2015年4月30日木曜日

新ガイドライン 制定は国会無視の暴挙 各紙が非難

 29日の各紙社説は、28日に、国会の議論も経ないままで、憲法や安保条約をも逸脱して、自衛隊の海外での行動を大幅に拡大する内容の、「新日米防衛指針」(ガイドライン)を取り決めたことを非難しています。
 曰く、国民不在の政策転換、国会軽視、米軍との際限なき一体化・・・という具合です。
 
 首相は指針改定の対米交渉を進める防衛省の幹部に対して、「日本として行けるところまで行け指示した(神戸新聞29社説)ということです。これほど日本国憲法9条を無視した話もなく、首相の資質が改めて問われます。いずれにしてもあとは押して知るべしです。
 
 沖縄タイムスの社説を紹介します。
 
 29日地方紙の主な社説のタイトル
[ガイドライン改定] 国民不在の政策転換だ          沖縄タイムス
[日米防衛指針] 国会軽視認められない            南日本新聞
日米防衛ガイドライン                       佐賀新聞
新防衛協力指針 米軍との際限なき一体化          西日本新聞
ガイドライン改定 「危うさ」が浮き彫りに           中国新聞
防衛指針改定  国会が責任果たす時だ           京都新聞
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社説 [ガイドライン改定] 国民不在の政策転換だ
沖縄タイムス 2015年4月29日
 日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)の改定が合意された。 
 集団的自衛権の行使を盛り込み、自衛隊の活動を地球規模に広げるなど、戦後日本が平和国家として歩んできた道を大きく踏み外す改定である。 
 ガイドラインは日本有事の際、自衛隊と米軍の役割分担を定めた政府間の文書。冷戦時代の1978年に旧ソ連の侵攻に備えて策定され、97年に朝鮮半島有事を想定し改定された。 
 今回の再改定は、尖閣諸島周辺で活動を活発化させている中国に対抗しようと日本側が提案した。アジア重視の「リバランス」(再均衡)政策を掲げるオバマ政権も、日本の協力に期待を寄せている。財政難で国防予算の削減を余儀なくされる中、負担を肩代わりしてほしいという思惑があるからだ。
 
 新指針には、自衛隊が集団的自衛権を行使する事案として、米国を標的とする弾道ミサイルの迎撃などが例示されている。安倍政権が認めた集団的自衛権行使をガイドラインに反映させたというが、そもそも集団的自衛権の行使を具体化する安保法制の国会審議はこれからだ。 
 3月下旬の共同通信の世論調査では、安保法案の今国会成立に約半数が反対であった。国内での議論を後回しにして、米国との合意を先行させるやり方は、国会軽視というほかない。 
■    ■ 
 新指針では、日米協力の範囲を「アジア太平洋地域およびこれを越えた地域」としている。 
 従来の「周辺事態」の概念は地理的な制約があったが、事態の性質を「地理的に定めることはできない」として、これを「重要影響事態」と定義し直し、自衛隊の活動が日本周辺に限定されないことを明確化した。世界中で米軍の後方支援を可能にするものだ。 
 法的拘束力もない事務レベルで合意した指針で日米安保条約の改定にも等しい政策転換が図られようとしている。 
 改定のきっかけとなった尖閣の問題について新指針は、離島防衛への共同対処を明記したものの、有事の際の米軍の関与は依然不透明である。 
 基地が集中する沖縄では、自衛隊と米軍の一体化による、軍事的負担の増大が懸念される。 
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 「2プラス2」の共同文書には普天間飛行場の辺野古移設が「唯一の解決策」と書き込まれた。日本政府が県と約束した普天間の「5年以内運用停止」は盛り込まれていない。 
 中谷元・防衛相は、5年以内運用停止を米側に伝達したとするが、回答はなかったという。まるで子どもの使いだ。本気度が感じられない。 
 辺野古移設が進まないのは、県民の意志に反した計画だからだ。日米首脳会談を待たず「2プラス2」による辺野古移設の再確認は、選挙で示された正当な民意を無視するものであり、到底受け入れられない
 

各地で平和憲法擁護の取り組み

 憲法記念日を間近に控え、各地で平和憲法擁護の集いが行われたり、企画されています。

 和歌山県のみなべ「九条の会」26日、同町の公民館で憲法9条を語るつどいを開き約140人が参加しました。いつもは60~70人ですが、今年は2倍の人たちが参加し、町長も来賓として出席しました。
 
 宇都宮市では5月3日に、平和と憲法の在り方を考える記念集会が開かれます。
 集会では、1957年の砂川事件の裁判で弁護に関わった内藤功弁護士が「九条と憲法を武器に闘った70年」と題して講演するほか、須藤博弁護士が栃木県内の護憲運動の現状と課題を報告します
 
 群馬県では気軽に憲法を学ぶ「憲法カフェ」が広がっていて、昨年8月以降、前橋や高崎、安中などで13回開かれました。参加者の多くは女性です
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参加者、例年の2倍 憲法9条を考えるつどい
紀伊民報 2015年4月27日
 和歌山県のみなべ「九条の会」(柳田孝二代表世話人)は26日、同町芝の南部公民館で憲法9条を語るつどいを開き、約140人が参加した。初めて実施した町民によるリレートークでは、10~80代の6人が平和への思いや憲法9条に関する意見を述べた。
 
 同会は2005年10月に結成。平和学習などの集会を定期的に開いている。この日は戦後70年、68回目の憲法記念日を前に、戦争をしない平和な日本をどう守っていくかを町民とともに学び合いたいと開いた。同会によると、いつもは参加者が60、70人だが、皆の関心が高まっていることがうかがえたという。
 
 柳田代表世話人はあいさつで「憲法の9条により戦争をしない、軍備を持たないという誓いを全世界にしたが、最近は再び戦争に巻き込まれることを心配せざるを得ない。町民の思いを聞き、来年実施予定とされる国民投票に向けて幅広い議論を積み重ねて正しい判断と行動ができるようにするきっかけとしたい」と述べた。
 
 来賓の小谷芳正町長は「9条についていろんな機会に勉強し、自らの頭で考えてもらいたい。子どもや孫に話し、判断材料を与えてほしい」などとあいさつした。
 
 リレートークでアルバイトの玉口徹さん(西本庄)は「戦争になれば戦地に行かされる可能性がある。敵を殺せるのか、無理だと思う。友達や後輩も人を殺させる所に行かせたくない。9条を守るためには勉強をしていかなくては。皆さんの子、孫、同じ世代に思いを伝えてもらえれば」と語った。
 今春、中学校教諭を定年退職した神谷克彦さん(埴田)は「米国の戦争に巻き込まれることが現実味を帯び、不安でいっぱいだ」などと話し、教諭時代に学校でした平和教育の内容や、みなべ九条の会初代世話人代表の本多立太郎さんが生前に語った戦争体験談などを披露した。
 本誓寺前住職の赤松宗典さん(清川)は、生き物を殺すなというお釈迦(しゃか)様の一番目の教えや沖縄の人との交流から学んだ「出会えば兄弟」「命こそ宝」「すべてのものをようこそと受け入れる心」を紹介して「日本国憲法、9条こそが人間としての良心で、普遍的立法だと確信している」と述べた。
 旧南部川村と合併後のみなべ町の両方で首長を務めた山田五良さん(晩稲)は、戦後40年の時に戦争体験談を集めて作った冊子を紹介した。首長時代、毎年春に営まれた招魂祭に27年間参列したことを振り返り「毎年平和の誓いをした。その約束を捨てるわけにはいかない。憲法を大切に守っていかなければいけない気持ちは皆さん以上だ」と述べた。
 イラストレーターの松下恭子さん(埴田)が、絶滅危惧種の動物を紙に描いて「すべての生き物と仲良く暮らせる地球になれば」と語るビデオでメッセージを寄せた。
 今春高校を卒業した坂北瑞歩さん(芝崎)については作文を代読。「勤務先の介護施設で何十年も前の戦争体験を涙を浮かべて話す。心に大きな傷を負っていると感じる。もう一度戦争をしていいのだろうか」などと訴えた。
 
 最後に和歌山弁護士会元会長の由良登信弁護士が「今、九条を考えるとき」と題して講演し、憲法を変える国民投票をめぐる動きや今後の展望を紹介した。



平和と憲法考える 宇都宮で記念集会
東京新聞 2015年4月29日
 平和と憲法の在り方を考える記念集会「閣議決定で『戦争する国』許さない」が、憲法記念日の五月三日、宇都宮市中今泉の東市民活動センターで催される。入場無料。
 集会では、旧米軍立川基地(東京都立川市)の拡張に反対する学生らが逮捕された一九五七年の砂川事件の裁判で弁護に関わった内藤功(いさお)弁護士が「九条と憲法を武器に闘った七十年」などと題して講演する。このほか、宇都宮市に事務所を構える須藤博弁護士が、県内の護憲運動の現状と課題を報告する。
 戦争や平和に関する勉強会を県内で続けている市民有志「平和・民主・革新の日本をめざす栃木の会(栃木革新懇)」が主催。安倍政権が昨年、閣議決定で集団的自衛権の行使を認め、現在は新たな安全保障の法整備を進めていることへの危機感から計画された。
 集会は午後一時半~四時二十分。問い合わせは、栃木革新懇の担当者=電028(658)4671=へ。
 
「憲法カフェ」広がる 県内で昨夏から 若手弁護士ら提唱 
上毛新聞 2015年4月29日
 茶や菓子を口にしながら気軽に憲法を学ぶ「憲法カフェ」が群馬県内で広がっている。昨年8月から前橋や高崎、安中などで13回開かれ、参加者の多くは女性だ。国会で憲法改正をめぐる議論が盛んに行われる中、子どもの将来に不安を抱く母親世代を中心に憲法を知ろうという「知憲」の意識が高まっているようだ…
※詳しくは有料記事のため非公開
           
 
      ○×クイズで憲法を学ぶ参加者
                                                                                                                                                                    

2015年4月29日水曜日

「コメント」 : 受付情報

 
月に入り下記の記事にコメントをいただきました。
 
コメントは、記事の最下段の「2件のコメント」などと書かれているところをクリックすると、ご覧になれます。
記事には、記載のURLをクリックするればアクセスできます。
 
受付日付の降順に掲載)
記  事  の  タ  イ  ト  ル
掲 載 日
受付日
読売新聞が安倍首相に忠告 + 
15/04/24
04/29
安倍内閣は「わが軍」発言を訂正せず
15/03/29
04/01
 
 
 
 
 
 
 
 

国内議論に先行した日米防衛新指針 今後多大な負担

 27日に再改定された日米防衛協力指針には、日本の米国に対する軍事協力の地理的範囲や内容を大幅に拡大させるだけでなく、集団的自衛権行使の具体例として、国内でいま問題視されている中東のホルムズ海峡を念頭にした自衛隊による戦時の機雷掃海が明記されました
 これは国内の議論を飛び越えて合意したもので、本政府は勿論、政府もそういう事情を承知の上で敢えて既成事実しようとするものです。
 
 日本は、物資補給や弾薬提供など他国軍の支援を随時可能にする恒久法や、PKOの拡大を含め、自衛隊員の安全確保策の議論も全く進んでいないにもかかわらず、そうした対米支援を約束しました
 
 正当な手続きを経ないこうした進め方は大問題ですが、新指針は内容的にも「米軍の役割は今までとなんら変わらないのに、自衛隊の役割は、米軍への後方支援や国際秩序の維持など、格段に増えている柳沢協二氏 以下同)「しかも日本の安全に役立つならいいが、むしろ日本を無用の争いに巻き込む心配がある」、「(インド洋や南シナ海のシーレーン防衛を共同でやろうとして自衛隊がそちらにシフトすれば肝心の日本防衛の力がそがれる。ホルムズ海峡やマラッカ海峡までカバーすれば、日本の防衛は不可能になる」、などの大問題があります。
 アメリカへの迎合と媚びへつらいによって自衛隊の役割を一方的に拡大したことで、今後は人員的にも経済的にも際限のない多大な負担を背負うことになります。
 
 東京新聞の二つの記事を紹介します。
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日米防衛新指針 安保法制より先行 戦時の機雷掃海明記
東京新聞 2015年4月28日
 日米両政府は米ニューヨークで二十七日午前(日本時間同日深夜)、外務・防衛閣僚会合(2プラス2)を開き、自衛隊と米軍の役割分担を定めた日米防衛協力指針(ガイドライン)の再改定で合意した。中東のホルムズ海峡を念頭に、戦時の機雷掃海で自衛隊と米軍は協力すると明記。これに先立ち、国内では自民、公明両党が安全保障法制に関する与党協議で、主要条文に合意した。戦時の機雷掃海に公明党は慎重で、安保法制で実施できるかどうか議論が続いている。与党協議より、米国との合意が先行したことになる。 
 
 【ニューヨーク=中根政人】二十七日に合意した新指針は、日本が武力で他国を守る集団的自衛権の行使容認を踏まえて、機雷掃海に関し、自衛隊と米軍は「海上交通の安全を確保することを目的とするものを含む機雷掃海で協力」と明記した。
 新指針は「アジア太平洋地域およびこれを越えた地域の平和と安全に主導的役割を果たす」とした上で「日米同盟のグローバルな性格」を強調した。
 一九九七年改定の旧指針は、事態区分を「平時」と「日本有事」、朝鮮半島有事などを想定した「周辺事態」の三つとしていた。新指針は日本国内の安保法制見直しを先取りして四つに分類し、対応した日米協力を盛り込んだ。事態名自体の明記は見送った。
 安保法制で、周辺事態の地理的概念を削除した「重要影響事態」では、弾薬提供を含む地球規模での米軍の戦闘への支援が盛り込まれた。海洋安全保障での緊密な協力も示した。
 ほかに(1)武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」を含む平時(2)集団的自衛権の行使が可能な「存立危機事態」(3)日本が直接攻撃を受けた場合の「武力攻撃事態」-への対応を定めた。
 存立危機事態では、機雷掃海のほか弾道ミサイル迎撃での協力、邦人輸送や弾道ミサイル防衛に従事する米艦の防護など、集団的自衛権に基づく米軍支援を具体的に例示した。
 武力攻撃事態では、沖縄県・尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返す中国を念頭に離島防衛への共同対処を明示した。
 日米間の協議機関として「同盟調整メカニズム」の常設も明記し、自衛隊と米軍の運用一体化を強める方針も打ち出した。「国際社会の平和と安定」に向けた自衛隊による米軍支援に関する項目も新設。国連平和維持活動(PKO)のほか、国際的な人道復興支援や災害支援なども明記した。
 両政府は新指針に関して「より実効的な同盟を促進する」と意義付ける共同文書も発表した。
 
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自衛隊のみ役割増加 前回改定にかかわった柳沢協二氏に聞く
東京新聞 2015年4月28日
 日米両政府が二十七日に合意した日米防衛協力の指針(ガイドライン)の再改定。防衛官僚として一九九七年の改定にかかわり、第一次安倍政権などで安全保障担当の官房副長官補を務めた柳沢協二氏に、問題点を聞いた。 (聞き手・上野実輝彦)
 
 ― 新指針の評価は。
 「米軍の役割は今までとなんら変わらないのに、自衛隊は、重要影響事態での(米軍への)後方支援や国際秩序の維持など、格段に増えている。すごくアンバランスだ
 「しかも、増えていることが日本の安全に役立つならいいが、むしろ日本を無用の争いに巻き込む心配がある」
 ― 政府は、日米同盟強化で抑止力が高まると説明している。
 「新指針には(第三国と)緊張状態にある時、日米の共同訓練が抑止力になるという考え方が示されている。だが、これは挑発行為にもなる。現場で摩擦的に(衝突が)起きることで、政治のコントロールがないまま戦闘状態に入っていく恐れがある。かえって日本に対する攻撃を誘発する恐れがある
 ― それでは抑止力にならない。
 「抑止が効かず、情勢が拡大して日本有事になったらどうするか考えていないのも問題だ。日本有事への対応では、自衛隊は『作戦を主体的に実施』すると書いてあるが、米軍は『支援および補完』だけ。日本を防衛するためのシナリオとして、本当に評価していいものなのか」
 ― 沖縄県・尖閣諸島の防衛にも米軍が関与しない可能性があるのか。
 「米軍は(自衛隊を)支援するとしか書いていない。沖縄の海兵隊は出ないということだ。日本政府は『海兵隊は抑止力だから沖縄県内に必要』という立場をとってきたが、尖閣に出ないなら沖縄に置く必要はない」
 ― 前回の改定と今回との違いは。
 「九七年の改定は、朝鮮半島有事で日本が米軍を支援するという想定がはっきりしていた。今回は米軍が何をするかという肝心なところがはっきりしない」
 ― 事実上の地理的歯止めが消えた。
 「恐らくインド洋や南シナ海のシーレーン(海上交通路)防衛を共同でやろうという発想がある。しかし、自衛隊がそちらにシフトすれば肝心の日本防衛の力がそがれる。ホルムズ海峡やマラッカ海峡までカバーすれば、日本の防衛は不可能になる
 

2015年4月28日火曜日

29日 平和キャンペーンを行います

 今年も29日の「花まつり・ゆざわ」(湯沢中央公園)に合わせて、「湯沢平和の輪」は恒例の平和キャンペーンを行います。
 
 内容はシールアンケート、ノーベル平和賞などの署名、平和リーフ配り、風ぐるま配りなどです。
 
 参加される方は10時に笛木さん宅前にお集まりください。
 今年はいつもより30早くスタートします。
 

戦争立法 9条無視の野放図さ

 安倍内閣の目指す戦争立法が、如何に無制限で、いつなんどき・何処ででもアメリカに追随して海外での戦争が出来るように意図されたものであるのかが、日々明らかになってきています。
 
 一方で国の財政破綻が目に見えて来つつある中で、まさに「戦争国家・テロ国家アメリカ」至上主義を振りかざし、莫大な費用を負担しつつすべてアメリカに捧げるというものです。
 あの中国のAIIB(アジアインフラ投資銀行)の設立参加で、日本以外の国々が殆どアメリカの完全覇権に「ノー」を示したことを、一体どう見たのでしょうか。
4月25日 もう引き返せない-アベノミクスの行き着く惨状 (金子勝氏)
  東京新聞は、27日の安保法制に関する与党協議への説明で、政府が、日本に対する武力攻撃が予測されず国内が平穏でも、存立危機事態を認定することで、集団的自衛権に基づく武力行使に踏み切る能性を否定しなかったことを報じました。
 要するに日本に対して攻撃する意図がなくても、政府が「存立危機事態を認定しさえすれば」相手に対して防衛出動して、武力行使ができるというもので、これほど憲法9条に反し、日米安保条約にも反する法制もありません。
 
 しんぶん赤旗も、「戦争立法の11法制 特徴と問題点」と題して、その問題点を下記のように列挙しています。
 
 すべてが自衛隊が海外で米国の戦争に参加し、軍事支援する法制で、9条のもとで容認される余地の全くないもの
 米国の先制攻撃に相手国が反撃した場合に攻撃参加する
 武器防護のための武器使用を米軍等の防護に転用する
 米軍の戦争支援のために、いつでも地球上のどこにでも自衛隊を派兵する
 弾薬の輸送・提供、発進中の戦闘機への給油など直接的な支援に踏み込
 PKO活動の武器使用基準拡大射撃を可能にする
 駆けつけ警護を可能とし紛争地で他国部隊の要請に応え、外敵に反撃する
 事前承認の対象はわずかに「派兵先と活動の種類」など7日以内に議決する
 集団的自衛権や治安維持活動への参加などではいずれも事後承認」でよい
 
 まことにこれ以上はない9条からの逸脱です。
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国内平時 武力行使も 集団的自衛権、余地残す
 東京新聞 2015年4月27日
 政府は二十七日午後の安全保障法制に関する与党協議で、他国を武力で守る集団的自衛権の行使が可能となる「存立危機事態」に関する見解を示した。日本に対する武力攻撃が予測されておらず、国内が平穏なのに、存立危機事態を認定し、集団的自衛権に基づいて武力行使に踏み切る余地を残した。
 
 安倍晋三首相は、中東危機の際にホルムズ海峡が機雷で封鎖され、日本への原油供給が長期間滞れば、存立危機事態に該当する可能性があるとして、停戦前の機雷掃海を集団的自衛権行使の事例に挙げている。国際法上、停戦前の機雷掃海は武力行使と解釈される。
 
 政府見解は、こうした安保法制の解釈が可能であることを認めたといえる。日本に対する直接の武力攻撃が予測されていないのに、存立危機事態を認定して海外で武力行使する事例が、ほかにも拡大する可能性を否定しなかった。
 政府見解は「基本的な考え方」と題し、現行武力攻撃事態法が定める切迫事態と予測事態について「わが国に向けられた武力攻撃であることに着目した概念」と説明。一つの状況が二つの事態に同時に該当することは「ない」としている。
 
 集団的自衛権の行使を可能にするために同法を改正して新設する存立危機事態については「異なる観点から状況を評価する」として、集団的自衛権の行使は個別的自衛権とは別の基準で判断すると強調した。その上で、存立危機事態に該当する状況は、同時に切迫事態あるいは予測事態にも該当することが「多い」と指摘。少数ケースながらも存立危機事態を単独で認定する可能性を残した。
 自民、公明両党は与党協議で、政府見解も踏まえ、安保法制の主要条文を実質了承する見通し。与党協議は大型連休明けの五月十一日に条文全体に合意。政府は十四日にも関連法案を国会に提出する方針だ。
 
<武力攻撃事態法> 日本が武力攻撃された際の対応を定めた有事法制の中核を占める法律。日本への武力攻撃に関し、脅威の高い順に「発生事態」「切迫事態」「予測事態」を規定。それぞれの事態での政府の対応や手続きを定めた。現在は個別的自衛権の発動しか想定していない。政府は今回の安保法制で、集団的自衛権の行使が可能となる「存立危機事態」を同法に新設する改正を行う方針だ。
 
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「戦争立法」の11法制 特徴と問題点
しんぶん赤旗 2015年4月27日
 政府が24日の自公与党協議に「安全保障法制」の名で示した11本の法制は、大別すると3分野。(1)集団的自衛権の行使の根拠を創設する武力攻撃事態法の改定(2)他国の武力行使を支援する恒久法(新設)と周辺事態法改定(3)「平時」を建前に紛争地域に人道支援や、治安維持で自衛隊を派兵するPKO法(国際平和協力法)改定です。その特徴と問題点を見ます。
 
 すべてが自衛隊が海外で米国の戦争に参加し、軍事支援する法制です。まさに世界中で米国の戦争に参加・支援する法制です。
 憲法9条のもとで長年禁じられてきた「海外での武力行使」に公然と踏み出すもので9条のもとで容認される余地の全くないものです。
 
武力攻撃事態法 政府裁量でいくらでも
 武力攻撃事態法の中に集団的自衛権の行使の根拠を創設しますが、発動要件は漠然と不明確で時の政府の裁量でいくらでも広がる危険があります。安倍首相自身が、遠くペルシャ湾ホルムズ海峡での機雷敷設による「エネルギー危機」で武力行使できるとしています。また米国の先制攻撃に相手国が反撃した場合に攻撃参加することを否定せず、「集団的侵略」となる重大な危険があります。
 自衛隊の自分の武器防護のための武器使用(自衛隊法95条)を米軍等の防護に転用するとされています。日米の共同パトロール中などでの不意な攻撃に即座に反撃するもので、事実上の集団的自衛権です。閣議決定や首相の指示すらなしに戦争に発展する危険があります。
 
恒久法・周辺事態法 派兵 いつでもどこでも
 派兵恒久法(国際平和支援法)は、米軍の戦争支援のために、いつでも地球上のどこにでも自衛隊を派兵するもの。
 周辺事態法改定による「重要影響事態安全確保法」も「日本の安全確保」が名目なのに、「周辺」という事実上の地理的制限を取り払い、地球の裏側まで米軍支援に出ます。
 いずれも米軍の武力行使を従来の「戦闘地域」まで行って支援し、自衛隊が敵軍との戦闘に巻き込まれる危険が飛躍的に高まります。さらに「戦闘の現場」で負傷兵などの捜索・救助を行うとしますが最も危険な任務です。
 支援の内容も、弾薬の輸送・提供、発進中の戦闘機への給油など、これまで否定されていた直接的な支援に踏み込み、米軍との一体化を深めます。
 重要影響事態安全確保法との関連では、強制性を持つ船舶検査も行い、「シーレーン防衛」を広げます。
 
国連PKO法 武器の使用 大きく拡大
 国際平和協力法(国連PKO法)の「改定」では、PKO活動のほかに人道支援や治安維持(安全確保)活動を新たに盛り込み、武器使用基準が大きく拡大され「任務遂行」のための射撃が可能となります。
 住民等の「警護」任務が規定され「その他特定の区域の保安のための監視、駐留、巡回、警護」までおこないます。「駆けつけ警護」も規定され、紛争地で他国部隊の要請に応え、外敵からの攻撃に反撃します。まさに戦闘任務です。アフガニスタンやイラクなど紛争地での対テロ、ゲリラ戦が想定されます。
 アフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)では、ドイツ軍など多くの国が戦死者を出しています。こうした活動に本格的に乗り出すことは、極めて危険です。
 
事前の承認 対象わずか
 恒久法での海外派兵は「例外なき事前承認」が盛り込まれたと公明党は宣伝しますが、承認の対象はわずかに「派兵先と活動の種類」など。詳細な実施計画は「秘密」を盾に、国会には報告さえされません。
 そのうえ、「7日以内に」議決することが国会に義務付けられ、米国の要請に応え素早く戦争参加する仕組みです。
 その他、集団的自衛権や治安維持活動への参加などではいずれも「事後承認」が認められています。人道支援には危険があっても「承認」がそもそも不要です。