2023年11月27日月曜日

核禁条約第2回締約国会議 あすから米NY国連本部で(しんぶん赤旗)

 日本時間28日午前0時からニューヨークの国連本部で、条約の第2回締約国会議が開かれます。日本政府は核保有国が条約に参加していないことを理由に今回もオブザーバー参加を見送りました。核兵器禁止条約の締約国は25日現在、69カ国です
 昨年6月第1回締約国会議が採択した宣言と行動計画に基づいて、各作業部会などが設置されました。会議では作業部会などから報告を受け、条約の一層の具体化や行動計画の履行について話し合います。
 「核抑止力」論の克服が改めて重要議題となります。核不拡散条約(NPT)との補完性、ジェンダー視点の位置づけなども議論します。最終日には政治宣言を採択する予定です。
 日本共産党の笠井亮衆院議員は締約国会議と関連行事に参加するため26日、ニューヨークに向かいました。笠井氏は出発を前に、会議成功のための要請文をフアン・ラミレス会議議長(メキシコ)、中満泉・国連軍縮担当上級代表、反核平和団体などに送付しました。
 併せてしんぶん赤旗の記事「成功向け要請文 笠井氏現地へ」と「要請文の全文」を紹介します。

  お知らせ
 都合により29日(水)は記事の更新が出来ません。ご了承ください。
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核禁条約第2回締約国会議 あすから米NY国連本部で
                      しんぶん赤旗 2023年11月27日
【ニューヨーク=島田峰隆】米ニューヨークの国連本部で27日午前10時(日本時間28日午前0時)から、核兵器禁止条約の第2回締約国会議が開かれます。12月1日まで。核兵器保有国であるロシアとイスラエルが、それぞれのかかわる紛争で核兵器使用の威嚇を行う中、核兵器の非人道性を再確認し、禁止条約の具体化や実践をどう進めるか議論します。
 条約の締約国は25日現在、69カ国です。核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)によると、会議には未批准の署名国のほか、米国と同盟関係にあるオーストラリアやノルウェーなどがオブザーバー参加します。市民社会の代表や国会議員も参加します。
 昨年6月にウィーンで開かれた第1回締約国会議が採択した宣言と行動計画に基づいて、核兵器の全廃、条約の普遍化、被害者援助と環境修復に関する各作業部会や科学諮問グループが設置されました。会議では作業部会などから報告を受け、条約の一層の具体化や行動計画の履行について話し合います。
 核兵器使用の威嚇が続く中、「核抑止力」論の克服が改めて重要議題となります核不拡散条約(NPT)との補完性、ジェンダー視点の位置づけなども議論します。最終日には政治宣言を採択する予定です。
 議長国を務めるメキシコは「核兵器は安全を保障せず全人類の生存を危険にさらす。条約未参加のすべての国連加盟国にオブザーバー参加を呼び掛ける」と表明しています。
 日本政府は核保有国が条約に参加していないことを理由に今回もオブザーバー参加を見送りました。


核禁条約第2回締約国会議 成功向け要請文 笠井氏現地へ
                      しんぶん赤旗 2023年11月27日
 日本共産党の笠井亮衆院議員は26日、国連本部で27日から始まる核兵器禁止条約第2回締約国会議と関連行事に参加するため、羽田空港からニューヨークに向かいました。笠井氏は出発を前に、会議成功のための要請文をフアン・ラミレス会議議長(メキシコ)、中満泉・国連軍縮担当上級代表、反核平和団体などに送付しました。(要請文(全文)下掲

 要請文は会議開催を歓迎し、昨年の第1回会議が採択した宣言と行動計画の具体化の進展を期待。ロシアのウクライナ侵略、ガザ危機の深刻化の中で、会議が条約の規範力を生かし、(1)核兵器使用による非人道的な結末を警告し、使用を許さない強いメッセージを発する、
核兵器の被害者支援と国際協力の実践化
各国政府に「核抑止」依存からの脱却を呼び掛ける
 ――などを求めています。
 日本共産党が、日本政府の条約の署名・批准のため、さらに力を尽くす決意を表明し、ウクライナ、ガザでの人道危機を解決するため国際社会の結束も訴えています。


核兵器禁止条約第2回締約国会議への要請文(全文)
                      しんぶん赤旗 2023年11月27日

                 202311月 日本共産党衆議院議員 笠井亮
 世界で唯一の戦争被爆国の政党として、核兵器禁止条約の第2回締約国会議の開催を心から歓迎します。発効から間もなく3年を迎える条約の規範力を生かし、昨年6月、私自身も出席した第1回締約国会議での「ウィーン宣言」と「行動計画」の具体化が進むことを強く期待します。
 ロシアのウクライナ侵略が続き、ガザ危機が深刻化するなか、今日の核兵器使用の現実的危険を絶対に許さず、「核兵器のない世界」へと前進するために、以下の要請を行います。

 1、締約国会議が、核兵器使用が破滅的な非人道的結末をもたらすことを、改めて世界に警告し、その使用を許さない強いメッセージを発することを求めます。
 核兵器禁止条約の存在は、核兵器使用を抑える上で大きな力を発揮しています。ロシアのプーチン政権の核兵器使用の威嚇に対して、どの国も公然と核による報復を表明できません。「核兵器使用の被害者(ヒバクシャ)および核実験の被害者にもたらされた容認しがたい苦難と損害に留意」してつくられた条約は、核兵器の非人道性を告発し、その使用と威嚇を禁止する規範として核保有国の手をきつく縛っています。核兵器は「『絶滅』だけを目的とした狂気の兵器です。人間として認めることのできない絶対悪の兵器なのです」(※)。国際社会は、この被爆者の訴えに真摯(しんし)に耳を傾け、核兵器を使用させないため力を尽くすときです。
  (※)日本原水爆被害者団体協議会「原爆被害者の基本要求」1984年11月18日

 2、核兵器禁止条約の「ウィーン行動計画」に基づき、第6条の「核兵器の被害者支援と環境修復」、第7条「国際協力」の具体化と実践をさらに進めることを要望します。
 第1回締約国会議で、非公式作業部会が設置され、作業を開始していることを心から歓迎します。被爆者をはじめ日本の市民社会も積極的に貢献します。同時に、私たちは、日本政府は条約参加以前にも、この活動に協力すべきだと考え、本会議へのオブザーバー参加を求めてきました。締約国会議としても、日本政府の関与を引き続き重視していただきたい。

 3、核兵器禁止条約と核不拡散条約(NPT)の「補完性を再確認」した「ウィーン宣言」に基づき、NPT第6条の核軍備縮小・撤廃義務の履行を核保有国に求め尽力するよう期待します。
 今日、NPT体制の信頼を揺るがせている最大の問題は、核保有国が第6条に基づく義務を果たしていないことです。核兵器禁止条約は、NPTの第6条に規定された核軍備縮小・撤廃義務に強い光をあて、「核兵器のない世界」に導く枠組みとする上で大きな力を発揮しています。これまでの再検討会議の合意を再確認、具体化、実施へ一層の努力が必要です。

 4、「核抑止」依存する各国政府に、脱却を決断するよう呼び掛けることを求めます。
 核兵器禁止条約が、「核抑止」を否定したことは、世界の世論と運動への大きな励ましとなっています。国連総会では、「核抑止」論から脱却するパラダイムシフト(固定観念の転換)を求める主張が出され注目されています。「核抑止」は、核兵器使用を前提とし、ヒロシマ・ナガサキのような非人道的惨禍を引き起こすことを躊躇(ちゅうちょ)しないという議論です。この政策は、道義的にも許されません。核兵器廃絶を求める世論を広げることが急務です。
 ウクライナ、ガザでの人道的危機を解決するために国際社会の結束が必要です。この点でも、会議の積極的な貢献を期待します。核兵器禁止条約は、前文で明記されているように国連憲章に基づくものです。ロシアのウクライナ侵略は、国連憲章と国際法への重大な侵犯であり、イスラエルのガザ大規模攻撃による民間人の無差別殺傷は、国際法違反です。
 核兵器禁止条約の普遍化、規範力の強化のため、わが党も唯一の戦争被爆国である日本政府の署名・批准を実現すべく、さらに力を尽くします。「核兵器のない世界」実現のため、引き続き会議参加の全ての国の政府、市民社会との共同を発展させていく意思を表明します。

規範破り大規模パーティー 首相は22年に6回で1・3億円 利益率89%の荒稼ぎ

  閣僚には大規模な政治資金パーティーの開催を自粛するという大臣規範があります

 岸田首相が22年に、1回の収入が1千万円を超える大規模なパーティーを計6回開催していたことが、総務省が公開した政治資金収支報告書から分かりました。
 合計収入は1億4730万円。経費を引いて得た利益は1億3100万円で利益率は89%にのぼります。岸田内閣では政務官の辞任が相次いでいますが、首相自身のモラルが問われます。しんぶん赤旗が報じました。
 併せてしんぶん赤旗の「主張 政治資金収支報告 相次ぐ疑惑 脱法違法を許すな」と「日本共産党の22年政治資金収支報告」を紹介します。 
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規範破り大規模パーティー 首相 年6回 22 3億円 利益率89%の荒稼ぎ
                       しんぶん赤旗 2023年11月25日
 岸田文雄首相が2022年に、1回の収入が1千万円を超える大規模なパーティーを計6回開催していたことが、24日に総務省が公開した政治資金収支報告書から分かりました。閣僚には大規模な政治資金パーティーの開催を自粛するという取り決めがあります。岸田内閣では政務官の辞任が相次いでいますが、首相自身のモラルが問われます。(矢野昌弘)

 岸田首相の資金管理団体「新政治経済研究会」の政治資金収支報告書によると、22年だけで1回の収入が1000万円を超える政治資金パーティーを6回も開催していました。
 合計収入は1億4730万円。経費を引いて得た利益は、計1億3100万円でした。利益率は、89%にのぼります。
 最も収入が多かったのは、昨年12月19日に都内のANAインターコンチネンタル東京で開催したパーティー。収入は約3654万円で1200人が支払いをしていました。
 岸田首相は22年に限らず閣僚就任中に大規模なパーティーを繰り返し、多額の収益を得てきました。01年に閣議決定された「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」では、政治資金パーティーについて「国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する」と定めています。
 この「規範」は、新内閣ができた直後の初閣議で閣僚が必ず目を通します。22年8月に岸田改造内閣が発足した際には、松野博一官房長官が「必ずお読みいただき政治と行政への信頼を確保するため、これを順守されるようお願いいたします」と呼びかけていました。


主張政治資金収支報告 相次ぐ疑惑 脱法違法を許すな
                       しんぶん赤旗 2023年11月25日
 相次ぐ「政治とカネ」問題で岸田文雄政権への不信が高まる中で、2022年の政治資金収支報告書(総務相提出分)が公表されました。政治資金規正法は「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われる」ため、政治資金の収支は疑惑を招かないよう「公明正大」に行うことを定めています。いま国会では、自民党の主要5派閥の政治資金パーティー収入(18~21年)で約4000万円もの不記載があったことが大問題になっています。悪質な脱法・違法行為を徹底的に解明するとともに、金権政治の根を断つことが必要です。

パーティー収入で不記載
 22年の収支報告書によると、政治資金パーティーを開いた政治団体数は21年より増加しました。収入総額も34・5%増で80億円を超えました。自民党の5派閥では、麻生派が2億3511万円、二階派1億8845万円、岸田派1億8329万円、茂木派1億8142万円、安倍派9480万円と上位に位置しています。派閥がパーティー収入を頼りにしていることを浮き彫りにしています。
 政治資金規正法は1回のパーティーで20万円超のパーティー券購入者の名前を報告書に記載することを義務付けています。ところが自民党の5派閥は18~21年に開いたパーティーで、20万円超の大口購入者の名前が記載されていないことが発覚しました。本紙日曜版が昨年11月6日号で報じ、連続追及しています。上脇博之神戸学院大教授が刑事告発し、東京地検特捜部が捜査しています
 国会で追及された岸田首相は不記載を認め、茂木敏充自民党幹事長に派閥ごとに説明するよう指示したと答えました。各派閥は「事務的ミス」などと弁明しますが、購入した団体と派閥で事前に金額や枚数の確認をしていたとの証言もあります。報告書に記載できない裏金づくりの疑いも濃厚です。
 加藤鮎子こども政策担当相も21年のパーティー収入を巡る不透明な会計処理で刑事告発されています。自見英子地方創生相もパーティー券購入を巡る疑惑が指摘されています。
 政治資金パーティー疑惑が次々明らかになるのは、寄付と比べ透明度が低く、名前や金額が明らかにされにくいためです。主要5派閥で大口購入者を特定しにくくする手法がまん延していたことは、構造的問題です
 政治資金パーティーは、費用をかけずに巨額な収入を得ることができる手段にもなっています。22年の報告書でみても麻生派は開催費用2042万円で2億3000万円以上の収入を得ています。
 企業・団体が支払うパーティー券代は、形を変えた企業・団体献金です。政治家個人に対する企業・団体献金は禁止されているにもかかわらず、「政党支部」を隠れみのにした政治家個人への献金も事実上行われています。抜け道をなくすことが不可欠です。

企業献金は腐敗の温床
 自民党側への献金の大手は自動車や電機などの大企業です。営利が目的の企業が献金するのは見返りを求めるからです。「カネの力」で政治をゆがめることを許さないために、企業・団体献金はパーティー券購入も含め全面禁止すべきです。税金頼みで政党の劣化を招いている政党助成金の廃止も一体で進めることが重要です。


2022年政治資金収支報告 日本共産党
財政も国民と結びつき 財務・業務委員会 岩井鐵也責任者が談話
政党助成金や企業・団体献金は受け取らず
                       しんぶん赤旗 2023年11月25日
 日本共産党の岩井鐵也財務・業務委員会責任者は24日、2022年政治資金収支報告書の公表にあたり次の談話を発表しました。

 一、政党・政治団体の2022年政治資金収支報告書が公表されました。日本共産党中央委員会の収入総額は190億9543万円(前年比94・7%)、支出総額は194億2345万円(前年比96・3%)、繰越金は11億0013万円でした。収支の概要は別表のとおりです。

 二、収入構成で明らかなとおり、日本共産党は、憲法違反というだけでなく、政党の堕落につながる政党助成金も、カネの力で政治をゆがめる企業・団体献金も、いっさい受け取っていません。日本共産党は、党員が納める党費、「しんぶん赤旗」読者からの購読料、個人からの寄付など、「国民が主人公」の姿勢を貫く政党として、党員と支持者、国民から寄せられる浄財のみですべての活動資金をまかなっています。
 また、収入の87・2%、支出の63・2%を機関紙誌等事業活動が占めています。このことは、日本共産党が「しんぶん赤旗」を中心に国民と深く結びついて活動していることの反映です。

 三、党財政においても「国民とともに」の立場をつらぬく日本共産党には、毎年、他のどの党よりも多くの個人寄付が寄せられます。中央委員会と全国の都道府県・地区委員会に寄せられる個人寄付の合計額は、毎年約80億円にのぼっています。2022年も、党は参院選募金をはじめ、積極的に個人寄付にとりくみました。なお、中央委員会の2022年の個人寄付は前年より減っていますが、これは、亡くなられた党員・支持者からの遺贈が多い年と少ない年があるためです。

 四、日本共産党は、来年1月に開催する第29回党大会を、自民党政治のゆきづまりのもと、国民に希望をとどける党の綱領路線をさらに豊かに発展させ、党躍進の反転攻勢ののろしをあげていく大会にすること、また党勢のうえでも後退にピリオドをうち、新しい上げ潮に転じる歴史的党大会にすることをめざし、党大会成功にむけた活動に全力をあげています。党勢の後退は、収入の減少などとなって財政収支にも反映していますが、歴史的な第29回党大会を何としても成功させ、それを力に党財政の面でも、現状打開と新たな発展をかちとっていく決意です。


27- ずっと続くガザ戦争(田中宇氏)

 フリーの国際情勢解説者田中宇氏が掲題の記事を出しました。
 イスラエルの残虐非道なガザ攻撃は仲介国の努力で4日間の休戦に入りました。
 しかし田中氏は、イスラエルはガザ市民を全員エジプトに追い出すことを狙っていて、既にガザ北部の市街地完全に破壊して住めないようにしたと見ています。そして今度はガザの南部を攻撃・破壊して、パレスチナ難民の惨状を見かねた国々がエジプトに難民の受け入れを強く要請することで、最終的にガザからパレスチナ人がいなくなるまで攻撃を続けるだろうと見ています。
 中東諸国もそして世界もイスラエルの戦争犯罪、卑劣な蛮行をを批判しますが、それ以上の行動に出ようとはしません。米国の後ろ盾を当てにしているイスラエルはそのことを見越していて、この先も衆人環視の中で恐るべき犯罪を継続することになりそうです。鬼畜の本性が見透かされても平気ということであれば、そんな国を抑止する方法はないということでしょうか。
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ずっと続くガザ戦争
                 田中宇の国際ニュース解説 2023年11月25日
ザの戦争は、ハマスが数十人の人質を釈放する見返りに、イスラエルが11月24日から4日間の停戦に入った。11月29日に停戦期間が終わった後、戦争が再開されるのか、それとも停戦状態が維持されて何らかの和平につながっていくのか。
パレスチナを支持する人々は、イスラエルが追い詰められて停戦せざるを得なくなったんだと言っている。イスラエルはガザをいくら攻撃しても人質を救出できず、市民を殺戮して戦争犯罪を重ねるばかりなので、もう戦争を続けられない、これはハマスの勝ちなんだ、とイランなどが言っている。
Iran claims Israeli 'surrender' in Gaza hostage deal)(Scott Ritter: Hamas Winning Battle for Gaza

私はそう見ない。今回のガザ戦争のイスラエルの目標は、ガザ市民を全員エジプトに追い出すことだ。ここまでの1か月半の戦争で、イスラエルはガザ北部の市街地を完全に破壊して住めないようにした北部の市民の大半が南部に避難し、南部は過密になって住環境がとても悪い。
イスラエルは、外部からガザへの物資供給を妨害し、ガザ南部は水や食料や燃料などが不足している。この状態が長引くほどガザ市民の生活が悪化し、パレスチナの大義を超えた現実的な救済が必要になる。
パレスチナの大義とは、ガザ(西岸)市民をエジプト(ヨルダン)に移住させず、パレスチナ国家ができるまでガザ(西岸)に押し込め続けることだ。
言語や習慣から見るとパレスチナ人がヨルダンやエジプトに移ってもそのまま住めるが、パレスチナ建国の大義があるのでパレスチナ人は移住を禁じられ、イスラエルからの攻撃に耐えて西岸やガザに住まねばならない
US Doesn’t Think Israel Can Make Good on Hostage Deal Promise to Increase Aid

エジプト政府は、ガザ市民がエジプトに来ることを昔から強く拒否してきた。だが、このままガザ市民をガザに押し込め続けていると、飢餓など人道危機がひどくなる。あと1-2か月もしたら、国際社会やアラブ諸国がイスラエルを非難しつつも、人道的な理由からガザ市民をガザから出し、エジプトのシナイ半島に難民キャンプを作って移住させることが必要になる
イスラエルは、その時までガザを攻撃し続ける。イスラエル国防相は、4日間の停戦が終わったら攻撃を再開し、少なくとも2か月は続けると言っている。最短で2か月後に、世界からの道義的な加圧により、エジプト政府がラファ検問所を開けてガザ市民をシナイ半島に受け入れざるを得なくなるとイスラエルは予測しているのだろう。
Short ceasefire, long fight – Israel

イスラエルは昔から、パレスチナ人をエジプトやヨルダンに強制移住させ、跡地をイスラエルの領土にすることを画策してきた。イスラエルはパレスチナ人を撃ち殺したり家や畑を焼いたりして、パレスチナ人を絶望させてエジプトやヨルダンに移住させたい。
ヨルダン国民の大半は、これまでの中東戦争でイスラエルに追い出されたパレスチナ人だ。エジプト人とガザ市民は言葉(エジプト方言)や生活習慣がほぼ同じだ。パレスチナ人は、ヨルダンやエジプトで難民(外国人)としてでなく市民として生きていけるのだから強制移住で問題ない、というのがイスラエルの言い分だ。
Egypt threatens legal action against Israel for plan to push Gaza Palestinians to Sinai

歴史的にも、イスラエルはもともとバルフォア宣言(1917年)でイスラエル全域(ヨルダン川の東岸と西岸)をユダヤ人国家にすることを英国から認められていた。それなのに英国は、イスラエルが中東の大国になって英国の脅威になることを恐れ、ヨルダン川東岸をハーシム家に与えてトランスヨルダンを建国させ(1923年)、さらに西岸の半分もパレスチナ国家にする国連分割案まで決めて(1947年)、イスラエルに与える領土を4分の1にしてしまった
イスラエルは、英国の建国妨害策に屈せず、英傀儡のジャーナリストやアラブ諸国から人道犯罪のレッテルを貼られても無視して、パレスチナ人を殺したり脅したりして強制移住させる策をやってきた。
イスラエルは、ホロコーストを誇張して自分たちを人道犯罪の加害者でなく被害者に仕立て、2度とホロコーストの被害者にならないようイスラエル建国を完遂せねばならないのだと言って、大量殺戮の強硬策を正当化してきた。
ホロコーストをめぐる戦い

ラビン首相は1993年、イスラエルを人道犯罪のくびきから救おうと、米国提案のオスロ合意に乗ってパレスチナ国家の創設に合意した。だが、パレスチナ人に国家主権や発言権を認めると、次は過去の中東戦争でのイスラエルによるパレスチナ人追放(ナクバ)が戦争犯罪に問われ出す。
イスラエル国籍のアラブ人も権利主張を拡大し、イスラエルをユダヤ人だけの民主主義国にするシオニズムの達成も困難になる。これらの懸念や不満が増大してラビン暗殺が起こり、パレスチナ国家を否定するリクードが与党になり、イスラエルは人道犯罪も辞さない強硬策でパレスチナの大義を潰してシオニズムを完遂する戦略に戻った。その延長に、今回のガザ戦争がある。
UNRWA says Gaza operations being deliberately strangled

アラブ諸国は、パレスチナの大義を理由を理由にパレスチナ人を西岸とガザに押し込め続ける。悪いのはイスラエルだ。文句はイスラエルに言ってくれ。イスラエルはパレスチナ人を追い出そうと、攻撃や嫌がらせ、殺傷や焼き討ちを過激化する。
イスラエルは、しだいにひどい人道犯罪を常態化し、アラブ諸国や欧米の人権重視なリベラル派が「人道犯罪国家イスラエル」「アパルトヘイト国家イスラエル」への非難や敵視を強める。アラブ諸国はパレスチナ人を閉じ込めることで、イスラエルの人道犯罪をよりひどいものに仕立てることに成功してきた。
これに対してイスラエルは、米諜報界により深く入り込み、米国の政界やマスコミ権威筋をイスラエルの傀儡にする策略を強めて、イスラエルがパレスチナ人に対していくら人道犯罪をやっても「悪いのはハマスなどアラブやイランのテロリストだ」という話になるよう歪曲を強化した。
BRICS asked to label Israel ‘terrorist’ state

以前のイスラエルは、覇権国だった米国から加圧され、ガザや西岸のパレスチナ人に水や食料、燃料など最低限の生活保障をしてきた。パレスチナ人はイスラエルに出稼ぎにいくことを許されていた。パレスチナ人はイスラエル社会で最下層に押し込められつつ、収入を得ることを許された。
イスラエルは、ガザの面倒をエジプトに見させたいと考えたが、エジプトは拒否し続けた。それに、エジプトがガザの面倒を見ると、ガザへの兵器流入も容認されてイスラエルが攻撃される。
Settler Violence, Dispossession, and Displacement Accelerate in Hebron, Amid Gaza War

以前のイスラエルは、パレスチナ人の人権を最低限認めてきた。だが最近のイスラエルはパレスチナ人の人権を認めなくなり、むしろ虐殺など明らかな戦争犯罪を積極的に展開し、それによってパレスチナ人を恐怖のどん底に陥れ、殺されぬようエジプトやヨルダンに出ていかざるを得ないように仕向けている
イスラエルは今回のガザ戦争で、わざと戦争犯罪を重ねている観がある。イスラエルはガザ北部のシファ病院を、ハマスの司令部として使われていると言って攻撃・破壊し、重大な戦争犯罪を犯したと世界的に非難されている。
イスラエルの戦争犯罪

イスラエル軍(IDF)はシファ病院を占領したが、ハマスがそこを司令部に使っていた証拠をほとんど示せていない。IDF自身が持ち込んだとおぼしき兵器類を撮影して「ハマスの武器だ」と言ったりしている。前回の記事に書いたように、シファ病院の地下室群は以前にイスラエル自身が建設したもので、そこをハマスが司令部として使うはずがない
その後、IDFはガザを掃討中にシファ病院から8キロ離れた地点で本物のハマスの司令部を見つけたという指摘が出てきた。イスラエルは、本物のハマスの司令部を見つけたので、そこでなく、間違いだと最初からわかっていたシファ病院に司令部があると言い募り、世界が注目する中で、病院を攻撃する戦争犯罪を大胆に展開した。
IDF Knew Real Hamas HQ While Lying About al-Shifa

そしてイスラエルは、シファ病院の攻撃と占領が完了した直後、次はガザ南部を攻撃するから市民は避難しろと言い出した。イスラエルは、病院を攻撃して無数の乳幼児を殺戮することだって平気でやるんだ。ガザ南部の150万人が避難しないなら皆殺しだ、と言っているかのようだ
今のガザ市民は、避難しろと言われても、逃げる先がない。いやいや、エジプトに頼んでラファ検問所を開けてもらってシナイ半島に行けよ。イスラエルはそう示唆している。
イスラエルはわざとひどい戦争犯罪を犯し、世界から戦争犯罪を非難されても屁とも思わずガザ市民を虐殺できるぞと示唆し、ビビった世界とパレスチナ人たちがエジプトを加圧してラファの国境を開けさせるように仕向けている
Gaza: a pause before the storm

今回のガザ戦争の隠れた本質のもう一つは、以前から書いている「ガザ市民がエジプトに追い出されると、エジプトでハマス=ムスリム同胞団が活発化し、米傀儡の軍事政権を再び倒すアラブの春が再演される」ことだ。
ハマス(同胞団ガザ支部)がイスラエルによってガザから追い出されることで、同胞団はガザよりはるかに大きなエジプトの政権を得る。イスラエルはガザの土地を接収し、パレスチナ問題のくびきの半分から解放される。ハマスはエジプトを得る
表向き仇敵どうしのハマスとイスラエルは、この「ウィンウィン」のシナリオで事前にひそかに合意したうえで今回のガザ戦争を展開している可能性がある
Israeli intelligence was warned about Hamas attack

エジプトが転覆したら、それはヨルダンにも波及する。ヨルダン国民の大半はナクバで追い出されたパレスチナ人で、ヨルダン議会の最大政党はハマスだ。ハマス(同胞団)はいずれ、エジプトとヨルダンの権力を得る。同胞団の最大の目標はパレスチナ国家の建設でなく、イスラム主義の共和国を作ることだ。
エジプトとヨルダンを得た同胞団が自分の国の安定と発展を望むなら、イスラエルと戦争して西岸とガザを取って自国の領土を拡大する「パレスチナの大義」よりも、大義を(こっそり)棚上げしてイスラエルとの関係を維持するのでないか(イスラエルが弱体化したら潰したがるかもしれない)。
エジプトとヨルダンの現政権はイスラエルと国交を持っている。以前モルシーの同胞団がアラブの春でムバラクを追い出して1年間だけエジプトの政権をとった時、イスラエルとの国交を断絶しなかった。

今回のガザ戦争でエジプトとヨルダンがムスリム同胞団の国に転換していくなら、エルドアンのトルコも悪い気はしない。エルドアンの与党AKPは実のところムスリム同胞団である。エルドアンは表向きイスラエルを非難しているが、イスラエルへの石油輸出を止めていない。
イスラエルが消費する石油の4割は、アゼルバイジャンの油田からトルコにパイプラインで運ばれ、そこからタンカーでイスラエルに運ばれている。イスラエルは、アゼルバイジャンがアルメニアとの戦争に勝つための兵器を送った見返りに石油を得ている
トルコ系民族の国であるアゼルバイジャンは、トルコとも仲が良い。エルドアンが決断すれば、イスラエルへの石油輸送を止められる。だがエルドアンはそうしない。イスラエルがガザ市民をエジプトに追い出し、エジプトが同胞団の政権になることを妨害したくないからだ。
Turkiye's Middle Ground Position Becomes Untenable As US Intensifies Conflicts

トルコが石油を止めないことをイランが批判した。しかし実のところ、イランもハマス(同胞団)の仲間だ。トルコもイランも、エジプトが米傀儡の軍事政権から同胞団政権に転換したらうれしい(エジプトの軍事政権自身、以前は米傀儡だったが今はロシアやサウジと親しく、イランとも敵でない非米側だが)。
イランに忠誠を誓うレバノンのヒズボラ(レバノン国軍より強い民兵団で、最有力政党でもある)は、いつイスラエルと開戦してもおかしくない一触即発の敵対状態と言われている。イランが支援するハマスがイスラエルと戦争しているので、同じくイラン系のヒズボラも参戦しそうだという話だ。
だが、ヒズボラの指導者ナスララは常にイスラエルを非難しているものの、参戦していない。この事態も、エジプトをハマス(同胞団)の国に転換するイスラエルの策略をイランも歓迎していることを踏まえると納得できる
War between Israel, Lebanon unlikely, analyst says

ところでハマスは、エジプトを得られるなら配下の何万人もの親愛なガザ市民が殺されても良いのか??。人権重視の現代人はそう考えるだろう。私なりに分析すると、ハマスはイスラエルとの戦争に備えるために、兵士や人間の盾を増やすため、ガザ市民に多産を奨励し、人々も喜んでそれに呼応して人口を急増した。戦前の「産めよ増やせよ」である。

パレスチナ国家は、西岸とガザでなく、エジプトとヨルダンを転換して作られる。それはまさに昔からイスラエルが言ってきた「詭弁」でもある。
だが、すでに述べたように、ヨルダン川の東岸がパレスチナで西岸がイスラエルになるはずが、詐欺師な英国が東岸をハーシム家に与えてしまったという歴史が語られないことの方がインチキだも言える。2国式は、英国の詐欺に立脚している。
Israel’s Intelligence Minister Proposes the ‘Resettlement’ of Palestinians Outside Gaza

イスラエルは戦争犯罪を犯した。今後、ナチスドイツみたいに戦争犯罪国として裁かれるのか??。イランは、そうすべきだと言っている。
米国の覇権が残っている間は、そうならない。米民主党の左派はイスラエル敵視を強めており、そのせいでバイデン再選の可能性がさらに減った。バイデンが負けるなら、トランプが勝つ。そして、トランプは名うての親イスラエルだ。共和党候補は親イスラエルだらけだ。

これから米国の覇権低下が加速して、中露BRICSの非米側が世界の運営を握るようになる。BRICSには来年からイラン、サウジアラビア、エジプト、UAEの中東勢も加盟する。中東勢はイスラエルを非難する傾向が強い。非米側はイスラエルを潰す気か、と思いきや、そうでもない。
アラブやイスラム諸国は、ガザ戦争への対策会議を連続して開催している。だが、絶対にイスラエルを潰してやるぞといった感じの共同声明を出していない停戦して2国式のパレスチナ国家建設の交渉に入るべきだと言うばかりだ。
戦争での問題解決(ガザ市民のエジプト追放)しかやっていない今のイスラエルに、2国式の交渉に入れと頼むのは空論でしかない。
Putin's Address at BRICS Summit on Gaza Aligned With Arab-Muslim Vision

BRICSを主導する中国もロシアも、2国式の実現が目標だとか、平和的な外交解決が必要だとか言っている。戦争や経済制裁でイスラエルを潰すのでなく、平和的な外交解決をやっている限り、2国式は実現しない
いや正確には「西岸に2国を作る」のでなく「西岸はイスラエル、東岸とエジプトはパレスチナ」の拡大2国式に事態は向かう。プーチンや習近平が言っている「2国式」は、この拡大2国式のことなのか??。違うだろう。だが、現実は拡大2国式に向かう
Will Russia-China Strategic Patience Extinguish the Fire in West Asia?

私はこれまで「イスラエルが2国式に沿ってパレスチナ国家の運営を許さないと、米覇権衰退後の非米化・多極化した世界でイスラエルが受け入れられず、国家存続を許されない」と考え、イスラエルは最小限の2国式(オルメルト案トランプ案)を受け入れるのでないかと予測してきた。
だが、その予測は外れた。イスラエルは、パレスチナ国家の存在を全く許さず、ガザと西岸からパレスチナ人を追放する策をやり続ける。ハマスにエジプトとヨルダンを与え、それらをパレスチナ国家に仕立てようとしている。

パレスチナの大義にこだわらなければ、ガザ市民がエジプト人になり、西岸市民がヨルダン人になっても生活的には問題ない。(英国の詐欺に騙されたままの)思想信条に拘泥しなければ、西岸パレスチナ国家は要らない。(あえてはっきり書いてみた)

イスラエルが2国式を全く拒否しても、中国やロシアは「平和的な外交解決」を言うばかりで、イスラエルを経済制裁する動きも拡大せず、イスラエルのやりたい放題が黙認されている。非米側がイスラエルを経済制裁していくシナリオは、トルコがエジプトの同胞団化をこっそり歓迎しているので具現化しない。

今後の世界は多極型であり、これまでの米英覇権体制に比べ、覇権国から他の国々に対する強制力が少ない。イスラエルはそれを踏まえた上で、これみよがしに戦争犯罪を重ねている
「イラクの大量破壊兵器」「イランの核兵器開発」など、米英覇権は気に入らない国に戦争犯罪の濡れ衣を着せて潰す策をやってきた。イスラエルもその策に加担してきた。中露BRICSは、そのような米英覇権の世界を是正するために非米的な多極型体制を形成している。

そのような中露BRICSが、これからイスラエルをどう扱っていくのか。英米が遺した難問をどう解決するのか。拡大2国式の具現化を容認し、旧来2国式(西岸2国式、パレスチナの大義)にこだわる勢力をなだめて安定化するのか。それともイスラエルの戦争犯罪を裁くことにこだわるか。これは、今後の多極型世界がどういうものになるのかを象徴する事項になる 

2023年11月25日土曜日

ガザ犠牲者は1万4000人超 女性・子どもが7割弱/「終戦」にしなくては

 ガザ地区でイスラエルとハマスが4日間の戦闘中断の期間に入ったことを受け、ハマスに拘束されていた人質のうち合意に基づくイスラエル人13人のほか、タイ人なども含めてあわせて24人が解放されました。これでイスラエル軍による狂気の大虐殺のニュースがしばらく入ってこなくなりました。
 ガザでは22日までに14000人を超える犠牲者が出ており、その67%は女性と子どもです。その他の行方不明者数千人の大半は死亡しているものと思われます。
 停戦の実施はもとより望ましいことですが、ガザの封鎖が即時解放され、それと同時に人質も解放されるべきです。
 パレスチナのマンスール国連代表は、合意を歓迎する一方で「単に大虐殺を再開するまでの中断になってはならない」と強調しました。
 しかしイスラエルは停戦協議の過程でも、事後にはパレスチナ人民を殲滅することを明言しました。これはまさに「あり得ない発言」なのですが、米国が後ろ盾になっているが故に黙認されているというのが現状です。しんぶん赤旗の2つの記事を紹介します。
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ガザ犠牲 女性・子ども約7割 安保理に報告
                      しんぶん赤旗 2023年11月24日
【ワシントン=島田峰隆】国連安全保障理事会は22日、公開会合を開き、イスラエルの空爆や地上侵攻を受けるパレスチナ自治区ガザの女性や子どもの状況について議論しました。国連女性機関「UNウィメン」のバホウス事務局長が報告し、「ガザでの1万4000人を超える犠牲者の67%は女性と子どもだ」と指摘。停戦の実施とガザ封鎖の即時解除、人質の無条件解放を求めました。

 バホウス氏は10月7日にイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まって以来、「1時間ごとに2人の母親、2時間ごとに7人の女性が殺害されている計算になる」と指摘。「毎日180人の女性が水や痛み止め、帝王切開用の麻酔、保育器用の電気がないなかで出産している」と訴えました。
 バホウス氏は戦闘中断の合意を歓迎する一方で、即時停戦を求めました。また、和平交渉にイスラエルとパレスチナ双方の女性を参加させることを要求しました。
 国連児童基金(ユニセフ)のラッセル事務局長は3分の2以上の病院が機能せず、約9割の学校が攻撃を受けていると指摘。「家族と離れ離れになり単独で病院にたどり着く子どもが増えている」と懸念を表明しました。
 国連人口基金(UNFPA)のカネム事務局長は、戦闘開始以降に出産した7000人以上の女性の産後ケアが不十分だと指摘。「病院や医療従事者、民間人は国際人道法のもとで特別に保護されており、標的にしてはならない」とイスラエルを批判しました。


ガザ 戦闘中断合意を歓迎 アラブ各国・安保理「停戦実現を」
                      しんぶん赤旗 2023年11月24日
 パレスチナ・ガザ地区の事態を巡って、イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスが22日、4日間の戦闘中断などで合意したことについて、アラブ各国やトルコは同日、歓迎を表明する一方、完全な停戦を求めました。また、同日開かれた国連の安全保障理事会の公開会合でも、合意を歓迎し、停戦の実現を求める声が相次ぎました。

パレスチナ主権を訴え 
アラ各国 トルコ
【カイロ=秋山豊」エジプトと米国とともに、イスラエルとハマスの間を仲介しているカタールのムハンマド首相は「戦争と流血を終わらせる包括的かつ持続可能な合意を確立することを望む」と表明しました。
 パレスチナ解放機構(PLO)執行委員会のシェイフ事務局長は戦闘中断を歓迎しつつ、「イスラエルによるパレスチナ侵略の包括的な停止を改めて求める」と述べ、占領を終結させ、パレスチナの人ぴとが自由と独立、主権を獲得できるよう訴えました。
 カイロで会談したエジプトのシシ大統領とヨルダンのアプドラ国王は「恒久的停戦を実現し、ガザに十分な人道支援を途切れなく提供できるよう集中的な行動を続ける必要性」を確認しました。
 両氏は地域の安定を回復する取り組みは、パレスチナ問題の「2国家解決」に向けた政治プロセスの開始に基づいて行わなけれぱならないと強調しました。
 サウジアラビアのファイサル外相は、戦闘の中断は「正しい方向への一歩だ」としたうえで完全な停戦を要求しました。
 トルコのエルドアン大統領は、イスラエルによるガザ民間人虐殺を批判し、戦闘中断は「前向きな進展だ」として「恒久的な停戦と平和につながることを願う。それがれれわれの優先事項だ」と語りました。パレスチナが東エルサレムを首都とする独立国家を樹立し、イスラエルと平和的に共存することが重要だと述べました。

国連安保理決議履行を 
公開会合
ワシントン=島田峰隆】国連安全保障理事会の公開会合では、アラブ首長国連邦(UAE)が、ガザで戦時国際法で保護される学校、病院、難民キャンプなども含めて1万2000ヵ所が空爆されたとイスラエルを批判。「これ以上の暴力と苦しみを防げるのは停戦だけだ」と述べ、即時停戦を求めました。
 戦闘の中断や人道回廊の設置、人質の解放を求めた15日採択の国運安保理決議の履行を呼び掛けました。
 モザンビークは合意を歓迎。「合意は人道的停戦につながりうる。国連安保理はこうした動きを支持して一致した呼び掛けを行うべきだ」と述べました。
 アルバニアは「人間の犠牲を無視する軍事戦略は効果をもたらす」と語り、イスラエルに国際人道法の順守を要求。合意を歓迎し、戦闘の中断を求めた国連安保理決議履行を訴えました。
 ガーナは合意を歓迎し、「相互に更に措置をとることで国際人道法を順守し、病院や学校を守り、人道支援配布を進めることができる」と表明。イスラエルには合意の期限を超えて空爆を停止することを求めハマスには人質の解放を求めました

 パレスチナのマンスール国連代表は、合意を歓迎する一方で「単に大虐殺を再開するまでの中断になってはならない」と強調。イスラエルのエルダン国連大使は「戦闘の中断が終わればハマス根絶の目標追求を続ける」と攻撃を継続する姿勢を示しました。