ朝日)がヘンだ──。そんな声が視聴者の間で巻き起こっている。『報ステ』といえば、忖度体質が支配するテレビ報道のなかで、安倍政権をきちんと批判ができる数少ない番組として支持を受けてきた番組。ところが、今月7月を境に、この番組から肝心の安倍政権批判が極端に少なくなってしまったのだ。
 典型が、いま大きな問題になっている杉田水脈のLGBT差別発言。テレビ各局の動きはもともと鈍かったが、それでも24日にTBSの『NEWS23』が取り上げたのを皮切りに、25日以降はフジテレビや日本テレビの番組ですらこの問題を批判的に取り上げ、同じテレ朝の『羽鳥慎一モーニングショー』も遅ればせではあるが26日にこの問題を取り上げた。
 
 ところが、『報ステ』はいまにいたるまでこの問題を取り上げていない。26日夜には公明党・山口那津男代表までが「いかがなものか」と批判コメントを出したが、そのことすら『報ステ』は一切取り上げなかった。自民党本部前で大規模な抗議デモが行われた27日にはさすがにやるだろうと思ったが、やはり完全スルーだった。 
 しかも、この異変は杉田水脈のLGBT差別発言だけではない。じつは「赤坂自民亭」問題でも対応は同じだった。当初、テレビの報道はほとんどが沈黙していたが、キー局では10日になって『あさチャン!』『Nスタ』『NEWS23』といったTBSの番組が取り上げるようになり、他局のニュース番組やワイドショーにも広がっていった。
 だが、なぜか『報ステ』だけは頑なに「赤坂自民亭」問題を取り上げることはなく、1週間後の17日になってようやく紹介。それは、安倍首相が同日の参院内閣委員会に出席し、国会という公の場ではじめてこの問題について追及され、「いかなる事態にも対応できる万全の態勢で対応にあたってきた」と答弁したタイミングだった。
 
 別に安倍首相の公式コメントを待たずとも、初動の遅れを指摘する報道はできる。しかも、『報ステ』と同じテレ朝では、11日には『羽鳥慎一モーニングショー』でも「赤坂自民亭」問題を紹介していたし、さらに『報ステ』レギュラーコメンテーターの後藤謙次は10日付けの静岡新聞で『求められる「真摯な姿勢」』と題して「赤坂自民亭」問題を取り上げていた。つまり、『報ステ』は意図的にこの話題をピックアップしなかったのだ。
 ほかにも『報ステ』が政権批判を鈍らせたケースは枚挙にいとまがない。たとえば、朝日新聞が17日にスクープした、自民党・古屋圭司議員の事務所が政治資金収支報告書にパーティ券収入を過少記載していた問題。『NEWS23』や日本テレビ『NEWS ZERO』といった夜のニュース番組はその日のうちにこの疑惑を取り上げたが、『報ステ』は無視。翌18日に国会の動きを紹介するなかで取り上げるにとどまった。
 
 さらに、カジノ法案が参院本会議で強行採決された20日の放送では、コメンテーターとして出演したハフポスト日本版編集長の竹下隆一郎氏が「(今国会は)野党の追及が甘くて、なかなか議論が盛り上がらなかった」「インターネット上や20代の若者を取材していると、野党のみなさんが批判をすることにすごいアレルギーがある」などと語り、安倍政権の傲慢な国会運営には一切ふれることなく、問題点を野党批判にすり替えてまとめてしまったのだ。
 そして、このように政権批判につながる問題が影を潜める一方で『報ステ』が熱を入れて取り上げてきたのが、東京五輪やスポーツの話題だ。
 
政権批判に変わって、トップニュースは五輪、高校野球、プロ野球
 カジノ法案が参院予算委員会で強行採決された19日、『報ステ』は東京五輪の競技日程が決まったことを巨大なボードを用意してトップニュースとして報じ、富川悠太キャスターも「ワクワクしてくるでしょ? あと2年もあるのに!」と大はしゃぎ。懸念されている暑さ問題などについてもVTRで取り上げたが、それを受けてのスタジオでは一転、日本のメダル獲得が期待されている競技を事細かに紹介するという気の早さで、暑さ対策については最後にコメンテーターの後藤謙次が触れた程度で終了。時間にして約16分、東京五輪の話題に費やしたのだ。
 しかも、『報ステ』は24日も、またしても東京五輪の話題からスタート。「オリンピックまで2年」と題し、この日各地でおこなわれたカウントダウンイベントを紹介。スタジオでは五輪観戦のためのチケット入手方法をボードを使って解説し、「公式サイトへのID登録は10〜15分程度」「いま登録しておけば、事前に会場を視察できるツアーに応募できる」「登録するとおトク情報が送られてくる」などと説明するという懇切丁寧なもので、組織委員会か東京都の広報番組かと見紛うほど。とてもじゃないが報道番組とは思えない、いやワイドショーでもここまではやらないというレベルだった。この話題にかけた時間は、なんと約20分だ。
 
 カジノ法案の強行採決よりも東京五輪。その上、さんざん問題視されている暑さ問題も掘り下げもせず、東京五輪に向けた気運を高めることしか眼中にないような構成──。視聴者のほうが「あと2年もあるのに!」とツッコミたくなるほどの入れ込みようだった。
 さらに、25日の放送も異常だった。前述したように、この日は杉田水脈議員の問題が他局では報じられていたが、『報ステ』がトップで伝えたのは、夏の県大会で2年前まで10年連続初戦敗退だった三重県の白山高校が甲子園初出場を決めたというもの。その後も「涼しい町」として北海道釧路市から中継するというワイドショー的展開で進行。さらに国家戦略特区ではじまったオンライン診療をPRのように紹介する始末だった。
 そして、27日はなんと、トップが読売ジャイアンツ・山口俊選手のノーヒットノーラン。こんな程度のトピックを『報ステ』がトップで伝えるなんてこれまで記憶にない。政権批判をやめてしまったばかりか、『報ステ』はほとんどスポーツニュースと化してしまったのである。
 
原因は7月のプロデューサー交代、安倍首相べったりの早河会長の差し金か
 もちろん、この異変には理由があった。じつは今年7月から、『報ステ』のチーフプロデューサーが代わったのだ。
 新たにチーフプロデューサーに就任したのは、桐永洋氏。直前までは『グッド!モーニング』のチーフプロデューサーを務め、激戦区である朝の時間帯に視聴率を押し上げた立役者なのだという。しかし、この人事の裏には、政権批判潰しがあったのではないかといわれている。
「『報ステ』のチーフPといえば番組内から昇格することが多かったのに、今回は他番組からの抜擢。これは桐永さんが『グッド!モーニング』の数字を上げた功労賞というだけでなく、安倍政権に近い早河洋会長が、政権の意向を忖度して、批判色を弱めようとしたということでしょう。桐永さんは編成局の経験もあり、上層部のおぼえめでたい人物。早河会長の子飼いという指摘も一部にはあります」(テレビ朝日編成局関係者)
 
 これまで何度も指摘してきたように、テレ朝の早河会長は2013年より幻冬舎の見城徹社長の仲介をきっかけに安倍首相と会食を繰り返すようになり、それ以降、『報ステ』の安倍政権・原発批判路線からの転換を迫ってきたといわれている。実際、2014年におこなわれた『報ステ』10周年パーティでは、当時キャスターだった古舘伊知郎が「早河社長から好きなようにやってくれ。何の制約もないからと言われて始めたんですが、いざスタートしてみると制約だらけ。今では原発の“ゲ”も言えない」と挨拶で愚痴った。
 さらに、2015年に『報ステ』でコメンテーターを務めていた古賀茂明が「I am not ABE」発言をおこなって官邸が激怒した際には、早河会長の主導により古賀の降板と当時のチーフプロデューサーが更迭されるという事件も起こった。古舘の番組降板も、早河会長と安倍首相の関係が大きく影響を与えたことは間違いない。
 
露骨な政権批判報道潰しに永田町でも「官邸の意向か」の声が
 つまり、今回、桐永チーフプロデューサーの番組外からの抜擢は、こうした早河会長の安倍政権批判潰しの延長線上で起きたというのだ。『報ステ』が五輪押しで、スポーツニュースと化していることは前述したが、これも早河会長の意向ではないかといわれている。前出のテレビ朝日社員がこう話す。
「早河会長は、サッカー日本代表、世界水泳、フィギュアスケートなど、スポーツ放映権を獲得してきたのが最大の自慢で、東京五輪にも入れ上げてますから、いまの『報ステ』の五輪&スポーツ路線も早河会長の趣味が反映されているんじゃないでしょうか」
 
 しかし、いくら会長の意向だとはいえ、ここまで露骨な政権批判放棄はありえないだろう。実際、『報ステ』の変化は、永田町でも話題になっている。
「他社の政治部記者や政治家の間でも『報ステは一体どうしちゃったんだ。政権の意向が働いているとしか思えない』という声が上がっていますね。政治の動きはほとんど取り上げないうえ、たまに取り上げても、VTRではほとんど批判しない。いまは、コメンテーターの後藤さんが政権批判を語ってかろうじてバランスをとっていますが、このままいくと『後藤さんも外されるのでは』という予測も流れています」(キー局政治部記者)
 
 言うまでもなくジャーナリズムの使命は権力を監視することにあり、権力を恐れて批判の手を緩めるなどということは、ジャーナリズムの死を意味する。大本営発表を垂れ流す番組が溢れかえるなか、『報ステ』もその仲間入りを果たしてしまうのか──。同番組の動向には、今後も注視していかなければならない。(編集部)

31- 教員の良心の自由を萎縮させる最高裁判決(小林節氏)

 19日最高裁が、元都立高校教職員ら24名が、卒業式等において起立して「君が代」を斉唱しなかつたことのみを理由に、定年退職後の再雇用を拒否された事件について、高裁の判断を棄却し教職員らの請求を全面的に退ける判決を言い渡したのは、日本が第二次世界大戦でアジアを侵略した加害国であったことから「日の丸」は軍国主義の象徴、同じく「君が代」は戦前の天皇制を象徴するものと受け止める人がいるという、憲法が保障している「良心」の自由(19条)の問題であるという面を無視したものとであるという強い批判があります。
 
 憲法学者の小林節教授がこの問題を29日の「ここがおかしい 小林節が斬る」で 取り上げました。この件については21日に「レイバーネットの記事」として一度を取り上げましたが、小林教授の文章はとても理解しやすいので紹介します
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 ここがおかしい 小林節が斬る!  
教員の良心の自由を萎縮させる最高裁判決
小林節 日刊ゲンダイ 2018年7月29日
 アメリカで、トランプ大統領が黒人差別を擁護するような発言をした直後に、あるプロスポーツの開会式場で国歌斉唱の際に、黒人選手が姿勢を正さず、片膝をつき、黒い拳を突き上げた姿が日本でも放映された。それが「自由な社会」というものである。
 
 わが国は第2次世界大戦の加害国だという歴史的背景があるために、今でも「日の丸」と「君が代」については論争が絶えない。日の丸は、アジア諸国を侵略した帝国陸海軍の先頭にはためいていたために、軍国主義の象徴として忌避する者は今でも多い。また、かつて大日本帝国憲法の下で天皇制を称える歌として用いられた君が代は、国民主権国家に生まれ変わった現行憲法の下では違憲だと主張する者も多い
 だから、日の丸と君が代を用いる儀式に素直に参加することができない者も多い。これは、憲法が保障している「良心」の自由(19条)の問題である。
 
 良心の自由に従って卒業式で日の丸・君が代に「欠礼」した公立校の教員が、懲戒処分を受けた。「式の秩序を乱した」ということで、戒告(単に「叱りおく」こと)はいいとしても、減給、停職は荷重である……と、かつて最高裁は判断した。
 今月19日、最高裁は、式の秩序を乱したことに加えて、「生徒への影響も否定し難い」点を重視し、定年後の再雇用拒否も合法だとした。これでは二重のペナルティーであろう。
 
 前述の歴史を考えた場合、教員が良心の自由に従って日の丸・君が代に欠礼した行為は、次代を担う生徒たちが「人権」と公益の関係を考える最高の教材であったはずだ。
 それが当局に全員を再雇用する義務がなかった時期の処分であったとしても、この判決が全国の教育現場を萎縮させてしまう効果に思いが至らない最高裁には失望させられた。
 
 40年も前にアメリカに留学した時に、憲法教授が、高名な元最高裁判事の言葉を引用して、「最高裁判事は、単に法律家であるだけでは足りず、政治的な雅量も必要である」と語っていたことが、今回、頭の中に蘇ってきた。その教員は君が代に欠礼しただけで5年間の職を失ったのである。 
 
 小林節 慶応大名誉教授
1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院のロ客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著) 

2018年7月30日月曜日

全国知事会が日米地位協定改定を要求 全知事の総意受け止めよ

 全国知事会が日米地位協定の抜本改定を含む「米軍基地負担に関する提言」を全会一致で採択しました2年前に翁長雄志知事の要望で設置した「全国知事会米軍基地負担に関する研究会」が、2年間で6回の会合を重ねてまとめたもので、沖縄県が先に現地調査したドイツやイタリアでは、受け入れ国が基地の管理権を確保したり、自国の法律を米軍に適用したりと、自分たちで要求して地位協定を前進させているを参考にしました。
 
 日本には「安保で喰う人たち」というのがいて、絶えず米国の意向はこうだとか、そんな要求をするとアメリが怒るなどと、したり顔に自制を強いるなどして来ました。しかしそれは実に意気地のないことで、ドイツやイタリアは上記の様に前進させてきました。
 また韓国は最近「米韓合同委員会」の議事録を原則として公開する合意を勝ち取りましたが、それも日本では「日米合同委員会」を聖域扱いしてきて、その存在さえも余りオープンにしてきませんでした。
 
 問題は果たして安倍首相に米国とそうした交渉をする熱意と気概があるかですが、琉球新報は「社説」で「日本政府は全国知事の総意を重く受け止め、抜本的な改定に本腰を入れる必要がある」としています。
 どう取り組むのかを全国知事会が注目していることを安倍首相はよく認識すべきです。
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<社説>地位協定改定を要求 全知事の総意受け止めよ
琉球新報 2018年7月29日
 全国知事会が日米地位協定の抜本改定を含む「米軍基地負担に関する提言」を全会一致で採択した。全国知事会が日米地位協定の改定を提言するのは初めてだ。画期的な動きであり、採択を機に地位協定改定の実現につなげたい。
 
 提言がまとめられたのは、2016年7月に翁長雄志知事の要望で設置した「全国知事会米軍基地負担に関する研究会」が出発点だ。研究会は12人の知事で構成し、2年間で6回の会合を開催した。
 日米地位協定を専門とする研究者から意見聴取したほか、外務省日米地位協定室長から政府の立場を聞き、イタリアとドイツの地位協定について現地調査した沖縄県からも意見を聞いた
 こうした調査研究を進めた目的について、知事会は「在日米軍基地に係る基地負担の状況を基地などの所在の有無にかかわらず広く理解し、都道府県の共通理解を深めること」を挙げている。極めて妥当性がある。
 
 琉球新報が研究会設置前の16年6月に実施した沖縄以外の46都道府県知事へのアンケートでは、在沖海兵隊について「受け入れる」と答えた知事はゼロだった。45都道府県知事は「外交・防衛は国の専権事項」だとして回答すらしなかった。沖縄の基地問題が全国的な議論になっていないことを如実に示していた。
 ところが今回の提言は全会一致で採択された。提言では研究会によって「現状や改善すべき課題を確認できた」として「米軍基地は防衛に関する事項であることは十分認識しつつも、各自治体の生活に直結する重要な問題であることから、国民の理解が必要だ」との認識を示し、日米地位協定の抜本的な改定などを求めた。
 
 これまで米軍基地を抱える15都道府県でつくる「渉外知事会」が日米地位協定の改定を求めてきた。全国知事会は基地のない府県が多数含まれている。その知事会で今回の提言がまとめられたことは、2年間で米軍基地負担についての共通認識が格段に深まったことを意味する。研究会の取り組みを高く評価したい。
 日米地位協定は1960年に締結されてから、一度も改定されたことがない。日本政府が改定交渉を提起したこともない。あまりにもいびつではないか。
 そのことで米軍関係者の事件・事故の中には刑事責任を問うことができず、住民が危険を訴える訓練も止めることができない。基地内で環境汚染が発覚しても、米軍に立ち入りを拒否される。日米地位協定が住民生活を脅かしている元凶となっている。
 米軍が駐留しているドイツやイタリアでは、受け入れ国が基地の管理権を確保したり、自国の法律を米軍に適用したりしている。日米地位協定はあまりにも不平等だ。日本政府は全国知事の総意を重く受け止め、抜本的な改定に本腰を入れる必要がある

安倍首相の強引な政敵つぶしは弱さと不安の裏返し(天木直人氏)

 先に、安倍首相は強大な権力を持ってはいるものの、それでも対立候補が出てきて公開討論になると自分が大いに傷つくからと非常に恐れ、無投票で当選できるように石破氏を追い落とすことに腐心しているというブログ(⇒化け物のように強大化している安倍晋三の権力(世に倦む日々 7月28日)」を紹介しましたが、天木直人氏もブログ「安倍首相の強引な政敵つぶしは、弱さと不安の裏返しである」で、一種共通する見解を表明しました。
 
 考えてみれば安倍氏の国会などでの驕慢な態度も、そうした怯懦な性格の反映なのかもしれません。
 天木直人氏のブログを紹介します。
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安倍首相の強引な政敵つぶしは、弱さと不安の裏返しである
  天木直人のブログ 2018-07-28
 ここにきて、9月の総裁選に向けた安倍首相の強引さが目立つようになった。
 これは安倍首相のイメージを大きく損なうことになる。
 だから安倍首相と、社運をかけて戦っている朝日新聞は、連日特集記事を組んで、安倍首相の強引さを暴露する記事を書いている(自民党2018総裁選ー安倍政権の実像)。
 ところが安倍擁護の読売新聞までが「横綱相撲を忘れた安倍首相」と書いて内情をばらしているのには驚いた。
 安倍首相が岸田政調会長に、反安倍に回ったら人事で冷遇するぞと脅かした事を報じた。
 なぜ、安倍首相のイメージダウンにつながるようなこんな裏話を読売までも書いたのか。
 そのことを、今朝7月28日の早朝に流されたTBSの「上田晋也のサタデージャーナル」で、同番組のホスト解説者である元毎日新聞記者の龍崎孝氏が教えてくれた。
 総裁選で圧勝しなければいけないほど安倍首相は三選後を心配しているのだと。
 そして、その日のゲストである薬師寺克行氏(元朝日新聞政治部長)がさらに追い打ちをかけた。
 私は龍崎孝さん以上に、三選後の安倍首相は深刻だと思っていると。
 アベノミクスから始まって少子化対策も外交も、何もかも成果はない、そのつけが一気に噴出するだろうと。
 まさしく、異常なまでの安倍首相の総裁選の政敵つぶしは、安倍首相の弱さと不安の表れであるということだ。
 
 総裁選まで、まだ何が起きるかわからない。
 そして、9月の総裁選が終わった直後から、安倍1強の終わりの始まりが起きる。
 政局は自民党の権力争いを中心に展開していくだろう。
 野党の出番はますますなくなるということである(了)

30- 自民党国会議員のゾンビ化を歓迎する(日々雑感)

「日々雑感」氏が、PRESIDENT OnLineの各紙社説を比較して論じる記事中に、「いま政治から活力が失われ、与党の議員はゾンビのように安倍首相に付き従っている」と書かれていることに関連して、「自民党議員にはこのままゾンビに成り果てて頂きたい。・・・そうすれば国民の多くは、ゾンビと化した浅ましい国会議員を次の選挙で落とすしかなくなるから」と述べました。
 実際このままの安倍政権があと3年も続いたら、日本の政治と経済そして外交がどこまで酷いことになるのか、想像もつきません。特にアベノミクスと名付けられた異常な経済政策があと3年も続いたら、日本の経済は一体どうなるのでしょうか。
「日々雑感」氏は、「明日の日本のために自民党国会議員がこのまま安倍政権のゾンビに成り果てて、もっともっと醜態を国民に曝すことを私は心から歓迎する」と結んでいます。なるほどそれも、この事態から脱出するための有効な方法かも知れません。
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自民党国会議員のゾンビ化を歓迎する
日々雑感 2018年7月29日
「要職をこなして研さんを積み、今後に備えるべきだ。岸田派の結束維持も課題である」と岸田氏に呼び掛ける。ずいぶんと優しい社説である。岸田氏はさぞ喜んでいることだろう。
持論だが、新聞の社説は政権擁護よりも批判に重点を置くべきだ。そのあたりを社説担当の論説委員が理解していないのだろう。
そんな読売社説ではあるが、評価に値することも述べている。たとえば次のような主張は社説として的確だと思う。
「出馬に強い意欲を示す石破茂・元幹事長は、党員の支持を広げる狙いから地方行脚を精力的に続けている。首相とは異なる政策を掲げて論戦を挑んでもらいたい」
異なる政策で論戦を挑んでこそ、国民を巻き込んだ総裁選に近づくことができるのだ。
「3年前の総裁選で、首相は無投票再選を果たした。6年ぶりとなる選挙戦を自民党は党の活性化につなげるべきだ」
沙鴎一歩も指摘したが、「活性化」が重要なキーワードなのである。朝日は「活力」という言葉を使って表現していた。いま政治から活力が失われ、与党の議員はゾンビのように安倍首相に付き従っている。それでいいのだろうか
(以上「PRESIDENT OnLine」より引用)
註 沙鴎一歩は同記事の著者名
プレジデントが論評で「与党議員はゾンビのように安倍首相に付き従っている」と警告している。まさに正鵠を得た「警告」だが、自民党議員にはこのままゾンビに成り果てて頂きたい。
そして国民がそれぞれ支持した国会議員が実はおぞましいゾンビだと国会議員の正体を知って欲しい。安倍自公政権を倒すには国民の多くがゾンビと化した浅ましい国会議員を次の選挙で落とすしかないのだから。
日本のマスメディアも安倍氏に追従して「寿司友」を隠しもしないという浅ましさだ。相変わらず政権批判は適当に茶を濁す程度で、安倍自公政権が日本を根幹の部分から徹底的に破壊していることを報道しようともしない
EUとの自由貿易連携協定EPAに関しても自動車と農産品の貿易の収支バランスの問題だと矮小化して国民に報道している。実態は非関税障壁の撤廃と「ヒト モノ カネ」の自由な往来を約束した「欧州各国の移民問題を日本へ押し付ける」ことでしかない。だから安倍氏が調印式に渡欧できないと知ると、慌ててEU大統領が訪日して調印を済ませたのだ。それほどEUにとって利益のある条約だということを日本のマスメディアは隠している。
権力者批判を忘れたマスメディアは権力者を積極的に腐敗させる。マスメディアも権力者の逆鱗に触れないように「忖度」して甘い利権構造を維持したいと願っている。マスメディアの甘い利権構造とはいうまでもない電波のクロスオーナーシップと新聞の再販制度だ。
国民の知る権利と引き換えに、マスメディアは自らの私腹を肥やすことを選んでいる。日本のマスメディアが腐り切っていると批判する所以だ。
だから安倍氏をマトモな批判と国民世論で倒すことは当分できない。それなら徹底して自公政権与党議員がゾンビと化して、その醜態を国民に曝すが良い。
大量外国人労働移民が流入して日本社会は破壊されるかも知れない。日本人労働賃金は外国人労働移民の賃金に引きずられてデフレ化し貧困化するだろう。それも「国民が選んだ安倍自公政権」の政策だから仕方ない。トコトン困れば、いかに大人しい日本国民でも多少は怒るだろう。
是非とも怒って選挙へ出掛けて欲しい。それが日本を日本国民の手に取り戻すことになる。「国民の生活が第一」の政治を野党連合が掲げることが必要だ。米国支配の「日米合同委員会」から脱却しなければ日本の戦後は終わらない
安倍氏は戦後体制からの脱却と言っているが騙されてはならない、彼は戦後米国支配を強化しているだけだ。彼こそが日本を米国に売り渡す売国奴だ。明日の日本のために自民党国会議員がこのまま安倍政権のゾンビに成り果てて、もっともっと醜態を国民に曝すことを私は心から歓迎する。